アンソロジーの良いのは、このような機会が無ければ恐らく読まなかっただろう作家の作品の中から、一流の現代の作家が選んだ作品を読めることだ。しかも短編集なので一気に読むことができる。
このアンソロジーシリーズは、浅田次郎、沢木耕太郎のものも読んだ。その度に、大した人生経験もない高校生が生意気な意見を恥ずかしげもなく述べていた現代国語の授業が懐かしく思い出される。今あれをやれと言われると嫌なのだが、あの機会が二度とないのも寂しい気がする。
「もの喰う女」の時代の雰囲気が好きだ。「食う」ではなく「喰う」という字が暗示しているように、奔放というよりは少し天然という感じのイメージが房子からエロティシズムの強さを感じさせる。主人公の完敗という感じだ。戦争前後の小説にはこんな感じの男女関係が散見されるのはなぜだろう。
他には「ひかげの花」、「鶴のいた庭」、「片腕」、「太市」が特に良かった。42
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心に残る物語 日本文学秀作選 魂がふるえるとき (文春文庫 み 3-17 心に残る物語-日本文学秀作選) 文庫 – 2004/12/7
宮本 輝
(編集)
- 本の長さ375ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2004/12/7
- ISBN-104167348179
- ISBN-13978-4167348175
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2004/12/7)
- 発売日 : 2004/12/7
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 375ページ
- ISBN-10 : 4167348179
- ISBN-13 : 978-4167348175
- Amazon 売れ筋ランキング: - 130,915位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1947(昭和22)年、兵庫県神戸市生れ。追手門学院大学文学部卒業。
広告代理店勤務等を経て、1977年「泥の河」で太宰治賞を、翌年「螢川」で芥川賞を受賞。その後、結核のため二年ほどの療養生活を送るが、回復後、旺盛な執筆活動をすすめる。『道頓堀川』『錦繍』『青が散る』『流転の海』『優駿』(吉川英治文学賞)『約束の冬』『にぎやかな天地』『骸骨ビルの庭』等著書多数。
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上位レビュー、対象国: 日本
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2008年5月16日に日本でレビュー済み
宮本輝編。
読んだことあったり名前聞いたことあったりする
作家さんの作品が収められています。
この本に収められている作品。
こういった風情に憧れたりもするのです。
この本をきっかけに他の作品も読んでみたいなぁ、って思った。
読んだことあったり名前聞いたことあったりする
作家さんの作品が収められています。
この本に収められている作品。
こういった風情に憧れたりもするのです。
この本をきっかけに他の作品も読んでみたいなぁ、って思った。
2009年5月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1 玉、砕ける 開高 健
* 「玉」とは、垢すりでできた垢の玉。
2 太市 水上 勉
* 学校に来られなくなった太市は家で女郎蜘蛛を飼っていた。
3 不意の出来事 吉行淳之介
* 密通がヤクザの情夫にバレて強請られるが……、とんちんかんな顛末。
4 片腕 川端康成
* 女が自分の片腕をはずして男に与える。村上春樹の世界だなこりゃ。
5 蜜柑 永井龍男
* 別れ話をした帰り道、オート三輪車が横転して道路に蜜柑が散乱していた。
6 鶴のいた庭 堀田善衛
* かつて栄華を誇った廻船問屋が、屋敷の庭でつがいの鶴を飼っていた。
7 サアカスの馬 安岡章太郎
* 老いぼれ役立たずと思っていた馬が、サーカスの花形だと知ったときの驚き。
8 人妻 井上 靖
* 自分の子に接する別人のような人妻の横顔を見て、若者からツキ物がおちる。
9 もの喰う女 武田泰淳
* ムシャムシャという感じではなくて、いつのまにかスーッと消えてしまった風。
10 虫のいろいろ 尾崎一雄
* 瓶の中に蜘蛛を閉じこめて半年。センをとった時、間髪を容れず、脱出した。
11 幻談 幸田露伴
