最新のチェ・ゲバラ(以下チェと略)伝である。「旅、キューバ革命、ボリビア」という的確な副題がついている。キューバとアメリカの国交正常化という世界史的大事件に合わせたタイムリーな出版のようにみえるが、あとがきによると、5年前から計画されたようである。2年後に控えるチェ死後50周年記念の口火を切る出版なのかもしれない。
構成と私的な分類
学生時代(約19頁)
第一章・・アルゼンチン生まれ。25歳で大学卒業するまで。「モーターサイクルダイアリーズ」時代を含む。
キューバ革命戦士時代(約59頁)
第二章・・28歳まで。革命軍グランマ号出航まで
第三章・・30歳まで。1959年1月1日のキューバ革命戦争勝利まで。
革命政権政治家時代(約134頁)
第四章・・31歳まで。旧政権戦犯処刑責任者、軍の再編、外訪、工業局長を経て、国立銀行総裁に任命されるまで
第五章・・32歳まで。政権のアメリカとの対立、ソ連への接近、ヒロン浜に侵入したアメリカの傭兵部隊を撃破するまで。
第六章・・34歳まで。工業相就任。チェのソ連への幻滅。キューバ核ミサイル危機の解決まで
第七章・・36歳まで。アルゼンチン革命支援失敗、国内の工業化失敗。外国歴訪、アルジェでソ連非難演説。
再ゲリラ戦士時代(約82頁)
第八章・・38歳まで。帰国後、フィデル・カストロの叱責。2週間後、キューバ国籍とすべての職位を返上。フィデルへの別れの手紙。コンゴ動乱への参加と撤退。ボリビアへ。
第九章・・39歳まで。ボリビア革命戦争の敗北と処刑死。
私的感想
●チェは世界に五か国しか存在しない社会主義国の一つキューバ革命の立役者の一人だが、どの国も、幸福な社会主義を実現できたかどうか疑わしく、キューバ革命もほぼ終焉を迎えている。世界の革命的情熱は、主義、思想を離れ、宗教のほうに移動してしまった。チェがもし現代に生き返ったら、何というだろう。
●本書はチェの人生と思想に強い共感を寄せつつ、一般向けに、比較的客観的にチェの生涯を描いたもので、情報豊富で大変面白い。革命家としてのチェの残酷面(革命戦での裏切り農民の処刑、革命後の戦犯の処罰指名)もきちんと書いているのも、評価できる。
しかし、時折、革命戦術評論家みたいな記述が顔を出すのはちょっと酷い。チェは著書「ゲリラ戦争」で危険と判断した人物をためらわず排除する(殺す)ことを主張していながら、ボリビアでは、危険と判断した農民を放置しており・・厳しさが足りなかった。隊内の「弱い輪」だったボリビア人四人を早い段階で処罰しなかった優柔不断、「人道主義」が取り返しのつかない災いを招いた等・・これで思い出すのは、かって、京浜安保共闘が、脱走した二人のメンバーを弱い輪として、最初に殺害したことである。
一方、読者の共感を誘うためか、チェには、ゲリラ行軍中でも、傷ついた動物の手当てをするような優しさがあったことを繰り返し書いているが、これはあまり効果ないだろう。かって、ポルポト政権の大量虐殺者ヌオン・チェアは、内戦中に死んだ人間と動物を同レベルに並べて謝罪し、全世界の非難を浴びた。
そして、一番違和感のある記述として、著者がチェの武力闘争人生をずっと肯定的に描きながら、チェの死後に「武力を過信したチェは、武力によって滅びた」と結論づけるのはいかがなものだろうか。気が抜けてしまうではないか。
●学生時代が短いのは、自由、放浪、人道的なこの時代をあまり書くと、厳格な革命家時代とのバランスが崩れるからか。革命政権政治家時代が長いのは。ここにはチェの個人史だけでなく、革命政権史、革命政権内部闘争史が比較的丁寧に描かれているからで、大変興味深い。フィデルは民主独裁主義者であったから、ファシストにも、共産主義者にもなりえたのだが、結局は共産主義を選んだ。そして、政権内の穏健派を徐々に排除し、最後の穏健派で功労者マトスを20年の獄に放り込んで、政権は確立する。しかし、対ソ関係に翻弄されていく。
●しかし、本書のハイライトは、やはり最後のボリビア革命戦争だろう。当時は「第二、第三のベトナムを」いうスローガンが世界の若者を感動させたが、今日そして未来にも残るのは、その思想よりも生き方ではないだろうか。政権の第三位にあった男が、もはや若くもなく、持病もちなのに、すべてを捨てて、ゲリラ戦のためにボリビアに侵入する。政府軍の包囲網をくぐって、軽装武器で奇襲し、相手の武器を強奪する。食物は農家のものや野生のもので調達し、過酷な距離を行軍し、襲撃に会うたびに隊員は減っていく。それでも脱出と、連絡網の再建に希望をつなぎ、進んでいく。そして、最後の時が来る・・
