自殺防止という問題を現実の問題として、具体的に取り組んでいる。
ただただ頭が下がります。一度じっくりお話を聞いてみたいと思いました。

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あなたを自殺させない: 命の相談所「蜘蛛の糸」佐藤久男の闘い 単行本 – 2014/10/31
中村 智志
(著)
地域を支えてきた中小企業の経営者たちが、なぜ次々と死ななければならないのか!? 事業で失敗し追い詰められてみずから死を選んでしまう人たちを救おうと、二〇〇二年、自殺率ワースト一位の秋田でNPO法人「蜘蛛の糸」を立ち上げた佐藤久男。佐藤は、民・学・官の連携によって実際に自殺者を大幅に減らしていった。秋田で、被災地で、日本各地で、佐藤は何を考え、何をしてきたのか。その難業の軌跡を追う。
- 本の長さ302ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2014/10/31
- ISBN-104103067020
- ISBN-13978-4103067023
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2014/10/31)
- 発売日 : 2014/10/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 302ページ
- ISBN-10 : 4103067020
- ISBN-13 : 978-4103067023
- Amazon 売れ筋ランキング: - 914,626位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年1月20日に日本でレビュー済み
著者の佐藤文男の住む秋田県は、自殺率が日本最悪である。
自殺のすべてを「うつ」で片づけるのは、少し乱暴かもしれない。
だが、「冬季うつ」という言葉もあるように、
北国や雪国は自殺者が多い。
しかし秋田県が多いのは、逼迫する経済情勢で
経営者の自殺が多くなったことと無縁ではない。
佐藤は、自らも苦しんだ。そして死のうと思ったこともあった。
その経験を活かし、「救済」のためのNPO法人をつくる。
相談者へのあたたかい接し方なども書かれているノンフィクションだが、
ときに涙ぐむこともある。
死にたいほど悩んでいる人に最も必要なのは「相談相手」なのだ。
自殺者が増えたのは、決して「経済の悪化」だけではない。
悪い疫病が流行ったわけでもないのに
10年間で自殺者が倍以上になったのは、
「クスリ」の影響もある。医療サイドの「うつ」への接し方の問題もある。
しかし日本経済がどん底だったときは、
経営不振が続き、うつに近い状態になった人も多いはずだ。
ならば悩んでいる人の相談相手になろう……
佐藤のあたたかいまなざしが見える表紙も印象的だ。
自殺のすべてを「うつ」で片づけるのは、少し乱暴かもしれない。
だが、「冬季うつ」という言葉もあるように、
北国や雪国は自殺者が多い。
しかし秋田県が多いのは、逼迫する経済情勢で
経営者の自殺が多くなったことと無縁ではない。
佐藤は、自らも苦しんだ。そして死のうと思ったこともあった。
その経験を活かし、「救済」のためのNPO法人をつくる。
相談者へのあたたかい接し方なども書かれているノンフィクションだが、
ときに涙ぐむこともある。
死にたいほど悩んでいる人に最も必要なのは「相談相手」なのだ。
自殺者が増えたのは、決して「経済の悪化」だけではない。
悪い疫病が流行ったわけでもないのに
10年間で自殺者が倍以上になったのは、
「クスリ」の影響もある。医療サイドの「うつ」への接し方の問題もある。
しかし日本経済がどん底だったときは、
経営不振が続き、うつに近い状態になった人も多いはずだ。
ならば悩んでいる人の相談相手になろう……
佐藤のあたたかいまなざしが見える表紙も印象的だ。
2014年12月7日に日本でレビュー済み
「あなたを自殺させない 命の相談所『蜘蛛の糸』佐藤久男の闘い」というタイトルは、本書の内容をよくあらわしていると思います。
