お父さんのいない家庭で育ち、平凡な家庭に憧れて、大学卒業後間もなく結婚した著者。
しかし、結婚生活は思っていたものとは程遠く、挙げ句の果てに38歳で子宮癌になり子宮を摘出、それをきっかけに冷めた関係だった夫と離婚。
二人の娘を抱えたシングルマザーとなった著者は、父の空白、そして子宮をうしなって生じた空白を埋めるように、がむしゃらに性を追い求めていく…
こうして説明的にまとめてしまうと、いまいち伝わらないと思いますが、私は震えながら読みました。
女性でこの本を平然と読める人は、ほとんどいないんじゃないかと思います。
著者と私には、同性であること、母であること以外にほとんど共通点なんてないのに、途中、涙が止まりませんでした。
読みながら、今までぼんやりとした霧のように心の中でわだかまっていたものが、はっきりとした形のある固形物になっていくのを感じていました。それはきっと、この先ずっと私の心の中に「痼り」として残り続けていくことになるんだと思います。
心を掴まれる言葉がいっぱいありましたが、なかでも「命を削るということこそが、生きているということだ」という言葉は、私の心をえぐりました。その言葉に、私は今まで自分がまるで「生きてこなかった」ことを深く痛感されられたんです。
でも、読み終えたとき、私はとても落ち込んでいました。
それは多分、私はこのさきも、この本の著者のようには生きられないと思ったからです。
それが「生きてる」と言えないのだと知りながらも、「生きてない」生に、安全にしがみ続けていくだろうと思ったからです。
だから私は泣いてしまいました。
臆病な私の人生を哀れんで涙したんです。
この本はきっと、ある人たちにとっては、読んでいてつらい本だと思います。楽しい本ではありません。
友人にもお薦めしづらいです。他の生き方があることを教えるのは、時に残酷です。
ただ、それでも、この本について何か言いたくて、レビューを書きました。
私はもう二度とこの本を開くことはないと思います。
でも、きっと一生忘れません。

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ゲスママ 単行本(ソフトカバー) – 2016/9/10
神田 つばき
(著)
セックスレス、子宮頸癌、離婚、銀行勤務、出会い系、緊縛モデル、AV出演…
38歳・夏、ママの暴走が始まった―
母が働き、祖母が経営企画する、女三人だけの家庭―それが私の生家だった。二人の期待に応え、優等生になろうと願って成長しながらも、どこの家とも似ていないこの家庭が恥ずかしく、そして重荷だった。うちにはない「男性の匂い」、母と祖母が必死になって消している「性のぬくもり」、それは人が誰でも享受することのできる幸せなのだと、幼いながらに私は知っていた。私がそれを真剣に求めだしたのは、癌で子宮を全摘出し、離婚した38歳の夏だった。子供は12歳と8歳、思春期のただ中にいた娘二人は反抗し、やがて私は自分の手で家庭を解体していった。
私は宗教書を読むように、人知を越える世の摂理に震えた。本書は壮絶かつ崇高な叙事詩だ――宮台真司(社会学者)
(目次)
プロローグ
第1章
展翅板の蝶
男運のない家系
母系王国
歪んだ本能
第2章
贅沢な離婚
子宮を喪って
母との距離
幼稚な妻
男たちのメリーゴーラウンド
擬態するM女性の群れの中で
病室で切り出した離婚
膣にガーゼを詰めて
第3章
世紀末の恋人
SMと呼びたくない
日曜日の絶頂
緊縛ともだち
第4章
愛より聖く
欲望と原稿
夜ごとのカーニバル
卑下する癖
第5章
聖ナル侵入
白雪姫の心
七人の小人
存在しない子宮の痙攣
桃と苺
妄想を超えて
第6章
最後の晩餐
自意識を飛ばす
苦悩の共有
私生活を売る
リスタート
第7章
夢の遺跡
夢の綻び
脳への侵入
バラけた家族
現実に返る
「乳首を、食べて。」
家族、再び
エピローグ
38歳・夏、ママの暴走が始まった―
母が働き、祖母が経営企画する、女三人だけの家庭―それが私の生家だった。二人の期待に応え、優等生になろうと願って成長しながらも、どこの家とも似ていないこの家庭が恥ずかしく、そして重荷だった。うちにはない「男性の匂い」、母と祖母が必死になって消している「性のぬくもり」、それは人が誰でも享受することのできる幸せなのだと、幼いながらに私は知っていた。私がそれを真剣に求めだしたのは、癌で子宮を全摘出し、離婚した38歳の夏だった。子供は12歳と8歳、思春期のただ中にいた娘二人は反抗し、やがて私は自分の手で家庭を解体していった。
私は宗教書を読むように、人知を越える世の摂理に震えた。本書は壮絶かつ崇高な叙事詩だ――宮台真司(社会学者)
(目次)
プロローグ
第1章
展翅板の蝶
男運のない家系
母系王国
歪んだ本能
第2章
贅沢な離婚
子宮を喪って
母との距離
幼稚な妻
男たちのメリーゴーラウンド
擬態するM女性の群れの中で
病室で切り出した離婚
膣にガーゼを詰めて
第3章
世紀末の恋人
SMと呼びたくない
日曜日の絶頂
緊縛ともだち
第4章
愛より聖く
欲望と原稿
夜ごとのカーニバル
卑下する癖
第5章
聖ナル侵入
白雪姫の心
七人の小人
存在しない子宮の痙攣
