上巻は,モンゴル帝国の黎明期であるチンギスの勃興からクビライの台頭までの帝国拡大の過程を描いています。そして下巻は,この帝国を受け継いだ世界支配システムの経営について明らかにしている。どちらかと言うと,知らないことの多かった下巻の方が面白いと感じました。
たとえば,クビライの国家システムは農産物からの税収ではなく,最大の収入源は専売品とされた塩の売上代金である「塩引」で,これを塩とリンクした引換券(有価証券)にすることでモンゴルが基幹通貨とする銀とリンクさせたところに旨味があった。この塩引に次ぐ収入は,商取引から徴収する「商税」,つまり間接税だった。この世界支配システムは陸と海にまたがる壮大なネットワークに基づくもので,後の近代的な世界システムの先駆けに他ならないと,驚くようなことを述べています。
また,クビライ政権は南宋を摂取した後,100万を超す職業軍人である旧南宋軍をどうするかが頭の痛い問題だった。その解決策のひとつとして,弱兵たちを海外進攻に向けた。第2回日本遠征(1281年)の江南軍が将にそうで,彼らが携帯したのは武器ではなく農機具で,大部分は日本移住をねらった難民に近いものだった可能性が高いのだそうです。失敗はしたが,消耗したのはこの南宋軍と高麗軍で,元の兵や艦船の消耗は少なく,第3回も計画されていた。ところが,クビライ政権の国内問題でそれどころではなくなったのだと述べています。
やがてモンゴルの統合力が徐々に薄らぎ,モンゴル王朝は滅亡する。その後,以前ではあり得なかったような大帝国が東西南北に一斉に出現する。そのひとつが明に続く清。その清王朝は満蒙連合の政権で,清朝皇帝は南に向いては中華皇帝,内陸世界に対してはモンゴル大カアンという,2つの顔を持っていた。巨大な大清帝国の領域は,この2つの顔の使い分けによって,初めて可能だったと分析しています。
このように下巻は,私には初めて知る興味深い内容が満載でした。
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モンゴル帝国の興亡〈下〉 (講談社現代新書) 新書 – 1996/6/20
杉山 正明
(著)
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陸と海を結んだ巨大帝国の軍事・行政・経済システムと、その終焉…。巨龍、墜つ。
ナヤンの挙兵・クビライ最後の出陣――三大王国は、孫の世代に移っていた。頼むべき分身の息子たちは、すでにいなかった。クビライの生涯で、最大の危機であった。……73歳の老帝クビライは、みずから迎撃を決意した。悲痛な出撃となった。しかし、クビライは果断であった。迎撃態勢の大綱を指令すると、みずから手まわりの兵団をかき集め、みずから先頭に立って突出した。ときに、陰暦5月13日。象の背に結わえ付けた輿に乗っての出撃であった。……ここで両軍、一気に決戦となった。錐の先のように激しく揉み込むクビライ突撃隊の気迫に、実戦の意欲を欠くナヤン軍は崩れ立った。しかしそれでも、少数突撃したクビライ自身のまわりに危機は迫った。クビライ突撃隊の気迫に、実戦の意欲を欠くナヤン軍は崩れ立った。しかしそれでも、少数突撃したクビライ自身のまわりに危機は迫った。クビライを乗せた戦象は、激しく集中する矢のために、後方へ逃走した。混乱する戦況を決定したのは、かねてクビライが、自分自身の「常備軍」として賛成に努めていた。キプチャク、アス、カンクリなどの諸族から成る特殊親衛軍団の威力であった。……御曹子として、実戦の経験のほとんどない青年ナヤンと、数々の修羅場を踏んできた老人クラビライの違いが、すべてを分けた。敵本営の奇襲を狙った緊急出撃といい、戦場での突出攻撃といい、クビライの采配ぶりは、まことに見事であった。彼は最大の危機を、みずからの力で切り抜けたのである。――本書より
