地政学と聞くと読むのをためらう方もいらっしゃるかもしれませんが、本書は、「地理」というものにもっと意識を持たなければならない、という視点で述べられています。本書第15章の文言にも「われわれは地理に屈するのではなく、よりよい世界を目指すために、地理を意識しなくてはならない。」とあります。
その15章。メキシコとアメリカの関係について述べられていますが、ここは他の章よりも最も日本に関連があるように思いました。メキシコからの人口の流入は、トランプ大統領の言う「壁」の話以上に、アメリカ社会に影響を与えているという実相を知ることが出来ます。
また、第14章の旧オスマン帝国、すなわちトルコ共和国についても、とても興味深く読むことが出来ます。エルドアン大統領と「イスラム化」という2点以外の、この国が持つ重要性や存在感の話には、妙に納得もしてしまいました。
この他、いわゆる国際のニュースを理解する上でも、本書は役に立つでしょう。表層的な文言の中に含まれるものとは何なのか。全て判るとはいかないまでも、そういったものを聴く素地を作る意味においても、本書は有益であると感じます。
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地政学の逆襲 単行本 – 2014/12/5
ロバート・カプラン
(著)
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国際情勢を読み解くカギは"地理"にある!米情報機関「ストラトフォー」の主席アナリストによる、地政学分析の決定版。欧州、ロシア、中国、インド、イラン、トルコなどの地理的条件や歴史から、今後の世界動向を予測する。ニューヨークタイムズベストセラー。
- 本の長さ416ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2014/12/5
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.7 cm
- ISBN-104023313513
- ISBN-13978-4023313514
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2014/12/5)
- 発売日 : 2014/12/5
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 416ページ
- ISBN-10 : 4023313513
- ISBN-13 : 978-4023313514
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 329,793位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 144位地理学・地誌学
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年5月17日に日本でレビュー済み
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2015年8月4日に日本でレビュー済み
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地政学入門 外交戦略の政治学 (中公新書)読後にこの本を読みましたが、この本のほうが扱っている地政学説が幅広く、年代も新しいです。
マッキンダーのハートランドやリムランドの解説は前述のほうが詳しい内容ですが、本書では地政学の現状と学問的な位置づけについても触れています。
1章で学問的な立ち位置が語られますがこれが中々。地政学は現実主義に基づくもので、理想の追求や絶対善よりも悲劇の防止を目的にすると。
また、どうしても決定論、運命論的な主張に聞こえるため(実際ハウスホファーによってナチスの侵略主義に理論的な妥当性を与えてしまった)、
西欧の進歩主義、理想主義的な左派勢力はどうしても地政学を軽視しがちになる、という段は興味深かった。
なので著者はゆるやかな決定論、(地理によって決められはしないが拘束はされる)という立場が望ましいとも述べている。
