本書はトランプ大統領が就任した2017年初頭に緊急出版されましたが、当時はトランプ大統領に対する様々なレッテル貼り報道(フェイクニュース)のために、トランプ氏の考え方、目指すもの、手法などについて何が正確な話なのか皆目見当がつかない状況でした。ところが本書では、一般的にはこの2年間でやっと理解が進んで来たことが余すところなく的確に指摘されています。馬渕大使は常々、「公開された情報を丹念に見てゆくだけで大方のことは分かる」と強調されていますが、本書の論考で積み上げられてゆく材料を見れば、大使がトランプ大統領登場直後にこれだけ正確な予測をしておられるのもその為せる所以であることが分かります。
第一章:大統領就任演説から読み解く激変の世界
マスメディアはトランプが大統領に就任した時の演説の中で注目すべき事項には触れないで、反トランプの動きばかりをせっせと報道していましたので、マスメディアは我々のトランプ大統領の所信表明の具体的内容を「知る権利」を著しく損ないました。本章ではトランプ大統領の政策の要点と、閣僚の布陣によって本気でそれぞれの政策を本気で実行しようとしていることを具体的に解説しています。特に、エスタブリッシュメントとの取引ではペンス副大統領の動向が鍵であるという指摘は注目に値すると思いました。プーチンとの関係ではティラーソンの役割が重要であると指摘していますが、ティラーソンは本書の発刊から一年経った2018年3月末で退任しています、、、
後半ではトランプ大統領登場の背景として、グローバリズムが米国人の職を奪い貧富の差を拡大したことについて述べていますが、トランプとは対極にありそうなサンダース候補とトランプとの間には米国民の不満をよく汲んでいるという点で共通する主張が少なくないという指摘は大変参考になりました。
第二章:反グローバリズムの勝利
米国大統領史とその類型分類を概観し、大統領として選出されるための条件としてどのような勢力の支持が不可欠か、特にグローバリズム勢力が大統領選にどのように影響力を行使してきたか、さらにはEUの動向などを纏めた上で、トランプ大統領の位置付けや動向分析を試みています。
第三章:暗殺された歴代大統領の奇妙な共通項
第一、二章を補って米国の大統領暗殺史をまとめて解説しています。もちろん、トランプ氏に関する記述は本章にはありません。国際連盟という組織が、本来は二国間で解決できる問題を複雑にし、第三者の介入を容易にする仕組みでもある、との指摘は目から鱗が落ちる思いでした。国際連合は特定国を対象にもっとその性格を明確にしていることに日本人もやっと気付き始めたところです。
第四章:近接する米露、孤立する中国
最近の東欧〜中東に起きた最近の一連の出来事とネオコンの関係についての復習をした後にネオコンと中国の関係に話が進みます。ネオコンの手法については他の著書でも再々触れられていますが、本書ではネオコンは自分達のビジネスに都合よく世界を作り変えるために「民主化」という言葉を使って来たという総括を明確にしている点が注目されました。また、ウェストファリア体制の再構築としての「トランプ・プーチン・安倍:鉄のトライアングル」の持つ意義やその対ネオコンのポテンシャルについてこのタイミングで指摘ており、大いに注目されます。
第五章:日本にあかるい未来をもたらす
日米露の関係を軸に我々がどの様に発想を変えなければならないかについての提案が中心です。まず、「東京裁判史観」=「プレスコード」から脱却しなければならないこと。米国のTPP脱却の本当の意味を理解すること、補助金バラマキという農業や沖縄への支援の方法を変えること、ロシア(人)とソ連(時代のイデオロギー)は別物であることを理解すること、など、具体的な出口論として論じています。この三國の中では、残念ながら日本人の意識が一番低そうです。
馬渕大使の著作は一貫してグローバリズムの問題を指摘していますが、同じサブテーマを取り上げていても著作ごとにアプローチや切り口を変えた説明がなされており近現代史を中心とした世界史や外交の本質にまで話が広がってゆき、いつも非常に勉強になります。しかも、内容にブレがありません。一方で、著書や章立てのタイトルが必ずしも内容を直接反映しないことがありますが、読んでみると福袋であった様な感じがしなくもありません。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
アメリカ大統領を操る黒幕: トランプ失脚の条件 (小学館新書 291) 新書 – 2017/2/15
馬渕 睦夫
(著)
トランプ後の「世界の読み方」がわかる!
