出演∶リチャード・ハリス、ロッド・テイラー、アル・レッティエリ、ネヴィル・ブランド、イセラ·ヴェガ
監督∶バリー・シアー
位置付けの難しい西部劇映画だ。西部劇黄金時代の戦前~'50年代を過ぎ、ベトナム戦争泥沼化の影響からアメリカ的正義の勧善懲悪が描かれにくくなった'60年代西部劇を経て、反体制的ニューシネマの時代ドップリの1973年製作だ。
主人公のキルパトリック(ハリス)はアイルランド出身の保安官という変り種。銃は決して使わず犯人を逮捕する主義だ。だが、町の銀行を襲撃した凶悪犯ブランド(テイラー)と3人の手下に妻と息子を殺されて、復讐鬼と化した彼は管轄権の及ばないメキシコまで4人を執拗に追って次々と血祭りにあげていく……。
たしかに法律を無視した主人公の行動には感情移入しにくい展開だが、当時のニューシネマにはよくあるパターンである。法と正義からはみ出した人物ばかりが出てくるのがダメな人には向かない映画ですね。そこらへんのポイントが批判の対象になることが多いようだが、そこまで深く考えることはないんじゃないかと思うのですが。
'50年代の西部劇にも似たようなものはあります。例えば1958年のグレゴリー・ペック主演の『無頼の群』。主人公の牧場主は、妻を殺した犯人らしき4人の無法者が強盗殺人で絞首刑になるのを見物に行くが、4人は脱獄してしまう。復讐鬼となった主人公は、4人を追って次々倒して行き、最後は国境を越えてメキシコまで殺しに行くのだ。
『死の追跡』は、たまたまニューシネマ時代に作られたために、穿った見方で批評されているような気がする。それとは別の楽しみ方もある。意外なキャスティングが面白い。実際にアイルランド出身の名優ハリスがアメリカ西部の保安官だし、『ゴッドファーザー』『ゲッタウェイ』の悪役で売り出した直後のレッティエリが法に忠実なメキシコ人保安官だ。
ヒッチコック監督の名作『鳥』に主演したテイラーが血も涙もない大悪役。'50年代西部劇の悪役やTVシリーズ『アンタッチャブル』で知られるネヴィル・ブランドがゴッツイ義手の無法者なのも面白い。傑作とは言いがたいが、楽しめる西部劇映画だと思う。
死の追跡 [Blu-ray]
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フォーマット | Blu-ray |
コントリビュータ | ロッド・テイラー, リチャード・ハリス, バリー・シアー |
言語 | 英語 |
稼働時間 | 1 時間 45 分 |
映画『オッペンハイマー』関連作品発売中
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登録情報
- 言語 : 英語
- 製品サイズ : 30 x 10 x 20 cm; 80 g
- EAN : 4548967275421
- 監督 : バリー・シアー
- メディア形式 : Blu-ray
- 時間 : 1 時間 45 分
- 発売日 : 2016/9/7
- 出演 : リチャード・ハリス, ロッド・テイラー
- 字幕: : 日本語
- 販売元 : ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
- ASIN : B01E8I63BO
- 原産国 : 日本
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 68,919位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- - 293位外国の西部劇映画
- - 5,481位外国のアクション映画
- - 6,144位ブルーレイ 外国映画
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年2月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