* 舟で魚釣りに出て、浮き沈みする釣竿を引き上げると死体が竿を握っていて離さない。
12 ひかげの花 永井荷風
三十代の初めに再読したとき、最後の、塚山に届いたおたみからの手紙で、あの時代に娼婦として生きる女の考え方や、世の処し方に、なんだか呆気なく突き放された気持ちになり、この小説の凄さを知った。(「あとがきにかえて」)
13 有難う 川端康成
* 定期乗合自動車の運転手が避けてくれた大八車など皆に「有難う」と言い続ける。
14 忘れ得ぬ人々 國木田独歩
* 磯を漁つてゐる男、馬子唄をうたう壮漢、琵琶僧らを情景豊かに思い出す。
15 わかれ道 樋口一葉
* 誰からも慕われる仕事屋のお京が、妾となって長屋を出て行くのを止める男。
16 外科室 泉 鏡花
* 手術を受ける伯爵夫人が、うわごとを聞かれたくないから麻酔なしでやれという。
* 「玉」とは、垢すりでできた垢の玉。
2 太市 水上 勉
* 学校に来られなくなった太市は家で女郎蜘蛛を飼っていた。
3 不意の出来事 吉行淳之介
* 密通がヤクザの情夫にバレて強請られるが……、とんちんかんな顛末。
4 片腕 川端康成
* 女が自分の片腕をはずして男に与える。村上春樹の世界だなこりゃ。
5 蜜柑 永井龍男
* 別れ話をした帰り道、オート三輪車が横転して道路に蜜柑が散乱していた。
6 鶴のいた庭 堀田善衛
* かつて栄華を誇った廻船問屋が、屋敷の庭でつがいの鶴を飼っていた。
7 サアカスの馬 安岡章太郎
* 老いぼれ役立たずと思っていた馬が、サーカスの花形だと知ったときの驚き。
8 人妻 井上 靖
* 自分の子に接する別人のような人妻の横顔を見て、若者からツキ物がおちる。
9 もの喰う女 武田泰淳
* ムシャムシャという感じではなくて、いつのまにかスーッと消えてしまった風。
10 虫のいろいろ 尾崎一雄
* 瓶の中に蜘蛛を閉じこめて半年。センをとった時、間髪を容れず、脱出した。
11 幻談 幸田露伴
* 舟で魚釣りに出て、浮き沈みする釣竿を引き上げると死体が竿を握っていて離さない。
12 ひかげの花 永井荷風
三十代の初めに再読したとき、最後の、塚山に届いたおたみからの手紙で、あの時代に娼婦として生きる女の考え方や、世の処し方に、なんだか呆気なく突き放された気持ちになり、この小説の凄さを知った。(「あとがきにかえて」)
13 有難う 川端康成
* 定期乗合自動車の運転手が避けてくれた大八車など皆に「有難う」と言い続ける。
14 忘れ得ぬ人々 國木田独歩
* 磯を漁つてゐる男、馬子唄をうたう壮漢、琵琶僧らを情景豊かに思い出す。
15 わかれ道 樋口一葉
* 誰からも慕われる仕事屋のお京が、妾となって長屋を出て行くのを止める男。
16 外科室 泉 鏡花
* 手術を受ける伯爵夫人が、うわごとを聞かれたくないから麻酔なしでやれという。
2006年11月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自分ではおそらく選ぶ機会もなかったと思われる作家の名編を
いくつも読むことができました。、
ここに収録されている作品を、ひとつひとつ探して読むとしたら
知識のない自分の場合は、おそらくたどりつくまでに
けっこうな時間がかかるような気がしました。
こうして選集として一冊にまとめられているというのはうれしい。
最初に収録されている、開高健の「玉、砕ける」に特に圧倒されました。
いくつも読むことができました。、
ここに収録されている作品を、ひとつひとつ探して読むとしたら
知識のない自分の場合は、おそらくたどりつくまでに
けっこうな時間がかかるような気がしました。
こうして選集として一冊にまとめられているというのはうれしい。
最初に収録されている、開高健の「玉、砕ける」に特に圧倒されました。
2009年8月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
宮本輝氏が厳選した日本文学短編秀作選。明治〜昭和にかけてのそうそうたる名作家たちの短編が16編収められている。
様々な特色ある作品が読めるので、ある意味お得な1冊。明治〜昭和初期の匂いが色濃く立ち上がる作品ばかり。
ひとつ選ぶとすれば川端康成の『片腕』。奇怪で妖艶な雰囲気に圧倒される短編だ。
様々な特色ある作品が読めるので、ある意味お得な1冊。明治〜昭和初期の匂いが色濃く立ち上がる作品ばかり。
ひとつ選ぶとすれば川端康成の『片腕』。奇怪で妖艶な雰囲気に圧倒される短編だ。
2009年11月18日に日本でレビュー済み
本の目次のページで
開高健、武田泰淳、安岡章太郎、堀田善衛、
戦後派の近代文学者の名前がある。
どれもこれも強烈である。
一番書きたい事は書かないものです。
