"大陸移動の考えが最初に私の頭に浮かんだのは1910年のことである。その年に世界地図を眺めながら、大西洋の両側の大陸の海岸線の出入りに、私は深く印象づけられた。"1915年初版発刊の本書は大胆な仮説から30年後に"復活"地球科学の起爆剤となった古典的名著。
個人的には主宰する読書会の課題図書として手にとりました。
さて、そんな本書は地質学ではなく【気象学や地球物理学を専門としていた】著者が、アフリカと南アメリカでの動物の類似性に関する論文を読んだ時にその理由を『かって両大陸をつなぐ細長い陸地があったのではないか』(陸橋説)とする当時主要であり、常識的とされた学説に疑問を持ち【今は遠く離れている大陸は過去には一つだったのでは】また【大陸は海洋底に浮かぶ軽い物質では(=水平方向に動きうる)】との大胆な仮説(大陸移動説)を提唱、初版発刊後も反論を受けるたびに新しいデータと議論を加筆、亡くなるまでに刊行し続けた第四版『最終版』を翻訳したもので。
まず、現代感覚では『大陸移動説』こそが主要であり、常識的になっている私からすれば『陸橋説』の方が不思議であり、当時の著者が学会からは【これほど詳細な反論】もむなしく全面否定、変人扱い。【死後はすっかり忘れ去られてしまった】事実に愕然としてしまった。
また、そんな本書は大陸移動説自体は序文いわく『すべて第一章に書かれている』との通り最初に説明。後は【この説をめぐる議論・反論の歴史】が、測地学的、地球物理学的、地質学、古生物及び生物学、古気候学など様々な視点で書き続けられているのですが。詳細はわからなくても著者が【人生をかけて、この『大陸移動説』を世に出そう】と苦心していた事が【熱量高く伝わってきて】感動してしまった。
地球科学の古典的名著としてはもちろん、地道に研究に取り組んでいる全ての研究者の方にもオススメ。
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大陸と海洋の起源 上: 大陸移動説 (岩波文庫 青 907-1) 文庫 – 1981/10/16
- 本の長さ244ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1981/10/16
- ISBN-104003390717
- ISBN-13978-4003390719
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1981/10/16)
- 発売日 : 1981/10/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 244ページ
- ISBN-10 : 4003390717
- ISBN-13 : 978-4003390719
- Amazon 売れ筋ランキング: - 144,741位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,083位岩波文庫
- - 8,038位科学・テクノロジー (本)
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2015年7月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
言わずと知れた大陸移動説の原典の日本語訳です。
原著初版本が出版されたのが1915年ですので、今年は出版100年を記念する年です。
この100年間に地球の歴史に関する研究は著しい進歩を遂げました。
そして、その出発となる原典が文庫本で手軽に読めることに感謝したいと思います。
プレートテクトニクス、プルームテクトニクスとより地球の深い部分のメカニズムが明らかになってきていますが、一度は古典としてその原点になる本書を読まれることをお薦めします。
原著初版本が出版されたのが1915年ですので、今年は出版100年を記念する年です。
この100年間に地球の歴史に関する研究は著しい進歩を遂げました。
そして、その出発となる原典が文庫本で手軽に読めることに感謝したいと思います。
プレートテクトニクス、プルームテクトニクスとより地球の深い部分のメカニズムが明らかになってきていますが、一度は古典としてその原点になる本書を読まれることをお薦めします。
2012年2月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1957年当時私は理学部地学科の学生だった。鉱物のプレパラートばかり作る毎日に耐えられず、電子工学に転向し、メーカーに務めた。
後期高齢者といわれる今になって、放送大学で地球宇宙科学の勉強をしている。
夢多いこの本に出会って、今更ながらあの頃この本に出会っていたら、自分の人生も変わっていたかもしれんなあと思う。
後期高齢者といわれる今になって、放送大学で地球宇宙科学の勉強をしている。
夢多いこの本に出会って、今更ながらあの頃この本に出会っていたら、自分の人生も変わっていたかもしれんなあと思う。
2012年2月28日に日本でレビュー済み
大陸移動という観念を私が初めて思いついたのは、1910年のことであった。それは世界地図を見て、大西洋の両岸の海岸線の凹凸がよく合致するのに気がついた時であった。――気象学者、アルフレート・ヴェーゲナーが『大陸と海洋の起源』(アルフレート・ヴェーゲナー著、都城秋穂・紫藤文子訳、岩波文庫、上・下巻。出版元品切れだが、amazonで入手可能)に、こう記している。
南アメリカの東側とアフリカの西側の海岸線の形がよく似ていること、ペルム紀の同種の陸上動植物の化石が両大陸で見つかっていることから、これらはもともとは一つの巨大な大陸であったと主張したが、大陸を移動させる原動力を説明できなかったため、学界で認められなかった。地球内部のマントル対流が原動力と判明したのは、彼の死後のことであった。
そして、大陸は今も、ゆっくりと移動しているのである。
南アメリカの東側とアフリカの西側の海岸線の形がよく似ていること、ペルム紀の同種の陸上動植物の化石が両大陸で見つかっていることから、これらはもともとは一つの巨大な大陸であったと主張したが、大陸を移動させる原動力を説明できなかったため、学界で認められなかった。地球内部のマントル対流が原動力と判明したのは、彼の死後のことであった。
そして、大陸は今も、ゆっくりと移動しているのである。