全体は、著者はしっかり力を入れて書いていることに、まず好印象である。
内容は、ズバリ「第二章」の論考がすこぶる面白いのだ。この「第二章」だけでも1冊の本に出来るだろうし、是非、考察の続きをしてもらいたい。
まず論点の抽出や問題の設定に、センスを感じる。
最近のアーティストが小粒になったという指摘があり、この話が「規格」という話に繋がって行くわけだが、要するに見事に「規格内」に収まる、良い子、安全性を志向する音楽シーン(業界)を最近の特徴とマキタは言う。これは規格外に非寛容になった保守的時代の反映と分析し、また業界としても、小室宜しく、音楽の工業製品化を進めた結果だと喝破する。つまるところ、J-POPもJIS規格厳守時代になった?という話である。それでも、ここでマキタが秀逸なのは、それを、アーティスト達の思想の変化という個別問題とは捉えず、産業や社会心理にまで視点を広げる点である。
お客さん(リスナー)の保守的意識を汲み取って、つまりマーケティングして業界が工業製品化したのか?あるいは工業製品化の果てに、リスナーも保守化したのか?マキタは考察を進め、そこに共犯関係を認める(?)のでだろう。この点は、さらにマキタには深く聞きたい論点である。
そして2014年1月の本書で、アイドルは「終わりを愛でる芸能」と言うマキタ。SMAPの解散が話題になっているが、まさにマキタの言う通りになっている。広義での「アイドル」SMAPの終わりを「愛でる」「愛しむ」ような国民的現象がみられる。この論点を延長すれば、アイドルと終末論になろうか。、残酷にも、我々は、アイドルにいつかの終わりを期待しているわけで、その終わり(終焉)までも楽しむという心性があるのだろう。とすれば、SMAPの最後も、それはそれで、物議を醸しだしているし、おそらく、マキタ風の分析すれば、「100点満点の終わり方」と言う表現も出来るのかも知れない。
というのも、マキタはその直後に、ジャニーズ事務所=ディズニーランド論を展開しており、そこでジャニーズを「ジャンルと言い、世界観、ブランドと言っている。そして、SMAPこそ「脱ジャニーズを狙った、ジャニーズ」と言うのであるからだ。<脱>ではあるが、ジャニーズというディズニーランドの範疇にあるということであろうが、今回の解散劇は、文字通り、脱ジャニーズをはらんでいるが、マキタはどう分析するのか、気になるところである。それは、従来型のミッキーマウス的主流でない非主流路線のSMAPが、脱ジャニーズ路線を標榜した結果、必然的に行き着いた先なのだろうか?
つまり、個別的な問題なのか?あるいは、社会に関することで、ジャニーズ=ディズニーランドという世界観が、現在の日本の芸能では、もはやマスに受け入れらなくなったのか?これは、先ほどの論点と同じであるが、この点も再度、マキタの分析の続きを聞きたいものである。
※上記の論点は、ともすれば、150~153に、短く桑田圭祐論があり、醤油とソースの問題。和と洋、あるいは、日本社会とそうでない感性、の葛藤の論点につながるのかもしれないが、本書には記載はない。
このように、本書は、著者マキタ氏の頭の中にあるテーマが、時に連なり、時に断絶がありながら(底辺ではつながっているのだろう)、論点を紡ぎ出す刺激的な一冊である。本書で出した論点を、さらに深く掘り下げた次作を期待せずにはいられない。

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すべてのJ-POPはパクリである (~現代ポップス論考) 単行本 – 2014/1/29
マキタスポーツ
(著)
◆ヒット曲を分析したら現代社会が見えてきた
マキタスポーツ氏は芸人でありながら、10年以上にわたりバンド「マキタ学級」を率いて音楽活動をしてきた。
その中でカノン進行、J-POP頻出ワード (「ツバサ」「サクラ」「トビラ」「キセキ」)、楽曲構成など、「ヒット曲に共通する要素」に気づき、
それらの要素を分析・分解し、『十年目のプロポー ズ』という曲を発表したところ、配信チャートでスマッシュヒット。その流れと同一線上にある
「作詞作曲モノマネ」というネタでも各メディアから注目を浴びることとなる。
もともと構造分析フェチであったマキタ氏は、本書で「アイドルとは終わりを愛でる芸能である」「『トイレの神様』理論」
「ビジュアル系とはビジネスモデルである」「『鰻の甕』理論」など、数々のロジックでヒット曲の謎を解き明かしている。
そして、最終的に行きついた「すべてのJ-POPはパクリである」という結論とは?