地上波で放映された時を見逃してしまい、以来数十年ずーっと観たい観たいと思い続けてきた作品だけに廉価版でのブルーレイ化は嬉しい限り(しかも「荒野に生きる」までが)。
感謝感激雨霰、ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントさん、ありがとう!(画質もBRだけにまずまず)
ストーリーはレビュー・タイトルにもあるよう全編マカロニ・ウェスタンそのまんまで、ジョン・ウェインやジミー・スチュワート主演の古き良き正統派西部劇を好まれる方にはソッポを向かれるのは確実。
しかし私のようにマカロニ大好きな好事家には堪らんのですよ、こういう作品は。
リチャード・ハリス演じる保安官キルパトリックが復讐の鬼と化す原因が妻だけではなく子供まで惨殺されるってところが正にマカロニ(子供の殺し方が特に酷い)。
色っぽいオネェチャン女優が彩り添えないのが、唯一マカロニっぽくないと言える点かもしれない(女優は出演しますが、イセラ・ヴェガではチョット...)。
テキサスの小さな町サンタ・ローザでは、アイルランド出身の非暴力主義者ショーン・キルパトリック(リチャード・ハリス)保安官によって治安が保たれていた。
ある日、フランク・ブランド(ロッド・テイラー)率いる4人組のならず者が銀行を襲撃。
キルパトリックは町の住民たちの協力の下、手下どもを取り押さえるが、フランクは学校を占拠し、キルパトリックの息子ケビンを人質に取り、逃げようとする。
そこへキルパトリックの妻であり、ケビンの母親であるキャサリンが馬にしがみついてきたので、容赦なく射殺すると、息子を放り投げ、馬脚で踏み殺したのだった
2人の死体に駆け寄るキルパトリック。その目はギラギラと復讐に燃えているのだったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
ここまでがタイトル・ロールから約17分。ここから邦題通りの主人公の復讐の旅が始まる訳だが、私がうだうだと書き綴るよりもBDをご覧になられた方が良いでしょう。
さて出演者達ですが、リチャード・ハリスは史劇の時と殆ど変わらないような大仰な演技で主人公を好演。但し、トレード・マークのようなあの長髪は西部劇では何とかして欲しい。
悪党役のロッド・テイラーは最初ミスキャストだと思いましたが、終盤『なるほどこのために彼を悪党役に起用したのか』と思わせるエピソードがあって、まぁ納得。
それより主人公とは別に、フランク一味を追っかけるメキシコ人保安官ルドルホ・グテーレスを演じたアル・レッティエリが悪党役をやるべきだったでしょう。
「ゲッタウェイ」や「マジェスティック」で極悪野郎を演じたあのオッサンですよ。
わたしゃアル・レッティエリが最後の最後で本領発揮して『なんかやらかしてくれるんだろうなぁ』と期待してたんですが、悪い意味でやらかしてくれます。まぁこれは観てのお楽しみ。
そして外しちゃならないのがフランクの手下役のネヴィル・ブランドでしょう。常軌を逸した役をやらせれば天下一品のオッサンですが、今作ではかなりマトモな役。
しかし見てくれは流石と思わせます。
鉄道で右腕を轢かれ、義手を装着しているのですが、これがなんとレールを短く切った様な鉄の塊。
こんな物、なんの役に立つのかと思ってしまうのですが、ちゃんと役に立つのですよ、どうでも良いような事で。これも観てのお楽しみ。
この辺りもマカロニで観られる奇抜さを真似たような気がしますね。
レビュー・タイトルに記した脚本の杜撰さについて、これも百聞は一見にしかずなんですが、1点だけ挙げますと
劇中突然主人公の視力が衰え(微かに見えるのだが、見える景色がまるでプレデターの視界のよう)『こりゃマカロニ・ウェスタンの「ミネソタ無頼」のような展開になるのかぁ』と期待したら、
しばらくすると自然に視力が回復していると言ういい加減さ。あれは何の為の設定だったのか?!ホンマニどうでも良いようなエピソードです。
元々はサミュエル・フラーが撮る予定だったので、原案者はフラーとなったようです。
フラーが撮っていたら、どうなっていたんでしょうねぇ...
