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流れ着いた「POPULAR MUSIC」の彼岸。高橋徹也9thニュー・アルバム完成。デビュー20周年を目前に控えたシンガー・ソングライター高橋徹也が、夏の終わりを彩るニュー・アルバムをリリース。ジャズ、クロスオーヴァー、フュージョン、AOR、シティ・ポップ、ニュー・ソウルなど、高橋徹也の原点とも言えるサウンドのエッセンスと、映画的な歌詞の世界観が見事に昇華した作品に仕上がった。これは偶然にも高橋徹也がファースト・アルバムで提示した「POPULAR MUSIC」というキーワードへの回答であり、新たなサイクルの始まりを告げるプロローグでもある。参加メンバーにはライブ・サポートでもお馴染みの鹿島達也(b)、脇山広介(dr)、佐藤友亮(p)という最良の三人を加え、ペダル・スティール・ギター奏者、宮下広輔(PHONO TONES)が初のゲスト参加。その伸びやかな音色とフレーズでこれまでの高橋作品になかった新しい景色を添えている。そしてデビュー以来ほぼ全ての作品を手掛けて来たデザイナー木村豊(Central67)、カメラマン浅川英郎によるアートワークも特筆すべき素晴らしさ。
存在しないはずの夏『The Endless Summer』に寄せて text by 高橋徹也 元々このアルバムは存在しないはずの作品だった。なぜならば実際にレコーディングに入る直前までシングル『The Orchestra』として制作がスタートする予定だったからだ。その時点ではまだ自分の頭の中に『The Endless Summer』というフレーズも、アルバムとしての構想もなく、まさかこれが夏をモチーフにした作品に発展しようとは夢にも思っていなかった。 そんな折、共同プロデュースを担うベーシスト鹿島達也から、ファースト・アルバムに収録されている『バタフライ・ナイト』を、現在のメンバーで録音してみてはどうか、という思いがけない提案を受けた。この曲は自分にとって記念碑のような存在であり、今も重要なレパートリーとしてライブで歌い続けている。奇しくも来年はデビュー20周年という節目の年。バンドのコンディション、タイミング、あらゆる巡り合わせに導かれてこの計画は実現することとなった。そしてこの瞬間を境に自分の中で『The Endless Summer』という物語が生まれ、急速に動き出して行ったのである。 一年で最も好きな季節は?ときかれたら、春夏秋冬のどれでもなく「夏の終わり」だと答える。ただそれが暦の上での話かと言われるとそうではなく、そもそもそんな季節など存在しない。では「夏の終わり」が意味するものとは一体何なのか。それは「喪失感」である。 子供の頃、日曜日の夜になると週末の楽しかった時間が終わってしまう気がして切ない気持ちになった。夏休みが終わる頃にもそれを感じたし、大人へと成長して行く過程で経験する友人や恋人との別れの時にもやはり同じものを感じてきた。昨日までそこにあったものが今はもうない。それが何だったのかもわからない。ただ確かにそれはそこに存在した、という感覚。それは言ってみれば過ぎ去っていくものへの郷愁であり、同時に新しい航海への予感でもある。そんな過去と未来の境界線上で、一瞬の火花のように輝きを放つのが、ここで「夏の終わり」と呼ぶもの、そして今回のアルバム・タイトル『The Endless Summer』ではないかと思っている。 ここに収められた6曲は、互いの刻む時間軸を超えて、引き寄せられるようにして集まった、存在することのない景色の断片である。アルバムを聴き終えた時、長い旅の果てに垣間見たそれぞれの朝日を、見失った夜明けの続きを、一人一人が抱く内なるフレームの中に描いて欲しい。そう願ってやまない。