Amazonレビュー
キッスの世界では、過剰はいつも過剰を呼ぶ。この仮装した爆裂ロック・バンドは、最新作に60人編成のメルボルン交響楽団を起用することで、ただでさえ自己主張の強い一連のチューンにいっそうの粉飾をほどこした。以前に同じことをやった演奏家たち――1970年にディープ・パープルと組んだロンドン・フィルハーモニー管弦楽団から1999年にメタリカと顔合わせしたサンフランシスコ交響楽団まで――と同様、キッスのパートナーとなったオーケストラ・メンバーたちは、従来のハード・ロック美学になかった様相と複雑さを加えている。だが、それは必ずしもよいことではなかった。キッスはまさにアメリカの原始人たちと呼ぶにふさわしい存在であり、アンセム的な性格が強い彼らの歌は、荒々しい、未加工の状態でこそ最高に輝くのだから。オーケストラを加えたことで、キッスがトレードマークとしているサウンドに濁りが出ている。アグレッシヴなストリングスの大群が時おりポール・スタンレーの食ってかかるかのように激しいヴォーカルを押しつぶしてしまうし、ジーン・シモンズのたくましいベース・プレイまでも飲みこんでしまいがちだ。
オーケストラ・メンバーたち(全員がキッスのメーキャップで演奏した)がもっとも生きてくるのは、たとえば「God of Thunder」のような重量感あふれるナンバーだ。ここでは、恐ろしげな効果音と背筋が寒くなりそうなシモンズのしわがれ声を伴ったオーケストラが不気味な雰囲気をかもし出している。あるいは、キッスの人気曲の上位10タイトルに数えられるバラード「Beth」。こちらではストリングスが本領を発揮する。
黒タイと黒レザーの組み合わせが好きになれないリスナーのために、キッスは親切にもオーケストラなしのトラックを6つ入れてくれた。しかも、これらは往年のヒット曲のライヴ・テイクで、過去に演奏されたことのなかったアコースティック・ヴァージョンなのである。(Jaan Uhelszki, Amazon.com)
メディア掲載レビューほか
ファン待望の《アライヴ》シリーズの第4作目は、オーケストラとの共演盤。結成30周年にして21世紀最初のキッスの名盤が、ここに誕生。2003年2月のオーストラリアでのライヴを収録。
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)