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江戸前魚食大全: 日本人がとてつもなくうまい魚料理にたどりつくまで 単行本 – 2016/5/19
冨岡一成
(著)
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日本人は江戸時代になるまで思うように魚を食べられなかった。不安定な漁獲、保存と輸送の難しさから滅多に食べられなかった魚。食べられないからこそ何としてもうまく食べたい、その執念が知恵を絞り、工夫を重ねて、江戸前魚食文化に結実したのである。
本書は日本人なら知っておきたい江戸前魚食のルーツと完成にいたるまでの全歴史をあますところなく紹介する。
本書は日本人なら知っておきたい江戸前魚食のルーツと完成にいたるまでの全歴史をあますところなく紹介する。
- 本の長さ365ページ
- 言語日本語
- 出版社草思社
- 発売日2016/5/19
- ISBN-104794222017
- ISBN-13978-4794222015
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対象商品: 江戸前魚食大全: 日本人がとてつもなくうまい魚料理にたどりつくまで
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商品の説明
著者について
1962年東京に生まれる。博物館の展示や企画の仕事を経て、1991年より15年間、築地市場に勤務。「河岸の気風」に惹かれ、聞き取り調査を始める。このときの人との出会いからフィールドワークの醍醐味を知る。仕事の傍ら魚食普及を目的にイベント企画や執筆などを積極的におこなう。実は子どもの頃から生魚が苦手なのに河岸に入ってしまい、少し後悔したが、その後魚好きになったときには辞めていたので、さらに後悔した。江戸の歴史や魚の文化史的な著述が多い。
登録情報
- 出版社 : 草思社 (2016/5/19)
- 発売日 : 2016/5/19
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 365ページ
- ISBN-10 : 4794222017
- ISBN-13 : 978-4794222015
- Amazon 売れ筋ランキング: - 150,045位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年8月10日に日本でレビュー済み
「江戸前」の本、「魚食」の本ということなので、東京湾で取れる魚の種類とその調理法を紹介するものとばかり思っていただけに、中身を見てびっくりした。「江戸前」とは何かから始まった考察は、江戸の歴史・文化ばかりか、とめどなく発展して、いわば「てんこもり」である。よくまとめられてはいるが、ちいさな本によくまあここまで突っ込んだという内容だ。挿絵や図版もあるにはあるが、もっと大きなカラー・ビジュアル版として見てみたいものだ。(以下、目次)
第1章 なぜ江戸だったのか?
江戸前とは何か(江戸前の海はどこか、江戸前の魚は格別の味、江戸前はウナギのこと、江戸っ子のメンタリティ) 自然と人のつくった漁場(日本一豊かな漁場、人の手で魚が増える、江戸前漁場の資源保護) 江戸の生活からうまれた魚食(三日魚を食わねば、骨はバラバラに、町人たちの魚食、米と火事と独身者)
第2章 江戸の始まりから 魚河岸ができるまで
