「いったいどうすれば、あの男にこれ以上惹かれずにいられるのだろう」
と、帯のキャッチコピーに引用されている。
全く思いがけず10年ぶりに地球の裏側で再会した元カレとの、一夜の情事。
この物語を話の筋だけで捉えたら、それこそありきたりすぎるラブストーリーに過ぎない。
だが、書き手が込めた深い意味を読み解く能力と感じる心が読む側にもしあれば、身が震えるほど心を動かされる渾身の傑作である。
不幸にして私は並以上の読解力も鋭敏な感性も持ち合わせてはいない。その私がこの物語の深淵な含意に触れることができた気がするのは、不思議な巡り合わせがあったからだ。
『ありふれた愛じゃない』というタイトルは、シャデーの代表曲『No Ordinary Love』にちなんだ命名である。そのことは、物語の中盤のあるシーンでその曲を含むシャデーのベストアルバムがBGMとして流れていることからも明らかだ。
私は、最初はLPレコードで、次いでダビングしたカセットテープをカーオーディオで、後にCDを経て、今はiPadにダウンロードした音楽ファイルで、実に30年以上このアルバムを聞き続けている。
そもそもこの一冊、いかにも南国風のモノクロ写真の趣味のいい表紙と、「いったいどうすれば、あの男にこれ以上惹かれずにいられるのだろう」という帯のコピーが気になってはいたが、恋愛ものには縁遠いオジサンの私は買うのをためらって表紙だけをチラ見していただけだった。ひと月ばかりそんな風に遠目に見ていたこの一冊を手に取ったのは、私にとってのソウル・ミュージック(音楽ジャンルとしてではなく、福岡県民にとってのモツ鍋や山形県民にとっての芋煮会の芋煮鍋がソウル・フードであるのと同じ意味で)がこの物語全体に流れている、というか書き手が物語の根幹のイメージをシャデーのベストアルバムの各曲に重ね合わせて描いていることに気づいたからだ。
タブー。タトゥー。真珠。
この3つがこの物語を読み解く鍵だ。
年下の真面目な婚約者がありながら、禁断の一夜の情事に抗いながらも陥ってゆく主人公。だからタブー。
その男の胸には現地民伝統のタトゥーが刻まれていて、同時にそれは文明国の私たちの「ありふれた」生活常識の真反対の極にある何ものかの象徴だ。
そうして、そのタブーとタトゥーとは語源を同じにしていて、しかもその起源は物語の舞台であるタヒチにあることがさりげなく言及されている。
銀座の老舗真珠店のスタッフである主人公が運命の地タヒチに出向くことになるのは、特産の黒真珠の買い付けのためなのだ。
そうして、黒い真珠が湛えるえもいわれぬ深く沈む色あい。そのイメージが物語の奥底に佇んでいる。
若い読者には全く馴染みのないアルバムだとは思うが、この『ありふれた愛じゃない』は、『The Best of Sade』を聴きながら読むことを強くお勧めする。
そうすれば、
「今まで一度だって経験したことのない、熱い熱いあの感じ、それがタブー」と唄う「The Sweetest Taboo」
「あいつは私に、甘い愛を語るけどそれは甘い嘘なんだ」と語る「Like a Tatoo」を聴くことができる。
そうして、
「No Ordinary Love」では「これはありきたりな愛なんかじゃないんだから、ありきたりの愛じゃないんだから」という呪いのようなシャデーの囁きを繰り返し繰り返し聴かされる。
そうして最後、
「There is a woman in Somalia(ソマリアに女がひとりいた)」という歌いだしの「Parls(真珠)」では、そこに生まれたというだけで惨たる人生が約束された一人の女への追悼歌(だと私は思っている)であるか、あるいはやはりアフリカの地に生まれた歌い手として生きるシャデーが、自身自身への鎮魂として唱っているかのような厳かで聴く者の胸を震わす唄声を聴くだろう。惨たる運命に抗がいえない彼女たちは、「心の中にひとつの石を抱いている」とシャデーは唄う。
そこまでを聴き終えて、もう一度物語を最初から読み直す。
すると書き出しの一文にはこうある、
「真珠の輝きは、貝の苦しみから生まれる」
どこまで深いのか、計り知れないほどに深い物語である。
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ありふれた愛じゃない 単行本 – 2014/3/28
村山 由佳
(著)
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購入オプションとあわせ買い
