私がSING LIKE TALKINGのファンになったキッカケのアルバム。
なのに、引っ越しの際どこに紛れたのかわからなくなり、どうしても聞きたくて買いなおした苦い思い出のアルバムとなった。
サウンドにこだわり、自分たちのやりたい音楽性に妥協しない。それはデビューから25年変わっていない姿勢。すごいことだと思う。
耳の肥えた音楽ファン=いわゆる「玄人ウケ」するアーティストとして位置づけられる彼ら。
だから、「イントロを聞くだけでだれもが知っている大ヒット曲」は確かに彼らにはない。
毎月のように新しい曲が出て、しかも同じ曲で特典やジャケットが違う仕様のCDを乱発し、何年かおきにベスト盤を出さないと音楽シーンで生き残れないアーティストが大勢いる。もちろん、そういうアーティストが人々に受け入れられることを否定はしない。
しかし、そういった「薄利多売」の音楽シーンにあっても、SING LIKE TALKINGは「商品としての音楽」を作らす、「作品としての音楽」を作り続けている。
DLでクリックすれば音楽を一曲から気軽に購入できる時代だからこそ、もっと「後世に残したい楽曲・アルバム・アーテイスト」を聞き手も腰を据えて選択
すべきなのかもしれないと思う。
このアルバムのなかでも特に「La La La」は、名曲として世間に受け入れられてもよいと思う。それはこのアルバムを手にした時から変わらない私の思いでもある。
この時代に人間として生まれたことには意味があり、一人という存在は、はかなくもあるが強さもある。
けれど私たちは時代を変えていける、それは特別に難しいことではなく日々の積み重ねの中にヒントがあるのだと。
そんな哲学的なメッセージ(決して押しつけではない)を感じるこの曲を、時流の中に埋没させてはならないと強く願う。