書名は大世界史ですが、歴史に基づく世界情勢の読み方といっ
た案配の対談本です。
中心は、「2」~「8」の各情勢分析にあります。
「2」は中東です。
益々混沌として行く状況が語られます。
ユーラシア大陸のど真ん中に位置し、文明発祥の地であり、世界
三大宗教を生み出し、常に「世界史大転換の震源地」であったと
してトピックされます。
中でも、シーア派アラブ人という新しい「民族」の形成や、イエ
メンにおけるイラン対サウジアラビアの直接対決の行方などは、
今後も注視が必要な項目です。
「3」は、オスマン帝国です。
多民族帝国であったオスマン帝国の栄光を、帝国主義的なト
ルコのエルドアン大統領が追っており、カリフを目指してい
るとされます。
中央アジアのトルキスタン地域へ拡張して行くとなると、中
国の一帯一路構想と、ぶつかり合うことになります。
「4」は、その中国です。
現在の中国の膨張政策は、高度国防国家であった明王朝の帝国
主義論で見るべきとされます。
中国と韓国の歴史教科書の記述の比較も、興味深いところです。
「5」は、ドイツ帝国です。
ギリシャの近代における形成時の人造国家ぶりには驚きました。
現在のギリシャ問題の根っこが見えて来ます。
また、ドイツ人のライフスタイルの徹底さにも、東ドイツの旧
ナチス党にも、驚かされます。
スノーデン事件で暴露された、メルケル首相への米国の盗聴の
背景も説明されます。
「6」は、「アメリカ vs ロシア」です。
最近のプーチン大統領の言動から、相当飽きが来ているとされ
ます。
ウクライナの方向は「フィンランド化」と、厳しい読みです。
一方の米国は、次の大統領選の情勢分析や、リバタリアンと反
知性主義との重なり具合が指摘されます。
「7」は、沖縄です。
国連が敵国条項を含め、第二次大戦の戦勝国体制であることは
聞いていましたが、United Nations が連合国そのものだったと
は知りませんでした。
沖縄アイデンティティの行方にも注視が必要です。
「8」は、核問題です。
イランとの六カ国合意が核拡散や各国の核配備に繋がることが
懸念されています。
人類は再び、核危機に怯える日々を迎えるのでしょうか。
「9」は、プロテスタント・カトリック・東方正教会の宗教地図
の説明と、イスラム教との対立が示されます。
「10」は、人口問題から教育問題へと入って行きます。
かつての帝国主義国家の植民地教育が比較されます。
国家の言語統制の恐ろしさを垣間見ました。
今回の御二人の、対談というよりもリレー解説は、絶好調です。
打ち合わせ充分といった風で、コンビネーションもバッチリで
す。
内容も大胆かつ緻密で、知的刺激のオンパレードで、グイグイ
読めます。
当然のオススメ本となります。
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大世界史 現代を生きぬく最強の教科書 (文春新書 1045) 新書 – 2015/10/20
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ベストセラー『新・戦争論』に続く最強コンビの第2弾!各地でさまざまな紛争が勃発する現代は、まるで新たな世界大戦の前夜だ。激動の世界を読み解く鍵は「歴史」にこそある!
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2015/10/20
- 寸法11 x 1.3 x 17.4 cm
- ISBN-104166610457
- ISBN-13978-4166610457
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
『新・戦争論――僕らのインテリジェンスの磨き方』に続く、最強コンビによる第2弾!
