無印がとても面白かったので続けて読破。
個人的には東洋編の方が「これこそ真理です」と明かされているので、そこに至るためのあらゆる「ハシゴ」を知れたのが面白かった。
ハシゴは数あれど、目指す到達点は同一。
そこが東洋哲学の面白いところだと学ぶことができました。
以下に少し内容を紹介させていただくので、興味を持っていただけたら幸いです。
しかし、やはり飲茶氏の歯切れのよい解説を楽しんで欲しいです。
0 真理への到達方法〜西洋と東洋の違い〜
西洋は各人が「これが真理だ」とした言い分に対してその弱点や反証を持ち出して洗練を続けることでいつか真理に辿り着くものとする一方で、東洋はすでにある人の「これが真理です」が頂点に置かれ、それについて個人が様々な解釈により自身も同じ真理に辿り着こうとする。
また、思想活動とは、古今東西、時間的余裕を持てたから「無駄なことを考えること」ができたのであり、事実英語の「school」の原義であるギリシャ語の「schole」は「暇」という意味である。
1 ヤージュニャヴァルキヤ〈梵我一如〉
”私”とは、ただ認識する鑑賞者であり、”私”は何者にも認識されることはない。
肉体も思想もアイデンティティも”私”ではないのに、それらを”私”だと思い込むからそれらが傷つけられた時に「”私”が害された」という勘違いをしてしまう。
”私”という鑑賞者にとってはいかなる事象もただ映画のようなものである。
2 釈迦〈無我〉
無我、つまり自分はないとし、ヤージュニャヴァルキヤの境地を再定義した。
また、真理への到達方法は個人で異なるとし、ある人には右へ、ある人には左へ行くことを指示し、真理へと到達させようとした。
3 龍樹
般若心経(の元となる般若経)を作り上げる。
内、有名な「色即是空、空即是色」は、物体はなく、ないことが物体である、という意味。
自転車を分解すれば物体は無くなっていないのに自転車は無くなり、またサドルなどの部品についても分解すればサドルが無くなるように、物体は確固として存在してはおらず、ただ人の尺度で切り抜かれただけで存在する・しないとしているだけだとした。
最も原初の分別は、赤子が分けた”私”と混沌としたそれ以外である、とも説いた。(無分別智)
そして最後に、あらゆるものを「ない、ない」と否定し続けた般若経の最後は「呪文(マントラ)」を唱えることで悟ることができる、というもの。
悟りを得るとは自分が○ぬほどの恐怖を伴うものなので、最後は意味などない呪文が背中を押すのに最適だと締めた。
4 老子〈無為自然〉
道家の教祖。
全てを起こるに任せる自然体である「無為自然」な状態こそ最強とした。
5 荘子〈万物斉同〉
道(タオ)には本来境界などなく、言葉で道を表そうとしてしまうとそこに境界が生まれてしまうとした。
また、教義の戒律は、禁止それ自体を目的としているわけではなく、禁止されることで湧き上がる欲を自覚させるものであり、いわば方便であると説いた。
6 日本仏教
538年に百済から輸入されたのが始まりで、蘇我氏が肯定したことで当時の天皇に認められた。
平安時代に最澄(天台宗at比叡山延暦寺)、空海(真言宗at高野山金剛峯寺)という二人の大物が仏教界に表れる。
空海が取り入れた仏教は密教(人智を超えた不可思議で神秘的)の色が強く、しかしそれが貴族にウケ、それを見た最澄も密教の取り入れを始めるが、それは仏教の世俗化であった。
そしてそれに待ったをかけるべく、仏教界に新たに「改革派」と「保守派」が生まれる。
「改革派」法然、親鸞:仏教は貴族ではなくまさに苦しむ庶民のためのもの
「保守派」栄西、道元:仏教の基本に立ち返り、禅を持ち込む
さらに江戸時代、徳川幕府は天下泰平のため、ある法律を制定する。
① 布教活動及び新宗派設立の禁止
…仏教弾圧による反乱を阻止し、かつ、日本国民を仏教に帰属させることでキリスト教などの外来宗教の流入を阻止しした。
② いかなる家もいずれかの寺に属すること(寺請制度、檀家)
…国は戸籍管理を全国の寺に委託することに成功し、寺も新たな信者を増やすための活動をする必要が無くなった(しかしそれは仏教修行を怠り、法事のみ行う「葬式仏教」と揶揄された)
7 親鸞〈他力本願〉
鎌倉時代に活躍した仏教僧で、法然(浄土宗開祖)の弟子。浄土真宗の教祖。
念仏を受け継ぐが、従来のものは深く瞑想状態に入ることが必要とされていたものを、単に「南無阿弥陀仏」と唱えるだけで極楽浄土へ行けるものとした。
