吉川英治の実家は、当初は裕福でした。
父は横浜で商売をして成功し、女中がいるような家庭で育ちました。
しかし共同経営者とトラブルとなり、父は収監されるにあたって、極貧の生活に陥ります。
そうした中で、吉川英治は口減らしの意味もあって印章店で住み込みの仕事を始めたり(おかみさんの似顔絵を描いて解雇)、印刷所の少年工になったり、行商をしたりします。
父は帰ってきますが、ろくに仕事もしないのに酒とタバコをやめられず、体も壊し、家賃を払えないため貸家を転々として道具類もすべて売り払い、9歳の妹まで口減らしのために奉公に出すという悲惨な日々を送ります。
家族が飢え死に寸前となり、当時働きにでていた吉川英治が慌ててかけそばを注文して命をつないだこともありました。
とにかく父がとんでもなく、母親は本当に辛苦を舐めるような日々が続きます。
しかし、一時期生活が安定して東京に勉強に出ることになりますが、事情をしらない親戚に追い返され、塗師屋の手伝いをしたり、横浜ドックの船具工として働きに出ることになります。
手記は父と母の死で終わります。
母の臨終の席で、吉川英治は「お母さんは、きっと天国に迎え入れられるでしょう」と耳元に囁いたところ、母に「余計な事をお云いでない」とたしなめられたそうです。
この話が、妙に印象に残ります。
最後まで、自分のことより子供たちのことを心配している母親だったのだと思います。
吉川英治は明治25年生まれですので、当時の祖父母は江戸時代のひとで武士の風習が色濃くこのっていました。
なので「武士の子が豆腐など買いに行くぐらないら切腹する」と脅したところ、逆に祖父から「武士の子なら二言はない。切腹しろ」と夜が明けるまで切腹を迫られた話など、時代の香りを感じます。
また貸本屋や人力車なども普通にでてきますので、当時の時代風俗の資料として読んでも面白いかもしれません。
大作家、吉川英治の青年時代を知りたいひとのために!
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忘れ残りの記 (吉川英治歴史時代文庫) 文庫 – 1989/3/24
吉川 英治
(著)
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厳父の家業失敗により、著者は11歳で実社会に抛り出された。以来、印章店の小僧、印刷工、給仕、小間物の行商、港の船具工など、幾多の職業を経験し、浮世の辛酸をなめ尽す。幼いながら一家の大黒柱としての自覚、また逆境に芽生える思慕の情、隆盛期の横浜が少年の著者に投げかけた強い色彩――その波瀾に富んだ少年期を回想した四半自叙伝であり、吉川文学の原点でもある。
- 本の長さ358ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1989/3/24
- 寸法10.8 x 1.5 x 14.8 cm
- ISBN-104061965778
- ISBN-13978-4061965775
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- 文庫 : 358ページ
- ISBN-10 : 4061965778
- ISBN-13 : 978-4061965775
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著者について
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1892年神奈川県生まれ。様々な職業を経た後、作家活動に入る。国民文学作家と称され、今も読み継がれている作品が多い。1962年没(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 新装版 三国志(三) (ISBN-13: 978-4062761888 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2012年11月8日に日本でレビュー済み
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乱暴でいい加減で理不尽な性格の父。やさしく大人しくけなげな母。まるで釣り合わない両親のもとで暮らした幼い日々、辛い暮らし。よくもこれだけの苦労を積み、耐え忍んで国民作家になったものか。ただ感動するのみであった。
2014年6月4日に日本でレビュー済み
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様々なバックグラウンドを知る事により、吉川英治を理解する上でとても参考になりました。
2021年10月5日に日本でレビュー済み
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貧乏な人の本も何冊か読んだが、これほど貧乏に耐えた人もいない。松本清張、本多静六、キューリー夫人、アンデルセンなどの自伝と同様に、読後はきっと何かを感じることができる。素晴らしい自伝である。