中央公論社創業130周年を記念して全集が刊行された際に同社のHPに連載された谷崎所縁の作品を編んだ短編集。
余り全集のイメージを損なわない様にセンスと画力に定評が在る錚々たる面子を集めています。
芸術畑からマンガ初挑戦の山口晃氏の参加し話題性も充分でした。
【収録作】(すべて扉絵の裏に原作紹介と作品からの引用文有り)
1.久世番子氏「谷崎ガールズ」8頁
2.古屋兎丸氏「少年」1911年26頁
3.西村ツチカ氏「人間が猿になった話」1918年12頁
4.近藤聡乃氏「夢の浮橋」1959年14.頁
5.山田参助氏「飈風」1911年10頁
6.今日マチ子氏「痴人の愛」1924年24頁
7.中村明日美子氏「続続蘿洞先生」1925,28年10頁
8.榎本俊二氏「青塚氏の話」1926年16頁
9.高野文子氏「陰翳礼讃」1933-34年6頁
10.しりあがり寿氏「瘋癲老人日記」1961-62年32頁
11.山口晃氏「台所太平記」1962-63年26頁
12.作者あとがき
13.主要参考文献
(少し内容に触れています)
1は谷崎の女性遍歴をまとめた唯一原作の無い作品。初心者には有り難い道案内となっています。
2は少年少女にも有り勝ちなSMとその反転を古屋氏が律儀な絵で描いています。
3はペンタッチが極めて達者な西村氏が描く猿の毛並が見物。
4は主人公女性が抱く幻想がまるでエッシャーの描く「平面充填」や本アンソロジーの題名「万華鏡」を想起させる作品。
5は男女共にエロティックに描ける山田氏が男性の裸に重点を置いたお預け物。
6は現代のアイドルに作品世界を置き替えたら意外にしっくり来た作品。
7は先生の欲望が具体的に描かれた最終頁が秀逸。
8はの榎本氏が変態性を記号化して描く職能を充分に発揮した、ジャーロ系スラッシャー映画から血抜きしユーモアを加えたたが如き怪作。青塚氏の子孫は「えの素」の田村さんでは?
9は谷崎随筆に高野氏の端正な挿絵を添えた趣の掌編
10は在る米文豪の有名作を老人括りで無理やり谷崎作品に融合させた実験作
11は鴨川つばめ氏と杉作氏的な可愛いタッチながら膨大な情報量を見事に26頁に込めた今は殆どなくなった女中さんの年代記。
谷崎作品は数編しか読んでいない評者ですが、マンガファンとして大変楽しめました。
もっと分量を読みたいと思う作品も御座いました。
ただ、榎本氏を除いて、いや榎本しですら大変上品なので、もう一作「裏谷崎」的なアンソロジーも18禁で出して頂けたら嬉しかったです。
そちらには是非沙村広明氏や丸尾末広氏、大越孝太郎氏に執筆頂きたいと思いました。
表紙装画も中村明日美子氏、美しい装幀は山影麻奈氏が担当。
各作品の扉絵にもご注目。最初は気が付きませんでしたが、凝っています。

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谷崎万華鏡 - 谷崎潤一郎マンガアンソロジー 単行本 – 2016/11/8
谷崎潤一郎歿後50周年・生誕130周年を記念して、現代人気作家11名が谷崎作品と奇跡のコラボレーション!
