「レヴェナント 蘇りし者」と本作を続けて鑑賞し、比較してのレビューを試みようとしましたが、WOWOWで「レヴェナント 蘇りし者」を観たのが4年前(本ブルーレイもその時点では手元にありましたが)。
すっかり忘却の彼方へとなってしまい、とても比較は出来ないと断念。但し1つ言えることは本作でリチャード・ハリスはアカデミーにノミネートはされていません。ディカプリオは主演男優賞を受賞しました。
と言う事は演技に相当の差があるのかと思われるかもしれませんが、ハリスはややもすればオーヴァーアクトとも思える演技が得意な役者なのに本作では珍しく抑えた演技。
それが却って観る者にインパクトを与える見事な演技と言えます。ディカプリオも確かに鬼気迫る演技で受賞に値するとは思いますが、本作のハリスを上回っているかと言うと個人的には?
もし本作に興味を持たれた方は作品の比較と共にハリスとディカプリオの演技を比べてみるのも良いかもしれません。
本作は先住民が出てきたりして、一応西部劇の体裁を取ってはいますが、ハリス演じる主人公ザカリー・バスは劇中一度も銃を抜きません。確かガンベルトすらしてなかったはず。
なので主人公がドンパチするアクションシーンは全くありません。撃ち合いシーンは終盤に用意されてはいるものの、西部劇に付きものの華麗なるガンファイトを期待したら肩透かしを食らいます。
雪降るシーンが多いこともあって常に空はどんよりと曇っていますので、兎に角暗いイメージで物語は展開されます。復讐の為のサヴァイバル劇がお話の中心なので致し方なしですが。
しかし一服の清涼剤となる様なシーンもあります。
例えば先住民の女性が森の茂みの中で一人お産をしようとしていると、ザカリーが木の間からそれを盗み見し、回想シーンとなります。
ザカリーが奥さんの墓参りをしていると、ヨチヨチ歩きの息子(どう見ても娘にしか見えませんが)がザカリーに寄ってくる回想シーンは何とも微笑ましい。バックに抒情的な音楽が流れるのもグーッド。
足を怪我したウサギに添え木をしてやるシーンもザカリーの優しさをさらりと描写しており、良いですねぇ。
「キャット・ダンシング」のリチャード・C・サラフィアン監督の初西部劇。「バニシング・ポイント」を撮った後なのでかなりプレッシャーあったと思われますが、そんな事微塵も感じさせない手堅い演出は好感持てます。
「サンバーン」から見る影もない2流監督に成り下がってしまいましたが、ひょっとしたら双子の弟がいたのかもしれません。それぐらいの落ちぶれ度ですから。
ちなみに瀕死のバッファローにハイエナが群がってくる(と言っても2匹ですが)恐ろしい程リアルなシーンがありますが、あれはどう観ても本物のバッファローとハイエナ。
今だったら動物愛護団体から間違いなくクレームが入ると思いますが、当時はどうだったのかなぁ。