佐藤久男氏は、秋田県で自ら会社を経営し、立派に成長させていた人でしたが、不況の影響もあって倒産してしまったという過去を持っています。その後、精神的にも経済的にもどん底の状況から這いあがり、生来の明るい人柄を取り戻して、他の経営者などの相談に乗ること(NPO法人「蜘蛛の糸」を立ち上げて相談活動を行ってきた)で多くの人の自殺を防いできた人です。
私は、ニュース番組で、佐藤氏の活動を見聞きしたことがあったのですが、本書を読んで、その活動内容や、氏の人となりがよくわかりました。
(a) 本書は、佐藤氏の自殺予防の活動内容を丁寧に伝えています。苦境に立っている、自殺が懸念される経営者への相談ということですが、私は正直、「金を貸すわけでもなく、融資先や販売先の開拓支援をするわけでもない相談活動にどれだけ効果があるのか」と思いながら読み進めましたが、佐藤氏の相手の心に寄り添った、ていねいで粘り強い、そしてユーモアにあふれた相談に驚嘆しながら読ませていただきました。
そして、人は金や物質の支援はなくとも、精神面のサポートでどれだけ救われるかがわかりました。
(b) また、本書では、佐藤氏の人生もていねいにたどっています。とりわけ、苦境に陥っていた時期に氏が心の支えにした「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うること勿れ。只だ一燈を頼め」という言葉はとても印象に残り、私自身とても救われました。
(c) さらには、佐藤氏が支援にかけつけ、取組を続けている、東日本大震災の被災者支援に関する記述も、かなりのページ数が割かれています。
本書は、佐藤氏を中心に描きながらも、他の登場人物も丁寧に取材しています。「あとがき」に記載されているように、当初複数の人物を描いたオムニバス形式の本にしようとしていたこともあるのかもしれませんが、何人もの人物の人生が重層的に描かれ、内容の濃い、読み応えのある本となっています。
本書は、(a) 自殺予防の取り組みについての知識が深まり、(b) 佐藤氏の人となりに魅せられ、(c) さまざまな人の人生を追体験する、とても盛りだくさんな内容の濃い本です。
お薦めできる良書と思います。
佐藤久男氏は、秋田県で自ら会社を経営し、立派に成長させていた人でしたが、不況の影響もあって倒産してしまったという過去を持っています。その後、精神的にも経済的にもどん底の状況から這いあがり、生来の明るい人柄を取り戻して、他の経営者などの相談に乗ること(NPO法人「蜘蛛の糸」を立ち上げて相談活動を行ってきた)で多くの人の自殺を防いできた人です。
私は、ニュース番組で、佐藤氏の活動を見聞きしたことがあったのですが、本書を読んで、その活動内容や、氏の人となりがよくわかりました。
(a) 本書は、佐藤氏の自殺予防の活動内容を丁寧に伝えています。苦境に立っている、自殺が懸念される経営者への相談ということですが、私は正直、「金を貸すわけでもなく、融資先や販売先の開拓支援をするわけでもない相談活動にどれだけ効果があるのか」と思いながら読み進めましたが、佐藤氏の相手の心に寄り添った、ていねいで粘り強い、そしてユーモアにあふれた相談に驚嘆しながら読ませていただきました。
そして、人は金や物質の支援はなくとも、精神面のサポートでどれだけ救われるかがわかりました。
(b) また、本書では、佐藤氏の人生もていねいにたどっています。とりわけ、苦境に陥っていた時期に氏が心の支えにした「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うること勿れ。只だ一燈を頼め」という言葉はとても印象に残り、私自身とても救われました。
(c) さらには、佐藤氏が支援にかけつけ、取組を続けている、東日本大震災の被災者支援に関する記述も、かなりのページ数が割かれています。
本書は、佐藤氏を中心に描きながらも、他の登場人物も丁寧に取材しています。「あとがき」に記載されているように、当初複数の人物を描いたオムニバス形式の本にしようとしていたこともあるのかもしれませんが、何人もの人物の人生が重層的に描かれ、内容の濃い、読み応えのある本となっています。
本書は、(a) 自殺予防の取り組みについての知識が深まり、(b) 佐藤氏の人となりに魅せられ、(c) さまざまな人の人生を追体験する、とても盛りだくさんな内容の濃い本です。