江戸の都市づくりと水運の改変(家康入国をめぐって、小名木川開削と日比谷入江埋め立て、江戸の在来漁民、利根川の東遷工事、鮮魚のきた道) 関西漁業の進出(漁民たちの軍功、佃島とシラウオ漁、続々と漁業者きたる、房州イワシ大漁節、他国出漁者の末路) 魚河岸の誕生(魚河岸起立の頃、魚河岸繁栄の立役者、四組問屋の設立)
第3章 海に生きた人々 漁業はどのように始まったか
水産業のルーツ(海を渡ってきた海人族、海人の広がり、航海とリスク) 古代・中世の流通ネットワーク(ヤマト王権の海都として、蹂躙される海民、市場流通の始まり、職能的海民の活躍) 海の上のしきたり(戦う海民、海の領主、寄り物、解体する海民社会)
第4章 江戸前漁業のシステム 漁村と漁法と流通
江戸時代に漁村がうまれる(漁村の始まり、半農半漁、漁民の階層化) 江戸沿岸の漁村(江戸沿岸の浦 ①芝・金杉浦 ②品川浦 ③大井御林浦 ④羽田浦 ⑤佃島 ⑥深川浦 ⑦武相一七ヶ浦と新肴場)(江戸近辺の磯付村 ①大森村 ②南小田原町 ③葛西) 江戸前の漁法(三八職と小職、江戸時代の網漁①曳網漁 ②旋網漁、釣りによる漁法、刺突漁、採取による漁法) 江戸の鮮魚流通(職貸と職網、海の渡世人、魚河岸支配の終焉)
第5章 賑わう江戸の魚河岸 江戸っ子のルーツを探る
日に千両の商い(魚河岸のある朝 ①魚の荷が届く ②問屋と仲買 ③板舟 ④買出人 ⑤売買のやりとり ⑥せり ⑦魚の値段の決め方 ⑧附属業務)、(魚河岸の一年 ①正月 ②春 ③夏 ④秋 ⑤冬) 幕府御用達の明暗(納魚の名誉と負担、覇権をめぐる争い、お魚、御用だ) 江戸っ子の見本(魚河岸風俗、助六と魚河岸、江戸っ子にふたつある、魚河岸喧嘩仕法、建継騒動顛末、江戸防衛軍)
第6章 日本人と魚食、知られざる歴史
日本人はなぜ魚を食べてきたのか(サカナのなかの魚、食の禁忌、風土に育まれる食) 「食べられない」から生まれた食文化(多様な日本の魚食、魚なんて食べられなかった、知恵と工夫がうんだ水産物) 江戸の魚食、現代の魚食(魚とつきあう、上魚・中魚・下魚、江戸前の新鮮)
第7章 関東風の味覚はどうつくられたか 魚が劇的にうまくなった理由
江戸の味覚(西と東の味覚のちがい、最初は粗末な江戸の食、江戸の味覚をつくった調味料) 旬と初物(旬の魚、江戸の初物食い、初鰹騒ぎ) 外食文化の発展(外食の始まり、江戸の食べ物屋、グルメの発生)
第8章 江戸前料理の完成
浅草海苔ー真の江戸前ー(浅草海苔の由来、ひび建て養殖法、養殖技術が各地に伝わる) 佃島ー漁民のつくった保存食ー(漁民の副食物、漁民食から江戸名産へ、元祖と本家が仲良く並ぶ) 鰻ー外食文化のルーツー(「江戸前」は上方に始まる、鰻屋の風格、外食文化事始め) 天ぷらー南蛮渡来の江戸前料理ー(天竺からふらりと、天ぷらの起源、家康の命を奪う、江戸前の天ぷら、洒落から出た御座敷天ぷら) すしー伝統食のコペルニクス的転回ー(日本最古のすし、すしの始め、早ずしの登場、手品のすし、江戸前ずしの食べ方)
第9章 楽しみと畏怖、江戸人の水辺空間
水辺に遊ぶ(釣り、潮干狩り、舟遊び、遭難する江戸っ子) 異界の水際(たぶらかされて、すっぽんと鰻) 水辺の信仰(放生会、江戸前の祭礼、船下ろし)
第10章 江戸から東京へ、江戸前の終焉
海からやってきたえびす(クジラとえびす、鯨組ー近世最大の漁業システム、失われたえびす) 去りゆく江戸前(お台場建設、悲痛の江戸前漁業、品川浦漁師女房の門訴事件) 江戸前漁業の終焉(明治維新の漁業混乱、江戸前を救ったノリ養殖、京浜運河計画、漁業権全面放棄、江戸前の未来)// 付録 魚河岸の魚図鑑 あとがき、参考文献、写真資料所蔵・提供一覧、索引
第1章 なぜ江戸だったのか?
