監督と監修は『悪魔のはらわた』(1973年)と同じポール・モリセイとアンディ・ウォーホルです。ほぼ同じ時期に作られています。メインのキャストも『悪魔のはらわた』とほぼ同じです。
時代は1920年代のイタリア。
ルーマニアに住むドラキュラ伯爵(ウド・キアー)は処女の生血を吸わないと生きていけないという実に不幸な体質を持っていました(笑)
ところが当時のルーマニアではそれは期待できず、種々の理由から執事(アルノ・ジュエギング)とともにイタリアに行って希望をつなごうとします。
そして辿り着いたイタリアの田舎町で4人の娘を持つ没落貴族の館を訪ねます。ところがその花嫁候補の娘たちは・・・。
精力抜群の下男役にはジョー・ダレッサンドロ、没落貴族役にはヴィットリオ・デ・シーカ、酒場の村人のうち一番左の男はロマン・ポランスキーです。
オープニングで化粧をする男がアップで映し出され、口紅を塗るために口を小さく開けるとそこには牙が見えます。それを始めとして映像とBGMの美しさが際立ちます。汚れた血を吐き出す男爵の青白い顔や下男に切り刻まれるシーンは見ごたえがあります。
弱々しくオドオドとしたドラキュラのイメージは『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922年)に近いものだと思います。
ホラーとしてもコメディとしてもA級です。