ソウル・アサイラムの根っからファンの方にとっては90年に発表された「And the Horse They Rode In On」を彷彿させるという表現が一番似つかわしいかもしれない。「Let Your Dim Light Shine」でブレイクを果たした同バンドだが、その中にあった大ヒットシングル・ラナウェイトレインの影響もあってか、バラードやミドルテンポの楽曲が以降多く見受けられ、アルバムのバランスとしては初期の味が失われていった気がする。比べて 「The Silver Lining」では力強く暖かい演奏が続く。1曲終わるたびに得られる胸にグッと来る高揚、そう、これって「And the Horse They Rode In On」を聴いた時とホント、感覚が似ているのだ。もちろん演奏力(特にドラム)は図抜けてあるし、デイヴ・パーナー のヴォーカルも歌詞含め渋くはなっているが、このバンドの保つみずみずしさは変わらないことを証明してくれた。カール・ミュラーのラストアルバムという位置づけも無論あるが、だからこそ原点回帰のバンドサウンドに仕上がったという見方もできるはずだ。