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◆ シャルル・デュモン(作曲)
◇ ベルナール・ジェラール(編曲)
【Rec.Jan-March 1971/Paris】
♪最初にタチの映画を見たのはもう20年以上前だったろうか…ちょうどサバービア絡みで(?)再評価の機運が高まっており、リヴァイヴァル上映を観るために、都内の劇場にまで足を運んだような覚えがある。作品はご存じ『ぼくの伯父さん』で、当時コッテコテのアメリカ映画ばかり観ていた筆者にはかなりの衝撃だった―チャップリンの『モダン・タイムス』の翻案とも取れる本作だが、個人的にいちばん記憶に残っているのは、ラスト“ぼく”がユロ伯父さんから両親のところへ帰るシーンで、少なからずシンパシィを寄せていたはずの伯父さんとの別れを惜しむでもなく、至極あっさり二人のもとに駆け寄る“ぼく”と、後に残されちょい淋しげなユロ氏の姿を見て、いい意味でも悪い意味でも「分かりやすい」(主として“ニューシネマ”以前の)ハリウッド産ムービーとのその落差に、いかにもフランス的なタッチというか、絵空事とは対極にある一種のリアリティを感じ取ったような気がしたのだ…
♪さてタチの諸作はその音楽も素晴らしく、『伯父さん』『休暇』のフランク・バルセリーニやアラン・ロマンといった中堅どころはもとより、『プレイタイム』のフランシス・ルマルクや当盤での C.デュモンなど、いわゆるシャンソン界の大物らも参画し、タチならではのあの滑稽味とスマートさとが入り雑じったような世界観に、欠かすことの出来ない“フレグランス”を加えてくれている。
♪なかでも本作は、例の『作品集』CDには未収録だった晩年期('71年)の佳作のサントラ盤ということで、タチ・ファンには見逃せない1枚と言えよう。気ままな口笛がノホホンとした伴奏に映える#1、やわらかな女声のスキャットをフィーチュアしたバラッドの#3、一転グルーヴィな#4―最高!!