本書は幅広い学説を紹介していると言っても深みが無いわけではまったく無く、逆に時代によって主要な論者が異なってくる、
それはつまり時代が進むにつれて現実の状況が変化していくことの反映であることが良くわかる。
当然アジア地域についても触れられているわけだが、ここで驚いたのがポール・ブラッケンという現イェール大学の教授の内容で、
1999年の時点ですでにアジア地域の人口増と工業化の進展によって勢力の緩衝地帯にできるような国境線、空白地帯はどこにもなくなった、
その結果、冷戦時代以上の緊張状態が(大量破壊兵器の拡散もあり)アジア地域に出現するだろうということを予見している。
ということで次はブラッケンの著作だと思い探したものの邦訳が無いようで至極無念である。
そろそろ日本の大学でも地政学を解禁してもいいんじゃなかろうかと思うのだがどうなんだろうか。
マッキンダーのハートランドやリムランドの解説は前述のほうが詳しい内容ですが、本書では地政学の現状と学問的な位置づけについても触れています。
1章で学問的な立ち位置が語られますがこれが中々。地政学は現実主義に基づくもので、理想の追求や絶対善よりも悲劇の防止を目的にすると。
また、どうしても決定論、運命論的な主張に聞こえるため(実際ハウスホファーによってナチスの侵略主義に理論的な妥当性を与えてしまった)、
西欧の進歩主義、理想主義的な左派勢力はどうしても地政学を軽視しがちになる、という段は興味深かった。
なので著者はゆるやかな決定論、(地理によって決められはしないが拘束はされる)という立場が望ましいとも述べている。
本書は幅広い学説を紹介していると言っても深みが無いわけではまったく無く、逆に時代によって主要な論者が異なってくる、
それはつまり時代が進むにつれて現実の状況が変化していくことの反映であることが良くわかる。
当然アジア地域についても触れられているわけだが、ここで驚いたのがポール・ブラッケンという現イェール大学の教授の内容で、
1999年の時点ですでにアジア地域の人口増と工業化の進展によって勢力の緩衝地帯にできるような国境線、空白地帯はどこにもなくなった、
その結果、冷戦時代以上の緊張状態が(大量破壊兵器の拡散もあり)アジア地域に出現するだろうということを予見している。
ということで次はブラッケンの著作だと思い探したものの邦訳が無いようで至極無念である。
そろそろ日本の大学でも地政学を解禁してもいいんじゃなかろうかと思うのだがどうなんだろうか。
2017年2月23日に日本でレビュー済み
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地理学の知識がある方向けの本です。
教養書として最適と思います
教養書として最適と思います
2019年6月27日に日本でレビュー済み
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あまりに情報量が豊富なので、読み終えるのにすごく時間がかかった。でも、文章はとてもわかりやすく、初心者にもよく理解できると思う。世界の主要国の、歴史で過去を、地理で現在を学び、政治・経済・軍事などで未来における諸国の連携や紛争を予測する。マハン、マッキンダー、スパイクマン、マクニール、ハンティントンといった著名人の学説がところどころに引用されていて事例とともに学べるのも魅力だ。
2016年7月24日に日本でレビュー済み
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これを読むと結局マッキンダーを読みたくなる。
マッキンダーは良くもわるくも時の流れを感じる書籍なので、こちらが我が身には置き換えて読みやすい。
地政学の入り口にもなる良書です。
マッキンダーは良くもわるくも時の流れを感じる書籍なので、こちらが我が身には置き換えて読みやすい。
地政学の入り口にもなる良書です。
2019年3月24日に日本でレビュー済み
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地政学上の分析から見る世界情勢の予測が的確に合致していること。
2015年9月6日に日本でレビュー済み
