ジャーナリストである著者が、神経症を克服した人達にインタビューし、その体験をドキュメンタリータッチで描いています。
この本の最大の使命は、不安障害で悩んでいる当事者に、森田療法とその自助グループの役割、そして、そこで症状を乗り越えて自己実現を果たした人達の生の体験を伝えることだと思います。
そういう意味で、森田療法を「生活の発見会」で学んでみようと考えている人に、ぜひお勧めしたい本です。
「生活の発見会」の解説と共に１２名の体験談を読み進めていくと、自助グループが、学習や人との繋がりによって薬物療法では不可能な内面の変化を促し、人としての成長を支援する可能性があることがわかります。
冒頭のメインとなる体験談は、インパクトがあり、ここだけを読むと森田療法は厳しいという印象を持つかもしれませんが、神経症を克服するにはそれだけ治したいという強い意志が必要だという、著者の強いメッセージが伝わってきます。
最後には、森田療法専門医による解説が載っていて、「回復の物語」に理論的な解釈を与えています。
森田正馬の時代から形外会という会合があり、そこでお互いの経験を語り合い、学び合い、そしてそれが回復への道筋を示すものとなっていった…とあります。
現代においても、回復には、自助グループという安心できる場で自分の経験を物語として語ることの必要性が示されているのが興味深いと思いました。
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