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日本人はどこから来たのか? 単行本 – 2016/2/10
海部陽介
(著)
◎国立科学博物館「3万年前の航海徹底再現プロジェクト」はこの本から生まれた!
約十万年前、アフリカを出た私たちの祖先は、
四万八千年前、ヒマラヤ山脈を挟んで、南北に別れて拡散、
一万年後、東アジアで再会する。
そして、古日本列島に、三ルートから進出した。
世界各地の遺跡の年代調査比較
DNA分析、石器の比較調査、
しかし、最後の謎、台湾沖縄ルートが残った。
台湾から黒潮を横断し
100キロを超える航海は可能だったのか?
国立科学博物館気鋭の人類学者は、
科学者のチームをつくり、
当時の草舟を再現、
実際に航海をし、検証してみることにした!
はじめに 私たちはどこから来たのか?
遺跡調査は日本の国内で閉じているかぎり本当のことはわからない。
本書は、海外の遺跡との比較とDNAの研究という重層的なこの10年の
研究で浮かび上がってきた、人類がこの日本に到達するまでの新しい仮説である
第1章 海岸沿いに広がったのか?
私が強く違和感をいだいてきたのが、欧米研究者の間でいつのまにか
定説となっている「海岸移住説」だった。アフリカを出た人類は、
中東から海岸沿いに広がっていったというものだが、はたしてそれは本当だろうか?
第2章 私たち以前の人類について
かつて私たちホモ・サピエンス以外にもいくつもの種類の人類がいた。
北京原人やジャワ原人らの原人、より人間に近いネアンデルタール人らの旧人。
これら滅びてしまった人類のことをまず、整理しておく必要がある
第3章 ヒマラヤ南ルート
世界各地の遺跡年代をマッピングすると、ホモ・サピエンスは4万8000年前、
ヒマラヤ山脈を南北に隔てて、別れて拡散していったことがわかる。
インドから東南アジアへ進んだ「南ルート」をたどった者たちを見る
第4章 ヒマラヤ北ルート
ヒマラヤの北ルートへ回った集団は予想外に早く南シベリアに進み、
北極圏に至った者までいた。さらにモンゴルを経て、4万年前頃には
中国、朝鮮半島など東アジアに到達したらしいことが、石器の特徴から見えてくる
第5章 日本への3つの進出ルート
日本では3万8000年前から、突如人類遺跡が爆発的に現われる。
それ以前の遺跡には確証がない。それまでいわば無人の野だった日本へ、
対馬、沖縄、北海道の3ルートから別々に、初めて祖先が足を踏み入れた
第6章 対馬ルート、最初の日本人の謎
3ルートで最も早く日本に入ったのが対馬。学界では見過ごされてきたが、
対馬から本州へは海を越える必要がある。しかも到来直後の遺跡からは、
世界最古の往復航海を示す証拠が。最初の日本人は、航海者だったのだ
第7章 沖縄ルート、難関の大航海
沖縄に来た祖先は誰だったのか。本州と全く異なる遺跡の証拠は
南ルートを示唆する。だがそれには台湾から黒潮を横断し100キロを
はるかに超える航海が必要。その本当の困難さを知るには、航海の再現実験しかない
第8章 北海道ルート、シベリアからの大移動
北海道の人類出現は3ルートで最も遅い。すると彼らは大陸でなく
本州由来の可能性もあるのか? だが北海道の2万5000年前の石器文化は
北ルートと共通する。やはりシベリアから南下してきた祖先がいたのだ
第9章 1万年後の再会
対馬から入ってきた「最初の日本人」のルーツはどこなのだろう。
今わかる証拠から考えられることはひとつ。ヒマラヤ南北ルートをたどった
それぞれの集団は、東アジアで1万年ぶりに再会し、混じり合ったのだ
第10章 日本人の成立
3つのルートからそれぞれ日本列島に入ってきた3つのグループはいかにして
今日の日本人までつながっているのだろうか? 朝鮮半島や中国で発掘される
人骨や石器などとの比較やDNA研究で、ここまでわかった
約十万年前、アフリカを出た私たちの祖先は、
四万八千年前、ヒマラヤ山脈を挟んで、南北に別れて拡散、
一万年後、東アジアで再会する。
そして、古日本列島に、三ルートから進出した。
世界各地の遺跡の年代調査比較
DNA分析、石器の比較調査、
しかし、最後の謎、台湾沖縄ルートが残った。
台湾から黒潮を横断し
100キロを超える航海は可能だったのか?
