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Duneに取り憑かれて40年。
アトレイデス家とハルコネン家の確執が描かれるこの第一部は背後にあるコリノ家やスペースギルド、ヴェネゲセリットの暗躍による権力闘争という面白さだけでは無い。アラキスという惑星自体が主人公と言っても過言でない。砂漠の民であるフレメンの独特なカルト的生活が興味深い。
60年代当時のニューウェーブSFからは少し距離を置いているようで、表現形式は少し古臭い修辞法を使っている。酒井昭伸氏の新訳はそれを踏まえた上で新たな読者にもわかり易く出来ている。
ポールやアリアの幻視の表現は様々なファンタジー映画が作られているのである程度想像できるが、時間と空間が飛び交う瞬間に重要な伏線が隠してあったりして混乱する。そのような解りにくさも魅力の一つだと思う。
難しい熟語や単語などの意味や読み方が瞬時にわかるKindleはこのような作品には欠かせないアイテムと言える。
兎に角古典的名著と言っても過言では無いDuneSagaの新訳を全て読みたい。
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デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (下) (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 2016/1/22
フランク ハーバート
(著),
酒井 昭伸
(翻訳)
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そして復讐のときがきた。フレメンの一員と認められたポールは、その超常能力から、預言者ムアッディブとしてフレメンの全軍勢を統率する立場になっていた。ハルコンネン家の圧政とポール指揮下のフレメンの反撃に、惑星アラキスは揺れる。状況を危惧した皇帝とハルコンネン男爵は、軍団を引き連れ、ふたたび惑星へと降り立つが……。映画化・ドラマ化され、生態学SFの先駆けとしても知られる伝説的傑作。解説/水鏡子
- 本の長さ396ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2016/1/22
- 寸法10.9 x 1.7 x 15.8 cm
- ISBN-10415012051X
- ISBN-13978-4150120511
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内容紹介 | アトレイデス公爵は皇帝の命を受け、惑星アラキスに移封されることになる。過酷な砂漠の惑星アラキスは、抗老化作用を持つ香料メランジの唯一の産地である。宿敵ハルコンネン家に代わりそこを支配することは、表面的には公爵家に大きな名誉と富を約束する。皇帝やハルコンネン男爵の罠だと知りつつ、公爵は息子ポールの未来のため惑星アラキスに乗り込むが……ヒューゴー・ネビュラ両賞受賞の壮大な未来叙事詩を新訳で! | ハルコンネン男爵の策謀により、アトレイデス公爵は不慮の死をとげ、再度アラキスは男爵の手に落ちてしまう。公爵の世継ぎポールは、巨大な砂蟲が跋扈する危険な砂漠へ母ジェシカとともに逃れ、砂漠の民フレメンの中に身を隠すことになる。しかしこの過酷な環境と香料メランジの大量摂取が、時間と空間を果てしなく見通す超常能力をポールにもたらした。彼はフレメンの伝説の救世主、ムアッディブとして歩みだすことに! | そして復讐のときがきた。フレメンの一員と認められたポールは、その超常能力から、預言者ムアッディブとしてフレメンの全軍勢を統率する立場になっていた。ハルコンネン家の圧政とポール指揮下のフレメンの反撃に、惑星アラキスは揺れる。状況を危惧した皇帝とハルコンネン男爵は、軍団を引き連れ、ふたたび惑星へと降り立つが……。映画化・ドラマ化され、生態学SFの先駆けとしても知られる伝説的傑作。解説/水鏡子 | ポール・アトレイデスが、惑星アラキスで帝国の権力を奪いとり、帝座について12年。彼を救世主と妄信する砂漠の民フレメンは聖戦を敢行、人類をひとつにした。だがいま、ベネ・ゲセリット結社、航宙ギルド、そしてベネ・トレイラクスの踊面術士(フェイスダンサー)ら旧勢力は、糾合して皇帝への陰謀を企み、ひそかに策略の手を伸ばしていた! ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督により映画化された伝説的傑作『デューン 砂の惑星』続篇の新訳 | ポールは、その予知能力をもってしても陰謀者の策謀を止めることができないでいた。彼に忠誠を誓っているはずのフレメン内部の裏切り、名義上の皇妃イルーランの暗躍に、死から蘇ったダンカン・アイダホの偶人(ゴウラ)を用いた計略――そんななか、ポールの愛妃チェイニーが帝座を継ぐ子を懐妊する。だが月が墜ちる幻視に苦悩するポールは、過酷な選択を迫られることに……。壮大な未来叙事詩、悲劇の第二部。解説/堺三保 |
