蓮實重彦インタビュー「批評の断念/断念としての批評」に惹かれて、古書店で購入…ゴメン、売り上げに貢献できなくて。
ま、それは兎も角。
「かつて、わたくしは『書評=万引き説』という仮説をとなえたことがあるのですが、れっきとした窃盗が『万引き』の名のもとにしばしば大目にみられてしまうように、書評もまた、れっきとした批評でありながら、どんなにいい加減なことを書いても、あれは『書評』だからという理由で許されてしまう。書評家という職業が成立するとするなら、それは『万引き』のように結局は許される ― ということは、本格的な悪に手を染めようとする強い自覚もない ― ような短いテクストばかり書くことに馴れた不特定多数の集団ということになるでしょう。これは考えるだに不気味な集団です」(p352)とあって、当方は職業的書評家などではないし、何もそこでの文脈である「文学」に積極的に関わろうという意識など微塵も持ち合わせてはいないものの、こうしてレビュー投稿などしているワケだから、一応は真剣に受け止め(るフリくらいはし)なくてはなるまい。考えてみます。
あと、p342で『「ボヴァリー夫人」論』完成の遅れを言い訳しているが、しかし蓮實がそこで自分に課しているハードルの高さはほとんど跳び越えるのが不可能であるような水準のものであって、こりゃ遺作としてしか完成せんワ、と思った次第。あるいは蓮實自身が折に触れて言及するように、一群の断片的論考の散在が蓮實の夢見ている場所を虚焦点として星座を形作る、とか。それともいずれかの時点で、明確な悪意をもって、「厚顔無恥」に転じる可能性も…あるかなァ?

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早稲田文学1 単行本(ソフトカバー) – 2008/4/1
「早稲田文学」第十次復刊!
「早稲田文学」がまったく新しく生まれ変わり第十次創刊!
第22回早稲田文学新人賞の発表。芥川賞受賞・川上未映子「戦争花嫁」。蓮實重彦「批評の断念/断念としての批評」。アラン・ロブ=グリエ追悼特集ほか、コラム、エッセイ等強力原稿満載!
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- 本の長さ384ページ
- 言語日本語
- 出版社太田出版
- 発売日2008/4/1
- ISBN-104778311213
- ISBN-13978-4778311216
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登録情報
- 出版社 : 太田出版; 第1版 (2008/4/1)
- 発売日 : 2008/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 384ページ
- ISBN-10 : 4778311213
- ISBN-13 : 978-4778311216
- Amazon 売れ筋ランキング: - 988,875位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』、『すべて真夜中の恋人たち』など著書多数。
2019年、第73回毎日出版文化賞受賞した『夏物語』は、20年ニューヨーク・タイムズが選ぶ「今年読むべき100冊」やTIMEの「今年のベスト10冊」などにも選ばれ、現在40カ国以上で刊行が進められている。
1967年、大阪市生まれ。
東京大学理学部物理学科卒業、大阪大学大学院言語文化研究科
修士課程修了。
1999年、「批評と文芸批評と」により、第42回群像新人文学賞評論優秀作
を受賞。
主な論文に「コメンタリオルス試論」(早稲田文学)など。
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