●本書によれば、チェを「ドン・キホーテ型の典型」とする見解があり、マトスによれば、「チェはフィデルに酷使され、切り捨てられ、活躍のできる場を求めて、(ボリビアに行き)、死後、フィデルに宣伝に利用された犠牲者」だったことになる。また、著者は「竹槍精神」とも書いており、太平洋戦争末期の日本軍を想定しているのかもしれない。しかし、しかし、これはチェが自ら選んだ道である。
私的結論
●キューバ革命の歴史的意義は、ラテン・アメリカの小さな島国が、半世紀余りの間、大国アメリカに対抗し、困らせてきたことにあるのかもしれない。
●将来、キューバ革命が忘れられることがあっても、ボリビアで処刑されたチェ・ゲバラが忘れられることはないだろう。
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チェ・ゲバラ - 旅、キューバ革命、ボリビア (中公新書) 新書 – 2015/7/24
伊高 浩昭
(著)
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今も信奉者を集めるチェ・ゲバラ。革命に目覚めた南米旅行、キューバでの奮闘、そしてボリビアに死すまで。生涯をたどり実像に迫る。
- 本の長さ306ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2015/7/24
- ISBN-104121023307
- ISBN-13978-4121023308
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2015/7/24)
- 発売日 : 2015/7/24
- 言語 : 日本語
- 新書 : 306ページ
- ISBN-10 : 4121023307
- ISBN-13 : 978-4121023308
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- - 1,556位中公新書
- - 54,831位ノンフィクション (本)
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2015年8月8日に日本でレビュー済み
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2020年11月8日に日本でレビュー済み
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チェ・ゲバラがアルゼンチンで生まれてからコロンビアで死ぬまでの、主として革命活動家としての記録を事実に基づいて書かれています。また、中南米では言葉が共通であることもあり、国境を越えた汎アメリカ主義的な考えを持っていた点もわかりました。キューバ革命のケースからは、変革(革命)が成功しても、その後の国家の運営を安定的に行うことの難しさが示されています。カストロ兄弟も登場し、革命当時とその後の役割も書かれており、現在のキューバ理解の参考となりました。
2019年9月17日に日本でレビュー済み
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フィデル・カストロの本とチェ・ゲバラの南米旅行記を読み、二つのドキュメンタリー(一つは日本のテレビ局制作、一つはフランスのテレビ局制作)を見た後この著書を読んだため、かなり頭に入り安かったのと同時に、色々な食い違いも発見出来たのが収穫。この本は日本人の書いた関連本以外にも、原書をそのまま幅広く且つたくさん参考にしているため、信頼性は高いだろう。興味深かったのは、ゲバラは自らも認めている通りリーダーとしての統率能力を持ち合わせていなかったということ。キューバ革命では、良いにつけ悪いにつけカストロという強烈な個性のあるカリスマ的ボスがいたため、ゲバラの能力も最大限に発揮されたが、コンゴやボリビアでは自らが主体として革命を立案・実行する立場でありながら、仲間たちを統率出来ず不完全燃焼で終わってしまった。但し、革命戦士としてのゲバラがその生涯において果たした功績・影響は偉大なものだったといえる。ゲバラ入門としては最適な本。