今、世界は激動の時代を迎え、各地で衝突が起きています。
ウクライナ問題をめぐっては、欧州とロシアは実質的に戦争状態にあります。
中東では、破綻国家が続出し、「イスラム国」が勢力を伸ばしています。そして、これまで中心にいたアラブ諸国に代わり、イラン(ペルシャ)やトルコといったかつての地域大国が勢力拡大を目論むことでさらに緊張が増しています。
アジアでは、中国がかつての明代の鄭和大遠征の歴史を持ち出して、南シナ海での岩礁の埋め立てを正当化し、地域の緊張を高めています。
長らく安定していた第二次大戦後の世界は、もはや過去のものとなり、まるで新たな世界大戦の前夜のようです。わずかなきっかけで、日本が「戦争」に巻き込まれうるような状況です。
こうした時代を生きていくためには、まず「世界の今」を確かな眼で捉えなければなりません。しかし直近の動きばかりに目を奪われてしまうと、膨大な情報に翻弄され、かえって「分析不能」としかいいようのない状態に陥ってしまいます。ここで必要なのが「歴史」です。世界各地の動きをそれぞれ着実に捉えるには、もっと長いスパンの歴史を参照しながら、中長期でどう動いてきたか、その動因は何かを見極める必要があります。
激動の世界を歴史から読み解く方法、ビジネスにも役立つ世界史の活用術を、インテリジェンスのプロである二人が惜しみなく伝授します。
■目次
なぜ、いま、大世界史か
中東こそ大転換の震源地
オスマン帝国の逆襲
習近平の中国は明王朝
ドイツ帝国の復活が問題だ
「アメリカvs.ロシア」の地政学
「右」も「左」も沖縄を知らない
「イスラム国」が核をもつ日
ウェストファリア条約から始まる
ビリギャルの世界史的意義
最強の世界史勉強法
今、世界は激動の時代を迎え、各地で衝突が起きています。
ウクライナ問題をめぐっては、欧州とロシアは実質的に戦争状態にあります。
中東では、破綻国家が続出し、「イスラム国」が勢力を伸ばしています。そして、これまで中心にいたアラブ諸国に代わり、イラン(ペルシャ)やトルコといったかつての地域大国が勢力拡大を目論むことでさらに緊張が増しています。
アジアでは、中国がかつての明代の鄭和大遠征の歴史を持ち出して、南シナ海での岩礁の埋め立てを正当化し、地域の緊張を高めています。
長らく安定していた第二次大戦後の世界は、もはや過去のものとなり、まるで新たな世界大戦の前夜のようです。わずかなきっかけで、日本が「戦争」に巻き込まれうるような状況です。
こうした時代を生きていくためには、まず「世界の今」を確かな眼で捉えなければなりません。しかし直近の動きばかりに目を奪われてしまうと、膨大な情報に翻弄され、かえって「分析不能」としかいいようのない状態に陥ってしまいます。ここで必要なのが「歴史」です。世界各地の動きをそれぞれ着実に捉えるには、もっと長いスパンの歴史を参照しながら、中長期でどう動いてきたか、その動因は何かを見極める必要があります。
激動の世界を歴史から読み解く方法、ビジネスにも役立つ世界史の活用術を、インテリジェンスのプロである二人が惜しみなく伝授します。
■目次
なぜ、いま、大世界史か
中東こそ大転換の震源地
オスマン帝国の逆襲
習近平の中国は明王朝
ドイツ帝国の復活が問題だ
「アメリカvs.ロシア」の地政学
「右」も「左」も沖縄を知らない
「イスラム国」が核をもつ日
ウェストファリア条約から始まる
ビリギャルの世界史的意義
最強の世界史勉強法
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2015/10/20)
- 発売日 : 2015/10/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 254ページ
- ISBN-10 : 4166610457
- ISBN-13 : 978-4166610457
- 寸法 : 11 x 1.3 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 324,914位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