お薦めできる良書と思います。
2017年8月29日に日本でレビュー済み
佐藤久男氏の経歴を追うと、おかしな点がある。
秋田で介護関連の会社を立ち上げ、好調なまま譲っている。秋田で介護関連の会社が順調にいかない訳がない。
つまり計画倒産の可能性がある。
そして、佐藤久男氏は今、湯沢町を騒がせた西〇訓子という詐欺師と組んで東京界隈に出没しているという目撃情報がある。
皇室財産を管理している大富豪と自己紹介をしている。
これが何を示すのか、彼が何をしようとしているのかは知らないが気を付けて欲しい。
本自体は面白かった。
秋田で介護関連の会社を立ち上げ、好調なまま譲っている。秋田で介護関連の会社が順調にいかない訳がない。
つまり計画倒産の可能性がある。
そして、佐藤久男氏は今、湯沢町を騒がせた西〇訓子という詐欺師と組んで東京界隈に出没しているという目撃情報がある。
皇室財産を管理している大富豪と自己紹介をしている。
これが何を示すのか、彼が何をしようとしているのかは知らないが気を付けて欲しい。
本自体は面白かった。
2017年12月6日に日本でレビュー済み
自殺に関わる問題は、経済問題や社会の問題もあり、本書でも取り上げられていますが、私は特にメンタルヘルス面に興味を持って読みました。
どれも参考になりましたが、いま、一つを選ぶなら・・
希死念慮のある人がシグナルを発していると言われるが、シグナルを見つけるのは難しい。この社会を海とするなら、こちらが灯台になって、シグナルをこちらから送って、気づいてもらう、という話。
希死念慮の方は「助けて!」という援助希求能力が低くなっていると言われるので、まさに、この手だ!と感じました。
(実際、チラシやテレビに出演されたことをきっかけに、相談に来られる方もいらっしゃるようでした)
メンタルヘルス面からの関わりだけでも気になる話が多かった。蛍光ペンでマークしながら読んだので、そこここが赤くなってます。
また今後、自殺問題に取り組むにあたっては「自殺を防ぐ」から「生きることの包括的な支援」点も同意です。(継続的に、問題をこぼさず、多様な協力を得るためには必要ですね)
どれも参考になりましたが、いま、一つを選ぶなら・・
希死念慮のある人がシグナルを発していると言われるが、シグナルを見つけるのは難しい。この社会を海とするなら、こちらが灯台になって、シグナルをこちらから送って、気づいてもらう、という話。
希死念慮の方は「助けて!」という援助希求能力が低くなっていると言われるので、まさに、この手だ!と感じました。
(実際、チラシやテレビに出演されたことをきっかけに、相談に来られる方もいらっしゃるようでした)
メンタルヘルス面からの関わりだけでも気になる話が多かった。蛍光ペンでマークしながら読んだので、そこここが赤くなってます。
また今後、自殺問題に取り組むにあたっては「自殺を防ぐ」から「生きることの包括的な支援」点も同意です。(継続的に、問題をこぼさず、多様な協力を得るためには必要ですね)
2014年11月7日に日本でレビュー済み
「自殺」という言葉を聞いた時の反応がその人なのだと思う。
隠され差別を受ける自殺という言葉を、自然や人間の振る舞いに託してほどいていく。
作中、自殺予防対策に取り組む佐藤久男氏は、「灯台」のたとえを出して説明する。追い込まれることで起こる自殺とそうでない自殺の峻別を弁える姿勢をかいま見せる。
だが、事象を概観しシステムを腑分けすることによってではなく、人間を時間をかけて追いかけることで突き当たる地平を開くやり方によって、著者はこの言葉に辿り着いた。それは佐藤久男氏の「俺の活動は点なんだよ。点を掘り下げれば線になる。線を掘り下げればやがて面になる。」という言葉を著者自身が体現したものだ。
このようにして導かれた言葉には、ライフリンク代表清水康之氏の言う「相談の現場で、マイナスがプラスに変わる瞬間に立ち会うことで、人間の底力」にも似た力が宿る。
「人間て強いもの」「死にたくなるから人間さ。でも、少し経つと死にたくなくなる。死にたい時期をずらせばいい」
その人の発した言葉の微かなニュアンス。合理的でない行動のひとつひとつが、人間という不完全で移り気な、ひとりでは生きられない弱さが他者とのつながりを求める強さへと変わっていくこの生き物に、そっと寄り添っている。
