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「衝動」に支配される世界---我慢しない消費者が社会を食いつくす単行本 – 2015/3/20

ポール・ロバーツ/神保哲生解説 (著)

30

すべての形式と版を表示

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購入オプションとあわせ買い

人も企業もなぜ自分の利益しか考えなくなってしまったのか?

この社会全体が効率的市場の価値観に支配されコミュニティや文化は崩壊し自己利益を追求する個人(消費者だけでなく企業も政治も)の集まりになってしまった。
企業は四半期利益や株価を維持するために研究開発や従業員教育など長期的な投資を抑制し簡単に従業員をレイオフするようになった。
個人は生産者・顧客から消費者となり「社会の一員」から個人の満足だけを追い求める存在に変わった。

医療の世界では患者の「最先端の治療を受けたい」という欲求を満たすためそして高度な治療に投資した医療機関が元を取るために保険制度に何億ドルもの不要な負担をかけて治療が行われている。2000年代初頭の住宅バブルでは投機家だけでなく素人同然の人々までもが驚くほど簡単に組めるローンを使って投機に手を染めた。まさにインパルス・ソサエティの行き着く先といえる。

また政治さえも有権者の感情を煽り自らブランド化することで選択肢を単純化し得票数に結びつけようとしている一方で長期的な問題を解決する能力が失われてしまっている。
それだけではなくインパルス・ソサエティはたとえばボランティアや外食をやめて家で子どもに料理を教える子どもにゲーム機を与えず一緒に遊ぶといった目に見えない富を生む活動を GDPを増やすことはないという理由で非効率として排除してしまうのだ。

しかしもはやGDPが伸びても社会全体が潤うどころかむしろ社会は落ち込むことが証明されている。もはや利益は共有されるものではなく奪い合うものになってしまったからだ。
本書はインパルス・ソサエティがもたらす弊害を検証し社会が持続不可能であることを証明すると同時に持続可能な社会を取り戻すための方法を探る。

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本の長さ

376ページ
言語

日本語
出版社

ダイヤモンド社
発売日

2015/3/20
寸法

14 x 2.9 x 19.5 cm
ISBN-10

447802930X
ISBN-13

978-4478029305
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商品の説明

著者について

ポール・ロバーツ(著)
ジャーナリスト。ビジネスおよび環境に関する問題を長年取材。経済技術環境の複雑な相互関係を追求している。著書に「石油の終焉」「食の終焉」がある。

神保哲生(監訳)
ジャーナリスト「ビデオニュース・ドットコム」代表。国際基督教大学卒コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程終了。AP通信などを経て独立。著書訳書多数。

東方雅美(翻訳)
翻訳家
慶應義塾大学法学部卒米国ボストン近郊にあるBabson Collegeの経営大学院を修了し修士号(MBA)を取得。出版社民間経営大学院の出版部門を経て独立現在に至る。

登録情報

出版社 ‏ : ‎ ダイヤモンド社 (2015/3/20)
発売日 ‏ : ‎ 2015/3/20
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 376ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 447802930X
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4478029305
寸法 ‏ : ‎ 14 x 2.9 x 19.5 cm

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涙なしには読めませんよ(引用多数)

2019年9月14日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

欲望、、この本は、現代への鎮魂歌となりえます。

権力と腐敗については以下のように、、

２０１２年の実験で、ピフは被験者二人にモノポリーをさせた。一人にはキャッシュを多く与え、サイコロも二つ使わせ、もう一人にはキャッシュを他方の半分だけ与え、サイコロは一つしか使わせなかった。
ゲームを始めてすぐに、キャッシュとサイコロを多く持つ被験者は、明らかに違う行動を見せ始めた。彼らはステータスの低あ被験者とあまり目を合わせず、彼らの持ち駒を代わりに動かすなど、より勝手に振る舞った。実験のための部屋には、音量計がつけてあったが、自分の駒を動かす際にはより力強く、三倍もの音をたてて動かした。

欲望をマーケティングに活用するようなフレーズは随所に、、、

１９９０年代を通じてアメリカの自動車メーカーは、それまでより大きくパワフルなだけでなく、外見が恐ろしく意地悪な感じの車をつくった。、、

お金でお金を買う個人行動により破壊された絆、、

人間は本質的に社会的であり、自由が意味を持つには、家族や教会、地域、近所、奉仕団体などの社会構造が、自由を媒介する必要がある。しかし、現代の政治制度が進歩することにより、これらの社会構造は劣化し、後退し、「ほぼ一様に個々の原子まで分解される」したがって、個人は単なる一つの存在となり、「隔断され、どこにも属さなくなる」。