書かずに読者に感じさすのです。
以前ある編集者にこの言葉を聞かされたが、
ここに掲載されている小説は皆、これである。
芸術とは、分野を超えて、
こうでなければならない、と、
見せつけられているようである。
開高健、武田泰淳、安岡章太郎、堀田善衛、
戦後派の近代文学者の名前がある。
どれもこれも強烈である。
一番書きたい事は書かないものです。
書かずに読者に感じさすのです。
以前ある編集者にこの言葉を聞かされたが、
ここに掲載されている小説は皆、これである。
芸術とは、分野を超えて、
こうでなければならない、と、
見せつけられているようである。
2007年7月10日に日本でレビュー済み
本書に収録されている小説と近代文学との質の違いには驚嘆しました。
それはまさしく質の違いとしか表現できないもので、それまで一通りしかないと思っていた感性、情緒というものが本書を読み終えた後100通りも200通りもあるような気がしました。
近代文学と比べ、具体的な違いを述べろといわれればそれは難しいことなのですが、個人的には余韻の残し方に圧倒的差があると思いました。
蛍の光が、ある時、ふっと消える、もしくは、何かが一斉に芽吹く、大体小説というのは失礼ながらそのようなものだろう、と思っておりました。
しかし・・・うまく表現できない・・・他の要素が・・・絡み合い絡み合い、最後を締めくくっているのだと思い知らされました。
私は中でも川端康成の「片腕」がお気に入りで、超現実世界での話なのですが、今ではもう書かれる事の無い美しい世界観、男性と女性世界の極地を垣間見れた気さえします。
ここまでレビューを書かせていただきながら、絶対他人には知られたくない、秘蔵の書にしておきたい、という気持ちさえ沸いております。まさしく、これこそ名作集なのでしょう。
それはまさしく質の違いとしか表現できないもので、それまで一通りしかないと思っていた感性、情緒というものが本書を読み終えた後100通りも200通りもあるような気がしました。
近代文学と比べ、具体的な違いを述べろといわれればそれは難しいことなのですが、個人的には余韻の残し方に圧倒的差があると思いました。
蛍の光が、ある時、ふっと消える、もしくは、何かが一斉に芽吹く、大体小説というのは失礼ながらそのようなものだろう、と思っておりました。
しかし・・・うまく表現できない・・・他の要素が・・・絡み合い絡み合い、最後を締めくくっているのだと思い知らされました。
私は中でも川端康成の「片腕」がお気に入りで、超現実世界での話なのですが、今ではもう書かれる事の無い美しい世界観、男性と女性世界の極地を垣間見れた気さえします。
ここまでレビューを書かせていただきながら、絶対他人には知られたくない、秘蔵の書にしておきたい、という気持ちさえ沸いております。まさしく、これこそ名作集なのでしょう。
2005年1月15日に日本でレビュー済み
宮本輝氏による秀作選。
永井荷風、川端康成、国木田独歩。泉鏡花、幸田露伴、水上勉・・・。名だたる文豪が名を連ねている。
文章には匂いがあるということを痛烈に感じさせる。
現代小説しか読んでこなかった身にはおおげさではなく衝撃だった。
<小説には百人百様の読み方があり、またそうであるべきなので、ここに収めさせて頂いた小説に初めて出会う読者の真っ白な心にゆだねたい>とは宮本氏のあとがきである。
時代背景など、なじみのないものもあるだろう。難解なものもあるかもしれない。しかし、“何か”を感じるはずである。それは一体何なのか?
その正体をすぐに理解しようと急ぐことはない。いつか腑に落ちるときがくるかもしれない。いつまでたってもぼんやりとしたままかもしれない。しかし、あなたの心に残っている限り、いつでも取り出して確かめることができる。
そんな「本の読み方」を思い出させてくれる一冊。
永井荷風、川端康成、国木田独歩。泉鏡花、幸田露伴、水上勉・・・。名だたる文豪が名を連ねている。
文章には匂いがあるということを痛烈に感じさせる。
現代小説しか読んでこなかった身にはおおげさではなく衝撃だった。
<小説には百人百様の読み方があり、またそうであるべきなので、ここに収めさせて頂いた小説に初めて出会う読者の真っ白な心にゆだねたい>とは宮本氏のあとがきである。
時代背景など、なじみのないものもあるだろう。難解なものもあるかもしれない。しかし、“何か”を感じるはずである。それは一体何なのか?
その正体をすぐに理解しようと急ぐことはない。いつか腑に落ちるときがくるかもしれない。いつまでたってもぼんやりとしたままかもしれない。しかし、あなたの心に残っている限り、いつでも取り出して確かめることができる。
そんな「本の読み方」を思い出させてくれる一冊。