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ラブレス (新潮文庫) 文庫 – 2013/11/28

4.3 5つ星のうち4.3 411個の評価

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謎の位牌を握りしめて、百合江は死の床についていた――。彼女の生涯はまさに波乱万丈だった。道東の開拓村で極貧の家に育ち、中学卒業と同時に奉公に出されるが、やがては旅芸人一座に飛び込んだ。一方、妹の里実は道東に残り、理容師の道を歩み始めた……。流転する百合江と堅実な妹の60年に及ぶ絆を軸にして、姉妹の母や娘たちを含む女三世代の凄絶な人生を描いた圧倒的長編小説。
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【新潮社】桜木紫乃 作品 旅芸人、流し、仲居、クラブ歌手……歌を心の糧に波乱万丈な生涯を送った女の一代記。著者の大ブレイク作となった記念碑的な長編。〈島清恋愛文学賞受賞・ 突然愛を伝えたくなる本大賞受賞〉 夫が自動車事故で意識不明の重体。看病する妻の日常に亀裂が入り、闇が流れ出した──。驚愕の結末、深い余韻。傑作長編ミステリー。 北の大地で男と女の嫉妬と欲望が蠢めき出す。子どものように無垢な若い女性の出現によって──。余りにも濃密な長編心理サスペンス。 四十歳の夫と、三十五歳の妻。将来の見えない生活を重ね、夫婦が夫婦になっていく――夫と妻の視点を交互に綴る、連作短編集。 どうしてあたしは男の体で生まれたんだろう――。自分らしく生きるため逆境で闘い続けた先駆者が放つ、唯一無二の人生の煌めき。 「本当の自分」になるため、日本で初めて「女性の体」を手に入れた先駆者(パイオニア)の痛みと孤独な闘い。芸能界と世間を疾走する怒濤(ノンストップ)の長篇小説。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 文庫版 (2013/11/28)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2013/11/28
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 413ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4101254818
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4101254814
  • 寸法 ‏ : ‎ 14.8 x 10.5 x 2 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 411個の評価

著者について

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桜木 紫乃
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上位レビュー、対象国: 日本

2024年3月8日に日本でレビュー済み
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作者を初めて知ったのは友人から借りた「家族じまい」でした。登場人物の各人の深層心理の描写に圧倒され、いっぺんにファンになりました。
2021年6月22日に日本でレビュー済み
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それぞれの、女性の人生が北海道ならではの、時代の流れのなかで複雑な悲しみが、なんとも、言えない感覚でした。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年4月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
作者の桜木先生を誇りに思います。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年4月11日に日本でレビュー済み
百合江は幸せな人生だったか?
年齢の割に老衰し、波乱万丈で運命に翻弄された人生だったのに、位牌を握るその姿からは自分の人生に満足しているように感じるのはなぜだろう。
「どこへ向かうも風のなすまま。からりと明るく次の場所へ向かい、あっさりと昨日を捨てる。捨てた昨日を惜しんだりしない。」
それに死に際の枕元には愛した人が、そして2人の愛の結晶はいま自分の才を存分に花開かせている。。
もう何も思い残すことはない。

里実はどうだったか?
たとえ経済的に成功したとしても「必ず見返してやる」と人に囚われてばかりで進んだ人生は?
「見開かれた瞳にふたりを映して、里実の体が壁をつたい床に崩れた。」
自分が手に入れられなかった尊いものを目の当たりにした里実。「逃げた男と逃げられた女」と軽んじていた二人の関係が、実は深く永遠の愛であったことを知った里実。
里実には悪いがスカッとした。。笑