藤沢真奈は32歳、銀座の老舗真珠店でチーフマネージャーを務める。お局の部長に目の敵にされながらもやりがいをもって接客に励んでおり、顧客の信頼も厚い。私生活では6歳下の大野貴史と半同棲状態にあり、結婚も遠くなさそうだ。夢ばかり見るかつての恋人との苦い生活を経て、真奈は安心と穏やかな日常を望んでいた。ある日、真珠店の高橋社長に呼び出された真奈は、タヒチ出張への同行を命じられる。真珠を買い付けに行くのだ。抜擢を喜ぶ貴史にも背を押され、真珠の猛勉強を始める真奈。「気の早い新婚旅行」で自分も後から向かうという貴史のプロポーズに泣きたいほどの幸せを感じた真奈は、しかしどこか心細さを感じていた。
タヒチで真奈は意外な人物と再会する。かつて熱烈に愛した男、朝倉竜介だ。大学時代からつき合っていた竜介は、まるで生活能力のない男だった。卒業後もろくに働かず、口癖のように「南の島でヤシの実でも採って適当に暮らしたい」と言うばかりの竜介に真奈は疲れ果て、生皮を剥ぐ思いで別れたのだ。そんな中、トラブルで貴史の到着が3日も遅れることに。心細さを抱えたまま、タヒチの開放的な風土と本能のままに生きる人々に囲まれた真奈は、一層増した竜介の逞しさと官能性に胸をざわめかせる自分に気づき、貴史への罪悪感に心悩ませる――
同性上司との対立と和解、自分らしく働きたいという思い、年下の恋人への遠慮、人生で最も愛した男の記憶……恋愛と仕事に心揺れる大人の女性であれば誰もが胸に覚えのある切実なテーマを描き、読む者のこころを強く捕える、激しいラブストーリーが完成した。 著者は2度のタヒチ取材を敢行。美しい海や島々の豊かな自然、世界一のリゾートホテル「セント・レジス」の豪奢な空間、人々で賑わう朝市や屋台村「ルロット」の猥雑な魅力、出産のために訪れるクジラ……精緻な描写で楽園の島の風物もリアルに伝える。
タヒチで真奈は意外な人物と再会する。かつて熱烈に愛した男、朝倉竜介だ。大学時代からつき合っていた竜介は、まるで生活能力のない男だった。卒業後もろくに働かず、口癖のように「南の島でヤシの実でも採って適当に暮らしたい」と言うばかりの竜介に真奈は疲れ果て、生皮を剥ぐ思いで別れたのだ。そんな中、トラブルで貴史の到着が3日も遅れることに。心細さを抱えたまま、タヒチの開放的な風土と本能のままに生きる人々に囲まれた真奈は、一層増した竜介の逞しさと官能性に胸をざわめかせる自分に気づき、貴史への罪悪感に心悩ませる――
同性上司との対立と和解、自分らしく働きたいという思い、年下の恋人への遠慮、人生で最も愛した男の記憶……恋愛と仕事に心揺れる大人の女性であれば誰もが胸に覚えのある切実なテーマを描き、読む者のこころを強く捕える、激しいラブストーリーが完成した。 著者は2度のタヒチ取材を敢行。美しい海や島々の豊かな自然、世界一のリゾートホテル「セント・レジス」の豪奢な空間、人々で賑わう朝市や屋台村「ルロット」の猥雑な魅力、出産のために訪れるクジラ……精緻な描写で楽園の島の風物もリアルに伝える。
- 本の長さ468ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2014/3/28
- ISBN-104163900365
- ISBN-13978-4163900360
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2014/3/28)
- 発売日 : 2014/3/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 468ページ
- ISBN-10 : 4163900365
- ISBN-13 : 978-4163900360
- Amazon 売れ筋ランキング: - 904,387位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 226,928位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1964年7月東京都生まれ。立教大学文学部卒。会社勤務などを経て、93年『天使の卵―エンジェルス・エッグ』で第6回小説すばる新人賞を受賞。 2003年『星々の舟』で第129回直木賞を受賞。09年『ダブル・ファンタジー』で第22回柴田錬三郎賞、第4回中央公論文芸賞、第16回島清恋愛文学 賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 明日の約束 おいしいコーヒーの入れ方 SECOND SEASON 2 (ISBN-13: 978-4087465754 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年5月31日に日本でレビュー済み