江戸前とは何か(江戸前の海はどこか、江戸前の魚は格別の味、江戸前はウナギのこと、江戸っ子のメンタリティ) 自然と人のつくった漁場(日本一豊かな漁場、人の手で魚が増える、江戸前漁場の資源保護) 江戸の生活からうまれた魚食(三日魚を食わねば、骨はバラバラに、町人たちの魚食、米と火事と独身者)
第2章 江戸の始まりから 魚河岸ができるまで
江戸の都市づくりと水運の改変(家康入国をめぐって、小名木川開削と日比谷入江埋め立て、江戸の在来漁民、利根川の東遷工事、鮮魚のきた道) 関西漁業の進出(漁民たちの軍功、佃島とシラウオ漁、続々と漁業者きたる、房州イワシ大漁節、他国出漁者の末路) 魚河岸の誕生(魚河岸起立の頃、魚河岸繁栄の立役者、四組問屋の設立)
第3章 海に生きた人々 漁業はどのように始まったか
水産業のルーツ(海を渡ってきた海人族、海人の広がり、航海とリスク) 古代・中世の流通ネットワーク(ヤマト王権の海都として、蹂躙される海民、市場流通の始まり、職能的海民の活躍) 海の上のしきたり(戦う海民、海の領主、寄り物、解体する海民社会)
第4章 江戸前漁業のシステム 漁村と漁法と流通
江戸時代に漁村がうまれる(漁村の始まり、半農半漁、漁民の階層化) 江戸沿岸の漁村(江戸沿岸の浦 ①芝・金杉浦 ②品川浦 ③大井御林浦 ④羽田浦 ⑤佃島 ⑥深川浦 ⑦武相一七ヶ浦と新肴場)(江戸近辺の磯付村 ①大森村 ②南小田原町 ③葛西) 江戸前の漁法(三八職と小職、江戸時代の網漁①曳網漁 ②旋網漁、釣りによる漁法、刺突漁、採取による漁法) 江戸の鮮魚流通(職貸と職網、海の渡世人、魚河岸支配の終焉)
第5章 賑わう江戸の魚河岸 江戸っ子のルーツを探る
日に千両の商い(魚河岸のある朝 ①魚の荷が届く ②問屋と仲買 ③板舟 ④買出人 ⑤売買のやりとり ⑥せり ⑦魚の値段の決め方 ⑧附属業務)、(魚河岸の一年 ①正月 ②春 ③夏 ④秋 ⑤冬) 幕府御用達の明暗(納魚の名誉と負担、覇権をめぐる争い、お魚、御用だ) 江戸っ子の見本(魚河岸風俗、助六と魚河岸、江戸っ子にふたつある、魚河岸喧嘩仕法、建継騒動顛末、江戸防衛軍)
第6章 日本人と魚食、知られざる歴史
日本人はなぜ魚を食べてきたのか(サカナのなかの魚、食の禁忌、風土に育まれる食) 「食べられない」から生まれた食文化(多様な日本の魚食、魚なんて食べられなかった、知恵と工夫がうんだ水産物) 江戸の魚食、現代の魚食(魚とつきあう、上魚・中魚・下魚、江戸前の新鮮)
第7章 関東風の味覚はどうつくられたか 魚が劇的にうまくなった理由
江戸の味覚(西と東の味覚のちがい、最初は粗末な江戸の食、江戸の味覚をつくった調味料) 旬と初物(旬の魚、江戸の初物食い、初鰹騒ぎ) 外食文化の発展(外食の始まり、江戸の食べ物屋、グルメの発生)
第8章 江戸前料理の完成
浅草海苔ー真の江戸前ー(浅草海苔の由来、ひび建て養殖法、養殖技術が各地に伝わる) 佃島ー漁民のつくった保存食ー(漁民の副食物、漁民食から江戸名産へ、元祖と本家が仲良く並ぶ) 鰻ー外食文化のルーツー(「江戸前」は上方に始まる、鰻屋の風格、外食文化事始め) 天ぷらー南蛮渡来の江戸前料理ー(天竺からふらりと、天ぷらの起源、家康の命を奪う、江戸前の天ぷら、洒落から出た御座敷天ぷら) すしー伝統食のコペルニクス的転回ー(日本最古のすし、すしの始め、早ずしの登場、手品のすし、江戸前ずしの食べ方)
第9章 楽しみと畏怖、江戸人の水辺空間
水辺に遊ぶ(釣り、潮干狩り、舟遊び、遭難する江戸っ子) 異界の水際(たぶらかされて、すっぽんと鰻) 水辺の信仰(放生会、江戸前の祭礼、船下ろし)
第10章 江戸から東京へ、江戸前の終焉