榎本俊二「青塚氏の話」
今日マチ子「痴人の愛」
久世番子「谷崎ガールズ」
近藤聡乃「夢の浮橋」
しりあがり寿「谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』×ヘミングウェイ『老人と海』REMIX」
高野文子「陰翳礼讃」
中村明日美子「続続羅洞先生」
西村ツチカ「猿が人間になった話」
古屋兎丸「少年」
山田参助「飈風」
山口晃「台所太平記」
この一冊で、文豪・谷崎の小説、随筆、人生が味わえる豪華絢爛な競演企画。
榎本俊二「青塚氏の話」
今日マチ子「痴人の愛」
久世番子「谷崎ガールズ」
近藤聡乃「夢の浮橋」
しりあがり寿「谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』×ヘミングウェイ『老人と海』REMIX」
高野文子「陰翳礼讃」
中村明日美子「続続羅洞先生」
西村ツチカ「猿が人間になった話」
古屋兎丸「少年」
山田参助「飈風」
山口晃「台所太平記」
この一冊で、文豪・谷崎の小説、随筆、人生が味わえる豪華絢爛な競演企画。
- 本の長さ218ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2016/11/8
- 寸法15 x 1.6 x 21 cm
- ISBN-104120049027
- ISBN-13978-4120049026
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2016/11/8)
- 発売日 : 2016/11/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 218ページ
- ISBN-10 : 4120049027
- ISBN-13 : 978-4120049026
- 寸法 : 15 x 1.6 x 21 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 342,527位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 190,172位コミック
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2017年5月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2021年12月15日に日本でレビュー済み
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色々な方の目線で描かれた谷崎作品。
面白く読ませていただきました。
面白く読ませていただきました。
2020年2月4日に日本でレビュー済み
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原作を簡単に読むことができるかと購入をしましたが、期待外れでした。非常に内容が薄く、原作の一部を切り取りした別の創作物です。わかって読む分には、面白い視点だと思いますが、原作を漫画で…と考えて購入すると、失敗します。
2017年1月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
うーん…あー………うん…まあね…って感じの感想しかないです。
私自身は表紙詐欺にあったような状態ですが…取り扱われている作品が好きな作品ではなかったというだけの事ですが…どの作家さんがどの作品を描いたか表記していてくれていたら、決して買わなかったです…
とはいえ、この本が入り口になる事もあるとは思いますので、興味を持たれた方は自己責任でどうぞ。
私自身は表紙詐欺にあったような状態ですが…取り扱われている作品が好きな作品ではなかったというだけの事ですが…どの作家さんがどの作品を描いたか表記していてくれていたら、決して買わなかったです…
とはいえ、この本が入り口になる事もあるとは思いますので、興味を持たれた方は自己責任でどうぞ。
2017年2月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