ジャーナリスト。1950年、長野県松本市生まれ。慶應義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。1994年から11年にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年よりフリーに。今さら聞けないニュースの本質をズバリ解説。テレビでも大活躍中(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 池上彰の知らないと恥をかく世界の大問題37 イラスト図解版 (ISBN-13: 978-4047318229 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
元外交官で文筆家。ロシア情報収集・解析のエキスパート。魚住昭/ジャーナリスト。ノンフィクションに著作多数。青木理/ジャーナリスト。元共同通信記者。『日本の公安警察』『絞首刑』など著作多数。植草一秀/経済学者。日本経済、金融論が専門。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 誰が日本を支配するのか!?政治とメディアの巻 (ISBN-13:978-4838721566)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年1月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
すでに沢山の方々が本書の内容については詳しく紹介されているので、それを繰り返すつもりはありません。
私なりの読書感想文です。
「大世界史」という題名の割には世界史の出来事を網羅的にあつかっているわけではありません。
現代社会や国際情勢を理解するのに、世界史を学んでいれば、大きな目で現代を理解することができるという
いわば「学問のすすめ」ならぬ「歴史のすすめ」でしょう。
歴史の個々の出来事を年代順に暗記するのではなく、大きな目で歴史をとらえて現代社会の理解に役立てる「歴史に学ぶ」という視点で書かれた本です。
全体は12章に分かれていますが、イスラム関係の説明に3つの章を割いている。
第2章:中東こそ大転換の震源地
第3章:オスマン帝国の逆襲
題8章:「イスラム国」が核をもつ日
実際、毎日の新聞を読むのにイスラム関係のスペースが日に日に大きくなるこの頃です。
イスラム国、トルコとロシアの対立、イランとサウジアラビアの断交・・・・・
本書を読むことによって、その根底に横たわるものを理解できるようになるでしょう。
著者が力を入れていることに教育問題があります。
第10章:ビリギャルの世界史的意義。なるほどこんなことも世界史的に理解するとこういうことになるのかと感心します。
最近の文部省令による「文科系大学の整理統合案」など、私自身も下村文部大臣はアホかと思ったものですが
ここでもやり玉に上げられております。
この本を読んでいて、池上さんも佐藤さんも安倍内閣の政策に反対なんだなと感じる部分があります。もちろんはっきりとはおっしゃっていませんが。
第7章:「右」も「左」も沖縄を知らない。
翁長知事が米軍基地反対を唱えて訪米、まずハワイ州を訪問した点について池上さんは「よく練られた作戦ですね。」と褒めている。
日本政府の沖縄政策を中国のチベットやウイグルに対する政策と同一視している、私には承服できません。
また第10章で「反知性主義」をとりあげているが安倍首相や橋下大阪市長の名前をあげて
「自分たちの欲するように世界を理解する態度」として批判している。
一部、承服できない点もあるが、本書を読めばもう一度歴史を勉強しなおそうという意欲が湧いてくるのは事実である。
私なりの読書感想文です。
「大世界史」という題名の割には世界史の出来事を網羅的にあつかっているわけではありません。
現代社会や国際情勢を理解するのに、世界史を学んでいれば、大きな目で現代を理解することができるという
いわば「学問のすすめ」ならぬ「歴史のすすめ」でしょう。
歴史の個々の出来事を年代順に暗記するのではなく、大きな目で歴史をとらえて現代社会の理解に役立てる「歴史に学ぶ」という視点で書かれた本です。
全体は12章に分かれていますが、イスラム関係の説明に3つの章を割いている。
第2章:中東こそ大転換の震源地
第3章:オスマン帝国の逆襲
題8章:「イスラム国」が核をもつ日
実際、毎日の新聞を読むのにイスラム関係のスペースが日に日に大きくなるこの頃です。
