主題の旋律はたったの4つの音だけで構成。ほぼ究極のミニマリズムの世界。なのに(だから?)この頭から離れない感覚は一体なんなんだ!?
「怒り」という映画タイトルとは対照的に、音楽はとても抑えている印象。押しつけがましい感情的な盛り上がりは殆ど無く、逆に"out of noise"の世界のような、冷たさと温かさを内包したかのような透明な残響音が、いつまでも心に響く。とても不思議で新鮮な音楽体験。
復帰後のサントラ3作品(「母と暮らせば」「レヴェナント」「怒り」)はすべて劇場で観たが、本作が、作品そのものの重厚さ、完成度とも相まって最も素晴らしかったと思う。
戦メリやラストエンペラーなど、過去の作品の旋律にはもちろん心震わせられるが、ここまでストイックまでに削ぎ落とされた音だけで、人の心を惹きつけるとは…坂本サントラの一つの到達点と言っても過言ではないのだろうか。
とにかく、主題曲が素晴らしいです。この一曲のためだけでも買う価値はあると思います。