2017年1月20日に米国第45代大統領に就任したドナルド・トランプ氏は何から何まで異例づくしだ。
選挙戦から「メキシコとの国境に壁を作る」「不法移民を追い出す」等、過激な言動が話題を呼んだが、どうやら正式に大統領に就任しても基本理念は変えるつもりはないらしい。サイバー攻撃をしていた国をロシアと断定したものの、報復措置をとるよりも米露の親密な関係作りに腐心していることからも、米露が今後、世界の中心になることは間違いないだろう。
その一方で、経済問題についていえば、内外の各企業に”脅し”ともとれる発言を連発。多くの企業が拠点を米国内に戻すことを表明した。南シナ海で軍事基地を作るなどやりたい放題の中国を敵視し、緊迫したムードが早くも漂っている。
トランプ政権で、アメリカ、ロシア、中国はどうなるのか。そして日本はどうなるか――。この1冊で、「トランプ後の世界の読み方」のすべてがわかる。
【編集担当からのおすすめ情報】
著者の馬渕睦夫氏は元駐ウクライナ大使を務め、外務省退官後は防衛大学校の教授を務めるなど、こちらが想像もしない知見を教えてくれます。何となくヒラリー氏のほうがまだまし、という風潮が蔓延していた選挙戦の最中から「ヒラリーが大統領になったら第三次世界大戦が起きる」と説得力あるエビデンスで看破していました。インテリジェンスの最前線にいた著者の驚くべき分析力には舌を巻くばかりです。
2017年1月20日に米国第45代大統領に就任したドナルド・トランプ氏は何から何まで異例づくしだ。
選挙戦から「メキシコとの国境に壁を作る」「不法移民を追い出す」等、過激な言動が話題を呼んだが、どうやら正式に大統領に就任しても基本理念は変えるつもりはないらしい。サイバー攻撃をしていた国をロシアと断定したものの、報復措置をとるよりも米露の親密な関係作りに腐心していることからも、米露が今後、世界の中心になることは間違いないだろう。
その一方で、経済問題についていえば、内外の各企業に”脅し”ともとれる発言を連発。多くの企業が拠点を米国内に戻すことを表明した。南シナ海で軍事基地を作るなどやりたい放題の中国を敵視し、緊迫したムードが早くも漂っている。
トランプ政権で、アメリカ、ロシア、中国はどうなるのか。そして日本はどうなるか――。この1冊で、「トランプ後の世界の読み方」のすべてがわかる。
【編集担当からのおすすめ情報】
著者の馬渕睦夫氏は元駐ウクライナ大使を務め、外務省退官後は防衛大学校の教授を務めるなど、こちらが想像もしない知見を教えてくれます。何となくヒラリー氏のほうがまだまし、という風潮が蔓延していた選挙戦の最中から「ヒラリーが大統領になったら第三次世界大戦が起きる」と説得力あるエビデンスで看破していました。インテリジェンスの最前線にいた著者の驚くべき分析力には舌を巻くばかりです。
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2017/2/15
- 寸法11 x 1.3 x 17.4 cm
- ISBN-104098252910
- ISBN-13978-4098252916
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 小学館 (2017/2/15)
- 発売日 : 2017/2/15
- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 4098252910
- ISBN-13 : 978-4098252916
- 寸法 : 11 x 1.3 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 443,181位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 317位小学館新書
- - 65,176位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年3月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年2月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
具体的な事案に対する情報分析力に優れている部分と、陰謀
論に根差した部分が混在していますので、読むには注意が必
要です。
本書の中心を占めるトランプ政権の方向性に関する記述には、