イスラム国、トルコとロシアの対立、イランとサウジアラビアの断交・・・・・
本書を読むことによって、その根底に横たわるものを理解できるようになるでしょう。
著者が力を入れていることに教育問題があります。
第10章:ビリギャルの世界史的意義。なるほどこんなことも世界史的に理解するとこういうことになるのかと感心します。
最近の文部省令による「文科系大学の整理統合案」など、私自身も下村文部大臣はアホかと思ったものですが
ここでもやり玉に上げられております。
この本を読んでいて、池上さんも佐藤さんも安倍内閣の政策に反対なんだなと感じる部分があります。もちろんはっきりとはおっしゃっていませんが。
第7章:「右」も「左」も沖縄を知らない。
翁長知事が米軍基地反対を唱えて訪米、まずハワイ州を訪問した点について池上さんは「よく練られた作戦ですね。」と褒めている。
日本政府の沖縄政策を中国のチベットやウイグルに対する政策と同一視している、私には承服できません。
また第10章で「反知性主義」をとりあげているが安倍首相や橋下大阪市長の名前をあげて
「自分たちの欲するように世界を理解する態度」として批判している。
一部、承服できない点もあるが、本書を読めばもう一度歴史を勉強しなおそうという意欲が湧いてくるのは事実である。
2016年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現代を世界史的観点から捉えるというのは、理にかなっていると思います。よって主題は面白いと思います。
ただ、一つ残念なのが、物事を断定的に述べすぎて、読んでいて非常に違和感を覚える事を否めないという点です。
例えば、「ドイツ帝国の復活が問題だ」。ドイツとフランスのバカンス日数に関して、ドイツはフランスより多いとの箇所。ドイツで、フランスの会社に勤務している私から言えば、フランスはドイツよりも2週間有給が多いので、これは当てはまらないと思います。後は、ドイツ人の食生活、楽しみ等、私の周りのドイツ人には当てはまる人が皆無なので、個人的には疑問を抱きます。
他の世界の地域、国についても述べられていますが、国、民族、社会、人物等の記述は、一面的過ぎると感じるのは私だけでしょうか?
海外生活が長いので、いわゆる海外のマスメディア等が、「日本人は全国民、休みも無く長時間働き、寿司を毎日食べる」的な間違った描写で、日本人像を発信しているのが残念でならないと感じているので、余計にこういう点が気になるだけかもしれませんが。
ただ、一つ残念なのが、物事を断定的に述べすぎて、読んでいて非常に違和感を覚える事を否めないという点です。
例えば、「ドイツ帝国の復活が問題だ」。ドイツとフランスのバカンス日数に関して、ドイツはフランスより多いとの箇所。ドイツで、フランスの会社に勤務している私から言えば、フランスはドイツよりも2週間有給が多いので、これは当てはまらないと思います。後は、ドイツ人の食生活、楽しみ等、私の周りのドイツ人には当てはまる人が皆無なので、個人的には疑問を抱きます。
他の世界の地域、国についても述べられていますが、国、民族、社会、人物等の記述は、一面的過ぎると感じるのは私だけでしょうか?
海外生活が長いので、いわゆる海外のマスメディア等が、「日本人は全国民、休みも無く長時間働き、寿司を毎日食べる」的な間違った描写で、日本人像を発信しているのが残念でならないと感じているので、余計にこういう点が気になるだけかもしれませんが。
2015年10月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書のテーマは
「過去の『帝国』の存在が、世界各地で現代にも大きな影響を与えている」だそうです。
・中東の混乱に乗じて、トルコのエルドアン大統領が「オスマン帝国」の復活を狙っているというお話
・現在のアメリカ大統領は、ケネディ王朝・ブッシュ王朝・クリントン王朝などを「選挙で選ぶ王朝」だというお話
・沖縄問題に関しては、今日も、日本が「帝国」であることを自覚すべきだというお話
と、確かに「帝国」の視点が随所に登場します。
「帝国」ネタで私が興味深かったのは、
「帝国」の存在は、人口に大きく左右される。アメリカが「帝国」でいられるのは、豊かな経済基盤によって、移民を呼び寄せることができるから。
とのお話でした。
