世界設定とその背景，人やアイテム類など，いろいろと用意はされているのですが，
どれもそれほど膨らまず，「あれは何だったのか」と，物足りなさの残るものが多く，
場面転換の分かりづらさや，先に語り，後から説明という書き方も読みづらく感じます．
また，主人公が戦う理由がハッキリせず，大事な女の子のためと解釈をしましたが，
互いに惹かれ合う様子が見えてこず，ボーイ・ミーツ・ガールとしてはいささか弱め．
さらに，数ヶ月単位で時間が飛ぶため，彼が強くなる過程も目の前の姿ほどは伝わらず，
自他ともに認める端役キャラが，スルスルと超人的な力を得ていくようで入り込めません．
禁忌の森を巡る人とそうでないものたちの思いや，『あちら側』の少女の大きな覚悟，
そんな彼女の決断に戸惑いながら，それでもと立ち上がる少年など，盛り上がる終盤も，
都合のいい『横やり』にはガッカリで，確かに匂わせてはいましたが経緯は不明のまま…．
幕引きもこれまた都合が良く，無理矢理に丸め込んだハッピエンドという印象は拭えず，
悪くはないのですが，これを『奇跡』の一言で片付けてしまうことには違和感を覚えます．
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