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·細かなデーターの蓄積による分析と、大局観を持った展望の展開は日本にはあまり見えなく良かった。
2019年10月6日に日本でレビュー済み
地理と政治の結合、地政学はかつて戦争の学問で日陰者扱いであったが、北東アジアのみならず中近東でもきな臭い匂いがただようなか、ヨーロッパへの大量の移民、未来へ不変の地理、地図上に占める国の位置、政治が生み出される。激動の時代に地図が重要な意味をもってくる。政治的基盤がゆらいでいる今の時代、地図は次に起こりそうなことを予測させる手がかりになる、重要な情報の宝庫である、地図は軍事情報で機密扱いであった、いまでも海図はそうであろう、ユーラシア回転軸理論 マッキンダー。マッキンダーは古典といわれるが、古さを感じさせない、日本国に置き換えて読みやすい、地政学の入り口にもなる良書。
マッキンダーの地政学について。11世紀から20世紀にかけて世界史に影響を与えたモンゴルの遊牧民の役割を拡大ロシアが担い始めた。さらに中国がロシア領土を征服する可能性に言及し、中国が主要な地政学的勢力になると。マッキンダーが第一次世界大戦後を出発点としたのは、地球上の全ての陸地の政治的所有権が明らかになった世界であり、そこから世界島の概念が生じた。自己完結的社会であるインドと中国は平和的発展が可能だが、欧州と中東はハートランドに大きな影響を受けるため、未来はインドと中国のモンスーン地帯によって左右される。
マッキンダー地政学は決定論的とされるが、彼自身は環境は克服可能とした。最大の知識と敬意をもって地理と向き合わなくてはならない。ナチスによる歪曲ドイツにおける地政学について。ドイツは欧州の中央に位置し、ランドパワーでもありシーパワーでもある。ナチスの地政学者 ハウスホーファーは、マッキンダーの理論をドイツの視点に当て嵌め、ドイツが世界大国になるためにドイツとロシアの広域圏を統合すべきとした。ドイツ中部から満州、極東ロシアに至る地域を支配すれば、軍需工場を内陸に避難させ、陸海軍であらゆる方向を攻撃可能とした。マッキンダーが東欧に独立国家からなる緩衝地帯を設ける事を提唱したのとは逆に、ハウスホーファーはそうした諸国の消滅を主張した。
第六章 リムランド理論
ニコラス・J・スパイクマンの思想。地理の重視。地理の非情さに由来する空間をめぐる闘争からは逃れられない。世界は無法状態であり、全ての国が自衛のために戦わなくてはならない。米国は大西洋と太平洋に面している地理的に恵まれた国とする。争乱に巻き込まれることなくアジアと欧州に影響力を行使出来る。戦略的中心地はメキシコ湾を含むカリブ海であり、パナマ運河の建設により大国となった。アメリカ大陸は北米と南米に分かれているのでなく、アマゾンを中心とする赤道ジャングル以北と以南に分かれているとする。コロンビア、ベネズエラ、ギアナ地方は南米の北岸にあるが、北米とカリブ海の一部を成している。南米の南半分は太平洋とアンデス山脈に押し潰されており、利用可能な河川も少ないため、歴史的に重要な連絡路には成り得ないとする。
⇒米国はカリブ海を支配し、熱帯林や山脈によって南米の中心部から切り離されているため、西半球には挑戦する国が無いとする
仮にアメリカ大陸が自由な北米と枢軸国に支配された南米に分裂すれば米国の優位に終止符が打たれるとした。第二次世界大戦において仮に米国が欧州支配をめぐるドイツとの争いを避けても、南米の覇権をめぐる争いが生じたはずとする。<リムランド>ユーラシアの周辺地帯、特に沿岸地帯。海洋志向のリムランドは、ユーラシアを支配するだけでなく、外部世界と接触するための重要な地域である。リムランドが世界的勢力になるために重要な地域とする。欧州の周辺地帯、中東、インド亜大陸、極東が莫大な人口、経済開発、炭化水素資源によってインド洋と太平洋の沿岸地域を支配する。ロシアが北極海海域の温暖化に助けられても、これらの地域に抑え込まれるとする。第七章 シーパワーの魅惑
マッキンダーがランドパワーに重点を置いたのは、鉄道や道路交通における新技術を考慮したからである。同様に、アルフレッド・セイヤー・マハンはシーパワーの重要性を説いた。海洋を支配する事は、富を蓄積する手段の一環である。