感謝感激雨霰、ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントさん、ありがとう!(画質もBRだけにまずまず)
ストーリーはレビュー・タイトルにもあるよう全編マカロニ・ウェスタンそのまんまで、ジョン・ウェインやジミー・スチュワート主演の古き良き正統派西部劇を好まれる方にはソッポを向かれるのは確実。
しかし私のようにマカロニ大好きな好事家には堪らんのですよ、こういう作品は。
リチャード・ハリス演じる保安官キルパトリックが復讐の鬼と化す原因が妻だけではなく子供まで惨殺されるってところが正にマカロニ(子供の殺し方が特に酷い)。
色っぽいオネェチャン女優が彩り添えないのが、唯一マカロニっぽくないと言える点かもしれない(女優は出演しますが、イセラ・ヴェガではチョット...)。
テキサスの小さな町サンタ・ローザでは、アイルランド出身の非暴力主義者ショーン・キルパトリック(リチャード・ハリス)保安官によって治安が保たれていた。
ある日、フランク・ブランド(ロッド・テイラー)率いる4人組のならず者が銀行を襲撃。
キルパトリックは町の住民たちの協力の下、手下どもを取り押さえるが、フランクは学校を占拠し、キルパトリックの息子ケビンを人質に取り、逃げようとする。
そこへキルパトリックの妻であり、ケビンの母親であるキャサリンが馬にしがみついてきたので、容赦なく射殺すると、息子を放り投げ、馬脚で踏み殺したのだった
2人の死体に駆け寄るキルパトリック。その目はギラギラと復讐に燃えているのだったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
ここまでがタイトル・ロールから約17分。ここから邦題通りの主人公の復讐の旅が始まる訳だが、私がうだうだと書き綴るよりもBDをご覧になられた方が良いでしょう。
さて出演者達ですが、リチャード・ハリスは史劇の時と殆ど変わらないような大仰な演技で主人公を好演。但し、トレード・マークのようなあの長髪は西部劇では何とかして欲しい。
悪党役のロッド・テイラーは最初ミスキャストだと思いましたが、終盤『なるほどこのために彼を悪党役に起用したのか』と思わせるエピソードがあって、まぁ納得。
それより主人公とは別に、フランク一味を追っかけるメキシコ人保安官ルドルホ・グテーレスを演じたアル・レッティエリが悪党役をやるべきだったでしょう。
「ゲッタウェイ」や「マジェスティック」で極悪野郎を演じたあのオッサンですよ。
わたしゃアル・レッティエリが最後の最後で本領発揮して『なんかやらかしてくれるんだろうなぁ』と期待してたんですが、悪い意味でやらかしてくれます。まぁこれは観てのお楽しみ。
そして外しちゃならないのがフランクの手下役のネヴィル・ブランドでしょう。常軌を逸した役をやらせれば天下一品のオッサンですが、今作ではかなりマトモな役。
しかし見てくれは流石と思わせます。
鉄道で右腕を轢かれ、義手を装着しているのですが、これがなんとレールを短く切った様な鉄の塊。
こんな物、なんの役に立つのかと思ってしまうのですが、ちゃんと役に立つのですよ、どうでも良いような事で。これも観てのお楽しみ。
この辺りもマカロニで観られる奇抜さを真似たような気がしますね。
レビュー・タイトルに記した脚本の杜撰さについて、これも百聞は一見にしかずなんですが、1点だけ挙げますと
劇中突然主人公の視力が衰え(微かに見えるのだが、見える景色がまるでプレデターの視界のよう)『こりゃマカロニ・ウェスタンの「ミネソタ無頼」のような展開になるのかぁ』と期待したら、
しばらくすると自然に視力が回復していると言ういい加減さ。あれは何の為の設定だったのか?!ホンマニどうでも良いようなエピソードです。
元々はサミュエル・フラーが撮る予定だったので、原案者はフラーとなったようです。
フラーが撮っていたら、どうなっていたんでしょうねぇ...