国立科学博物館気鋭の人類学者は、
科学者のチームをつくり、
当時の草舟を再現、
実際に航海をし、検証してみることにした!
はじめに 私たちはどこから来たのか?
遺跡調査は日本の国内で閉じているかぎり本当のことはわからない。
本書は、海外の遺跡との比較とDNAの研究という重層的なこの10年の
研究で浮かび上がってきた、人類がこの日本に到達するまでの新しい仮説である
第1章 海岸沿いに広がったのか?
私が強く違和感をいだいてきたのが、欧米研究者の間でいつのまにか
定説となっている「海岸移住説」だった。アフリカを出た人類は、
中東から海岸沿いに広がっていったというものだが、はたしてそれは本当だろうか?
第2章 私たち以前の人類について
かつて私たちホモ・サピエンス以外にもいくつもの種類の人類がいた。
北京原人やジャワ原人らの原人、より人間に近いネアンデルタール人らの旧人。
これら滅びてしまった人類のことをまず、整理しておく必要がある
第3章 ヒマラヤ南ルート
世界各地の遺跡年代をマッピングすると、ホモ・サピエンスは4万8000年前、
ヒマラヤ山脈を南北に隔てて、別れて拡散していったことがわかる。
インドから東南アジアへ進んだ「南ルート」をたどった者たちを見る
第4章 ヒマラヤ北ルート
ヒマラヤの北ルートへ回った集団は予想外に早く南シベリアに進み、
北極圏に至った者までいた。さらにモンゴルを経て、4万年前頃には
中国、朝鮮半島など東アジアに到達したらしいことが、石器の特徴から見えてくる
第5章 日本への3つの進出ルート
日本では3万8000年前から、突如人類遺跡が爆発的に現われる。
それ以前の遺跡には確証がない。それまでいわば無人の野だった日本へ、
対馬、沖縄、北海道の3ルートから別々に、初めて祖先が足を踏み入れた
第6章 対馬ルート、最初の日本人の謎
3ルートで最も早く日本に入ったのが対馬。学界では見過ごされてきたが、
対馬から本州へは海を越える必要がある。しかも到来直後の遺跡からは、
世界最古の往復航海を示す証拠が。最初の日本人は、航海者だったのだ
第7章 沖縄ルート、難関の大航海
沖縄に来た祖先は誰だったのか。本州と全く異なる遺跡の証拠は
南ルートを示唆する。だがそれには台湾から黒潮を横断し100キロを
はるかに超える航海が必要。その本当の困難さを知るには、航海の再現実験しかない
第8章 北海道ルート、シベリアからの大移動
北海道の人類出現は3ルートで最も遅い。すると彼らは大陸でなく
本州由来の可能性もあるのか? だが北海道の2万5000年前の石器文化は
北ルートと共通する。やはりシベリアから南下してきた祖先がいたのだ
第9章 1万年後の再会
対馬から入ってきた「最初の日本人」のルーツはどこなのだろう。
今わかる証拠から考えられることはひとつ。ヒマラヤ南北ルートをたどった
それぞれの集団は、東アジアで1万年ぶりに再会し、混じり合ったのだ
第10章 日本人の成立
3つのルートからそれぞれ日本列島に入ってきた3つのグループはいかにして
今日の日本人までつながっているのだろうか? 朝鮮半島や中国で発掘される
人骨や石器などとの比較やDNA研究で、ここまでわかった
- 本の長さ213ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2016/2/10
- 寸法19.5 x 13.8 x 2.2 cm
- ISBN-104163904107
- ISBN-13978-4163904108
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商品の説明
著者について
海部/陽介 人類進化学者。1969年東京都生まれ。東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科博士課程中退。理学博士。1995年より国立科学博物館に勤務し、現在は人類史研究グループ長。第9回(平成24年度)日本学術振興会賞。化石などを通して約200万年にわたるアジアの人類史を研究し、ジャワ原人、フローレス原人などの研究で業績をあげてきた。アジアへのホモ・サピエンスの拡散についての、欧米の定説に疑問を抱き、これまでグローバルに結び付けて考えられてこなかった日本の豊富な遺跡資料を再検討(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2016/2/10)
- 発売日 : 2016/2/10