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内容紹介 | 皇帝ポール・アトレイデスが砂漠の中へと歩き去り、10年が過ぎた。惑星アラキスは緑のオアシスが散在する別天地になりつつある。だが、この緑化は帝国を破滅に導く陥穽だった! そんななか、宿敵コリノ家はポールの双子の遺児レトとガニーマを暗殺し、帝国の覇権を取りもどさんとする。砂の惑星は恐るべき危機を迎えていた――ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督により映画化された『デューン 砂の惑星』。その傑作未来史第三部の新訳版! | 帝国の未来たる双子レトとガニーマに対する企みは、アトレイデス家内部にもあった。仇敵ハルコンネン男爵の悪霊にとりつかれ、忌み子と化した双子の摂政アリア。ベネ・ゲセリットに加担したかのようにも見える祖母ジェシカの謎の行動……。みずから死を偽装し、砂漠へひとり旅立ったレトは、メランジによる幻視のなか、全人類を救済する〈黄金の道〉を見出すが! 権謀術数渦巻く伝説の未来史シリーズ第三部。解説/堺三保 |
登録情報
- 出版社 : 早川書房; 新訳版 (2016/1/22)
- 発売日 : 2016/1/22
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 396ページ
- ISBN-10 : 415012051X
- ISBN-13 : 978-4150120511
- 寸法 : 10.9 x 1.7 x 15.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 20,931位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 49位ハヤカワ文庫 SF
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2022年7月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
初めて本書を読んだのは小学6年生頃、思えば約30年ほど前の事。父親の書棚から拝借して、子供ながら夢中になって読んだ記憶がある。
確か初版で、表紙と挿し絵が石ノ森章太郎氏だった記憶がある。
第一部の砂の惑星も面白かったのだが、次の砂漠の救世主、砂漠の子供たち、砂漠の神皇帝などの方が面白く読めた記憶がある。
是非次のシリーズも電子書籍化してほしいのだが。
無理なら原書を辞書片手に読むしかないのか。
確か初版で、表紙と挿し絵が石ノ森章太郎氏だった記憶がある。
第一部の砂の惑星も面白かったのだが、次の砂漠の救世主、砂漠の子供たち、砂漠の神皇帝などの方が面白く読めた記憶がある。
是非次のシリーズも電子書籍化してほしいのだが。
無理なら原書を辞書片手に読むしかないのか。
2023年3月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
砂の惑星は、未来なのか過去なのか分からず難しい。
2022年7月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
以下は皇帝の前に姿を現したアリアと皇帝の会話抜粋です。アリアは主人公ポールの妹、アラキスで
生まれました。この場面では皇帝がアリアにポールとテレパシー交信し、降伏を勧告するよう求めて
います。この自然な翻訳を見て下さい。
皇帝 「子供よーそなたは兄と交信することができるか?」
アリア「にいさまなら知っているわ、わたしがここにいることは」
皇帝 「降伏せよと伝えられるか? そなたの命と引き換えに?」
アリアはにっこりと、このうえなく無邪気な笑みを浮かべてみせた。
アリア「するもんですか、そんなこと」
アリアの発言の訳の素晴らしさがお分かりでしょうか? 小さな女の子でありながら、特異な能力を
持ち強大な敵である皇帝の前でも動じること無く思いを言い放つ。この後皇帝からこう言われます。
皇帝 「この娘の死体を嵐にさらせ!」
皇帝がしゃべっているあいだに、アリアは怯えたふりをしてあとずさりつつ、叫んだ。
アリア「嵐でなにもかも持ってかれちゃえ!」
いやはや脱帽です。こんな自然な翻訳には中々出会えません。ポールと皇帝が対決するまでの物語
は圧倒的な盛り上がり。読んでいてドキドキしました。でも最後は少し呆気なく終わってしまいます。
なお下巻には帝国の惑星学者でありながら、惑星アラキスの気候環境改革に向けて研究を行った
パードット・カインズの物語が置かれています。これが結構面白かったです。
砂の惑星には続編がありますが、これも新訳で是非読ませて頂きたいですね。勿論Kindle版で。
生まれました。この場面では皇帝がアリアにポールとテレパシー交信し、降伏を勧告するよう求めて
います。この自然な翻訳を見て下さい。
皇帝 「子供よーそなたは兄と交信することができるか?」
アリア「にいさまなら知っているわ、わたしがここにいることは」