2016年5月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
10年の時を経て結ばれる男女。こういう劇的なことが実際にあったらいいな、という夢を見せてくれる、女性にとっては心躍る小説です。
2016年11月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
すごく読みやすい作品でした。風景も目に浮かぶような表現で、美しかったです。
2014年9月7日に日本でレビュー済み
真珠を扱う老舗の宝飾店に勤めるアラサー女性が、
年下の今彼と長く付き合った同級生の元彼との間で、
恋に葛藤するラブストーリーです。
恋は日本とタヒチで展開されます。
今彼が日本、元彼がタヒチです。
元彼がタヒチにいる、という設定がもう一本だと思いました。
「恋が再燃する」その状況設定が憎らしいほど肉感的で、
べたと思うかもしれませんが、そこは期待通りという印象です。
著者が現地へ滞在して書いた作品だけあって、
タヒチの風景もそうですが、文化や人、土地や海の描写が、
いちいち瑞々しいです。
コテージやホテルのシーンでは波の音が聞こえてくるし、
南国の雰囲気は開放的だし元彼は艶かしい。
危険な目にあった女性の心理や言動について、やや疑問に思ったり、
元彼の人物描写が物足りなかったりと、
個人的にはもったりない感じが否めませんが、
大人の激しい慕情を味わいたい方や、
おちついた愛の中にいる方が激しい恋を懐かしむ恋愛小説としては、
最適かと思います。
特に、主人公と年齢が近いかそれ以上の読者なら、
必ず思うところのある一冊でしょう。
逆に、恋愛経験がいくら豊富であっても、
若年層の読者には、あまりおすすめしません。
それは、哲学書や専門書、howto本のように知識として、
あるいは見聞きした恋話として「うんうん」と思いをはせることはできても、
年齢を重ねながら恋愛をすることの実感がないからです。
例えば、
「あれは、お互いにしかわからない特別なつながりだった」
「ああいうものを人は運命と呼ぶのかもしれない、――」
「ただ、つながるのが嬉しいのだ」
本書の中にでてくるこれらのセリフに
知識から共感できることと、
近しい実体験から共鳴するような感覚には、
天と地ほどの差があるように思うからです。
そして、本書の醍醐味の一つが、そこにあるとも思います。
前述のもったいない感と、読者を選ぶという理由から
星の数は3つ。
ですが、秋を前に、夏の恋を思い返したり、
渡航先での恋を懐かしんだり、
不道徳な恋と知りながら後戻りできない恋を読書に期待したり、
そんな気分を味わいたい大人の方へは、おすすめできます。
年下の今彼と長く付き合った同級生の元彼との間で、
恋に葛藤するラブストーリーです。
恋は日本とタヒチで展開されます。
今彼が日本、元彼がタヒチです。
元彼がタヒチにいる、という設定がもう一本だと思いました。
「恋が再燃する」その状況設定が憎らしいほど肉感的で、
べたと思うかもしれませんが、そこは期待通りという印象です。
著者が現地へ滞在して書いた作品だけあって、
タヒチの風景もそうですが、文化や人、土地や海の描写が、
いちいち瑞々しいです。
コテージやホテルのシーンでは波の音が聞こえてくるし、
南国の雰囲気は開放的だし元彼は艶かしい。
危険な目にあった女性の心理や言動について、やや疑問に思ったり、
元彼の人物描写が物足りなかったりと、
個人的にはもったりない感じが否めませんが、
大人の激しい慕情を味わいたい方や、
おちついた愛の中にいる方が激しい恋を懐かしむ恋愛小説としては、
最適かと思います。
特に、主人公と年齢が近いかそれ以上の読者なら、
必ず思うところのある一冊でしょう。
逆に、恋愛経験がいくら豊富であっても、
若年層の読者には、あまりおすすめしません。
それは、哲学書や専門書、howto本のように知識として、
あるいは見聞きした恋話として「うんうん」と思いをはせることはできても、
年齢を重ねながら恋愛をすることの実感がないからです。
例えば、
「あれは、お互いにしかわからない特別なつながりだった」