桃と苺
妄想を超えて
第6章
最後の晩餐
自意識を飛ばす
苦悩の共有
私生活を売る
リスタート
第7章
夢の遺跡
夢の綻び
脳への侵入
バラけた家族
現実に返る
「乳首を、食べて。」
家族、再び
エピローグ
- 本の長さ226ページ
- 言語日本語
- 出版社コアマガジン
- 発売日2016/9/10
- ISBN-104864369453
- ISBN-13978-4864369459
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商品の説明
著者について
1959年、東京都生まれ、獨協大学仏語学科卒業。38歳で離婚、派遣社員として銀行に勤務。39歳で「緊縛美研究会」にモデルとして参加、41歳からフリーライター、AV女優として活動。2006年、女性が企画したSMやフェティシズム映像をAV制作するメーカー「ユーストレス」設立。2010年から、エロスをテーマとする女性作家のコンペティション「東京女子エロ画祭」主宰。AV審査団体初の女性理事、日本官能文学芸術協会理事、NPO法人女性の健康とメノポーズ協会認定「女性の健康とワークバランス推進員」。更年期女性へのアドバイスコラムを執筆するほか、ドラマ物AVのシナリオライターとして、150本を超える脚本を手がける。
登録情報
- 出版社 : コアマガジン (2016/9/10)
- 発売日 : 2016/9/10
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 226ページ
- ISBN-10 : 4864369453
- ISBN-13 : 978-4864369459
- Amazon 売れ筋ランキング: - 714,048位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 91,548位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年9月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年9月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
比較的、読みやすかったです。
内面のドン底を羅列するわけでもなし、プレイ内容のリプレイでもない。
ライターさんならでは、纏まってはいるみたい。
しかしながら、最終的に誰に読んで欲しかったのか、わからず、自己満足の域を脱し切れていないのが残念。
おそらく、読者の期待するエピソードは、豊富にお持ちなんだろうが、それだけ書いても、作者の本願でもないのだろう。
インタビュー形式でも良かったのかもしれないね。
内面のドン底を羅列するわけでもなし、プレイ内容のリプレイでもない。
ライターさんならでは、纏まってはいるみたい。
しかしながら、最終的に誰に読んで欲しかったのか、わからず、自己満足の域を脱し切れていないのが残念。
おそらく、読者の期待するエピソードは、豊富にお持ちなんだろうが、それだけ書いても、作者の本願でもないのだろう。
インタビュー形式でも良かったのかもしれないね。
2016年9月24日に日本でレビュー済み
私は男で、家庭は著書の神田つばきさんとは反対で
母か小3ぐらいに心の病気になって「母親の」存在がない家庭でした。
友達が母親に色々言ったり世話しているのをみてうらやましい、
ウチはなんでこんな状態になってるんだろう?って悩み続けました。
また母親が家事が出来ない状態で、父親は身なりをきれいにせず
母親もタッチ出来ない状態で。
一番致命的なのは、風呂は週一回と言ったことが悩ませ続け、
「自分は汚い存在。女性に気軽に接してはいけない」
と言う考えが今だ心を病ませています。
合わせて父親が「女性と付き合ったことがない」と
言った、性や恋愛の話題とまともに向き合えない家庭でした。
そんな中、神田つばきさんとは別の方向性で、
傍から見るとゆがんだ方向に、性が向いていった過程を
体験してきました。
その中で本書「ゲスママ」を読んで
「ゲスでもないし、女性も似たな苦しみを抱えている方がいる」
と言うことを知るいいきっかけとなりました。
また男側だから言えるのかも知れませんが、
ここまで赤裸ながらも巷のメディアには出てこない内面の正直な内容
(巷のメディアは売り上げを考えて、面白おかしくした文章を作ってるのでしょうけど)
を書いていただき、穏やかな気持ちになれました。
男側の方はかえってここまで書き切れる著書を私は知らないです。
合わせて社会学者の宮台真司氏が帯に
触れた内容も、宮台真司氏も著書で過去に同様のテーマを
述べてきているからかと思っています。
※タイトルで、いい言葉が思いつかず、「叙事詩」と同じことを書きました。
また本田透氏の「電波男」では非モテの男の話を上げてますが、
最後に母親との関係について述べております。
「父親不在の家庭で苦しんだ女性」
「母親不在の家庭で苦しんだ男」
対話の日が来るのでしょうか。
いや、対話の日は来ると信じて祈っています。