歎異抄は親鸞が生前語っていたことを記したものであり、「他力本願」「悪人往生」が有名。
本意は、善人(と自分で思っている人)は自分が仏に救われることに疑いがなく信仰が薄いが、自らを悪人だと思う人は罪を自覚し、仏に救いを求める点で信仰が強いために救われるというもの。
ただ、これを世の人が真に理解できず、「悪いことをした方が救われる」という危険な思想に結びつくことを危惧したため、800年ほどの間、本願寺に秘書として保管された。
8 禅
インドの達磨から始まったと言われる。
中国、日本と伝わったが、世界的にも日本語の「ZEN」として親しまれている。
9 栄西〈公案〉
臨済宗の開祖。
公案とは、いわゆる「なぞなぞ」のこと。
深く自信の思考と向き合うことで悟りに至るとした。
ちなみに臨済宗の僧侶の一人が一休宗純つまり「一休さん」であり、彼がとんちで有名なのはここからきている。
10 道元〈只管打坐〉
曹洞宗の開祖。
仏教の悟りを得るための”ハシゴ”が多様化・複雑化してきていることを案じ、「ただひたすら坐禅に打ち込む」という、原点回帰かつ極限のシンプル化を成した。
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史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち (SUN MAGAZINE MOOK) 単行本 – 2012/3/14
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古代インド哲学・仏教・老荘思想・禅…、あらゆる東洋哲学は、融合と変質を遂げながら、なぜ東へ東へ伝わり、日本にたどり着いたのか?
釈迦・龍樹・老子・道元…、「真理(最強)」を自称する、恐るべき東洋の哲人たちが起こした奇跡とは?
とことんわかりやすい言葉で、哲学の面白さを存分に伝える、最強ナビゲーター・飲茶氏による、待望の東洋哲学入門書。
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「え? なんのために東洋哲学は「東」に向かったかって?
そんなの決まっておるじゃろう?
おぬし(読者)に会いにくるためじゃよ!!」(本書より)
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- 本の長さ416ページ
- 言語日本語
- 出版社マガジン・マガジン
- 発売日2012/3/14
- ISBN-104896447875
- ISBN-13978-4896447873
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商品の説明
著者について
飲茶(やむちゃ)
北国生まれ。東北大学大学院卒業。元は普通のブロガーであったが、突然スカウトされて作家デビュー。哲学や科学など、とっつきにくい学問を
楽しくわかりやすく解説した本が大好評となる。しかし、二冊目の執筆依頼はないだろうとたかをくくって適当な著者名にしてしまい、「もっと
強そうな名前にすれば良かった」としきりに後悔しているとのこと。著書に『哲学的な何か、あと科学とか』『哲学的な何か、あと数学とか』。
また現在、『哲学ガールズ(PHP研究所)』をプロデュース中。さらなる飛躍を目指している。口癖は「消えろ、ぶっ飛ばされんうちにな」。
著者ブログ:http://blog.yamcha.jp/
激烈なバキファン。
北国生まれ。東北大学大学院卒業。元は普通のブロガーであったが、突然スカウトされて作家デビュー。哲学や科学など、とっつきにくい学問を
楽しくわかりやすく解説した本が大好評となる。しかし、二冊目の執筆依頼はないだろうとたかをくくって適当な著者名にしてしまい、「もっと
強そうな名前にすれば良かった」としきりに後悔しているとのこと。著書に『哲学的な何か、あと科学とか』『哲学的な何か、あと数学とか』。
また現在、『哲学ガールズ(PHP研究所)』をプロデュース中。さらなる飛躍を目指している。口癖は「消えろ、ぶっ飛ばされんうちにな」。
著者ブログ:http://blog.yamcha.jp/
激烈なバキファン。
登録情報
- 出版社 : マガジン・マガジン (2012/3/14)