皇帝 「降伏せよと伝えられるか? そなたの命と引き換えに?」
アリアはにっこりと、このうえなく無邪気な笑みを浮かべてみせた。
アリア「するもんですか、そんなこと」
アリアの発言の訳の素晴らしさがお分かりでしょうか? 小さな女の子でありながら、特異な能力を
持ち強大な敵である皇帝の前でも動じること無く思いを言い放つ。この後皇帝からこう言われます。
皇帝 「この娘の死体を嵐にさらせ!」
皇帝がしゃべっているあいだに、アリアは怯えたふりをしてあとずさりつつ、叫んだ。
アリア「嵐でなにもかも持ってかれちゃえ!」
いやはや脱帽です。こんな自然な翻訳には中々出会えません。ポールと皇帝が対決するまでの物語
は圧倒的な盛り上がり。読んでいてドキドキしました。でも最後は少し呆気なく終わってしまいます。
なお下巻には帝国の惑星学者でありながら、惑星アラキスの気候環境改革に向けて研究を行った
パードット・カインズの物語が置かれています。これが結構面白かったです。
砂の惑星には続編がありますが、これも新訳で是非読ませて頂きたいですね。勿論Kindle版で。
2017年3月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主人公ポール(ムアッディブ)が、バーディシャー皇帝やハルコンネンと対峙する場面が本書のハイライトとなります。しかし、それに至る直前の描写では、意外な人物が皇帝らの前に登場し、この展開は予想すらしていませんでした(詳細は述べません)。
全編通しての物語は、いわゆる貴種流離譚モノとなっており、話の流れもスタンダードなものですが、その背後にしっかりと存在する技術的(本作は生態学SFとも呼ばれる)な部分や宗教的なエッセンスは、話に重厚さをしっかり与えていると言えるでしょう。
ラストは意外にもあっさりとしたものですが、ここで述べられている事は実にゲスい(褒め言葉)内容となっています。まあ、本書は上・中巻も含めて、結構辛辣な事をさらっと述べていることが多く、複数回読んでみないとこのえげつなさは分からない作りとなっていますが、ラストはこれまでのエグさを超えていますね(笑)。この辺りは、ピアース・ブラウンの著作『レッド・ライジング』シリーズとは対極の作りであると感じます。
本編の後は附録として、デューンの生態学や本書に登場した用語の解説が辞典仕立てで書かれていますが、ここも文章量がしっかりとあり、読み応えがあります。特に附録IIIは、本書をある意味総括するような内容となっており、侮れません。
全編通しての物語は、いわゆる貴種流離譚モノとなっており、話の流れもスタンダードなものですが、その背後にしっかりと存在する技術的(本作は生態学SFとも呼ばれる)な部分や宗教的なエッセンスは、話に重厚さをしっかり与えていると言えるでしょう。
ラストは意外にもあっさりとしたものですが、ここで述べられている事は実にゲスい(褒め言葉)内容となっています。まあ、本書は上・中巻も含めて、結構辛辣な事をさらっと述べていることが多く、複数回読んでみないとこのえげつなさは分からない作りとなっていますが、ラストはこれまでのエグさを超えていますね(笑)。この辺りは、ピアース・ブラウンの著作『レッド・ライジング』シリーズとは対極の作りであると感じます。
本編の後は附録として、デューンの生態学や本書に登場した用語の解説が辞典仕立てで書かれていますが、ここも文章量がしっかりとあり、読み応えがあります。特に附録IIIは、本書をある意味総括するような内容となっており、侮れません。
2022年5月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中学生の時に読んだきりだったが、新しい翻訳になったのでもう一度買い直してみた。ベネ薬とVoiceがからくり声になっていてちょっと違和感があったわ、読みやすく文章もよくできている。爺が読んでも充分面白い。昔読んだことがある人はぜひもう一度読んでみてはいかが。
2021年10月15日に日本でレビュー済み
本書の特色は、巨大な星間帝国とそれに対抗する一つの惑星の住民の物語を、多くの登場人物の視点を通じて描いたということだろうか。ただし、その世界を構成している権力集団のエグサが半端ない。
初めて読んだ時から気になっていたことがあった。この物語はどこから生まれてきたのだろう。
それまでに馴染んでいた宇宙SFとはまったく違う。
初めて読んだ頃は読書経験も浅かったので、その疑問は小さいものだったが、時が過ぎるごとにその疑問は大きくなっていった。その後多くの作品と出会う中では様々のユニークな作品もあったが、本書ほどその特異性が気になる小説はなかった。
当時、ジャンプドア・シリーズも読んでみたが、本書とは全然違うし、まったく面白さを感じなかった。フランク・ハーバートはこの傑作をどこから思いついたのか?それがずっと心の奥に引っかかっていた。
本書の影響を受けた作品はいくらでも思い当たる。本書が後の作品に与えた影響はあまりにも大きい。では、本書に影響を与えたものは何だったのだろうか?