2023年2月26日に日本でレビュー済み
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映画を日本を見て、もう少し知りたいと思って、探して購入した。しかし、細かい年表をただ羅列的に文章化しただけの本で、これでもかというくらい退屈でがっかり。しかも、羅列的記述の中に、突然「ここからは、日本の習慣に沿って冠詞「エル」を外し「チェ」とエルネストと呼ぶことにしよう。しかし、なんと短く破天荒な渾名だろう!」と砕けた文章が挿入されるのは著者の自己愛しか感じられない。あとがきで「この本が多くの若い世代に読まれることを期待しつつ」とある。本当にそう思うならばもう少し工夫して欲しい。担当者も悪いと思う。「これじゃ、同業者にしか読まれませんよ。書き直してください」と言うべきだった。
2019年4月16日に日本でレビュー済み
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映画が公開された当時に劇場でみました。それ以降ゲバラに関するメディアに発表されたものをくまなくチェックしてきました。ボリビアでのその最期を見届けようとしていたルポルタージュには感動しました。
最近では革命直後に予定を変更して広島へやってきた経緯にも感動。またハンセン病について調べているので、若き医学生であったゲバラがベネズエラで体験したことを今一度調べてみたいと思った。
最近では革命直後に予定を変更して広島へやってきた経緯にも感動。またハンセン病について調べているので、若き医学生であったゲバラがベネズエラで体験したことを今一度調べてみたいと思った。
2016年8月31日に日本でレビュー済み
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日本でゲバラといえば、90年代に(バンド、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの影響で)Tシャツが売れまくった革命家のアイコンであり、2016年現在では現政権に反発を感じる人達の精神的アイドルのようなものかもしれない。しかし思うのは、当時そして今も、彼を支持する(特に)若年層がどれだけゲバラという人間の実像を理解しているのだろうか、ということだ。時代性の色濃い彼自身の著作や少々客観性を失った信奉者の書いた書籍が多い中、本書は冷静な視点で彼の実像を追っている点が好ましい。
ハンサムなアルゼンチン人の医学生が南米を旅していくうちに、メスを銃に持ち替える決意をする—騎士道精神や理想主義を携えながら、ラテン・アメリカの真の独立を夢見てカストロらに共鳴、キューバ革命へと邁進していく若き戦士ゲバラは本当に魅力的だ。一方で、革命政権成立後に幼稚な政策や理想共産主義への拘り(本人はあくまでも”共産主義者”ではないと主張するのが彼らしい)でカストロの足を引っ張り、精神論に頼りすぎたコンゴ遠征や無謀ともいえるボリビアのゲリラ戦へと没入していく様は笑顔を失ったドン・キホーテのように痛々しい 。いずれも時系列に従った事象のなかに彼らしいエピソードが巧みに織り込まれていて、どんどんページをめくっていけた。
あの有名な肖像写真のように、ゲバラには光と影がある。それらを理解してこそ、我々は新しい時代秩序を見出せるのだろう。
ハンサムなアルゼンチン人の医学生が南米を旅していくうちに、メスを銃に持ち替える決意をする—騎士道精神や理想主義を携えながら、ラテン・アメリカの真の独立を夢見てカストロらに共鳴、キューバ革命へと邁進していく若き戦士ゲバラは本当に魅力的だ。一方で、革命政権成立後に幼稚な政策や理想共産主義への拘り(本人はあくまでも”共産主義者”ではないと主張するのが彼らしい)でカストロの足を引っ張り、精神論に頼りすぎたコンゴ遠征や無謀ともいえるボリビアのゲリラ戦へと没入していく様は笑顔を失ったドン・キホーテのように痛々しい 。いずれも時系列に従った事象のなかに彼らしいエピソードが巧みに織り込まれていて、どんどんページをめくっていけた。
あの有名な肖像写真のように、ゲバラには光と影がある。それらを理解してこそ、我々は新しい時代秩序を見出せるのだろう。
2016年2月5日に日本でレビュー済み
