著者の小川隆吉氏は昭和10年生まれ。北海道ウタリ協会札幌支部を創設し、国連の先住民作業部会に出席し、「遺骨返還運動」などさまざまな形でアイヌの人権に関わる活動を進めてきた人物だ。本書は小川氏の自伝・回想録となる。自筆の原稿と口述による原稿を年代順に再構成している。ほとんどは話し言葉で重複するところは多いが、くどいという感じはしない。古い時代背景が自然に浮かんでくる。章ごとに付けられた注が詳しい。巻末に「小川隆吉年譜」あり。
アイヌとしての体験を自ら語る著書としては、砂沢クラ『ク・スクップ・オルシペ』や川上勇治『サルウンクル物語』があるが、同じくらい率直な語り口に感銘を受けた。小川氏は朝鮮人の父とアイヌの母をもつが、両親に早く死なれ、どちらの民族に対してもアイデンティティーを感じなかったらしいのが、1970年代からの積極的な活動へとどうつながっていくのか。「北大医学部動物実験室で」の章は、自分たちの先祖の遺骨が動物の骨と並べておいてあるのを目撃する場面があって、実に迫力がある。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