山口晃が★5、榎本俊二が★3.5、それ以外の9本は★1。谷崎の世界をマンガで、というのはもう剛腕直球勝負で立ち向かうしかないと思うのだが、そこを賢さとセンスの良さがご自慢らしい流行りのセンセイ方に省エネ・ミニマルスタイルでお洒落に再構成(?)をお願い、というのは筋が悪すぎ。多くが編集者不在のおまかせ&やっつけ仕事にしか見えない悲惨。初出はネット上の販促企画だったようで、予算やスケジュール管理もそれなりだったんだろう。そこで止めておくべきだった。大谷崎メモリアルイヤーの周年事業というにはあまりにも寂しく恥ずかしいお粗末出版。
結局この老舗版元は、「マンガ」を活字本の拡販ツール程度に考えていることが透けて見えてくる、その姿勢も私には不愉快。
結局この老舗版元は、「マンガ」を活字本の拡販ツール程度に考えていることが透けて見えてくる、その姿勢も私には不愉快。
2016年11月22日に日本でレビュー済み
谷崎潤一郎という作家は他の文豪にくらべて好き嫌いがハッキリ別れるところがあるが、
このアンソロジーは、谷崎好きはもちろんのこと、これまで谷崎が好きじゃなかった人も
「え・・・どええぇぇぇ!!谷崎ってこんな人だったの・・・??!!お、おもろすぎるやろ・・・」となる。
古屋兎丸が描いた「少年」は、もう兎丸先生ワールドと谷崎のお耽美がドハマりして眼福すぎる。
古屋ファンも納得、谷崎ファンも納得のすばらしいコラボレーションだった。
山口晃の初の本格マンガという「台所太平記」は、谷崎=お耽美、エロいという印象を根底から覆し、
ほのぼのといつまでも読みつづけたい気分にさせる。女中さん達がかわいすぎるやろ・・・
うさぎのらい吉老人にも悶絶。こりゃ谷崎を好きになってしまう。
高野文子の「陰翳礼讃」はもはや哲学的な高みにまで達しているし・・・これが1,000円っていいのか・・・
榎本俊二の「青塚氏の話」は原作知らなかったけど、傑作。
谷崎の変態性が21世紀の読者にも衝撃をあたえる。この文豪、やっぱりやばい。
しりあがり寿のヘミングウェイ「老人と海」×「瘋癲老人日記」は凄すぎて、
読んだ人にしかこの感動は伝えられない・・・。しりあがりさんって、やっぱり天才なんだな・・・
近藤聡乃の「夢の浮橋」は、原作の主人公視点から大胆に継母視点に切り替わってて、
「母性」の神秘とエロティシズムを描いた谷崎文学の本質をより浮き彫りにしていた。
この作家、そうとうの本読みだろうな。
そして明日美子先生の「続続羅洞先生」。こんなに品良くSMプレイを描けるなんて・・・
線の美しさはいつもながらため息がもれるが、谷崎のマゾヒズムをさらりと伝えてしまえる力量に感服。
西村ツチカの「人間が猿になった話」は、谷崎への印象がガラリと変わった。
こんなストーリーも書くんだ谷崎・・ってかツチカさんの絵うますぎる。
今日マチ子の「痴人の愛」は、みずみずしくも傲慢な10代をナオミンというアイドル設定にして
みせるところがにくい。主人公を◎◎な姿にしているところとか、拍手だった。
はじめに久世番子のガイド的なマンガがあるのも読みやすかった。
「細君譲渡事件」とか、松子夫人とか、義理の息子の読め・渡辺千萬子とのナニナニとか、
その実人生もドヒャーーとなるよね。知らない人、多いんじゃないかな。
谷崎文学を読んでなくてもぜんぜん楽しめるし、
谷崎好きの人が読むと、ツボ押されること必至。
中公文庫の「台所太平記」、山口晃のカバーにすればいいんじゃないかなあ。
今まで知らなかった谷崎の魅力に触れられる。ありがとう、万華鏡。
このアンソロジーは、谷崎好きはもちろんのこと、これまで谷崎が好きじゃなかった人も
「え・・・どええぇぇぇ!!谷崎ってこんな人だったの・・・??!!お、おもろすぎるやろ・・・」となる。
古屋兎丸が描いた「少年」は、もう兎丸先生ワールドと谷崎のお耽美がドハマりして眼福すぎる。
古屋ファンも納得、谷崎ファンも納得のすばらしいコラボレーションだった。
山口晃の初の本格マンガという「台所太平記」は、谷崎=お耽美、エロいという印象を根底から覆し、
ほのぼのといつまでも読みつづけたい気分にさせる。女中さん達がかわいすぎるやろ・・・
うさぎのらい吉老人にも悶絶。こりゃ谷崎を好きになってしまう。
高野文子の「陰翳礼讃」はもはや哲学的な高みにまで達しているし・・・これが1,000円っていいのか・・・
榎本俊二の「青塚氏の話」は原作知らなかったけど、傑作。
谷崎の変態性が21世紀の読者にも衝撃をあたえる。この文豪、やっぱりやばい。