ついでにご紹介すると、アメリカネタでは、
佐藤氏が「そもそもアメリカにとって、戦争は、一種の公共事業のようなところがあります。定期的に行う必要がある。そろそろ、その周期がきている感じがします。」
と、「戦争=公共事業」と捉えるアメリカの考え方を紹介されています。私には妙に納得できて面白かったです。
UFOを信じる人と、南北戦争のときの旧南部軍の地域が重なっているお話、共和党連邦議員の半数がパスポートを持っていない(=外国に行ったことがない)事実など、思わずニヤリと笑えるアメリカネタも散見されます。
意外なところでは、
ギリシャをヨーロッパと考えてはいけない。ロシアとイギリスが、黒海沿岸にいた人たちを移住させて独立させた人造国家が現在のギリシャ、というお話が登場します。
DNA鑑定をすればトルコ人と変わりなく、言語もソクラテスの時代とは別もの、という事実を、私は恥ずかしながら全く知りませんでした。
「イスラム国」に非常によく似た事例として、国際共産主義運動の「コミンテルン」を挙げたり、
中央アジアに存在する「スンニ派のイスラムベルト」地帯で「第2イスラム国」が誕生する可能性や、
「イラン核合意」をきっかけに、パキスタンなどを経由して、やがて「イスラム国」も核を持つことになるのではないか、との指摘など、
やはり「イスラム教」と「イスラム国」の話題は随所に登場します。今後の世界の流れを考える上で、避けて通れないことなのでしょう。
旧西ドイツは、周辺諸国から理解を得るためにナチスを徹底的に追及したが、
旧東ドイツは、共産党一党独裁ではなく、ナチス党も国民民主党という名前で存続した。
現在のネオナチは、国民民主党の基盤が残っているので、旧東ドイツから出てくる。
という事実も意外でした。
イギリスとフランスの植民地統治での大学設立や、アメリカが沖縄を統治したときに琉球大学を設立したことなど、
後からジワジワ効果が出てくる「教育」が、やはりお二人にとって最も重要な関心のひとつであることを感じました。
慶應義塾大学塾長・小泉信三氏の「すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる」
との言葉が紹介されていますが、すぐに役立つ教育ばかりを求める文科省や産業界の考え方に、お2人とも「国家100年の基礎」となる教育の弱体化を心配されているようです。
本書をお読みになる際には「地図」を傍らに置いて読まれることをオススメします。
特に、第2章の「中東こそ大転換の震源地」と第3章の「オスマン帝国の逆襲」は、中東地域の複雑な事情を理解するために、地図があったほうがよいと思います。
本書には
「複数の歴史地図を現在と重ね合わせることで、予測不可能な世界情勢を読み解くことができる」
「宗教地図で世界情勢を見れば、表面的にはわからなかった関係がわかってくる」
と述べられています。
できれば、宗教地図などの複数の地図を傍らにおいて、本書を読むのが望ましいのかもしれません。
また、中東地域は「シーア派のペルシャ」と「スンニ派のアラブ」のような、以前の単純な図式から、
一国の中に、政府とアルカイダのような原理主義組織が対立しながら国を分割している状態などに変化しているため、
できれば、原理主義組織の名前や地域をメモにとりながら読むなどの工夫をすると、頭の中が整理されて内容が理解しやすくなります。
本書は全部で11章で構成されていますが、第1章「なぜ、いま、大世界史か」と第11章「最強の世界史勉強法」以外は、佐藤氏・池上氏それぞれに強みをお持ちの章での発言が、長くなる傾向にあります。
どちらが、どの章でリードされているのかを、気をつけながら読むのも面白いと思います。
巻末に登場する佐藤氏の
「歴史とは、判断基準として他に何も頼るものがない時に、それでも頼りにしうる何かなのです。」
との一言は、実に味わい深いと感じました。
本書でおすすめになっている「高校世界史Aの教科書」を私もじっくり読んでみて、今一度「歴史」について考えてみようと思います。
「過去の『帝国』の存在が、世界各地で現代にも大きな影響を与えている」だそうです。
・中東の混乱に乗じて、トルコのエルドアン大統領が「オスマン帝国」の復活を狙っているというお話
・現在のアメリカ大統領は、ケネディ王朝・ブッシュ王朝・クリントン王朝などを「選挙で選ぶ王朝」だというお話