ナヤンの挙兵・クビライ最後の出陣――三大王国は、孫の世代に移っていた。頼むべき分身の息子たちは、すでにいなかった。クビライの生涯で、最大の危機であった。……73歳の老帝クビライは、みずから迎撃を決意した。悲痛な出撃となった。しかし、クビライは果断であった。迎撃態勢の大綱を指令すると、みずから手まわりの兵団をかき集め、みずから先頭に立って突出した。ときに、陰暦5月13日。象の背に結わえ付けた輿に乗っての出撃であった。……ここで両軍、一気に決戦となった。錐の先のように激しく揉み込むクビライ突撃隊の気迫に、実戦の意欲を欠くナヤン軍は崩れ立った。しかしそれでも、少数突撃したクビライ自身のまわりに危機は迫った。クビライ突撃隊の気迫に、実戦の意欲を欠くナヤン軍は崩れ立った。しかしそれでも、少数突撃したクビライ自身のまわりに危機は迫った。クビライを乗せた戦象は、激しく集中する矢のために、後方へ逃走した。混乱する戦況を決定したのは、かねてクビライが、自分自身の「常備軍」として賛成に努めていた。キプチャク、アス、カンクリなどの諸族から成る特殊親衛軍団の威力であった。……御曹子として、実戦の経験のほとんどない青年ナヤンと、数々の修羅場を踏んできた老人クラビライの違いが、すべてを分けた。敵本営の奇襲を狙った緊急出撃といい、戦場での突出攻撃といい、クビライの采配ぶりは、まことに見事であった。彼は最大の危機を、みずからの力で切り抜けたのである。――本書より
- 本の長さ282ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1996/6/20
- 寸法10.5 x 1.3 x 17.5 cm
- ISBN-104061493078
- ISBN-13978-4061493070
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著者について
1952年、静岡県生まれ。京都大学文学部卒業、同大学院博士課程単位取得退学。現在、京都大学大学院文学研究科教授。専攻は、中央ユーラシア史、モンゴル時代史。主な著書に、『大モンゴルの世界』―角川書店、『クビライの挑戦』―朝日新聞社、『耶律楚材とその時代』―白帝社―がある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1996/6/20)
- 発売日 : 1996/6/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 282ページ
- ISBN-10 : 4061493078
- ISBN-13 : 978-4061493070
- 寸法 : 10.5 x 1.3 x 17.5 cm
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2014年4月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2007年2月22日に日本でレビュー済み
本書『モンゴル帝国の興亡』は、漢語やペルシア語等、多言語文献を駆使してなされた最新のモンゴル帝国研究である。従来のモンゴル帝国研究が、いかに西欧中心史観、中華史観に基づいていたかがよくわかる。高校世界史で習ったことがボロボロと崩れていくようなある意味で心地よい感触を持たされる。
下巻ではクビライによる「大元ウルス」の建設と南宋の併合から帝国の終焉までを描く。いわゆる「元寇」のモンゴル側の事情や、クビライの世界経営の構想など、興味深い事実が多々散りばめられている。特に、帝国の経済システムに関する記述は衝撃的だった。モンゴル帝国というと、軍事的支配というイメージが濃厚だが、その実、経済と流通のコントロールを国家の機軸とし、陸だけでなく強大な海軍力を生かした一大ユーラシア交易圏が形成されていたという。
「一国史の集積としての世界史」が批判され、「グローバルヒストリー」の必要性が叫ばれるようになって久しいが、本書もまさにモンゴル帝国を軸とした「グローバルヒストリー」であるといえる。壮大かつとても面白い本なので歴史学に興味のある方には一読を薦めたい。