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 213ページ
- ISBN-10 : 4163904107
- ISBN-13 : 978-4163904108
- 寸法 : 19.5 x 13.8 x 2.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 354,441位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 108位サル・人類学
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年12月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
新しい情報も有り、楽しく読んでます。
未だ最後まで読んでないのですが、年表形式での項目整理が有ればと思ってますが。
未だ最後まで読んでないのですが、年表形式での項目整理が有ればと思ってますが。
2020年3月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
Africaに誕生した人間がHimalayaを超えて日本にきたなんて。また、渡洋の検証もすばらしい。でも最後の成功まで本にならなかったのは残念。なお、対馬ルートは難易度が高い由だったがそれに触れていないのは心残り。
2020年8月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本人の起源に関する本は傘寿の会を祝ってもらい、さらに癌の手術を受けたのち雑用もなくなってボノボの年老いた雄のように家内の庇護のもとに生活する今、やっと時間があり余るようになり読み漁っています。しかし理解が困難な本が多いようです。この本は今まで読んできた多数の本の中でも日本人の成り立ちが非常に明快に理解でき最高の本の1つです。日本人の成り立ちはボノボに似ているように思えませんか?卑弥呼も天照大神も女性ですね。その時代の日本は平和であったように思えます。その後、日本は”チンパンジーの社会”になりました。
その他、少年時代からの鉄道模型、今は4.5畳の板の間しか占領できないのでメルクリンのzゲージと小さくなりましたがジオラマを少しずつ製作し、列車を走らせているとステイホームも全く気になりません。
その他、少年時代からの鉄道模型、今は4.5畳の板の間しか占領できないのでメルクリンのzゲージと小さくなりましたがジオラマを少しずつ製作し、列車を走らせているとステイホームも全く気になりません。
2020年10月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
DNA解析技術の進歩により次々と明らかになる新事実。この手の本はちょっと古くなるともう役に立たないのでできるだけ新しいものを読みたいものです。
2016年3月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この書は人類、特に日本列島と琉球列島にかかわる人々に関する旅行記である。
物語は、4万8千年の昔、日本列島に突然、特異な石器文化を持つ人集団が出現することから始まる。
日本にたどり着く前に、ドラマチックな古人類ネアンデルタール人との出会いのエピソードや、地球環境変化に翻弄されながら、三つのルートで日本に到着する様子が描かれていて思わず引き込まれる文章は達者で読み易い。
科学的手法で論証しようと、採用するサンプルを厳選する作業を楽しみ、その楽しさを読者にも伝える良書であり、満点を差し上げたいが、少し気になる点があり、減点して☆4つにしました。
減点のポイント
①古人類ネアンデルタール人と交わって、現人類の遺伝子の中に、人類の生存に有利に働くと書かれているが、受け継いだ遺伝子の中に『うつ病』の遺伝子があるという発表(2016年2月『サイエンス』)を読むと、私は微妙な気持ちになった。
②松村博文氏の論を引用したとして『中国起源の稲作農耕文化が、東南アジアへと南下したが、その時に、人の集団も移動』と書いているが、松村氏は『長江稲作』と書いている。昔の説では栽培イネの発祥は長江上流域とされていたが、最新の説ではもっと南方で『中国』と言い切れるのか微妙な位置にある。栽培イネの発祥地と長江稲作文化とは区別すべきだと思う。