母か小3ぐらいに心の病気になって「母親の」存在がない家庭でした。
友達が母親に色々言ったり世話しているのをみてうらやましい、
ウチはなんでこんな状態になってるんだろう?って悩み続けました。
また母親が家事が出来ない状態で、父親は身なりをきれいにせず
母親もタッチ出来ない状態で。
一番致命的なのは、風呂は週一回と言ったことが悩ませ続け、
「自分は汚い存在。女性に気軽に接してはいけない」
と言う考えが今だ心を病ませています。
合わせて父親が「女性と付き合ったことがない」と
言った、性や恋愛の話題とまともに向き合えない家庭でした。
そんな中、神田つばきさんとは別の方向性で、
傍から見るとゆがんだ方向に、性が向いていった過程を
体験してきました。
その中で本書「ゲスママ」を読んで
「ゲスでもないし、女性も似たな苦しみを抱えている方がいる」
と言うことを知るいいきっかけとなりました。
また男側だから言えるのかも知れませんが、
ここまで赤裸ながらも巷のメディアには出てこない内面の正直な内容
(巷のメディアは売り上げを考えて、面白おかしくした文章を作ってるのでしょうけど)
を書いていただき、穏やかな気持ちになれました。
男側の方はかえってここまで書き切れる著書を私は知らないです。
合わせて社会学者の宮台真司氏が帯に
触れた内容も、宮台真司氏も著書で過去に同様のテーマを
述べてきているからかと思っています。
※タイトルで、いい言葉が思いつかず、「叙事詩」と同じことを書きました。
また本田透氏の「電波男」では非モテの男の話を上げてますが、
最後に母親との関係について述べております。
「父親不在の家庭で苦しんだ女性」
「母親不在の家庭で苦しんだ男」
対話の日が来るのでしょうか。
いや、対話の日は来ると信じて祈っています。
2017年9月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
独特の疾走感があり、エグい描写があるにも関わらず、読後、晴れやかな気持ちになりました。
出版不況で守りに入った本ばかりの時代に、よくこんな作品が出せたなと思います。
これだけのエネルギーと緊張感を維持し続けている作者に、脱帽です。
出版不況で守りに入った本ばかりの時代に、よくこんな作品が出せたなと思います。
これだけのエネルギーと緊張感を維持し続けている作者に、脱帽です。
2016年9月28日に日本でレビュー済み
読み進めながら自分の人生に起きた出来事を思い出してしまいました。
自分も幼稚園にも保育園にも行かされず小学校でのコミニティに入っていくのに苦労もしたし
幼少期に新興宗教にはまっていた母親はそこでの仕置きとして靴ベラやゴムホースでよく椅子に座ることもできないくらいに叩かれていたこともフラッシュバックした
悪ふざけと称して起きたら母親に全身を縛られて放置させられていたことも思い出し
自分が抱えていきた性癖の一旦が小さい頃にあったのかなと考えさせられてしまいました。
内容は性的なことが赤裸々に書かれているにもかかわらず
官能小説とはまた異なります。
帯には「愛よりも性」と大き書かれていましたが、
最後の章に俺は愛を深く感じました。
本書に書いてあるようなことを実際に経験した著者は他にいないでしょう。
興味を持ったかたは手に取るべきです。
さっこれからメスブタ日記シリーズを見てみようw
自分も幼稚園にも保育園にも行かされず小学校でのコミニティに入っていくのに苦労もしたし
幼少期に新興宗教にはまっていた母親はそこでの仕置きとして靴ベラやゴムホースでよく椅子に座ることもできないくらいに叩かれていたこともフラッシュバックした
悪ふざけと称して起きたら母親に全身を縛られて放置させられていたことも思い出し
自分が抱えていきた性癖の一旦が小さい頃にあったのかなと考えさせられてしまいました。
内容は性的なことが赤裸々に書かれているにもかかわらず
官能小説とはまた異なります。
帯には「愛よりも性」と大き書かれていましたが、
最後の章に俺は愛を深く感じました。
本書に書いてあるようなことを実際に経験した著者は他にいないでしょう。
興味を持ったかたは手に取るべきです。
さっこれからメスブタ日記シリーズを見てみようw
2016年10月10日に日本でレビュー済み
筆者が性的な妄念に苦しんで、それと向き合う人生を選択したこと、その心情について正面から書いていることには好感を持ちました。しかし、恐らく筆者は内容を相当に呻吟したのでしょう、そしてその呻吟した過程で、ある意味では書くことの目的が達成されたのではないでしょうか。かなり、書かれていることが「整理された」感じがして、内容が「(誰の心の中にもきっとある)心のどぶさらい」であるのに対して、描かれ方は「どこかセピア色」な感じを受けます。私は、自分も含め、多くの人の感じている性的なイメージは、人工的な、あるいは日々の生活の中で生じてくる、ある種のフィクションなのであって、それをよく見つめれば、具体的な内容や実体は存在していない、「影」のようなものだと思っています。筆者の中では、「性の嵐」の時期が過ぎたように書かれていますが、筆者は一体、この嵐の正体を本当に見極めたのでしょうか?そこがよく分からない。