海軍戦略に重要な地として、アラピアとインドに挟まれた地域を指す用語として、1902年に「中東」という言葉を初めて用いたのはマハンである。
インドは、インド洋沿岸帯の中央に位置し、後方をヒマラヤ山脈に保護されており、海から中国に侵入するうえで極めて重要な地である。
インド洋と太平洋が世界の地政学的運命を握るとした。ロシアはインド洋から離れているために脆弱とする。富の蓄積に不利な位置。
マハンの意見の欠陥として、ランドパワー国家がイベリアからウラル山脈までの欧州を素早く包囲出来る事を考慮していなかったとする。
ユーラシアの現状は、米国海軍が縮小傾向にはあるが同盟国と貿易環境保護のために海を警備する一方で、中国やインドがマハンの思想に基づいて軍事力を増強させている。さらに北極海航路の利用可能性が拡大しており、覇権争いの激しさが増すとする。
第八章 空間の危機
かつては人口が希薄な地理空間が、軍事進出や技術進歩に対する安全装置の役割を果たしたが、技術進歩によって地政学的に距離が圧縮される中、限られた地球の規模が不安定要因になる可能性。
戦争技術と富の創出は密接に結び付き、アジアの経済力の高まりは、軍事力の高まりを齎している。
アジアにおける米国の力が低下し、中国のインドが軍事力を伸ばす中で、地理的緊張が高まる。かつては長い距離やヒマラヤ山脈が安全を担保していたが、技術進歩は距離を圧縮する。
人口爆発も同様であり、旧第三世界では人口の半数以上が都市部で暮らし、2025年には2/3に高まるらしい。将来の都市部の人口増は発展途上国に集中する。マッキンダーの活躍した20世紀初頭には、都市生活者が世界人口に占める割合は14%だった。
イブン・ハルドゥーンは、『歴史序説』の中で、都市化過程を説明している。連帯意識の強い遊牧民が物質的な快適を求めて定住を始める。強力な支配者が生まれ、安全を提供する事で都市が繁栄する。しかし個人が富を蓄積し影響力を高めると連帯が失われ、また、権威を保つための贅沢が帝国の衰退を招くとする。
この過程が地球規模で進行している。
人口が多い都市を中央から統治する事は困難であり、人口密集帯は自律的な単位に分裂する。イスラム過激派も中東全体で進行している都市化の徒花であり、激しい宗教感情は他者に揉まれて暮らす都市生活から生まれるとする。
過密都市に暮らす群衆は情報技術の発達によって感情を煽られ、民族主義や過激主義が流行する。その基盤は都市生活における孤独である。
情報技術の発達は、無国籍の権力も生み出し、国家に帰属しない小規模集団が統治せずに権力を握る。国家的単位では実現出来ない宗教的熱情。
マッキンダーの地政学について。11世紀から20世紀にかけて世界史に影響を与えたモンゴルの遊牧民の役割を拡大ロシアが担い始めた。さらに中国がロシア領土を征服する可能性に言及し、中国が主要な地政学的勢力になると。マッキンダーが第一次世界大戦後を出発点としたのは、地球上の全ての陸地の政治的所有権が明らかになった世界であり、そこから世界島の概念が生じた。自己完結的社会であるインドと中国は平和的発展が可能だが、欧州と中東はハートランドに大きな影響を受けるため、未来はインドと中国のモンスーン地帯によって左右される。
マッキンダー地政学は決定論的とされるが、彼自身は環境は克服可能とした。最大の知識と敬意をもって地理と向き合わなくてはならない。ナチスによる歪曲ドイツにおける地政学について。ドイツは欧州の中央に位置し、ランドパワーでもありシーパワーでもある。ナチスの地政学者 ハウスホーファーは、マッキンダーの理論をドイツの視点に当て嵌め、ドイツが世界大国になるためにドイツとロシアの広域圏を統合すべきとした。ドイツ中部から満州、極東ロシアに至る地域を支配すれば、軍需工場を内陸に避難させ、陸海軍であらゆる方向を攻撃可能とした。マッキンダーが東欧に独立国家からなる緩衝地帯を設ける事を提唱したのとは逆に、ハウスホーファーはそうした諸国の消滅を主張した。
第六章 リムランド理論