・沖縄問題に関しては、今日も、日本が「帝国」であることを自覚すべきだというお話
と、確かに「帝国」の視点が随所に登場します。
「帝国」ネタで私が興味深かったのは、
「帝国」の存在は、人口に大きく左右される。アメリカが「帝国」でいられるのは、豊かな経済基盤によって、移民を呼び寄せることができるから。
とのお話でした。
ついでにご紹介すると、アメリカネタでは、
佐藤氏が「そもそもアメリカにとって、戦争は、一種の公共事業のようなところがあります。定期的に行う必要がある。そろそろ、その周期がきている感じがします。」
と、「戦争=公共事業」と捉えるアメリカの考え方を紹介されています。私には妙に納得できて面白かったです。
UFOを信じる人と、南北戦争のときの旧南部軍の地域が重なっているお話、共和党連邦議員の半数がパスポートを持っていない(=外国に行ったことがない)事実など、思わずニヤリと笑えるアメリカネタも散見されます。
意外なところでは、
ギリシャをヨーロッパと考えてはいけない。ロシアとイギリスが、黒海沿岸にいた人たちを移住させて独立させた人造国家が現在のギリシャ、というお話が登場します。
DNA鑑定をすればトルコ人と変わりなく、言語もソクラテスの時代とは別もの、という事実を、私は恥ずかしながら全く知りませんでした。
「イスラム国」に非常によく似た事例として、国際共産主義運動の「コミンテルン」を挙げたり、
中央アジアに存在する「スンニ派のイスラムベルト」地帯で「第2イスラム国」が誕生する可能性や、
「イラン核合意」をきっかけに、パキスタンなどを経由して、やがて「イスラム国」も核を持つことになるのではないか、との指摘など、
やはり「イスラム教」と「イスラム国」の話題は随所に登場します。今後の世界の流れを考える上で、避けて通れないことなのでしょう。
旧西ドイツは、周辺諸国から理解を得るためにナチスを徹底的に追及したが、
旧東ドイツは、共産党一党独裁ではなく、ナチス党も国民民主党という名前で存続した。
現在のネオナチは、国民民主党の基盤が残っているので、旧東ドイツから出てくる。
という事実も意外でした。
イギリスとフランスの植民地統治での大学設立や、アメリカが沖縄を統治したときに琉球大学を設立したことなど、
後からジワジワ効果が出てくる「教育」が、やはりお二人にとって最も重要な関心のひとつであることを感じました。
慶應義塾大学塾長・小泉信三氏の「すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる」
との言葉が紹介されていますが、すぐに役立つ教育ばかりを求める文科省や産業界の考え方に、お2人とも「国家100年の基礎」となる教育の弱体化を心配されているようです。
本書をお読みになる際には「地図」を傍らに置いて読まれることをオススメします。
特に、第2章の「中東こそ大転換の震源地」と第3章の「オスマン帝国の逆襲」は、中東地域の複雑な事情を理解するために、地図があったほうがよいと思います。
本書には
「複数の歴史地図を現在と重ね合わせることで、予測不可能な世界情勢を読み解くことができる」
「宗教地図で世界情勢を見れば、表面的にはわからなかった関係がわかってくる」
と述べられています。
できれば、宗教地図などの複数の地図を傍らにおいて、本書を読むのが望ましいのかもしれません。
また、中東地域は「シーア派のペルシャ」と「スンニ派のアラブ」のような、以前の単純な図式から、
一国の中に、政府とアルカイダのような原理主義組織が対立しながら国を分割している状態などに変化しているため、
できれば、原理主義組織の名前や地域をメモにとりながら読むなどの工夫をすると、頭の中が整理されて内容が理解しやすくなります。
本書は全部で11章で構成されていますが、第1章「なぜ、いま、大世界史か」と第11章「最強の世界史勉強法」以外は、佐藤氏・池上氏それぞれに強みをお持ちの章での発言が、長くなる傾向にあります。
どちらが、どの章でリードされているのかを、気をつけながら読むのも面白いと思います。
巻末に登場する佐藤氏の
「歴史とは、判断基準として他に何も頼るものがない時に、それでも頼りにしうる何かなのです。」
との一言は、実に味わい深いと感じました。
本書でおすすめになっている「高校世界史Aの教科書」を私もじっくり読んでみて、今一度「歴史」について考えてみようと思います。