80年発表の1st。EL&P解散後に発表したキース・エマーソンの初のソロ・アルバム。ソロの曲はEL&P在籍時からシングルで発表されており、また『WORKS』も元々はソロ・アルバム用の曲だったものを寄せ集めた (+ グループによる2曲) 内容だったので、実際には「何度もソロ作を作ろうとはしていたが、完成出来なかった」わけで、グループが解散してやっと待望のソロ作に集中出来たというのが本音の部分だったのだろう。EL&Pの『ラブ・ビーチ』完成後、キースは作品を録音したナッソーにそのまま残り、現地のミュージシャンを使って本作を制作している。
1−3.は「ポパイ」のメロディを使った組曲。重圧なイメージで始まるものの、スティール・ドラムや波の音を加えるなど徐々に南国ムードになったかと思ったら、クラシカルなピアノが始まる・・・という導入部だけでも非常に広がりのある世界が構築されている。このピアノも彼の演奏の中でも極めて軽やかなものであり、続くホーンも導入したバンド・スタイルの演奏とも非常に好対照でおもしろい。5.はキースの手掛けたサントラ『ナイトホークス』収録曲のインスト・バージョン。6.のホンキー・トンク調の曲もキースのお家芸の一つだが、とにかく演奏が滑らか。全体的にエマーソン節をも薄くさせるほどの開放的で明るい作風だが、当時の彼の気持ちがそのまま出た・・・というのは考え過ぎか?しかしながらEL&Pのキーボード・パートそのままの雰囲気の楽曲も多く、彼らのファンなら文句なしに楽しめると思う。ジャズからゴスペル、ブギウギなど非常にバラエティに非常に富んだ魅力的な作品である。