下巻ではクビライによる「大元ウルス」の建設と南宋の併合から帝国の終焉までを描く。いわゆる「元寇」のモンゴル側の事情や、クビライの世界経営の構想など、興味深い事実が多々散りばめられている。特に、帝国の経済システムに関する記述は衝撃的だった。モンゴル帝国というと、軍事的支配というイメージが濃厚だが、その実、経済と流通のコントロールを国家の機軸とし、陸だけでなく強大な海軍力を生かした一大ユーラシア交易圏が形成されていたという。
「一国史の集積としての世界史」が批判され、「グローバルヒストリー」の必要性が叫ばれるようになって久しいが、本書もまさにモンゴル帝国を軸とした「グローバルヒストリー」であるといえる。壮大かつとても面白い本なので歴史学に興味のある方には一読を薦めたい。
2014年9月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
元寇で江南軍を日本派兵したのは彼らを海外に追い払うためだったり、その後に起きた漢民族政権「明」が起こした行為はモンゴルが築いた世界規模の発展を阻害したなど、世界史で学んだ概念が崩れ去るような思いで拝読しました。どうしても小説やドラマで見た歴史を優先させがちな我々日本人にとって、世界とは何なのかを考えさせてくれる一冊です。
2007年4月3日に日本でレビュー済み
上巻においてモンゴル帝国はユーラシア大陸の相当な部分を軍事的に征服した。
下巻では、これを受けて、その世界史システム経営について明らかにし、またその後裔となる勢力がいかに後世の世界史に影響力を及ぼしていったかをみていく。
その世界支配システムは、陸と海にまたがる壮大なネットワークにもとづくもので、軍事、経済、経済を合理的に管理した。それは後の近代的な世界システムの先駆けに他ならない。また、モンゴルはゆるやかに世界史の表舞台から消えてゆくが、その後裔となる明清、ティムール・ムガル帝国、オスマン帝国、ペルシア、ロシアなどは現代に至るまで存続した大帝国であった。
上巻に引き続き大胆なモンゴルからの世界史像の転換を迫る。
下巻では、これを受けて、その世界史システム経営について明らかにし、またその後裔となる勢力がいかに後世の世界史に影響力を及ぼしていったかをみていく。
その世界支配システムは、陸と海にまたがる壮大なネットワークにもとづくもので、軍事、経済、経済を合理的に管理した。それは後の近代的な世界システムの先駆けに他ならない。また、モンゴルはゆるやかに世界史の表舞台から消えてゆくが、その後裔となる明清、ティムール・ムガル帝国、オスマン帝国、ペルシア、ロシアなどは現代に至るまで存続した大帝国であった。
上巻に引き続き大胆なモンゴルからの世界史像の転換を迫る。
2006年2月25日に日本でレビュー済み
苛烈な内乱を克服して頂点を極めたクビライは、対南宋戦争により、ついに中華文明をも自己の手に握るのでした。カイドゥの乱をはじめとする中央アジアの混乱や東方三王家の反乱により帝国の政治的統合は動揺をきたしますが、クビライの政治力とモンゴルの同族意識により、イェケ・モンゴル・ウルスは緩やかな統合体としてユーラシア大陸の東西を一体化させ、大陸と海洋を結びつけたヒト・モノ・カネの回流運動が実現します。
かくしてユーラシアの政治的・経済的な統合を達成したモンゴル帝国ですが、クビライの後継者たちによる政治的対立と自然環境の変化に伴う生産力の低下により、帝国の一体性にも翳りがさし始めます。そうした中、諸ウルスは各地域における政治的・社会的な流れの中で自己を変容させ、解体していきます。そしてモンゴルの遺産の中から、諸民族は新たな政治的統合の土台を見出すことになるのでした。
下巻では、クビライの南宋征服から筆を起し、大元の混乱と北帰、そして各ウルスの解体に至るまでの流れを扱っています。クビライが創出したという大陸と海を結ぶ物流ネットワークと統合のシステムに重きを置き、彼の経綸によって世界の一体化が始まったと主張しています。
モンゴルの世界史的な意味合いについて、些か熱を入れ過ぎている気がしなくもありませんが、帝国的統合のさまざまな側面に光を当てるという意味で、やはり読むに値する本だと思います。