全くもって異議はありませんでした。
通貨発行権を巡る大統領暗殺史を含めて、分析能力を感じさ
せます。
一方の謀略論というのは、国際金融資本の暗躍に基づいて歴
史を語ることにあります。
ネオコンが、元トロキストというのは有名な話ですが、だか
らと言って、中共を支援するために、国民党と日本軍を戦わ
せたとか、朝鮮戦争もベトナム戦争もソ連との出来レースだ
ったなどには、とても付いて行けません。
米国が一人勝ちしては困るので、自国を弱体化させるために
ベトナム戦争を起こしたそうです。
彼らは共産主義者としてではなく、資本主義者としてワン・
ワールドを目指したはずでしょうに。
中東の諸々の紛争も、所々に空白地帯を作り、混乱に付け込
む為だそうです。
全くもって、変なグローバリズムです。
そうは言っても、その分析力には目を見張ります。
ウクライナ情勢、ISへの支援、トルコクーデター未遂、中国
の共産党支配、朝鮮半島情勢、TPP批判、日露安保条約を結
び北方領土へのロシア軍の駐留容認、などが印象的でした。
はたまた、トランプ政権のアメリカファーストに抗する日本
ファーストの事例として挙げられているのが、先ずは国民が
靖国神社に参拝すること、と言うのには、違和感を感じまし
た。
このように、上がったり下がったりと評価が激しく動きます。
そういう意味では、実に刺激的な読書体験でした。
論に根差した部分が混在していますので、読むには注意が必
要です。
本書の中心を占めるトランプ政権の方向性に関する記述には、
全くもって異議はありませんでした。
通貨発行権を巡る大統領暗殺史を含めて、分析能力を感じさ
せます。
一方の謀略論というのは、国際金融資本の暗躍に基づいて歴
史を語ることにあります。
ネオコンが、元トロキストというのは有名な話ですが、だか
らと言って、中共を支援するために、国民党と日本軍を戦わ
せたとか、朝鮮戦争もベトナム戦争もソ連との出来レースだ
ったなどには、とても付いて行けません。
米国が一人勝ちしては困るので、自国を弱体化させるために
ベトナム戦争を起こしたそうです。
彼らは共産主義者としてではなく、資本主義者としてワン・
ワールドを目指したはずでしょうに。
中東の諸々の紛争も、所々に空白地帯を作り、混乱に付け込
む為だそうです。
全くもって、変なグローバリズムです。
そうは言っても、その分析力には目を見張ります。
ウクライナ情勢、ISへの支援、トルコクーデター未遂、中国
の共産党支配、朝鮮半島情勢、TPP批判、日露安保条約を結
び北方領土へのロシア軍の駐留容認、などが印象的でした。
はたまた、トランプ政権のアメリカファーストに抗する日本
ファーストの事例として挙げられているのが、先ずは国民が
靖国神社に参拝すること、と言うのには、違和感を感じまし
た。
このように、上がったり下がったりと評価が激しく動きます。
そういう意味では、実に刺激的な読書体験でした。
2018年6月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
馬淵さんの経験と人脈を背景にした話は説得力あり。
テレビなどで流れてる情報は表面上の薄っペレなものであることが良くわかる書。
むしろメデイアはどこへ我々を導こうとしてるか見えてくる。
テレビなどで流れてる情報は表面上の薄っペレなものであることが良くわかる書。
むしろメデイアはどこへ我々を導こうとしてるか見えてくる。
2017年2月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アメリカのメディアに限らず、日本のメディアもトランプ大統領に対しては批判一色だが、そんななかで、トランプを肯定的に評価しているのが本書である。著者は元駐ウクライナ大使の馬渕睦夫氏。保守派の論客のなかでも、注目株といっていい人物だ。
大統領選の期間中、米メディアは明らかにヒラリーに肩入れした偏向報道を繰り広げ、トランプに完敗した。著者は、選挙戦の最大の敗者はヒラリーではなくメディアであり、トランプの勝利はアメリカの一般大衆による「反グローバリズム革命」だったと言う。グローバリズムからナショナリズムへと世界の潮目が変わる象徴的な出来事が、イギリスのEU離脱であり、トランプ大統領誕生だったのだ。
