須賀さんの『塩一トンの読書』で私は、コテンパンにやられました。
光のさす優れた文章とは、いらない枝葉を落とすこと。
しかし、そのいらない枝葉を嗅ぎ分けるには、しっかり文章を読み込むこと。
父の庭の木を伐りながら、上から見た景色と下から見た景色とが違っていることに気づきました。
上から見た木の刈り方が綺麗なのは、もちろんのこと。
下から見て木の枝に光がささなくては、木にとってなんにもならないことに気づきました。
須賀さんの文章は、確かに美しい表現にあふれています。しかし、私にとって危険な匂いが
するのです。サラリとかわされるところがあるのです。
彼女の本質に近づいてみたい私にとって、木のはずしてはいけないところを探るように
何度もくり返し読んでいます。
《七年目のチーズ》に、イタリアの暖かい家族との食事を思いました。ウジ虫までもが
出迎えてくれた楽しい食事に安らぎを感じ、須賀さんの笑顔がうかびました。
《ビアンカの家》は、考えさせられました。ビアンカの大陸的な考え方は、どこから
生まれてきたのだろうと思いました。そして、感銘をうけました。
《私のなかのナタリア・ギンズブルグ》は、ナタリアの家族の書き方が、
「言葉にまつわる思い出を軸に用いる手法の斬新さ、作品にすこやかな客観性が確保されていて
深く心を動かされた」とありました。
翻訳者として、「わからない箇所というのは、くりかえして読みこなせば、かならず文脈の
なかで解決がつくものである。そこに、自分なりの解釈がうまれる」とあり、私なりの解釈
をしてみて、また違う角度からの方向も考えてみてもいいかなと、未熟な私は思いました。
須賀さんとは本の中でフィレンツェ・ジェノワ(まだ読み足りていません)・ミラノ~プロバンスの
陽光。住みたい街、ヴェネツィア・アッシジ・ローマと石畳の道から、曲がりくねった道、枯草の道
など楽しく歩いてきました。
《霧のむこうに住みたい》で、私の足は止まりました。彼女の心の中の風景には入り込むことは
できませんでした。それには彼女の生い立ち、彼女の深い心の中を見るような気がしたからです。
謎の須賀さん、読み込むほどにまだまだだと思います。そこが、彼女から離れられない楽しくも
苦しい私の旅です。
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霧のむこうに住みたい (河出文庫 す 4-10) 文庫 – 2014/9/8
須賀 敦子
(著)
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- 本の長さ187ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2014/9/8
- 寸法10.7 x 1.1 x 15 cm
- ISBN-104309413129
- ISBN-13978-4309413129
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著者について
1929年兵庫県生まれ。著書に『ミラノ 霧の風景』『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』『トリエステの坂道』『ユルスナールの靴』『須賀敦子全集(全8巻・別巻1)』など。1998年没。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2014/9/8)
- 発売日 : 2014/9/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 187ページ
- ISBN-10 : 4309413129
- ISBN-13 : 978-4309413129
- 寸法 : 10.7 x 1.1 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 53,557位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 241位河出文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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(1929-1998)1929年生まれ。聖心女子大学卒業。
24歳で初めてイタリアを訪れ、29歳からの13年をイタリアで過ごす。1961年、ジュゼッペ・リッカと結婚、谷崎潤一郎をはじめとする日本文学の伊訳を多数出版。6年後に夫が急逝。1971年帰国。1972~1984年慶応義塾大学外国語学校で講師を務める。1973年上智大学国際部比較文化学科非常勤講師、同部大学院現代日本文学科兼任講師(後に比較文化学部教授)。
56歳でイタリア体験をもとにした文筆活動を開始。1991年『ミラノ 霧の風景』(白水社)で女流文学賞、講談社エッセイ賞を受賞。1998年心不全で他界。主な著書に『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』(ともに文藝春秋)、『トリエステの坂道』『地図のない道』(ともに新潮文庫)ほか。主な訳書にナタリア・ギンズブルグ『ある家族の会話』、アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』(ともに白水社)ほかがある。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年11月25日に日本でレビュー済み
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いつか買おうと思っているうちに、本屋さんで見なくなり慌てて購入しました。カバーも綺麗で新品とほぼ変わりませんでした。
2019年9月8日に日本でレビュー済み
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全ての文章がそこにいるかのような錯覚になるほど自然体で書かれていることがとてもいい
2019年8月15日に日本でレビュー済み
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めにみえるような文章彼女のファンになりました❣️
2015年8月30日に日本でレビュー済み
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短編集ながら「ミラノ 霧の風景」から始まる四部作を補完する、ヨーロッパ滞在中に出会った人、風景、事柄など、須賀敦子の世界に再会できる。
2019年6月5日に日本でレビュー済み
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須賀先生の作品は、どれも読み終えるのが悲しいほど素晴らしい。これはその中でも1番素敵だった。
2016年7月23日に日本でレビュー済み
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須賀敦子のファンなので、彼女の書いたものはどれも5点です。
ただ、この一冊では彼女はわからない気がします。コルシカ書店やミラノ霧の風景とかすべての作品を読まないと満点がつく理由はわからないきがします。 せつなくて哀しくて、どんなに明るい話でもどこか寂しくて。
須賀さん自信は、いつも怒っている気もする。 何に怒っているのかわかないけれど、怒りながら昔を思い出して哀しくなったりしてる気がする。
ただ、この一冊では彼女はわからない気がします。コルシカ書店やミラノ霧の風景とかすべての作品を読まないと満点がつく理由はわからないきがします。 せつなくて哀しくて、どんなに明るい話でもどこか寂しくて。
須賀さん自信は、いつも怒っている気もする。 何に怒っているのかわかないけれど、怒りながら昔を思い出して哀しくなったりしてる気がする。
2015年5月8日に日本でレビュー済み
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でもかまわないのですが、あれ?これどこかで読んだ、と思いました。どちらかに含まれていることが分かればいいのに。