本書は芸人による音楽評論本でありながら、現代社会における「オリジナリティー」とは何かなどを考えさせる現代社会批評の書ともなっている。
<本書の内容>
第1章 ヒット曲の法則
・ヒット曲を生み出す時代背景
・カノン進行は一発屋を生む?
……など
第2章 なぜCDが売れなくなったのか?
・ファッション化する音楽
・AKB48の曲がヒットする2つの理由
・ももクロのジャンクさは確信犯
・ジャニーズという「ジャンルのすごさ」
・ビジュアル系をビジュアル系足らしめる3要素
……など
第3章 モノマネから発するオリジナリティー
・作詞作曲モノマネはオリジナルなものを生み出す
・オリジネイタータイプとフォロワータイプ
……など
第4章 日本のポップスはすべてノベルティー・ソングだ
・アーティストの非常に「柔らかい部分」
・「ノベルティー・ソング」とは何か
・「人格/規格」という見立てでアーティストの秘密がわかる
・パクリ論争などバカバカしい
……など
マキタスポーツ氏は芸人でありながら、10年以上にわたりバンド「マキタ学級」を率いて音楽活動をしてきた。
その中でカノン進行、J-POP頻出ワード (「ツバサ」「サクラ」「トビラ」「キセキ」)、楽曲構成など、「ヒット曲に共通する要素」に気づき、
それらの要素を分析・分解し、『十年目のプロポー ズ』という曲を発表したところ、配信チャートでスマッシュヒット。その流れと同一線上にある
「作詞作曲モノマネ」というネタでも各メディアから注目を浴びることとなる。
もともと構造分析フェチであったマキタ氏は、本書で「アイドルとは終わりを愛でる芸能である」「『トイレの神様』理論」
「ビジュアル系とはビジネスモデルである」「『鰻の甕』理論」など、数々のロジックでヒット曲の謎を解き明かしている。
そして、最終的に行きついた「すべてのJ-POPはパクリである」という結論とは?
本書は芸人による音楽評論本でありながら、現代社会における「オリジナリティー」とは何かなどを考えさせる現代社会批評の書ともなっている。
<本書の内容>
第1章 ヒット曲の法則
・ヒット曲を生み出す時代背景
・カノン進行は一発屋を生む?
……など
第2章 なぜCDが売れなくなったのか?
・ファッション化する音楽
・AKB48の曲がヒットする2つの理由
・ももクロのジャンクさは確信犯
・ジャニーズという「ジャンルのすごさ」
・ビジュアル系をビジュアル系足らしめる3要素
……など
第3章 モノマネから発するオリジナリティー
・作詞作曲モノマネはオリジナルなものを生み出す
・オリジネイタータイプとフォロワータイプ
……など
第4章 日本のポップスはすべてノベルティー・ソングだ
・アーティストの非常に「柔らかい部分」
・「ノベルティー・ソング」とは何か
・「人格/規格」という見立てでアーティストの秘密がわかる
・パクリ論争などバカバカしい
……など
- 本の長さ230ページ
- 言語日本語
- 出版社扶桑社
- 発売日2014/1/29
- 寸法13.2 x 1.9 x 18.9 cm
- ISBN-104594069037
- ISBN-13978-4594069032
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商品の説明
出版社からのコメント
現在amazon予約・購入特典キャンペーン実施中!
2014年2月28日(金)までにamazonで単行本『すべてのJ-POPはパクリである~現代ポップス論考』を予約注文、
またはご購入して頂いた方に、マキタスポーツ本人が実演とともに語る特典音源をプレゼント。
詳しくは日刊SPA! のインフォメーションをご覧ください!
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著者について
マキタスポーツ/1970年生まれ。ミュージシャン、芸人、俳優、コラムニスト。
2013年、映画『苦役列車』での演技により、ブルーリボン賞新人賞、東スポ映画大賞新人賞を受賞。
本名の槙田雄司名義での著書に『一億総ツッコミ時代』(星海社新書)、『アナーキー・イン・ザ・子供かわいい』(アスペクト)
本書はマキタスポーツ名義での初の著書になる。
2013年、映画『苦役列車』での演技により、ブルーリボン賞新人賞、東スポ映画大賞新人賞を受賞。
本名の槙田雄司名義での著書に『一億総ツッコミ時代』(星海社新書)、『アナーキー・イン・ザ・子供かわいい』(アスペクト)
本書はマキタスポーツ名義での初の著書になる。
登録情報
- 出版社 : 扶桑社 (2014/1/29)
- 発売日 : 2014/1/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 230ページ
- ISBN-10 : 4594069037
- ISBN-13 : 978-4594069032
- 寸法 : 13.2 x 1.9 x 18.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 294,359位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 140位若者文化
- - 528位エンターテイメント音楽のJ-POP
- - 2,321位タレント本 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年8月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年2月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
偶然にもコード進行などを勉強している傍らこの本を手に取りました。
本書をざっくり要約すると、オリジナルの生まれ方とその効果と歴史、を解説しています。
それも著者の観点から他のアーティスト達を比較分析している様は、
対象物を描かず周りの輪郭を描ききって対象物が浮き彫りになったような説得力があります。
かなりマニアックな感想ですが、
サザンのマイナー調の定番コードがゲームで有名なFF10のオープニング(ザナルカンドにて)の進行と同じだ!