かくしてユーラシアの政治的・経済的な統合を達成したモンゴル帝国ですが、クビライの後継者たちによる政治的対立と自然環境の変化に伴う生産力の低下により、帝国の一体性にも翳りがさし始めます。そうした中、諸ウルスは各地域における政治的・社会的な流れの中で自己を変容させ、解体していきます。そしてモンゴルの遺産の中から、諸民族は新たな政治的統合の土台を見出すことになるのでした。
下巻では、クビライの南宋征服から筆を起し、大元の混乱と北帰、そして各ウルスの解体に至るまでの流れを扱っています。クビライが創出したという大陸と海を結ぶ物流ネットワークと統合のシステムに重きを置き、彼の経綸によって世界の一体化が始まったと主張しています。
モンゴルの世界史的な意味合いについて、些か熱を入れ過ぎている気がしなくもありませんが、帝国的統合のさまざまな側面に光を当てるという意味で、やはり読むに値する本だと思います。
2004年8月30日に日本でレビュー済み
上巻がモンゴルの文明の破壊者という、悪しきイメージを打ち払う消極的なモンゴル再評価であったとすれば、それに続く本書は、そこから反転攻勢して、モンゴルが世界の歴史に与えた創造的なもの、新しく作ったものを再評価していく積極的な内容であると言えるでしょう。範囲としては、クビライ・カンの治世から、モンゴル帝国の崩壊、そしてその後を含んでいますが、主に前半のクビライ・カンの作り出したシステムの動向に目が向けられています。彼の作った体制がどのようなものでどんな性質があったのかが本書の実際の主題であると言ってもいいように思います。
そこの描かれている内容は、当に驚くべきであります。著者の謂いでは、クビライという人間がその後の歴史を作ったかのようです。大元ウルスの経済システムの説明などは、俄かに信じられないほど精密で、高度な経済政策が元では行われていたことが示されており、今まで聞いたこともない話ばかりでした。他の一般書では触れられても申し訳程度であり、全体として見られなかったものが、すわ全貌を現せばここまでの巨大な物体であったとは驚嘆です。しかしこれも、著者が打ち出している歴史への新機軸の主要であってもすべての要素ではありません。著者の視点はもっとマクロです。そのひとつに元寇への言及があって、弘安の役の江南軍が実は棄民船団であったなどという見解を目にしたときは、驚きと衝撃と共に著者の慧眼に感動したものです。
確かに視点がマクロすぎてちょっと細部が甘いのではないかと思わされたり、モンゴルに対する評価が過分に過ぎるのではないかと思わされるところが、玉に瑕ではあります。しかし、今までの歴史へのアンチテーゼとして、これほどまでに明確に為される歴史観の転換は十分に必要なことであると感じました。
そこの描かれている内容は、当に驚くべきであります。著者の謂いでは、クビライという人間がその後の歴史を作ったかのようです。大元ウルスの経済システムの説明などは、俄かに信じられないほど精密で、高度な経済政策が元では行われていたことが示されており、今まで聞いたこともない話ばかりでした。他の一般書では触れられても申し訳程度であり、全体として見られなかったものが、すわ全貌を現せばここまでの巨大な物体であったとは驚嘆です。しかしこれも、著者が打ち出している歴史への新機軸の主要であってもすべての要素ではありません。著者の視点はもっとマクロです。そのひとつに元寇への言及があって、弘安の役の江南軍が実は棄民船団であったなどという見解を目にしたときは、驚きと衝撃と共に著者の慧眼に感動したものです。
確かに視点がマクロすぎてちょっと細部が甘いのではないかと思わされたり、モンゴルに対する評価が過分に過ぎるのではないかと思わされるところが、玉に瑕ではあります。しかし、今までの歴史へのアンチテーゼとして、これほどまでに明確に為される歴史観の転換は十分に必要なことであると感じました。
2021年3月2日に日本でレビュー済み
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