旧版の解説では、1962年に発表されたレイチェル・カールソンの『沈黙の春』との関連を指摘しているが、評者はこの両者の関係はエコロジーという概念だけではないかと思う。ストーリー上の影響はほとんど考えられない。
ウィキには、作者がオレゴン州の砂丘で行った調査が本書の執筆につながったと書かれているが、当時、雑誌記者をしていた作者の数々の経験、知識が本書の発想の基盤になったことは間違いない。
しかし、本書の物語、数々のアイデアはどこから生まれたのか?
今回20年ぶりに再読して思ったのは、本書の基本は古典的な成長譚+復讐譚であり、そこに銀河帝国と宗教、未来予知、超人進化、生態学のアイデアを加え、全体を過酷な環境で暮らす砂漠の遊牧民族のイメージで統一しているということ。
SFアイデアの原点を当時すでに有名だった小説に求めるなら、帝国の元になったのはアシモフの『ファウンデーション・シリーズ』ではないか。宇宙帝国でありながら異星人は存在せず、登場する知性体は人間のみ。様々な集団が入り乱れて銀河帝国の未来を争う。
ベネ・ゲセリットの原点はE・E・スミスの『レンズマン・シリーズ』かな。超人を生み出すために数千年にわたって人類進化をコントロールする。個人的にも体力、戦闘力、精神力ばかりか諜報能力まで備えている。
もちろん、この2作だけではないだろうし、シェイクスピアやギリシャ悲劇、ローマ帝国史、イスラム史などからの着想も多いだろう。SFの世界ではあまりなじみのなかった砂漠の遊牧民族に焦点をあてたことも独自色を発揮する上で大きかったと思う。
本書は、作者であるハーバートの独創性が際立っている。しかし、まったく無から生み出されたものではない。それまでのSFの歴史と発想の上に成り立っているものだということが少し見えてきた気がする。
以下、ネタバレ注意
各章の冒頭には、大王皇帝シャッダム4世の長女であり、後にポールの正妻となるイルーラン姫が後世に書いたムアッディブに関する評伝の抜粋が掲載されており、複雑な物語を読み進む上で大いに参考になったが、そのすべてが真実だと信頼することはできないのではないかと考え始めた。
一番の疑問は、大王皇帝シャッダム4世とその従弟であるレト公爵の関係。皇帝は公爵をどうしようと思っていたのだろうということ。姫の記録では皇帝は従弟である公爵に親近感を抱いていたようだが、物語中では皇帝は男爵と図って公爵を陥れている。個人としての感情と権力者としての対応は別ということなのだろうか。
ところで、評者は、初めて読んだ時から、最後の一文を読んでイルーラン姫がかわいそうでならなかった。文学的な才能を持ちながらその血筋ゆえに現世の幸せには恵まれない薄幸のプリンセス。
TVドラマ版のイルーラン姫を見て、そのキャラクターに納得したのは、その印象を覆す力があったからだろう。
また、ハルコンネン男爵家にはギエデ・プライムとアラキスのふたつの星の統治が許されるにもかかわらず、アトレイデス公爵家はひとつの星の領土しか認められず、カラダンからアラキスに移封されたのは何故なのだろうか?
ハルコンネン家が甥のグロス・ラッバーン伯爵をうまく使ったということであれば、アトレイデス家には味方がいなかったのだろうか。皇帝とフェンリング伯爵は二人共レト公爵の従兄にあたるのだろうに。それとも、それゆえになのか?