トランプ大統領は、「国境に壁を築く」「不法移民を追い出す」「輸入品に高関税をかける」「海外に工場を建てさせない」など、エキセントリックな政策を打ち出し、就任直後から大統領令を乱発しているが、問題は、これらはすべてグローバリズムの否定であり、アメリカを支配してきた旧来のエスタブリッシュメント層(国際金融資本)の意志に反していることだ。メディアによる国民誘導に失敗した支配層は、次にどんな一手を仕掛けてくるのか。先進国のなかでアメリカほどしょっちゅう大統領が暗殺される国は他にないが、その暗殺史を遡れば、超えてはいけない一線が見えてくると著者は言う。いささか陰謀論めいてはいるが、その論にはそれなりに説得力はある。
トランプがどんな世界観をもち、何を理想としているのかを本書は明らかにしながら、それに日本はどう対応すべきかを指南する。日本は“ジャパン・ファースト”で行け、ということだ。
大統領選の期間中、米メディアは明らかにヒラリーに肩入れした偏向報道を繰り広げ、トランプに完敗した。著者は、選挙戦の最大の敗者はヒラリーではなくメディアであり、トランプの勝利はアメリカの一般大衆による「反グローバリズム革命」だったと言う。グローバリズムからナショナリズムへと世界の潮目が変わる象徴的な出来事が、イギリスのEU離脱であり、トランプ大統領誕生だったのだ。
トランプ大統領は、「国境に壁を築く」「不法移民を追い出す」「輸入品に高関税をかける」「海外に工場を建てさせない」など、エキセントリックな政策を打ち出し、就任直後から大統領令を乱発しているが、問題は、これらはすべてグローバリズムの否定であり、アメリカを支配してきた旧来のエスタブリッシュメント層(国際金融資本)の意志に反していることだ。メディアによる国民誘導に失敗した支配層は、次にどんな一手を仕掛けてくるのか。先進国のなかでアメリカほどしょっちゅう大統領が暗殺される国は他にないが、その暗殺史を遡れば、超えてはいけない一線が見えてくると著者は言う。いささか陰謀論めいてはいるが、その論にはそれなりに説得力はある。
トランプがどんな世界観をもち、何を理想としているのかを本書は明らかにしながら、それに日本はどう対応すべきかを指南する。日本は“ジャパン・ファースト”で行け、ということだ。
2018年2月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
興味があり一気に読破。アメリカ社会を動かす背景、組織がわかり、これをヒントに関連事項を勉強中。一読をお勧めします。
2017年3月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この著者の本は初めて読みましたが、危惧したほど陰謀論ゾッコンてワケでもないし、むしろ元外交官ならではの深い国際情勢分析みたいなものがふんだんに散りばめられていて、勉強になる、面白い、と思わされる箇所も多々あります。
ただ、この著者の他の本のレビューにも鋭い指摘があったようですが、この方は経済の話題になるとおかしな所が出てきます。TPPを批判するくだりで、2015年の輸出総額がGDPに占める割合は15%に過ぎない、日本は内需主導型の経済構造であり、輸出主導の経済成長の時代はとっくに終わっている、と書かれているのですが、確かに近年の輸出のGDPにおける割合は15~17%のようです。ただ、その場合の「輸出」には最終完成品しかカウントされていないそうです。例えば、自動車を作るのに何万点もの部品が必要で、それらを作る会社が日本国内に何千社もあるのですが、それらの会社の生産は全て内需にカウントされるのです。TOYOTAなどの日本車の輸出台数が激減したら、その部品を作る中小企業もたいへんな影響を受けて内需も壊滅的な被害を被り、倒産・失業の嵐が吹き荒れ、輸出の何倍もの内需が吹き飛びます。
さらには日本の輸出産業は、自動車・製造用機械装置・建機など大型の工業製品が主力だから、完成に至るまでに多くの企業の「部品・素材・塗料・化学薬品など」が必要とされるワケで、それらをあっちに運んだりこっちに運んだりする物流業にも大きな影響を与えます。
最終的な15~17%を構成するうえで山ほどの国内生産や雇用が生まれているのであって、貿易(輸出産業)は日本の命綱とも言えるそうです。
外務官僚の多く、ひいては官僚の多くがこういう経済認識なのかどうか分かりませんが、ちょっと考えたり専門家に聞くだけでも分かりそうなことなのに、経済は専門外ということで経済を大雑把に捉えすぎていると思います。国際政治の情勢分析では鋭い情報を多々広めておられると思うので、あとは経済分析をもう少し補完して、全体のバランスを良くした方がいいんじゃないでしょうか?