ニコラス・J・スパイクマンの思想。地理の重視。地理の非情さに由来する空間をめぐる闘争からは逃れられない。世界は無法状態であり、全ての国が自衛のために戦わなくてはならない。米国は大西洋と太平洋に面している地理的に恵まれた国とする。争乱に巻き込まれることなくアジアと欧州に影響力を行使出来る。戦略的中心地はメキシコ湾を含むカリブ海であり、パナマ運河の建設により大国となった。アメリカ大陸は北米と南米に分かれているのでなく、アマゾンを中心とする赤道ジャングル以北と以南に分かれているとする。コロンビア、ベネズエラ、ギアナ地方は南米の北岸にあるが、北米とカリブ海の一部を成している。南米の南半分は太平洋とアンデス山脈に押し潰されており、利用可能な河川も少ないため、歴史的に重要な連絡路には成り得ないとする。
⇒米国はカリブ海を支配し、熱帯林や山脈によって南米の中心部から切り離されているため、西半球には挑戦する国が無いとする
仮にアメリカ大陸が自由な北米と枢軸国に支配された南米に分裂すれば米国の優位に終止符が打たれるとした。第二次世界大戦において仮に米国が欧州支配をめぐるドイツとの争いを避けても、南米の覇権をめぐる争いが生じたはずとする。<リムランド>ユーラシアの周辺地帯、特に沿岸地帯。海洋志向のリムランドは、ユーラシアを支配するだけでなく、外部世界と接触するための重要な地域である。リムランドが世界的勢力になるために重要な地域とする。欧州の周辺地帯、中東、インド亜大陸、極東が莫大な人口、経済開発、炭化水素資源によってインド洋と太平洋の沿岸地域を支配する。ロシアが北極海海域の温暖化に助けられても、これらの地域に抑え込まれるとする。第七章 シーパワーの魅惑
マッキンダーがランドパワーに重点を置いたのは、鉄道や道路交通における新技術を考慮したからである。同様に、アルフレッド・セイヤー・マハンはシーパワーの重要性を説いた。海洋を支配する事は、富を蓄積する手段の一環である。
海軍戦略に重要な地として、アラピアとインドに挟まれた地域を指す用語として、1902年に「中東」という言葉を初めて用いたのはマハンである。
インドは、インド洋沿岸帯の中央に位置し、後方をヒマラヤ山脈に保護されており、海から中国に侵入するうえで極めて重要な地である。
インド洋と太平洋が世界の地政学的運命を握るとした。ロシアはインド洋から離れているために脆弱とする。富の蓄積に不利な位置。
マハンの意見の欠陥として、ランドパワー国家がイベリアからウラル山脈までの欧州を素早く包囲出来る事を考慮していなかったとする。
ユーラシアの現状は、米国海軍が縮小傾向にはあるが同盟国と貿易環境保護のために海を警備する一方で、中国やインドがマハンの思想に基づいて軍事力を増強させている。さらに北極海航路の利用可能性が拡大しており、覇権争いの激しさが増すとする。
第八章 空間の危機
かつては人口が希薄な地理空間が、軍事進出や技術進歩に対する安全装置の役割を果たしたが、技術進歩によって地政学的に距離が圧縮される中、限られた地球の規模が不安定要因になる可能性。
戦争技術と富の創出は密接に結び付き、アジアの経済力の高まりは、軍事力の高まりを齎している。
アジアにおける米国の力が低下し、中国のインドが軍事力を伸ばす中で、地理的緊張が高まる。かつては長い距離やヒマラヤ山脈が安全を担保していたが、技術進歩は距離を圧縮する。
人口爆発も同様であり、旧第三世界では人口の半数以上が都市部で暮らし、2025年には2/3に高まるらしい。将来の都市部の人口増は発展途上国に集中する。マッキンダーの活躍した20世紀初頭には、都市生活者が世界人口に占める割合は14%だった。
イブン・ハルドゥーンは、『歴史序説』の中で、都市化過程を説明している。連帯意識の強い遊牧民が物質的な快適を求めて定住を始める。強力な支配者が生まれ、安全を提供する事で都市が繁栄する。しかし個人が富を蓄積し影響力を高めると連帯が失われ、また、権威を保つための贅沢が帝国の衰退を招くとする。
この過程が地球規模で進行している。
人口が多い都市を中央から統治する事は困難であり、人口密集帯は自律的な単位に分裂する。イスラム過激派も中東全体で進行している都市化の徒花であり、激しい宗教感情は他者に揉まれて暮らす都市生活から生まれるとする。
過密都市に暮らす群衆は情報技術の発達によって感情を煽られ、民族主義や過激主義が流行する。その基盤は都市生活における孤独である。
情報技術の発達は、無国籍の権力も生み出し、国家に帰属しない小規模集団が統治せずに権力を握る。国家的単位では実現出来ない宗教的熱情。