③古代の航海再現を早い時期にやりたいと書かれているが、中国南方の海流は冬と夏とでは逆転する訳で、3万年以上前の海流がどの季節に近いのか、良く検証してから行った方が良いと思う。
物語は、4万8千年の昔、日本列島に突然、特異な石器文化を持つ人集団が出現することから始まる。
日本にたどり着く前に、ドラマチックな古人類ネアンデルタール人との出会いのエピソードや、地球環境変化に翻弄されながら、三つのルートで日本に到着する様子が描かれていて思わず引き込まれる文章は達者で読み易い。
科学的手法で論証しようと、採用するサンプルを厳選する作業を楽しみ、その楽しさを読者にも伝える良書であり、満点を差し上げたいが、少し気になる点があり、減点して☆4つにしました。
減点のポイント
①古人類ネアンデルタール人と交わって、現人類の遺伝子の中に、人類の生存に有利に働くと書かれているが、受け継いだ遺伝子の中に『うつ病』の遺伝子があるという発表(2016年2月『サイエンス』)を読むと、私は微妙な気持ちになった。
②松村博文氏の論を引用したとして『中国起源の稲作農耕文化が、東南アジアへと南下したが、その時に、人の集団も移動』と書いているが、松村氏は『長江稲作』と書いている。昔の説では栽培イネの発祥は長江上流域とされていたが、最新の説ではもっと南方で『中国』と言い切れるのか微妙な位置にある。栽培イネの発祥地と長江稲作文化とは区別すべきだと思う。
③古代の航海再現を早い時期にやりたいと書かれているが、中国南方の海流は冬と夏とでは逆転する訳で、3万年以上前の海流がどの季節に近いのか、良く検証してから行った方が良いと思う。
2016年5月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書の致命的な瑕疵は「核DNA」の解析結果を無視していることです。
縄文人の核DNA解析結果は、本書が出版される約一年前の2015年3月にすでに公表されています。
しかるに、本書で縄文人の核DNA解析結果にまったく触れられていないのは異常です。
そのため著者が本書などで主張する「新しい学説」(11頁)は成立する以前に破綻しています。
真面な研究者なら真っ先に飛びついて検証すべき縄文人の核DNA解析結果だったのですが、
著者が知らなかったとしても学者にあるまじき怠慢であり、
もし知っていて隠蔽したのであれば学者失格の詐欺的行為です。
≪ミトコンドリアDNAは細胞内のDNAのごく一部でしかないので、
北海道縄文人のミトコンドリアDNAタイプがほとんど北方系だったとしても、
そのデータだけで移動した集団の規模が大きかったとは言い切れない。
この課題を最終的に解決するには、細胞内にあるDNA全体(核DNA)の分析を待たなければならないのである≫(182頁)
この記述を信じるなら著者は解析結果を知らなかった怠慢な学者ということになります。
厳密には核DNAが解析されたのは本州縄文人ですが、縄文人の核DNAが解析されたという重要度に変わりはありません。
著者は「はじめに」で、
≪本書は、海外の遺跡との比較とDNAの研究という重層的なこの10年の研究で浮かび上がってきた、
人類がこの日本に到達するまでの新しい仮説である≫(7頁)と書いていますが、
まったく「重層的」でも「新しい仮説」でもありません。
まず、DNA分析の比較研究が不十分です。
DNAによる比較対象となる指標は「ミトコンドリアDNA」(mtDNA)だけではありません。
遺伝子の比較には「mtDNA」以外にも「Y-DNA」「免疫グロブリン」そして前述の「核DNA」がメジャーであり、
ルーツを考える場合はそれらすべてを総合的に考慮する必要があります。
しかし、本書は著者と同じ国立科学博物館の篠田謙一さんによるmtDNA分析だけにほぼ全面的に依拠しています。
上記で本書から引用したようにmtDNAの分析だけで決して満足できるものではないことは著者自ら記しているとおりです。
たとい核DNAの解析結果を除いて、
「mtDNAとY-DNAと免疫グロブリン」だけから総合的に考察したとしても著者の仮説とは合致しません。
また、遺跡による比較研究も不十分です。
≪佐賀県にある腰岳でとれる黒曜石が韓国南部の遺跡から発見されたという報告もあり≫(194頁)
むしろ朝鮮半島の遺跡から日本列島産以外の黒曜石がいったいどれだけ出土したことがあるのか疑問です。
≪かつての人類学では「弥生渡来論争」とでも呼ぶべき大きな論争があった。(中略)
遺跡から出土する人骨の形態分析や遺伝学の研究が進んだことにより、この論争は1990年代に事実上決着し、