海からやってきたえびす(クジラとえびす、鯨組ー近世最大の漁業システム、失われたえびす) 去りゆく江戸前(お台場建設、悲痛の江戸前漁業、品川浦漁師女房の門訴事件) 江戸前漁業の終焉(明治維新の漁業混乱、江戸前を救ったノリ養殖、京浜運河計画、漁業権全面放棄、江戸前の未来)// 付録 魚河岸の魚図鑑 あとがき、参考文献、写真資料所蔵・提供一覧、索引
2016年6月8日に日本でレビュー済み
本書全体の (著者いうところの“全部入り”の)「大全」たる構成は――江戸前の魚食について序章で俯瞰したのち、前から「水運史」・「漁業史」、後からは「民俗学」をさしこんでの、「お江戸の魚食」の語りつくし!となっていて、最後の〆めに明治以降、現代までの衰頽に至る歴史が概観されています。
数ある話題の中から。
利根川の東遷工事のはなし。魚河岸が大震災までは私設市場であり、江戸時代には契約産地制で、消費者に運ばれるまでの間にあった各業者の利権争いも絶えなかったこと。なかでも森孫右衛門(鯉御用)と大和屋助五郎(鯛御用)のライバル問屋同士の対決。そして上納を迫る幕府とのせめぎ合ひ。そんな中で佃島が孤立文化圏として特別視されてゐたことや、江戸時代の天下統一によって一旗揚げた彼らの祖先も、それ以前はどこの政権にも属さぬ、海賊のような存在であり、古代漁師民族としてのルーツを持つこと。
近代となって江戸前漁業が衰退したものの、むしろノリ養殖が繁栄した事情。しかしそれさえ都市化による海の富栄養化がもたらしたものであり、やがては都市開発による干潟埋め立てで完全閉鎖される前の、いわば徒花好況であったという真実。
江戸時代に活魚が出回ってゐたことにもおどろきました。それも魚を氷で保存することのできない当時の日本人の知恵であって、干したり塩漬けにしたり燻製にしたり発酵させたり、日本人の知恵が生み出した多様な食べ方というのも、決して食生活の「豊かさ」がもたらせたバリエーションではなく、貴重な魚をなんとしても食べたがった「食べられないという逆境から生まれたものだった。(197p)」 そして「冷蔵冷凍技術、輸送技術のはるかに進歩した現代では、魚の熟成を追い越して、すこぶるつきの鮮度が手に入ってしまう。新鮮な魚はうまい、と一概にいえなくなった。新鮮の意味合いが時代とともに変わっ」てしまったのだ、(206p)と解説される条りには、目から鱗が落ちる思いがしました。
著者の思ひは、同時新刊の『築地の記憶(2016.5旬報社)』では、消えゆく魚市場の「江戸っ子気質」の残り香に焦点が当てられていましたが、この本ではその淵源と、背景にあった「魚文化」史の総括が図られており、江戸時代の専門知識や教養もかみ砕かれていて分かりやすく、ものものしい「大全」の名に拘らずとても読みやすい内容に仕上がっています。
言葉遣いにも、本書の蘊蓄を楽しみながら摂取してきた著者の自由な読書歴と、在野学者ならではの諸先学に対するリスペクトがしのばれて、読んでいて心持がいい。落語を存分に聞いて育った著者独特の呼吸なのでしょうが、この本でもユーモアは健在です。
数ある話題の中から。
利根川の東遷工事のはなし。魚河岸が大震災までは私設市場であり、江戸時代には契約産地制で、消費者に運ばれるまでの間にあった各業者の利権争いも絶えなかったこと。なかでも森孫右衛門(鯉御用)と大和屋助五郎(鯛御用)のライバル問屋同士の対決。そして上納を迫る幕府とのせめぎ合ひ。そんな中で佃島が孤立文化圏として特別視されてゐたことや、江戸時代の天下統一によって一旗揚げた彼らの祖先も、それ以前はどこの政権にも属さぬ、海賊のような存在であり、古代漁師民族としてのルーツを持つこと。