- 発売日 : 2012/3/14
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 416ページ
- ISBN-10 : 4896447875
- ISBN-13 : 978-4896447873
- Amazon 売れ筋ランキング: - 39,873位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 72位東洋哲学入門
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

東北大学大学院修了。会社経営者。哲学や科学などハードルの高いジャンルの知識を、楽しくわかりやすく解説したブログを立ち上げ人気となる。著書に『史上最強の哲学入門』『14歳からの哲学入門』などがある。
イメージ付きのレビュー

5 星
とても面白かった。
東洋の方は、主に仏教と、老子と荘子の考え方の話でした。西洋の方は、とても理詰めで、それはそれで面白かったですが、東洋の方は、自分で感じろ‼という感じで、その違いが楽しかったです。思想が、なぜか、東方へ、東方へと移っていき、最後日本に伝わり、そこでまた、日本の中で、お経の解釈の違いによって、今ある宗派に分かれていく様子が、分りやすく、いい本だなと思いました。
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上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2023年12月10日に日本でレビュー済み
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2023年12月18日に日本でレビュー済み
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大満足の一冊でした。中田敦彦さんのYouTube大学に上がっている世界史の動画とともに見るとより理解が深まります。
2023年11月15日に日本でレビュー済み
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広く浅く、但し浅すぎない内容で、面白く、分かりやすいので、「わかった」気持ちになれる。入門書としてはベストだと思った。
2023年2月4日に日本でレビュー済み
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本書は、東洋哲学の「真髄」「本質」「核心」をバキになぞらえつつ解説する入門書。
例えば、以下のような内容。
西洋哲学と対比して東洋哲学はどういう考え方なのか?を語っているのがわかりやすい。
例えば、
・西洋哲学は階段であり、東洋哲学はピラミッドである。
→西洋哲学はゴール(真理)を目指すが、東洋哲学は真理に到達した覚者の教えから始まり、それを解釈して広がる。
・西洋哲学は知識であり、東洋哲学は体験である。
→西洋哲学は論理的な体系にまとめられており、理解すればそれを体得したことになるが、東洋哲学は教えを知ったとしても「悟り」を得なければそれを本当に理解したとはいえない。
・西洋哲学は人間の外側を考え、東洋哲学は人間の内側を考える。
→西洋哲学は世界の根源や絶対的に正しいことを最初の哲学としたが、東洋哲学は自己という内側にあるものについて考えた。
また、同じ東洋哲学でも、例えば仏教は「人生は苦である」という考え方に端を発しているのに対し、儒教は「人生は楽しい」という全く反対の考え方であったりする。
このように同じ哲学というくくりでも異なる思想、というのが良くわかる内容になっている。
哲学に興味のある方には、同じ著者の西洋版と合わせてオススメしたい。
他、以下に理解した内容をまとめる。
■インド哲学
・私が存在する、とはどういうことか?を考えたとき、それは「痛み」を感じたり「色」を見たりする意識があることである。言い換えると、私は認識するものである。その定義に従うと、認識する私自身を認識対象として、「私は○○である」ということはできない。つまり、インド哲学において自己を表現するならば「私は○○でない」となる。しかし、私たちは日常的に地位や名誉、自己イメージ等によって「私は○○である」と考えてしまう。そのような間違った思い込みは、執着や失望を生み出し不幸の元となる。映画に例えるなら自己とは映画の鑑賞者であって、決して鑑賞している映画の登場人物と同一ではない。そして、映画の中でどのようなことが行われようが、鑑賞する私を汚すことも破壊することもできない。そう考えることで、不幸は消え去る。