今では渡来説が正しいという認識に落ち着いている≫(197頁)
著者の思考は1990年代で停止しているようです。
「出土する人骨の形態分析」「遺伝学」を根拠にあげていますが、
骨考古学(Bioarchaeology)によっても遺伝学によっても縄文人と弥生人という峻別は否定されています。
いわゆる「弥生時代」から一挙に渡来がはじまったわけではなく、長期間にわたって徐々に行われたものです。
≪土器の発明そのものは、中国の江西省で2万年前という、より古い例があるので、
その技術が伝えられた可能性を否定できないが≫(195頁)
デニソワ人については本書でさんざん慎重な姿勢を強調しているにもかかわらず、
コンタミネーションが指摘されている江西省の土器年代測定を無批判に受け入れているとはおかしなものです。
そもそも、本書はタイトルと内容が違います。
『日本人はどこから来たのか?』という問いへの答えは簡単で「日本人はアフリカから来た」のです。
現生人類(ホモ・サピエンス)の「アフリカ起源説」への異論を聞くことは流言でもまずありません。
まるで古典的な詐欺の文句、【消防署の方から消火器の点検に来ました】に似ています。
本書は「どこから」ではなく「の方から」、つまり「どの経路(ルート)で来たのか」を問題としています。
≪まず、欧米研究者を中心にほとんど無批判に受け入れられている「海岸移住説」への疑問から始めたい≫(11頁)
これも「仮想敵国」を作り上げてそれを批判することで自説を正当化する騙しの常套手段です。
「海岸移住説」だけが提唱されているわけではなく「ヒマラヤ南ルート」「ヒマラヤ北ルート」も知られています。
さらに、重大な問題として「沖縄ルート」については、
オーストロネシア系の人々が台湾から南琉球に渡っていたという先行研究
(Glenn R. Summerhayes and Atholl Anderson 2009, Mark J. Hudson 2012)があり、
その後オーストロネシア系の人々は南琉球から姿を消したと報告されていますが、
本書で何の言及もなされていないのはまったくもって不可解です。
ここでも憶説にすぎない「陸橋説」を敵と設定して執拗に攻撃することで注意を逸らし、
あたかも海洋渡航の調査研究が過去に行われていなかったかのような印象を演出する騙しの手口が使われています。
しかも、それでクラウドファンディングを実施するとはますます詐欺的で悪質な感じを受けます。
≪ここでは遺跡から見つかった人骨化石の形態学、考古学、DNAの研究など異なる分野の成果を総合していくが、
特に重きを置くのは"遺跡証拠の厳密な解釈"だ≫(11頁)
「厳密な解釈」ではなく自説に都合よいデータだけをチェリーピッキングして「継ぎ接ぎした捏造」です。
どうして国立科学博物館の方は篠田謙一さんといい著者といいデータを恣意的に解釈して欺瞞にはしり、
問題を複雑にしたがるのか不思議でなりません。
これらの欺瞞は一部のカルトな学者が自分たちの殻に閉じ籠もって作り出した妄想のようなものです。
巻末の参考文献に「最も重要な参考文献」として著者自身の論文をあげているのは滑稽でしかありません。
縄文人の核DNA解析結果は、本書が出版される約一年前の2015年3月にすでに公表されています。
しかるに、本書で縄文人の核DNA解析結果にまったく触れられていないのは異常です。
そのため著者が本書などで主張する「新しい学説」(11頁)は成立する以前に破綻しています。
真面な研究者なら真っ先に飛びついて検証すべき縄文人の核DNA解析結果だったのですが、
著者が知らなかったとしても学者にあるまじき怠慢であり、
もし知っていて隠蔽したのであれば学者失格の詐欺的行為です。
≪ミトコンドリアDNAは細胞内のDNAのごく一部でしかないので、
北海道縄文人のミトコンドリアDNAタイプがほとんど北方系だったとしても、
そのデータだけで移動した集団の規模が大きかったとは言い切れない。
この課題を最終的に解決するには、細胞内にあるDNA全体(核DNA)の分析を待たなければならないのである≫(182頁)
この記述を信じるなら著者は解析結果を知らなかった怠慢な学者ということになります。
厳密には核DNAが解析されたのは本州縄文人ですが、縄文人の核DNAが解析されたという重要度に変わりはありません。
著者は「はじめに」で、
≪本書は、海外の遺跡との比較とDNAの研究という重層的なこの10年の研究で浮かび上がってきた、
人類がこの日本に到達するまでの新しい仮説である≫(7頁)と書いていますが、