近代となって江戸前漁業が衰退したものの、むしろノリ養殖が繁栄した事情。しかしそれさえ都市化による海の富栄養化がもたらしたものであり、やがては都市開発による干潟埋め立てで完全閉鎖される前の、いわば徒花好況であったという真実。
江戸時代に活魚が出回ってゐたことにもおどろきました。それも魚を氷で保存することのできない当時の日本人の知恵であって、干したり塩漬けにしたり燻製にしたり発酵させたり、日本人の知恵が生み出した多様な食べ方というのも、決して食生活の「豊かさ」がもたらせたバリエーションではなく、貴重な魚をなんとしても食べたがった「食べられないという逆境から生まれたものだった。(197p)」 そして「冷蔵冷凍技術、輸送技術のはるかに進歩した現代では、魚の熟成を追い越して、すこぶるつきの鮮度が手に入ってしまう。新鮮な魚はうまい、と一概にいえなくなった。新鮮の意味合いが時代とともに変わっ」てしまったのだ、(206p)と解説される条りには、目から鱗が落ちる思いがしました。
著者の思ひは、同時新刊の『築地の記憶(2016.5旬報社)』では、消えゆく魚市場の「江戸っ子気質」の残り香に焦点が当てられていましたが、この本ではその淵源と、背景にあった「魚文化」史の総括が図られており、江戸時代の専門知識や教養もかみ砕かれていて分かりやすく、ものものしい「大全」の名に拘らずとても読みやすい内容に仕上がっています。
言葉遣いにも、本書の蘊蓄を楽しみながら摂取してきた著者の自由な読書歴と、在野学者ならではの諸先学に対するリスペクトがしのばれて、読んでいて心持がいい。落語を存分に聞いて育った著者独特の呼吸なのでしょうが、この本でもユーモアは健在です。
2016年6月18日に日本でレビュー済み
魚好きにはたまらない江戸前の魚、料理の
隆盛をさまざまな文献を基に辿っていく本。
江戸時代の「浦」は利権まみれで、紛争と
喧嘩ばかりなのは時代劇のまんま。娯楽と
して「暇だから喧嘩でもするか」というの
はイマドキのマイルドヤンキーより荒っぽ
い。
江戸前の漁業の成り立ち・歴史をざっくり
と知ることができるだけでなく、浅草海苔、
佃煮、鰻、天ぷら、すしの人気だった江戸
前料理の歴史もよくわかる。
図表が比較的多いのもいい。特に巻末にあ
る明治時代の魚図付きの「魚河岸の魚図鑑」
は江戸の内海で獲れた魚介類を中心に味の
特徴だけでなく、当時言われていた薬効に
も言及していて面白い。その魚にちなんだ
俳句や川柳も載っています。
江戸前入門としては充実した内容です。
ただ、大昔からの日本の水産業の変遷など
にもページを割いているため、ちょっとま
わりくどい感じも。また、文章も若干硬い
ので読みにくい。それがちょっと惜しい感
じでした。
隆盛をさまざまな文献を基に辿っていく本。
江戸時代の「浦」は利権まみれで、紛争と
喧嘩ばかりなのは時代劇のまんま。娯楽と
して「暇だから喧嘩でもするか」というの
はイマドキのマイルドヤンキーより荒っぽ
い。
江戸前の漁業の成り立ち・歴史をざっくり
と知ることができるだけでなく、浅草海苔、
佃煮、鰻、天ぷら、すしの人気だった江戸
前料理の歴史もよくわかる。
図表が比較的多いのもいい。特に巻末にあ
る明治時代の魚図付きの「魚河岸の魚図鑑」
は江戸の内海で獲れた魚介類を中心に味の
特徴だけでなく、当時言われていた薬効に
も言及していて面白い。その魚にちなんだ
俳句や川柳も載っています。
江戸前入門としては充実した内容です。
ただ、大昔からの日本の水産業の変遷など
にもページを割いているため、ちょっとま
わりくどい感じも。また、文章も若干硬い
ので読みにくい。それがちょっと惜しい感
じでした。