という気づきもありました。歌詞がない曲にでもその進行のイメージは応用できるのかもしれません。
ただ、本書はおもしろいのですが、そこをばらされた人達のアイデンティティーはどうなるのかとちょっと心配しました。
どういうことかというと、マキタスポーツさんの曲(10年目のプロポーズ)をyoutubeで見ると、
コメントの欄には一部「バカにしすぎだ」←何を?とか、「露骨なカノン進行」←他のヒット曲もですが・・。
みたいな書きこみがちらほら見られました。
ここから推察するに、オリジナル信仰を持つ人が自分の好みを解析されると感情が行き場をなくすのだろうと推察できます。
それも想定内でしょう。
一部コード進行など音楽をやっている人にしかわからないことも出てきますが、
総じて音楽を社会学のよう分かりやすく解説してくださっています。
バンドマンから最近の音楽ってどうなの?と思ってる人オススメします。
本書をざっくり要約すると、オリジナルの生まれ方とその効果と歴史、を解説しています。
それも著者の観点から他のアーティスト達を比較分析している様は、
対象物を描かず周りの輪郭を描ききって対象物が浮き彫りになったような説得力があります。
かなりマニアックな感想ですが、
サザンのマイナー調の定番コードがゲームで有名なFF10のオープニング(ザナルカンドにて)の進行と同じだ!
という気づきもありました。歌詞がない曲にでもその進行のイメージは応用できるのかもしれません。
ただ、本書はおもしろいのですが、そこをばらされた人達のアイデンティティーはどうなるのかとちょっと心配しました。
どういうことかというと、マキタスポーツさんの曲(10年目のプロポーズ)をyoutubeで見ると、
コメントの欄には一部「バカにしすぎだ」←何を?とか、「露骨なカノン進行」←他のヒット曲もですが・・。
みたいな書きこみがちらほら見られました。
ここから推察するに、オリジナル信仰を持つ人が自分の好みを解析されると感情が行き場をなくすのだろうと推察できます。
それも想定内でしょう。
一部コード進行など音楽をやっている人にしかわからないことも出てきますが、
総じて音楽を社会学のよう分かりやすく解説してくださっています。
バンドマンから最近の音楽ってどうなの?と思ってる人オススメします。
2015年7月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現代ポップス論考を音楽情報の収集に利用しています。参考になります。
2020年10月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表題に だがそれがいい を足すべき。
2014年8月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「J-POPのことを知りたかったらまずはこの本を」とある作家さんが書かれていたのを見て購入。
タイトルにつられて気軽に読み始めましたが、読み終えたあとのお得感は予想以上。
私はビジネス本として読みました。おすすめです。
タイトルにつられて気軽に読み始めましたが、読み終えたあとのお得感は予想以上。
私はビジネス本として読みました。おすすめです。
2015年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
忙しくて、購入してまだ完読はしていないのですが、あーなるほどって思わせてくれる内容
年齢が近いせいかも知れない
我ながら、今まで仕事で修羅場をくぐり抜けてきて、ある境地に達しているからかも知れない
逆に言うと、知識も経験も少ない人には共感できないかも
年齢が近いせいかも知れない
我ながら、今まで仕事で修羅場をくぐり抜けてきて、ある境地に達しているからかも知れない
逆に言うと、知識も経験も少ない人には共感できないかも
2018年8月11日に日本でレビュー済み
本当に全てとは言わないまでもJポップと言われているものはパクリが多いのは間違いない。
自分の好きな歌手の事を言われると頭に来るかもしれないが、それが事実だ。
元ネタを知っている者からすればパクられたものを聴いて頭に来る。
音楽を良く知っている人間でなければ書けない本だ。
自分の好きな歌手の事を言われると頭に来るかもしれないが、それが事実だ。
元ネタを知っている者からすればパクられたものを聴いて頭に来る。
音楽を良く知っている人間でなければ書けない本だ。
2014年12月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
結局残るものがないというか,「そりゃそうだろ,J-POPだもん」で終わった。