・しかし、このような哲学が広まると、今度はそれをそのまま受け取り、「私は捉えることも害することもできないもの」として捉えようとする矛盾した理解が大衆に広まってしまった。そのため、釈迦は悟りを開いた後に、仏教の教えとともに「無我」を主張し、私とは存在しない、と説いた。
・我々が存在していると認識している物事は、そういうふうに存在するように区別しているからこそ、そういうふうに存在している。つまり、認識するもの/されるものという関係性の中で成り立っているだけであり、確固たる実体があるから存在しているのではない、 というのが仏教における「空」である。なぜこのようなことを言うかというと、何かをある、としてそれを理解しようとしても、それは知識であり悟りではないためである。そのため、存在を否定して、言葉による理解を捨てて、ただ体験として悟りを得ることが目的。その手段のひとつがお経を読むことであり、それが般若心経に書かれている教えである。
■中国哲学
孔子:家族のように人を思いやろう
墨子:自分と同じくらい他人を愛そう
孟子:人は管理せずに任せよう
荀子:人には役割があるからそれを守ろう
韓非子:ちゃんとした決まりを作ってそれに従おう
老子:私という枠に捉われず、自然に生きよう
荘子:老子の教えをもっとわかりやすく
■日本哲学
・インド哲学や中国哲学といった考え方が日本において発展し生まれたのが「禅」である。禅とは「問題を分析し解き明かす」のではなく、「問題から飛躍し『答え』を直接体験する」ことを目指して洗練されてきた哲学体系である。禅の教えはいくつかあるが、例えば臨済宗の公案は端的にいうとナゾナゾであり、思考や理解を破壊して、無分別智を呼び起こすために行う。また曹洞宗ではひたすら座禅を行い、悟りを得ようとする。この時「思考よ止まれ」と思考するのではなく、いま自分の身に起きている思考や感覚を「問題視」せずにただ眺めてスルーし、思考を生み出す元となっている「考えるべき問題」を減らしていくと、次の思考が生み出される「きっかけ」が減っていく。
例えば、以下のような内容。
西洋哲学と対比して東洋哲学はどういう考え方なのか?を語っているのがわかりやすい。
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・西洋哲学は階段であり、東洋哲学はピラミッドである。
→西洋哲学はゴール(真理)を目指すが、東洋哲学は真理に到達した覚者の教えから始まり、それを解釈して広がる。
・西洋哲学は知識であり、東洋哲学は体験である。
→西洋哲学は論理的な体系にまとめられており、理解すればそれを体得したことになるが、東洋哲学は教えを知ったとしても「悟り」を得なければそれを本当に理解したとはいえない。
・西洋哲学は人間の外側を考え、東洋哲学は人間の内側を考える。
→西洋哲学は世界の根源や絶対的に正しいことを最初の哲学としたが、東洋哲学は自己という内側にあるものについて考えた。
また、同じ東洋哲学でも、例えば仏教は「人生は苦である」という考え方に端を発しているのに対し、儒教は「人生は楽しい」という全く反対の考え方であったりする。
このように同じ哲学というくくりでも異なる思想、というのが良くわかる内容になっている。
哲学に興味のある方には、同じ著者の西洋版と合わせてオススメしたい。
他、以下に理解した内容をまとめる。
■インド哲学
・私が存在する、とはどういうことか?を考えたとき、それは「痛み」を感じたり「色」を見たりする意識があることである。言い換えると、私は認識するものである。その定義に従うと、認識する私自身を認識対象として、「私は○○である」ということはできない。つまり、インド哲学において自己を表現するならば「私は○○でない」となる。しかし、私たちは日常的に地位や名誉、自己イメージ等によって「私は○○である」と考えてしまう。そのような間違った思い込みは、執着や失望を生み出し不幸の元となる。映画に例えるなら自己とは映画の鑑賞者であって、決して鑑賞している映画の登場人物と同一ではない。そして、映画の中でどのようなことが行われようが、鑑賞する私を汚すことも破壊することもできない。そう考えることで、不幸は消え去る。
