米朝落語全集もいよいよ第五巻である。目次を見ると噺の数は27編だが、「天王寺三題」と「吃るはなし三題」にはそれぞれ3つの小噺が収録されているので、正確にカウントすれば全31編だろうか。
その中で一番の大ネタはやはり「たちぎれ線香」ということになるだろう。弟子の枝雀師が感激して「私が落語をやめる！ なんて言うたら、落語にはたちぎれがあんねんぞって言うてください」と米朝師に言った、という逸話も伝わっている。
個人的な思い出では「どうらんの幸助」が懐かしい。昔NHKで放映されたのを録画して、何度も何度も、それこそ帯屋のセリフを覚えてしまうぐらい聴いた。もちろんセリフの意味などわからないまま耳コピーしていたが、こうして活字で読むことで、ああそういう意味かとやっと理解できた部分もあった。
本書にはほかにも「狸の賽」「ためし酒」「つぼ算」「つる」「天狗裁き」など、米朝ファンにはおなじみの好編がいろいろ収められている。総体的に小粒なネタが多い印象ではあるが、幕の内弁当のようにバラエティ豊かな品ぞろえになっていると思う。
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