「ああいうものを人は運命と呼ぶのかもしれない、――」
「ただ、つながるのが嬉しいのだ」
本書の中にでてくるこれらのセリフに
知識から共感できることと、
近しい実体験から共鳴するような感覚には、
天と地ほどの差があるように思うからです。
そして、本書の醍醐味の一つが、そこにあるとも思います。
前述のもったいない感と、読者を選ぶという理由から
星の数は3つ。
ですが、秋を前に、夏の恋を思い返したり、
渡航先での恋を懐かしんだり、
不道徳な恋と知りながら後戻りできない恋を読書に期待したり、
そんな気分を味わいたい大人の方へは、おすすめできます。
2015年6月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本当に面白かったです。
登場人物がみんな個性があって、風景も美しく、主人公の心もよく描かれてて。読みやすいのに心に残る、いい作品に出会えたと思ってます。
登場人物がみんな個性があって、風景も美しく、主人公の心もよく描かれてて。読みやすいのに心に残る、いい作品に出会えたと思ってます。
2018年5月27日に日本でレビュー済み
絵柄が好きでつい読んでしまう漫画があるみたいに、村山先生は文章の表現力が好きでつい手に取ってしまう作家さんです。
正直中途半端な都会育ちの私には焼けぼっくいに火がつくなんて現象は全く信じていなくて、昔の男が声をかけてくるなんて「うまくいけばヤれるだろ」って思ってるだけと信じて疑わないし、この作品を読んでもその考えに全く変化は無いです。
でも、村山先生は大量の語彙を無限の組み合わせで操り、白いページを見ているだけのはずの眼前に広大な景色が広がるかのように色鮮やかに状況を説明してくれるので、グイグイ読めてしまう所が本当にすごいんですよね。この表現力は女流作家さんのなかでも抜きん出ていると思います。
先生の作品は20年ほど前から何度も読んでいますが、何という表現力!と今回も唸ってしまいました。
この主人公達、絶対長く続かないだろって読後も思ってますが、先生の気質からしても多分今が輝いてるなら長く続くかどうかは関係ないんでしょうね。一生恋していたい人生、全然理解出来ないなあ。でも好きな作家です。
正直中途半端な都会育ちの私には焼けぼっくいに火がつくなんて現象は全く信じていなくて、昔の男が声をかけてくるなんて「うまくいけばヤれるだろ」って思ってるだけと信じて疑わないし、この作品を読んでもその考えに全く変化は無いです。
でも、村山先生は大量の語彙を無限の組み合わせで操り、白いページを見ているだけのはずの眼前に広大な景色が広がるかのように色鮮やかに状況を説明してくれるので、グイグイ読めてしまう所が本当にすごいんですよね。この表現力は女流作家さんのなかでも抜きん出ていると思います。
先生の作品は20年ほど前から何度も読んでいますが、何という表現力!と今回も唸ってしまいました。
この主人公達、絶対長く続かないだろって読後も思ってますが、先生の気質からしても多分今が輝いてるなら長く続くかどうかは関係ないんでしょうね。一生恋していたい人生、全然理解出来ないなあ。でも好きな作家です。
2016年9月7日に日本でレビュー済み
初めて村山由佳さんの本を読んだのが小学生の頃。
それからいろいろな恋愛小説を読みましたが、著者の文章が大好きです。
うつくしくて、深くて、憂いをおびていて、いつも一気に読んでしまいます。
冒頭の真珠のエピソードに引き込まれて、
主人公のマナと同世代である私は共感する部分が多く、
タヒチの美しい情景の描写は、まるで映画を見ているようでした。
通勤途中に読んでいて、何度か電車を降り忘れそうになりました。笑
おすすめです。
それからいろいろな恋愛小説を読みましたが、著者の文章が大好きです。
うつくしくて、深くて、憂いをおびていて、いつも一気に読んでしまいます。
冒頭の真珠のエピソードに引き込まれて、
主人公のマナと同世代である私は共感する部分が多く、
タヒチの美しい情景の描写は、まるで映画を見ているようでした。
通勤途中に読んでいて、何度か電車を降り忘れそうになりました。笑
おすすめです。
2020年10月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
作家の他の作品に比べて説明調な文章に全体的に苛立ちを感じながら読み進めました。主人公の女性の全体像が最後まで不鮮明でした。他の作品に比べてはっきり言ってかなり劣っています。別の人が書いたような違和感すら感じました。