・しかし、このような哲学が広まると、今度はそれをそのまま受け取り、「私は捉えることも害することもできないもの」として捉えようとする矛盾した理解が大衆に広まってしまった。そのため、釈迦は悟りを開いた後に、仏教の教えとともに「無我」を主張し、私とは存在しない、と説いた。
・我々が存在していると認識している物事は、そういうふうに存在するように区別しているからこそ、そういうふうに存在している。つまり、認識するもの/されるものという関係性の中で成り立っているだけであり、確固たる実体があるから存在しているのではない、 というのが仏教における「空」である。なぜこのようなことを言うかというと、何かをある、としてそれを理解しようとしても、それは知識であり悟りではないためである。そのため、存在を否定して、言葉による理解を捨てて、ただ体験として悟りを得ることが目的。その手段のひとつがお経を読むことであり、それが般若心経に書かれている教えである。
■中国哲学
孔子:家族のように人を思いやろう
墨子:自分と同じくらい他人を愛そう
孟子:人は管理せずに任せよう
荀子:人には役割があるからそれを守ろう
韓非子:ちゃんとした決まりを作ってそれに従おう
老子:私という枠に捉われず、自然に生きよう
荘子:老子の教えをもっとわかりやすく
■日本哲学
・インド哲学や中国哲学といった考え方が日本において発展し生まれたのが「禅」である。禅とは「問題を分析し解き明かす」のではなく、「問題から飛躍し『答え』を直接体験する」ことを目指して洗練されてきた哲学体系である。禅の教えはいくつかあるが、例えば臨済宗の公案は端的にいうとナゾナゾであり、思考や理解を破壊して、無分別智を呼び起こすために行う。また曹洞宗ではひたすら座禅を行い、悟りを得ようとする。この時「思考よ止まれ」と思考するのではなく、いま自分の身に起きている思考や感覚を「問題視」せずにただ眺めてスルーし、思考を生み出す元となっている「考えるべき問題」を減らしていくと、次の思考が生み出される「きっかけ」が減っていく。
2023年4月18日に日本でレビュー済み
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悟りってなんでも分かる状態だと思っていたのですが、何もない状態なんだという事が分かりました。
でも、これでは何にもわかっていないんだろうなとも思い、難しいです。
本当に難しい。
でも、これでは何にもわかっていないんだろうなとも思い、難しいです。
本当に難しい。
2023年5月1日に日本でレビュー済み
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西洋哲学、東洋哲学両方とも読みました。根本から異なる両者の特徴や軸にしていることを知識として知れて(体験的理解ではないです笑)面白かったです。それらの古くから根強く残り今も語り継がれている考え方は、現在の西洋と東洋の性格の違い(大きく捉えると)に少なくとも影響しているんだろうなと、私が今海外にいるからこそ、両者の違いを哲学の起源や発達の仕方に当てはめて捉えることができました。多様性が尊重される時代だからこそ、相手を理解するためにも哲学という偉人が残した礎を学ばない手はないだろう!と思いました。素敵な本をありがとうございます!
2023年4月7日に日本でレビュー済み
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最高の哲学入門です。
哲学と宗教が入り混じっている現代における状況の理解としても秀逸で、とても面白かった!途中何度も声に出して笑っちゃいました。
西洋哲学との比較もあるので、前バージョンから読むことをおすすめします。
哲学と宗教が入り混じっている現代における状況の理解としても秀逸で、とても面白かった!途中何度も声に出して笑っちゃいました。
西洋哲学との比較もあるので、前バージョンから読むことをおすすめします。
2023年2月2日に日本でレビュー済み
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素晴らしい入門本です。西洋哲学を読んでから読んだ方が良いです。