本書は、生態学SFと呼ばれていることから、なんとなく環境保護思想がベースになっていると思い込んでいたのだが、生態学者であるリエトの目標は生活環境を広げるために惑星環境を改造することだった・・・この間違った思い込みに今回初めて気がついた・・・
初めて読んだ時から気になっていたことがあった。この物語はどこから生まれてきたのだろう。
それまでに馴染んでいた宇宙SFとはまったく違う。
初めて読んだ頃は読書経験も浅かったので、その疑問は小さいものだったが、時が過ぎるごとにその疑問は大きくなっていった。その後多くの作品と出会う中では様々のユニークな作品もあったが、本書ほどその特異性が気になる小説はなかった。
当時、ジャンプドア・シリーズも読んでみたが、本書とは全然違うし、まったく面白さを感じなかった。フランク・ハーバートはこの傑作をどこから思いついたのか?それがずっと心の奥に引っかかっていた。
本書の影響を受けた作品はいくらでも思い当たる。本書が後の作品に与えた影響はあまりにも大きい。では、本書に影響を与えたものは何だったのだろうか?
旧版の解説では、1962年に発表されたレイチェル・カールソンの『沈黙の春』との関連を指摘しているが、評者はこの両者の関係はエコロジーという概念だけではないかと思う。ストーリー上の影響はほとんど考えられない。
ウィキには、作者がオレゴン州の砂丘で行った調査が本書の執筆につながったと書かれているが、当時、雑誌記者をしていた作者の数々の経験、知識が本書の発想の基盤になったことは間違いない。
しかし、本書の物語、数々のアイデアはどこから生まれたのか?
今回20年ぶりに再読して思ったのは、本書の基本は古典的な成長譚+復讐譚であり、そこに銀河帝国と宗教、未来予知、超人進化、生態学のアイデアを加え、全体を過酷な環境で暮らす砂漠の遊牧民族のイメージで統一しているということ。
SFアイデアの原点を当時すでに有名だった小説に求めるなら、帝国の元になったのはアシモフの『ファウンデーション・シリーズ』ではないか。宇宙帝国でありながら異星人は存在せず、登場する知性体は人間のみ。様々な集団が入り乱れて銀河帝国の未来を争う。
ベネ・ゲセリットの原点はE・E・スミスの『レンズマン・シリーズ』かな。超人を生み出すために数千年にわたって人類進化をコントロールする。個人的にも体力、戦闘力、精神力ばかりか諜報能力まで備えている。
もちろん、この2作だけではないだろうし、シェイクスピアやギリシャ悲劇、ローマ帝国史、イスラム史などからの着想も多いだろう。SFの世界ではあまりなじみのなかった砂漠の遊牧民族に焦点をあてたことも独自色を発揮する上で大きかったと思う。
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以下、ネタバレ注意
各章の冒頭には、大王皇帝シャッダム4世の長女であり、後にポールの正妻となるイルーラン姫が後世に書いたムアッディブに関する評伝の抜粋が掲載されており、複雑な物語を読み進む上で大いに参考になったが、そのすべてが真実だと信頼することはできないのではないかと考え始めた。
一番の疑問は、大王皇帝シャッダム4世とその従弟であるレト公爵の関係。皇帝は公爵をどうしようと思っていたのだろうということ。姫の記録では皇帝は従弟である公爵に親近感を抱いていたようだが、物語中では皇帝は男爵と図って公爵を陥れている。個人としての感情と権力者としての対応は別ということなのだろうか。
ところで、評者は、初めて読んだ時から、最後の一文を読んでイルーラン姫がかわいそうでならなかった。文学的な才能を持ちながらその血筋ゆえに現世の幸せには恵まれない薄幸のプリンセス。
TVドラマ版のイルーラン姫を見て、そのキャラクターに納得したのは、その印象を覆す力があったからだろう。
また、ハルコンネン男爵家にはギエデ・プライムとアラキスのふたつの星の統治が許されるにもかかわらず、アトレイデス公爵家はひとつの星の領土しか認められず、カラダンからアラキスに移封されたのは何故なのだろうか?
ハルコンネン家が甥のグロス・ラッバーン伯爵をうまく使ったということであれば、アトレイデス家には味方がいなかったのだろうか。皇帝とフェンリング伯爵は二人共レト公爵の従兄にあたるのだろうに。それとも、それゆえになのか?
本書は、生態学SFと呼ばれていることから、なんとなく環境保護思想がベースになっていると思い込んでいたのだが、生態学者であるリエトの目標は生活環境を広げるために惑星環境を改造することだった・・・この間違った思い込みに今回初めて気がついた・・・
2022年9月1日に日本でレビュー済み
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古典的な作品なので一度読んでみたかったです。続きがあるのでしょうが、今電子書籍で読めるのはこの上中下巻だけなので、読み終わった感想としては「え、これで終わり?」という感じでした。竹宮惠子さんの『ファラオの墓』はこの作品からインスパイアされてるんだろうなあと思いました。