↑ 大コケしました(汗)
生産面のGDPは付加価値の総和だから、最終生産物の価格だけでGDPを計算して、合ってるんですね。個々の生産の総和がGDPかと勘違いしてたと思います。私の方が根本的に認識ズレてました…アホです…
ネットで上のような解説を目にして、納得した気になって、それをほとんどそのまま転載してしまいました。解説した人が間違ってたのか、その人はまた別のことを言おうとしてたのか…
ただ強いて言うなら、輸出は為替のちょっとした変動だけでも数兆円規模の変動が出てしまう、輸出企業が儲かればその会社の今後の投資や従業員の給与にも影響が出るので波及効果は大きい、など、輸出企業の経済への影響は必ずしも小さくない、とのことです。輸出企業が倒れることによって、下請け企業の倒産のリスクや雇用のリスクがある、というところは間違いではないでしょうね。
しかし輸出産業と関係ない、どの分野に、85%ものGDPを埋める経済力があるんだろう…と逆に気になってしまいました。また自分なりに調べたり考えてみたいと思います…
ただ、この著者の他の本のレビューにも鋭い指摘があったようですが、この方は経済の話題になるとおかしな所が出てきます。TPPを批判するくだりで、2015年の輸出総額がGDPに占める割合は15%に過ぎない、日本は内需主導型の経済構造であり、輸出主導の経済成長の時代はとっくに終わっている、と書かれているのですが、確かに近年の輸出のGDPにおける割合は15~17%のようです。ただ、その場合の「輸出」には最終完成品しかカウントされていないそうです。例えば、自動車を作るのに何万点もの部品が必要で、それらを作る会社が日本国内に何千社もあるのですが、それらの会社の生産は全て内需にカウントされるのです。TOYOTAなどの日本車の輸出台数が激減したら、その部品を作る中小企業もたいへんな影響を受けて内需も壊滅的な被害を被り、倒産・失業の嵐が吹き荒れ、輸出の何倍もの内需が吹き飛びます。
さらには日本の輸出産業は、自動車・製造用機械装置・建機など大型の工業製品が主力だから、完成に至るまでに多くの企業の「部品・素材・塗料・化学薬品など」が必要とされるワケで、それらをあっちに運んだりこっちに運んだりする物流業にも大きな影響を与えます。
最終的な15~17%を構成するうえで山ほどの国内生産や雇用が生まれているのであって、貿易(輸出産業)は日本の命綱とも言えるそうです。
外務官僚の多く、ひいては官僚の多くがこういう経済認識なのかどうか分かりませんが、ちょっと考えたり専門家に聞くだけでも分かりそうなことなのに、経済は専門外ということで経済を大雑把に捉えすぎていると思います。国際政治の情勢分析では鋭い情報を多々広めておられると思うので、あとは経済分析をもう少し補完して、全体のバランスを良くした方がいいんじゃないでしょうか?
↑ 大コケしました(汗)
生産面のGDPは付加価値の総和だから、最終生産物の価格だけでGDPを計算して、合ってるんですね。個々の生産の総和がGDPかと勘違いしてたと思います。私の方が根本的に認識ズレてました…アホです…
ネットで上のような解説を目にして、納得した気になって、それをほとんどそのまま転載してしまいました。解説した人が間違ってたのか、その人はまた別のことを言おうとしてたのか…
ただ強いて言うなら、輸出は為替のちょっとした変動だけでも数兆円規模の変動が出てしまう、輸出企業が儲かればその会社の今後の投資や従業員の給与にも影響が出るので波及効果は大きい、など、輸出企業の経済への影響は必ずしも小さくない、とのことです。輸出企業が倒れることによって、下請け企業の倒産のリスクや雇用のリスクがある、というところは間違いではないでしょうね。
しかし輸出産業と関係ない、どの分野に、85%ものGDPを埋める経済力があるんだろう…と逆に気になってしまいました。また自分なりに調べたり考えてみたいと思います…