隠され差別を受ける自殺という言葉を、自然や人間の振る舞いに託してほどいていく。
作中、自殺予防対策に取り組む佐藤久男氏は、「灯台」のたとえを出して説明する。追い込まれることで起こる自殺とそうでない自殺の峻別を弁える姿勢をかいま見せる。
だが、事象を概観しシステムを腑分けすることによってではなく、人間を時間をかけて追いかけることで突き当たる地平を開くやり方によって、著者はこの言葉に辿り着いた。それは佐藤久男氏の「俺の活動は点なんだよ。点を掘り下げれば線になる。線を掘り下げればやがて面になる。」という言葉を著者自身が体現したものだ。
このようにして導かれた言葉には、ライフリンク代表清水康之氏の言う「相談の現場で、マイナスがプラスに変わる瞬間に立ち会うことで、人間の底力」にも似た力が宿る。
「人間て強いもの」「死にたくなるから人間さ。でも、少し経つと死にたくなくなる。死にたい時期をずらせばいい」
その人の発した言葉の微かなニュアンス。合理的でない行動のひとつひとつが、人間という不完全で移り気な、ひとりでは生きられない弱さが他者とのつながりを求める強さへと変わっていくこの生き物に、そっと寄り添っている。
2016年5月10日に日本でレビュー済み
NHKのプロフェッショナル「仕事の流儀」でも佐藤さんが紹介されてましたが、この本をなぞったかのような内容でした。
佐藤さんの朴訥とした語り口調は確かにテレビだとわかりやすいけど、テレビは扱いがちょっと紋切りな感じがしました。きれいごとだけでは語れない面談者のいろいろや、その相談者に向き合う佐藤さんのもっとむき出しの関わり方、引き方など、本ならではのディテールが書き込まれていました。
表紙の写真の表情がなんともよいです。
佐藤さんの朴訥とした語り口調は確かにテレビだとわかりやすいけど、テレビは扱いがちょっと紋切りな感じがしました。きれいごとだけでは語れない面談者のいろいろや、その相談者に向き合う佐藤さんのもっとむき出しの関わり方、引き方など、本ならではのディテールが書き込まれていました。
表紙の写真の表情がなんともよいです。
2014年11月11日に日本でレビュー済み
自殺を家族にとって恥ずべきもの、世間に対し隠すべきものとする風土の中、自殺予防や自殺対策が政策的課題に浮上せず、立ち遅れる時代が長く続いた。
本書に描れる佐藤久男さんは、自身が体験した経営者として成功した栄光の日々と倒産に直面したどん底の日々の経験から、事業主・中小企業経営者の自殺を思いとどまらせ、生きることに道をつなぐ活動の開始を決意し、相談事業を立ち上げ、困難に直面した方と面談し、とことん相手中心にその心の襞にあるものをも大切に寄り添う活動をNPO法人「蜘蛛の糸」を場にして立ち上げ、その経験を徐々に全国に伝える言わば経営者の自殺予防の開拓者です。
本書に紹介される自殺予防の佐藤さんの手法と、それとリンクする著者の中村智志さんの佐藤さんに伴走するかのようなトコトン寄り添う様な取材と筆が、本書の深みになっている。
佐藤さんが経営的に成功していた時代に、更に何かの高みをつかむため学んだ先人たちの教えが、倒産以降の生き方の糧になり、佐藤さんの自殺対策に生きている様だ。日本の自殺対策を形作った人々との出会いの物語が、日本の自殺対策の同時代史ともなっている。
本書に描れる佐藤久男さんは、自身が体験した経営者として成功した栄光の日々と倒産に直面したどん底の日々の経験から、事業主・中小企業経営者の自殺を思いとどまらせ、生きることに道をつなぐ活動の開始を決意し、相談事業を立ち上げ、困難に直面した方と面談し、とことん相手中心にその心の襞にあるものをも大切に寄り添う活動をNPO法人「蜘蛛の糸」を場にして立ち上げ、その経験を徐々に全国に伝える言わば経営者の自殺予防の開拓者です。
本書に紹介される自殺予防の佐藤さんの手法と、それとリンクする著者の中村智志さんの佐藤さんに伴走するかのようなトコトン寄り添う様な取材と筆が、本書の深みになっている。
佐藤さんが経営的に成功していた時代に、更に何かの高みをつかむため学んだ先人たちの教えが、倒産以降の生き方の糧になり、佐藤さんの自殺対策に生きている様だ。日本の自殺対策を形作った人々との出会いの物語が、日本の自殺対策の同時代史ともなっている。