「僕たちは恐れより愛を選ぶ
愛は恐れに勝る
そして今僕たちの祈りが拒否している
モンスターを倒すために
モンスターになることを
僕たちは恐れより愛を選ぶ
愛を選ぶ
愛を
一緒に行こう 魂のある場所へ
想像の場所へ
恐れよりも愛を選ぶ所へ
なぜなら純粋な愛は恐れを超えるから」
Where The Streets Have No Name でBonoが語りかける
パリ 同時多発テロ
翌日予定されていたライヴは、テロを受け中止された。
そのわずか半月後の12月7日のライヴ
人々が打ちのめされたこのような状況な時、
皆が渇望したそのライヴで、彼らは意思を示した。
この立ちはだかる現実から「逃げない」、と。
英国の支配下の分割統治で民族の争いを強いられ
テロに血塗られた歴史を抱え続け、苦しみ続けた
アイルランド人として
「負の連鎖を断ち切ろう」、と。
乗り越えるのは余りに辛く苦しいかもしれない。
それでも、それでも
「共に生きる」という選択をしてほしい、と。
「テロ」であろうと
「空爆」であろうと
どちらも「大義」とやらの為に
人の命を奪うことを正当化するという
本質は同じ
そんな論理が支配するこの世界に
「屈しないでほしい」と
その先に進みたい、という祈りに似た想いが伝わってくる
素晴らしいライヴ。
October が演奏されるなか
米国を中心とする有志連合(日本も名を連ねる)
によって空爆され廃墟となった
シリア コバニの光景
そして
Bullet The Blue Sky
流れるISの映像 株価
(空爆でテロはなくなったか?
空爆で有志連合の軍需産業はいくら潤った?
本当の「敵」は「相手の国」の「普通の人々」なのか?
国が争うことで勢力を増し、国民を「駒」として利用して使い捨てる
己の国の「軍閥」ではないのか)
青い海を黄色い服を着た人々が円を描いて浮かぶ…
EUの旗…
地中海を漂う難民の人々…
Bonoは自分に向けられる批判に対しても
目を背けることなく
自分の意思を率直に語る
「お前は(英国の支配下で
民族の争いを強いられた歴史を抱え続け
その苦しみを分かっているはずの)
アイルランド人だろ
だがお前は笑い権力者と仲良くする
無力な者に味方する顔をして
僕は(金を)必要以上に持ちすぎだと
専用機で飛んでいる時に
あの戦闘機が見えるか?
この外はアメリカ
みんなアメリカに味方する
小さな改革なんて求めてない
解決にはならない
だから僕は抗議する
考えがあるなら計画が必要だ
より良い世界を作るには全員の力がいる
お前も僕も共産主義者もそれ以外も
今も永遠も未来も
生者 死者 見えない者も
誰でも誰でなくても
有名人 非ユダヤ人もユダヤ人も
ゲイ ストレート 憎悪と向き合う者
看守 自由な人間 難民も
まるで詐欺師だが僕は違う
手に入れたものでベストを尽くす
だから僕は走る 走る
君の腕の中に
迎えてくれ」
私の故郷の小さな島は、今アメリカの新基地建設の渦中にある。
第二次大戦では住民の4人に1人が死んだ。
ベトナム戦争では米軍の爆撃機が飛び立ち
ベトナムでは「悪魔の島」と呼ばれた。
戦争の被害者でもあり加害者でもある。
この負の連鎖から抜け出したい、と人々は意思を示した。
この現実から「逃げたくない」、と
「立ち向かいたい」、と
争いが起これば真っ先に攻撃される
「基地の島」であり続けることから変わりたい
もう何処の国からも
「悪魔の島」と呼ばれたくない
次の世代の為にも
この美しい故郷を本当の意味で
「平和の島」へと変えたい、と
それに対する日本政府と米国政府の答えは
「お前たちに選択の余地などない」
そんな私にとってBonoの言葉は
暗闇を照らす光。
暗闇に灯る小さな電球。
Pride(In The Name Of Love)
「平和を守る人のために世界中の彼らに
身近にもいる彼らに歌おう僕たちの街で
歩み寄れる人々に捧ぐ
アイルランドに平和を
歩み寄る勇気を持った人がいるから
平和を手放したくない
彼らのために歌おう」
私も
「平和を手放したくない」
各々の国で
「歩み寄る勇気を持った人」が増えてほしい、と願う。
「恐れより愛を」選んでほしい、と
そして、今変わりつつあるこの国も
そうであってほしい、と。