まったく「重層的」でも「新しい仮説」でもありません。
まず、DNA分析の比較研究が不十分です。
DNAによる比較対象となる指標は「ミトコンドリアDNA」(mtDNA)だけではありません。
遺伝子の比較には「mtDNA」以外にも「Y-DNA」「免疫グロブリン」そして前述の「核DNA」がメジャーであり、
ルーツを考える場合はそれらすべてを総合的に考慮する必要があります。
しかし、本書は著者と同じ国立科学博物館の篠田謙一さんによるmtDNA分析だけにほぼ全面的に依拠しています。
上記で本書から引用したようにmtDNAの分析だけで決して満足できるものではないことは著者自ら記しているとおりです。
たとい核DNAの解析結果を除いて、
「mtDNAとY-DNAと免疫グロブリン」だけから総合的に考察したとしても著者の仮説とは合致しません。
また、遺跡による比較研究も不十分です。
≪佐賀県にある腰岳でとれる黒曜石が韓国南部の遺跡から発見されたという報告もあり≫(194頁)
むしろ朝鮮半島の遺跡から日本列島産以外の黒曜石がいったいどれだけ出土したことがあるのか疑問です。
≪かつての人類学では「弥生渡来論争」とでも呼ぶべき大きな論争があった。(中略)
遺跡から出土する人骨の形態分析や遺伝学の研究が進んだことにより、この論争は1990年代に事実上決着し、
今では渡来説が正しいという認識に落ち着いている≫(197頁)
著者の思考は1990年代で停止しているようです。
「出土する人骨の形態分析」「遺伝学」を根拠にあげていますが、
骨考古学(Bioarchaeology)によっても遺伝学によっても縄文人と弥生人という峻別は否定されています。
いわゆる「弥生時代」から一挙に渡来がはじまったわけではなく、長期間にわたって徐々に行われたものです。
≪土器の発明そのものは、中国の江西省で2万年前という、より古い例があるので、
その技術が伝えられた可能性を否定できないが≫(195頁)
デニソワ人については本書でさんざん慎重な姿勢を強調しているにもかかわらず、
コンタミネーションが指摘されている江西省の土器年代測定を無批判に受け入れているとはおかしなものです。
そもそも、本書はタイトルと内容が違います。
『日本人はどこから来たのか?』という問いへの答えは簡単で「日本人はアフリカから来た」のです。
現生人類(ホモ・サピエンス)の「アフリカ起源説」への異論を聞くことは流言でもまずありません。
まるで古典的な詐欺の文句、【消防署の方から消火器の点検に来ました】に似ています。
本書は「どこから」ではなく「の方から」、つまり「どの経路(ルート)で来たのか」を問題としています。
≪まず、欧米研究者を中心にほとんど無批判に受け入れられている「海岸移住説」への疑問から始めたい≫(11頁)
これも「仮想敵国」を作り上げてそれを批判することで自説を正当化する騙しの常套手段です。
「海岸移住説」だけが提唱されているわけではなく「ヒマラヤ南ルート」「ヒマラヤ北ルート」も知られています。
さらに、重大な問題として「沖縄ルート」については、
オーストロネシア系の人々が台湾から南琉球に渡っていたという先行研究
(Glenn R. Summerhayes and Atholl Anderson 2009, Mark J. Hudson 2012)があり、
その後オーストロネシア系の人々は南琉球から姿を消したと報告されていますが、
本書で何の言及もなされていないのはまったくもって不可解です。
ここでも憶説にすぎない「陸橋説」を敵と設定して執拗に攻撃することで注意を逸らし、
あたかも海洋渡航の調査研究が過去に行われていなかったかのような印象を演出する騙しの手口が使われています。
しかも、それでクラウドファンディングを実施するとはますます詐欺的で悪質な感じを受けます。
≪ここでは遺跡から見つかった人骨化石の形態学、考古学、DNAの研究など異なる分野の成果を総合していくが、
特に重きを置くのは"遺跡証拠の厳密な解釈"だ≫(11頁)
「厳密な解釈」ではなく自説に都合よいデータだけをチェリーピッキングして「継ぎ接ぎした捏造」です。
どうして国立科学博物館の方は篠田謙一さんといい著者といいデータを恣意的に解釈して欺瞞にはしり、
問題を複雑にしたがるのか不思議でなりません。
これらの欺瞞は一部のカルトな学者が自分たちの殻に閉じ籠もって作り出した妄想のようなものです。
巻末の参考文献に「最も重要な参考文献」として著者自身の論文をあげているのは滑稽でしかありません。