7人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

Kohei-S

この変化の行き着く先は、社会の突然死だろう

2019年12月11日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

もう２０年近く前にアメリカを鉄道、バスで横断した。行く前は、不安と緊張で一杯だったが、映画で見た世界を期待しつつ、胸の高鳴りが止まらなかった。

そして、横断した後、自分は、この国で生活は、
出来ないなと思った。各都市を回ってみて、現地の人と関わるうちに、何か異様な違和感みたいなものを強烈に感じたからだ。

なんで、ドラッグストアに大量の睡眠薬が置いてあるんだろから、朝5時に起きブラブラ歩いていると、24時間営業のスポーツジムで当たり前のように運動している人がいた。自分にとっては、異様な光景だった。あまりに社会が合理化し過ぎといった印象を持ったり、人に余裕がないなと思った。特にダウンタウン地域に行った時は、アメリカの抱える現実を見た気がした。

衝動的に何かをしてしまう。
まるで、条件反射のように。
いきなりアマゾンで何か買いたくなり、
ワンクリックで買う、何か達成感がある。

衝動的に何か見たくなり、ネットフリックスの無料一ヶ月キャンペーンに申し訳み、気になったドラマを一気に見る。

ネットニュースで見た記事に、無性に腹が立ち、
対象となる人物の罵詈雑言を書きまくる。

こういった衝動的な行為は、以前は、
あまりなかった。

しかし、今、自分達は変わってしまった。
２０年近く前に見たアメリカの光景が、
日本では当たり前になってしまった。
実は、中国や韓国でもそうなっている。

情報革命は、自分達に計り知れない恩恵さ、
特に買う、見る、話すの分野に関して、
多大なる利便性をもたらしてくれた。
しかし、この革命で犠牲になったものも、
沢山ある。それを非常に論理的にこの本では
考察されている。

30人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

金魚

インパルス・ソサエティ

2015年6月21日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

目の前の利益に衝動的に反応することを奨励するかのような文明への批判の書。
個人向けの端末やアプリは関連企業が利益を上げるため、巧妙に個人の欲望を利用する。
オンラインゲームで英雄になったものの現実では体は弱り、お金もなくなった青年の話は恐ろしく感じます。
金融はお手軽なクレジットを提供し人の欲望を過剰に煽り利益を収奪する。
企業は短期利益を求め、人をコスト扱いし解雇したり、未来への投資を避けたりする。
医療は公益より利益を多くあげられる治療を推奨するし、この観点からは病人こそが利益の源泉になる。
企業から多額の献金を受けた政治家はパトロンの意向を酌んだり、全体的な社会目標より、いかに支持者の人気を得るかに奔走する。
これらはすべてインパルス・ソサエティの症状であると著者は鋭く指摘する。
私たちの意思決定プロセスは二つの脳内プロセスから成る。
複雑な問題解決や抽象的な考えを司る前頭前皮質がその一つ。
他方は危険やセックスなど生存に関係する活動へのアプローチを司る辺縁系。
インパルス・ソサエティは今ここの衝動に関係する後者を徹底的に利用する。
その結果、アメリカは極めて衝動的な社会になり、過去の繁栄した社会はすっかり荒廃してしまっている。
そういったことが克明に描写されています。
なにか処方箋は、ということについては書かれておらず、希望の兆しについて少し触れられている程度ですが、
問題を解決するには、まずは問題を正しく認識すること、という観点からは貴重な指摘の書だと思います。
個人的にはフォードの革新とGMの革新の対比の話が非常に面白かった。
最後に翻訳は読みやすいが、趣旨が真逆になってしまうところや、誤字などの粗は結構あります。

19人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

をかりちゃん

「今」についての的確な課題の指摘と必要な展望について書かれている良書。

2015年12月6日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

辺縁系、爬虫類脳に対する刺激で人間の行動は制御されてしまう、という表現は、長年感じていたモヤモヤをすっきりさせてくれる指摘でした。長期的な展望を失った社会がこれから不安定度を増していくことに、どのように対応すればよいのか、考えるよいきっかけになったと思います。
最後の方に登場する、アメリカに原発を作った方がいい、という提案は今の日本人には到底受け入れられないものだと思いますが、それ以外の部分では、多くの示唆に富んだ良書だと思います。