しりあがり寿のヘミングウェイ「老人と海」×「瘋癲老人日記」は凄すぎて、
読んだ人にしかこの感動は伝えられない・・・。しりあがりさんって、やっぱり天才なんだな・・・
近藤聡乃の「夢の浮橋」は、原作の主人公視点から大胆に継母視点に切り替わってて、
「母性」の神秘とエロティシズムを描いた谷崎文学の本質をより浮き彫りにしていた。
この作家、そうとうの本読みだろうな。
そして明日美子先生の「続続羅洞先生」。こんなに品良くSMプレイを描けるなんて・・・
線の美しさはいつもながらため息がもれるが、谷崎のマゾヒズムをさらりと伝えてしまえる力量に感服。
西村ツチカの「人間が猿になった話」は、谷崎への印象がガラリと変わった。
こんなストーリーも書くんだ谷崎・・ってかツチカさんの絵うますぎる。
今日マチ子の「痴人の愛」は、みずみずしくも傲慢な10代をナオミンというアイドル設定にして
みせるところがにくい。主人公を◎◎な姿にしているところとか、拍手だった。
はじめに久世番子のガイド的なマンガがあるのも読みやすかった。
「細君譲渡事件」とか、松子夫人とか、義理の息子の読め・渡辺千萬子とのナニナニとか、
その実人生もドヒャーーとなるよね。知らない人、多いんじゃないかな。
谷崎文学を読んでなくてもぜんぜん楽しめるし、
谷崎好きの人が読むと、ツボ押されること必至。
中公文庫の「台所太平記」、山口晃のカバーにすればいいんじゃないかなあ。
今まで知らなかった谷崎の魅力に触れられる。ありがとう、万華鏡。
2016年11月16日に日本でレビュー済み
久世番子さんは作品の漫画化ではなく軽いタッチで適切な導入部を担当。今日マチ子さんや近藤聡乃さんや西村ツチカさんはいつものようにかわいくて不穏な世界を展開。でもやっぱりお上品だな…と思っていたら榎本俊二さんはそっけない語り口で狂った話をドンドン進めてしまうあのやり方で超ど変態男のど変態プロジェクトをみっちりと描きあげていました。山口晃さんの超絶技巧による醜いがものすごく魅力的な女性の造形にもうならされました。う~ん、文章を離れた谷崎ワールドのSMぶりは今見ると古臭くてかなりしょぼく、それを普通に語り起こしただけではやはり退屈ですね。漫画家の変態技巧を積極的に盛らないと淡白なスケッチになってしまうなあというのが正直な感想でした。
2016年11月14日に日本でレビュー済み
出版は中央公論社から。谷崎と言ったらやっぱり中央公論。
装丁のイラストも奇麗だし、
谷崎万華鏡というタイトルも素敵だと思って即購入した。
が、、、、、、、
初めて知ったけど、谷崎とマンガの相性ってめっちゃ悪い。めっっっっちゃ悪い。
ほとんど初めてのマンガ家さんだから・・・?
谷崎作品とのコラボって言われても全然ピンと来ないんだけど。
美しく妖艶で、でも脂っこくて胃もたれするみたいな谷崎の熱量はどこへ。
そもそも、『痴人の愛』のコラボが今日マチ子ってとこで、意図がわからんって思った。
谷崎作品が、美しい文学作品であるが故に
視覚に頼る媒体だと魅力が半減してしまうのかもしれない。
となると、考えてみりゃ谷崎作品は映画など実写もたくさんあっても観たこと無かったが
実写作品もがっかりしちゃうのかもしれないなぁ。
あ、でも表紙の艶やかさは谷崎っぽい。
そうか、
谷崎作品自体がカラーのイメージが豊かだから、単色刷りのマンガと相性悪いのかも。
フルカラーコミックならもっと良くなりそう。
装丁のイラストも奇麗だし、
谷崎万華鏡というタイトルも素敵だと思って即購入した。
が、、、、、、、
初めて知ったけど、谷崎とマンガの相性ってめっちゃ悪い。めっっっっちゃ悪い。
ほとんど初めてのマンガ家さんだから・・・?
谷崎作品とのコラボって言われても全然ピンと来ないんだけど。
美しく妖艶で、でも脂っこくて胃もたれするみたいな谷崎の熱量はどこへ。
そもそも、『痴人の愛』のコラボが今日マチ子ってとこで、意図がわからんって思った。
谷崎作品が、美しい文学作品であるが故に
視覚に頼る媒体だと魅力が半減してしまうのかもしれない。
となると、考えてみりゃ谷崎作品は映画など実写もたくさんあっても観たこと無かったが
実写作品もがっかりしちゃうのかもしれないなぁ。
あ、でも表紙の艶やかさは谷崎っぽい。
そうか、
谷崎作品自体がカラーのイメージが豊かだから、単色刷りのマンガと相性悪いのかも。
フルカラーコミックならもっと良くなりそう。