2015年6月5日に日本でレビュー済み
どんな無法者にも発砲せず街の住人の信頼も厚いアイルランド移民の保安官キルパトリック(リチャード・ハリス)。良き夫良き父。銀行強盗一味、ブランド(ロッド・テイラー)、らにより冒頭、妻子を殺された彼はそれまでの信念を捨て、ブランド一味を鬼と化してたった1人で追跡する。まさに原題、Deadly Tracker。銃こそが諸悪の根源と考えていた俺は間違っていたのか?俺の信念が2人の命を奪ったのか?深い絶望と悔恨を突き抜けて、彼の頭にあるのはただ「怨」の一字。それまでの掲げていた理想はいともあっさりとかなぐり捨てられる。
マカロニの影響をあげる向きもあり、確かにそのようなのですが、本家マカロニをそれほど観ていない評者には新鮮ですが、マカロニを観たおした方には物足りなく感じるかも知れません。一方で60年代後半までのハリウッド西部劇、およびこの時期に名作が生み出されたいわゆるニューシネマウェスタンとも異なる空気。骨組みは現代劇でも時代劇でもありえる普遍的な物語だが、バリー・シアー監督(TV作品が多く、映画では『110番街交差点』)の作り出す陰鬱でどんよりした空気が全編を覆う。冒頭のタペストリー調に加工したスライドショウによる簡潔な人物設定処理(本作はスローモーションではなくストップモーションもよく見受けられる)も良い。
ひたすらデスペレイトに一党を追う幽鬼と化し、聖書の言葉を唱える牧師の口をふさぐリチャード・ハリス(『孤独の報酬』『男の闘い』『ジャガーノート』『オルカ』『カサンドラ・クロス』『ワイルド・ギース』『許されざる者』)。もう、神の御言葉も彼を慰めはしない。神を捨てた瞬間だ。「俺を許すのが神の仕事」とまで言う。徒労感・虚無感を醸し出せば右に出る者のないハリスの危機迫る芝居。ここでもその疲労感はハンパなく、復讐譚といえども爽快感はみじんもない。痛めつけられて自身の血にまみれ、息も絶え絶え、心身ともに手負いのハリス。彼のファンなら本作を見逃す手はないと思います。
本作の魅力の一つがキャスティングと芝居。元2枚目俳優ロッド・テイラー(『タイムマシン』『鳥』本2015年逝去)が憎々しげに演じる野蛮・残忍な頭領が出色。その妻に『ガルシアの首』のイセラ・ヴェガ。ちょっと存在感が薄いが・・。悪役でならしたアル・レティエリ(『ゴッドファーザー』『ゲッタウェイ』)が、法の遵守・裁きを説くメキシコの保安官グテーレスという逆さまのキャスティングが意表を突く。アイリッシュとメキシカンの間に芽生える奇妙な連帯とジレンマ。またテイラーの手下チュー・チュー(ネヴィル・ブランド『終身犯』)の設定が異色。子どもの時に親父と鉄道事故に会い、右手首を失うが、事故の場所のレールを切り取って義手にしている。ダンディないでたちの黒人ジェイコブ(ポール・ベンジャミン『110番街交差点』『アルカトラズからの脱出』)など息の長い名脇役が集合。本作はほんとに役者が良く、赤裸々な人間たちのキャラが立ちあがっている。
原案はサミュエル・フラー。当初は監督の予定とのこと(IMDbではuncreditedとなっていて、一部撮影していた可能性あり)。まぶしいメキシコの陽光と重苦しい情念の対比、噴出する暴力、爆発する葛藤、人の複雑な二面性、くるくると回転する善悪・正邪。どこまでも陰惨で救いようのない後半には異論もあろうがいろいろ考えさせられる。建前を採っても本音を採っても人生は苦い。人は常に選択を迫られる。まだ良くなる余地はありますが、本作は過少評価されているのでは。私は評価します。70年代の『許されざる者』、といえば言い過ぎだが・・。
THE DEADLY TRACKERS 1973, US, Cine Films Inc., WB, Theatrical aspect ratio 1.85 : 110min(105min. 西ドイツ, Color , Mono ( IMDb )
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画質は可もなく不可もなく。やや甘味あり、鮮明さに欠けますが及第点。特にストレスはない。
リージョン2 NTSC
映像仕様は16:9(ヴィスタ)、画面アスペクト比:1.78:1(おそらく左右若干トリミング?)