13人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

伊勢神宮

良い本です

2018年1月17日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

そこそこ分厚い本ですが、内容は、しっかりとあります
人（カスタマー）がどういう風に支配されているかを客観的に知ることができます

5人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

Keiko@B

トランプ政権誕生を予言する内容

2017年4月16日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

2015年に刊行された本だけれど、ここで心配されたことはここ数年でさらに加速度的に進行していることを感じる。
着実にある方向に向かっている大きな流れを様々な視点で解説しており大変良い本でした。

12人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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みつか

市場経済が追求する効率化と人が希求するライフハックもはや同じ？

2019年6月25日に日本でレビュー済み

消費者が欲望する商品やサービスを、市場が絶え間なく供給する現在の社会。
流通するものが、製造されたり栽培・狩猟されたモノではなく、人間のもつ内部の世界、夢や希望、アイデンティティーや秘密の欲望、不安や退屈という見えないものに変容していることを指摘する。
つまり、人間のこころの世界が、経済において重要な役割を果たすようになってきた、と訴えている。

たまには、冷静になってみないと
オンラインゲーム依存症の廃人と同じように、人間のこころの欲望にフォーカスした市場世界に包囲されて、その世界の中がすべてと勘違いし、その世界の中のことしか考えなくなってしまう。さすがに収容所には収監されないが、生きながらにしての廃人が完成する。
怖ろしいのは、ゲーム中毒者と同じように当事者は病気だと感じていない所だ。

また、単純に効率というイデオロギーに導かれるまま、
如何に短時間で最大限の効果をあげるかのみに価値をおく資本主義社会は、そもそもの生産という概念を崩壊させ、モラルや地域コミュニティーに背を向けてでも、カネを獲得することは、素晴らしい。当たり前のことじゃないか、開き直る。

生産という概念は、かつてのものづくりという意味合いではなく、
個々の人間のアイデンティティーを形作るための欲求を満たす、という姿になった。
生産は自己実現をかなえるという、いかにも正当な装いをまとって暗躍するのである。
家族や社会と切り離され、スマホの画面とにらめっこをする。
市場とひとり対峙する自分が、そこにはいるのだ。

私たちは今まさに第４次産業革命前夜に生きているのだと思う。
コンピューターが人工知能などにより、自分で判断し動くシステムが確立してくれば、効率という点でコンピューターが人間にとってかわる。
人間は効率化という軸では、コンピューターにかなわない。
それなのに巷では、LifeHack（ライフハック）系の書籍がよく売れている。

人との違いを必死になって追い求めることによるアイデンティティーを強化し、
人と違うライフハックを消費をとおして求め続け、すこしでも人より効率化された己でありたいと望む。

市場経済が追求する効率化と人が希求するライフハック
もはや同じものを求めているではないか？

GDPなどの経済指標に算出されない人間的価値。
哲学、愛情、想像力など抽象的ではあるけれどインパルス・ソサエティー（衝動的社会）に対抗するうえでの原点は、人間力ではないだろうか？
と著者は問いかけているように思える。

3人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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MHD

効率性追求の果てにあるもの

2018年10月4日に日本でレビュー済み

三年前の出版ですが、内容は色褪せるどころか世の中はこの本で危惧された方へと進んでいます。
そして、大多数の人間が目先の便利さに振り回される一方、組織の上層部ほど長期的な視野に立ち、意思決定者たちの人間性の充足を重視している。
これが現代における貴族と奴隷の構造なのでしょう。

別の本の話になりますがCharles DuhiggのSmarter Faster Betterによると、Google社の社内で行われた生産性についての調査結果では、各チームのメンバーの個人的な資質以上に相互信頼の高さがチームの生産性に寄与していたそうです。

生産性の高い仕事ができる人ほど過酷で非人間的な競争下にいるのではなく、人間的な充足が重視される環境下で作業しているのでしょう。

インパルスソサイエティの中で「所属コミュニティとの社会的つながりが深まるのは、所得が倍になるのと同じくらいの幸福感がある」という話がでてきますが、ゲームやSNSへの依存症の背後にある本当の原因とは何なのかを考えさせられます。

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