ラテンアメリカウォッチャーで元ジャーナリストの伊高浩昭氏によるチェ・ゲバラの評伝。本書の帯に「『伝説の革命家』の実像」とあるように神話化されたゲバラではなく等身大のゲバラを、丹念な調査や関係者へのインタビューに基づいて客観的に描き、彼の思想や行動を鮮やかに蘇らしている。
アルゼンチンの裕福な家に生まれたゲバラは、医学部を卒業後中南米の各地を旅し、28歳の時にカストロ兄弟と出会い、共にキューバ革命を戦い勝利する。革命政権では政府首脳を務めたもののラテンアメリカ革命の夢はやみ難く、一人でキューバを離れボリビアの戦場で39歳の生涯を終える。
著者によると、ゲバラは人の命を奪う武闘革命家であると同時に敵味方を問わず人の命を救う医師でもあったと、彼の二面性を指摘しているが、評者は以下のような点で人間ゲバラに興味を惹かれた。
先ず、ゲバラは武の人であるが、文の人でもあった。学生時代から文学や詩や哲学に親しみ、戦場でもマルクスやトロツキーを読んでいた。筆も立ち、超多忙の中で「ゲリラ戦争」他いくつかの論文を著し、死の2日前まで戦場日記を記し、友人や家族へも数多くの手紙を書き送っている。次に、優れた戦略家であり知の人とみられるが、情の熱い人でもあった。カストロを始め友人や部下とは親身に接し、また家族を大切にした。遠く離れて住む父母や妻子への手紙は、どれも愛情にあふれている。3つ目にはゲバラにはオートバイ旅行や山中のゲリラ戦から屈強な肉体を想像するが、宿痾の病があった。幼児の頃から喘息に悩み、戦場でもたびたび喘息の発作に苦しみ最期まで薬を手放せなかった。
ゲバラ没後50年、この間にソ連の崩壊や中国の資本主義導入等時代は大きく変わったが、ラテンアメリカやアフリカの貧困は依然として変わらない。抑圧される民衆がいる限り、39年の生涯を全力で駆け抜けたチェ・ゲバラの生涯は、いつまでも人々の胸に残ることだろう。
アルゼンチンの裕福な家に生まれたゲバラは、医学部を卒業後中南米の各地を旅し、28歳の時にカストロ兄弟と出会い、共にキューバ革命を戦い勝利する。革命政権では政府首脳を務めたもののラテンアメリカ革命の夢はやみ難く、一人でキューバを離れボリビアの戦場で39歳の生涯を終える。
著者によると、ゲバラは人の命を奪う武闘革命家であると同時に敵味方を問わず人の命を救う医師でもあったと、彼の二面性を指摘しているが、評者は以下のような点で人間ゲバラに興味を惹かれた。
先ず、ゲバラは武の人であるが、文の人でもあった。学生時代から文学や詩や哲学に親しみ、戦場でもマルクスやトロツキーを読んでいた。筆も立ち、超多忙の中で「ゲリラ戦争」他いくつかの論文を著し、死の2日前まで戦場日記を記し、友人や家族へも数多くの手紙を書き送っている。次に、優れた戦略家であり知の人とみられるが、情の熱い人でもあった。カストロを始め友人や部下とは親身に接し、また家族を大切にした。遠く離れて住む父母や妻子への手紙は、どれも愛情にあふれている。3つ目にはゲバラにはオートバイ旅行や山中のゲリラ戦から屈強な肉体を想像するが、宿痾の病があった。幼児の頃から喘息に悩み、戦場でもたびたび喘息の発作に苦しみ最期まで薬を手放せなかった。
ゲバラ没後50年、この間にソ連の崩壊や中国の資本主義導入等時代は大きく変わったが、ラテンアメリカやアフリカの貧困は依然として変わらない。抑圧される民衆がいる限り、39年の生涯を全力で駆け抜けたチェ・ゲバラの生涯は、いつまでも人々の胸に残ることだろう。
2015年10月12日に日本でレビュー済み
革命家チェ・ゲバラの生涯について、アルゼンチンで過ごした幼少期から革命家を目指すきっかけとなった南米大旅行、そしてキューバ、コンゴで起こした革命の様子やボリビアでの最期が記されている。
内容的にはかなり詳細に記述さており、資料的な役割は非常に高いと思われる。しかし淡々と事実が語られているため、読み物としてはちょっと物足りなさを感じた。
アメリカの帝国主義を憎み、革命によって神格化されたゲバラだが、もし生きていたのであれば此度の国交正常化に際し、どんなコメントを残したのだろうか、大変興味深い。
内容的にはかなり詳細に記述さており、資料的な役割は非常に高いと思われる。しかし淡々と事実が語られているため、読み物としてはちょっと物足りなさを感じた。
アメリカの帝国主義を憎み、革命によって神格化されたゲバラだが、もし生きていたのであれば此度の国交正常化に際し、どんなコメントを残したのだろうか、大変興味深い。