103分(PAL換算だとしても105分のはずだが)
片面1 層、Color
音声:英語Mono
字幕:日本語
映像特典:―
付属物:―
関連キーワード:復讐、アウトロー、追跡、執念、メキシコ、保安官、修道院、父と娘、義手、娼館
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2016年追記:2016年9月にDVD再発、廉価初BD化予定
マカロニの影響をあげる向きもあり、確かにそのようなのですが、本家マカロニをそれほど観ていない評者には新鮮ですが、マカロニを観たおした方には物足りなく感じるかも知れません。一方で60年代後半までのハリウッド西部劇、およびこの時期に名作が生み出されたいわゆるニューシネマウェスタンとも異なる空気。骨組みは現代劇でも時代劇でもありえる普遍的な物語だが、バリー・シアー監督(TV作品が多く、映画では『110番街交差点』)の作り出す陰鬱でどんよりした空気が全編を覆う。冒頭のタペストリー調に加工したスライドショウによる簡潔な人物設定処理(本作はスローモーションではなくストップモーションもよく見受けられる)も良い。
ひたすらデスペレイトに一党を追う幽鬼と化し、聖書の言葉を唱える牧師の口をふさぐリチャード・ハリス(『孤独の報酬』『男の闘い』『ジャガーノート』『オルカ』『カサンドラ・クロス』『ワイルド・ギース』『許されざる者』)。もう、神の御言葉も彼を慰めはしない。神を捨てた瞬間だ。「俺を許すのが神の仕事」とまで言う。徒労感・虚無感を醸し出せば右に出る者のないハリスの危機迫る芝居。ここでもその疲労感はハンパなく、復讐譚といえども爽快感はみじんもない。痛めつけられて自身の血にまみれ、息も絶え絶え、心身ともに手負いのハリス。彼のファンなら本作を見逃す手はないと思います。
本作の魅力の一つがキャスティングと芝居。元2枚目俳優ロッド・テイラー(『タイムマシン』『鳥』本2015年逝去)が憎々しげに演じる野蛮・残忍な頭領が出色。その妻に『ガルシアの首』のイセラ・ヴェガ。ちょっと存在感が薄いが・・。悪役でならしたアル・レティエリ(『ゴッドファーザー』『ゲッタウェイ』)が、法の遵守・裁きを説くメキシコの保安官グテーレスという逆さまのキャスティングが意表を突く。アイリッシュとメキシカンの間に芽生える奇妙な連帯とジレンマ。またテイラーの手下チュー・チュー(ネヴィル・ブランド『終身犯』)の設定が異色。子どもの時に親父と鉄道事故に会い、右手首を失うが、事故の場所のレールを切り取って義手にしている。ダンディないでたちの黒人ジェイコブ(ポール・ベンジャミン『110番街交差点』『アルカトラズからの脱出』)など息の長い名脇役が集合。本作はほんとに役者が良く、赤裸々な人間たちのキャラが立ちあがっている。
原案はサミュエル・フラー。当初は監督の予定とのこと(IMDbではuncreditedとなっていて、一部撮影していた可能性あり)。まぶしいメキシコの陽光と重苦しい情念の対比、噴出する暴力、爆発する葛藤、人の複雑な二面性、くるくると回転する善悪・正邪。どこまでも陰惨で救いようのない後半には異論もあろうがいろいろ考えさせられる。建前を採っても本音を採っても人生は苦い。人は常に選択を迫られる。まだ良くなる余地はありますが、本作は過少評価されているのでは。私は評価します。70年代の『許されざる者』、といえば言い過ぎだが・・。
THE DEADLY TRACKERS 1973, US, Cine Films Inc., WB, Theatrical aspect ratio 1.85 : 110min(105min. 西ドイツ, Color , Mono ( IMDb )
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画質は可もなく不可もなく。やや甘味あり、鮮明さに欠けますが及第点。特にストレスはない。
リージョン2 NTSC
映像仕様は16:9(ヴィスタ)、画面アスペクト比:1.78:1(おそらく左右若干トリミング?)
103分(PAL換算だとしても105分のはずだが)
片面1 層、Color
音声:英語Mono
字幕:日本語
映像特典:―
付属物:―
関連キーワード:復讐、アウトロー、追跡、執念、メキシコ、保安官、修道院、父と娘、義手、娼館
本サイトでヒットする他の商品:なし
2016年追記:2016年9月にDVD再発、廉価初BD化予定