昨日 ベルイマン監督の「野いちご」を見た私の生まれてくる前の映画だ、幼稚園の頃の気分で深読みしたので疲れた。さすが名画で素晴らしい作品だと思う。この時代の映画は、暗い戦争を挟む悲壮感と生と死の狭間での刹那感であの世的なこと と この世的なことを見事に表現し又神学的、哲学的要素も含み大変難しいと思ったが深く考えさせられた。私が臨死体験を持っているから理解できるのかなとも思われる。最初に悪夢(あの世の光景)がでてくるが、ここである教授の講義で夢は、昔ギリシャでは あの世 あの世の人たちからのメッセージということが当てはまる。主人公イサークという老ドクターが名誉学位を授与されるため目的地の大学へ車で行く道中の出来事のストーリーである。同行する息子の嫁は夫婦間に行きずまっていて心が冷たくなっていてように思える。義理の父をエゴイストと思い冷たくあしらう。車は自宅を出発し途中子供のころ家族皆で過ごした別荘に立ち寄るそこで老ドクターは当時の子供のころの楽しかった幸せの日々の家族を目のあたりにする。結婚しなかった(弟に取られた)かつての婚約者が野いちごを摘んでいた。現在兄弟はみな死んでいて残っているのは老ドクターだけである。そこを離れ目的地に向かう道中若い女と二人の男のヒッチハイカーを乗せる。男の一人は医学生、一人は牧師を目指す神学生若い女はハスッパだがその若さが眩しい。医学生と神学生は道のりの途中で神学的論議を交わす。また二人の男女(夫婦)が車に同乗し夫婦喧嘩をし,夫が妻を激しく罵倒する。この夫がカトリック信者ということだ。あまり激しく罵倒するので途中下車してもらう。運転を嫁に代わってもらうと老ドクターは又車中悪夢(あの世の光景)に襲われる
建物を外から眺めると中で弟とかつての婚約者が仲良く暮らしている。光景が消えて中に入ると医学校のようである(あの世の)ここで老ドクターは有罪の判決を受ける。又医者として不適格者の判決も受ける。なぜかと問うとあの世の医者は、亡くなったイサークの妻の亡霊を見せる。妻がほかの男と姦淫している場面をイサークが目撃した場面である。そこであの世の医者は老ドクターにあなたは亡くなった妻を思い出すたびにこの場面を思い出す。そして妻の亡霊が云う。「私を許してくれたあなたの冷たいやさしさが私を愛していなかった」と、ここで私は考えた。冷たい優しさ!私も学問を目指しこのドクターのようにある種 私的感情を交えないで理性的にいつも事物を見家族も見ていたことがある。医学や学問の道にある者にとって私的感情で事物を見ない冷静さは、どうしょうもないことと思われる。これに対し かつてある神父の言葉を思い出した。「罪を犯した時にキリストがただサラット許してくれたら私はどんなにか辛い、キリストが目くじら立てて怒ってくっれたらどんなにも「救われ、いやされるだろう」と、私もこの妻が云う通り本当に愛していたら姦淫した妻に対して激怒したと思う。「貴方の優しい冷たさが」という言葉は私にも十分理解できる。このドクターも本当は心の根底は十分暖かいのに、周りから特に家族から、誤解される。そこで妻は消える。老ドクターは「妻はどこに}と問う。あの世の医者は「私たちはあらゆる手段を用いて奥さんの心の傷を治して彼女は今は苦しんでいない」私はよく理解できる。(もしかしてキリストの癒しなのか?)神の価値観 この世の名声や名誉はあの世では無意味なのかと思われる。この映画の中でも老ドクターは世間的にはみなから尊敬され、愛されている。そしてまた昔の家族が仲良くしていた別荘の場面でかつての婚約者と出会う。彼女は老ドクターに鏡を見せて、私たちは若く昔と全く変わらないのに貴方はそんなに年寄りで私たちと違う世界の人と老ドクターに云う。ここで老ドクターは自分の老いた顔を鏡で見せられても否定もせずに淡々と現象として理性的に捉えているところがやはり学者なのだと思った。そして「野いちごはもうないは」と婚約者が云い、老ドクターが「父と母は」というと「あっちよー」といわれて、いつもの川べりに行くと父は釣りをし母は父の後ろで何かをやっているのどかな姿があった。私はこれを見て、当時の人たちの聖書における天国観と皆が昔のままに老いることもなく幸せにいる永遠の命を云おうとしているのかと思った。夢は覚め目的地に到着し、3人の若者も下車し名誉学位授与式も終わり若者たちが別れを告げる時この道中で心触れ合った老ドクターに「おじいさん私は貴方が大好きよ!」といって別れる。又息子の嫁も夫と再会しこの老ドクターの根底の暖かさに触れることによって温かい心を取り戻し夫婦仲も改善され、最後に嫁が「義理父(お父さん)私は貴方が大好きよ!」といって終わるこの映画で、表面的には冷たいが事物に対しての深い考察を持つ老ドクターの根底の暖かさがそこに触れたときすべてのわだかまりや冷たさが溶かされていくのを私は痛感しました。まあこの映画大変難しいと思ったが、名画だなと思いました。この時代の人にこの映画のことを云ったら「最近の人にはこの映画はわからないよ!」といっていました。疲れたけど大変考えさせられて面白かった! ベルイマン監督のファーンになりました。