北海道の田舎の「貧しさ」「閉塞感」「怖くなるほどの茫漠たる空と大地の拡がり」を感じる描写。

里実 = 人を叩く、張りあう、わかりやすい強さ
百合江  = 折れない、なんとしても生き抜く、芯の強さ

それにしても里実の「実」という字は名は体を表すなあ。。

現代の「小夜子と理恵」、その母親の「里実と百合江」の回想が
サンドイッチのように交互に展開する形態で面白い。
①現代 : 小夜子、理恵 (45歳)
②昭和25年~:百合江、里実 (中学~)
③現在 :小夜子、理恵
④昭和35年~:百合江、里実(百合江25歳~ 出産)
        百合江、里実(里実、百合江の結婚)
⑤現代 : 小夜子、理恵(高樹に会いに)
⑥昭和50年~:百合江、里実(卯一の死、ハギと同居、銀の目)
⑦現代 :小夜子、理恵(高樹老人の告白)
⑧現代 : 小夜子、理恵(百合江の病室にて)

女の強さ、凄み、逞しさがいつまでも残った。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年9月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
北海道に縁がなくても、育ちが平成でも関係なく、
圧倒的な文章能力と表現力に引っ張られてどんどん読める作品です。

ホテルローヤルもそうでしたが、何故か桜木さんの作品は
男の人のほとんどがどうしようもなく(男気あふれる方もいるにはいますが)、
女性はただひたすらにたくましく、ドライに、魅力的に描かれているなと思います。
本作の中に出てくる、
「最後には私は笑いたい」
「女も手に職つけなきゃだめ」
「3年後、5年後を考えなきゃ」という里美の言葉と、
「今日の夜食べれるかどうか」
「考えられても3日後くらい」という百合江の言葉と、
どちらともわかるから人間は面白いなと感じました。

自分が情にもろくなっているときに限って異性に惚れられ、
つぎつぎ懐妊してしまう百合江や、
酒飲みの夫の子を五人も生んだハギなど、
今の世代から1世代、2世代さかのぼるだけで
相当濃い血縁や地域の関係が存在していたことを連想させられます。

桜木さんの小説には、「大切なことは話さず黙っておく」美学がある登場人物が多く、
それが時に悔しく、時に美しく映ります。

最後に、どんな形であれ愛した人に「だいすき」と言ってもらえる旅立ちは
感動的でした。
33人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2019年10月4日に日本でレビュー済み
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桜木紫乃さんの本は殆ど読破しましたが、一番良かったと思います。
最後はなみだがとまりませんでした。
昭和を生き抜いた1人の女性の生き様。
悲しみ、哀愁、強さ、どの行間からも伝わってきました。主人公は昭和を強く生き抜いた女性ですが、よくある昭和女性の明るさと言ったものは感じません。
そのせいもあって、ラストをあのように(ネタバレになるのでいいませんが)してくれた作家に感謝の念がわいてきます。報われた想いになります。それだけ感情移入する事ができる作品です。今だ、感動の余韻がのこっています。
23人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年5月18日に日本でレビュー済み
一気に読ませるストーリー
生きていくには身体も心もしんどい世界
その日を賢明に生きる受容性の高い姉、他者を許さず道を開き強く生きる妹
そしてその娘たち

大切なおとことは離れ、子を奪われ。
切り裂かれるような痛みや叫び、狂乱のような表現はない。
それだからこそその深さに慄く。
わたしならどう過ごしていけるのか想像もつかない。

そして感じた多くの違和感に圧倒される

なぜ父親も弟3人もろくでもなくそして無学無知な一方、その姉たちである2人の主人公は自立しようとし自負心がありそして正義なのか
なぜ母は被害者にしかなりえなかったのか
なぜ再婚者は義理の娘を売りとばせるのか、そのうえ80歳になってから改まって懺悔をするのか
なぜ妹の夫は他の女に子供を産ませ、それでも一緒にいられるのか

いろいろな想いが交錯し、圧倒されます
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年5月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
序章において百合江が危篤状態で手に握りしめている位牌という
伏線を置いた事でミステリーにもなっています。
この伏線によりラストの描写に涙が溢れ止まらなくなりました。
読み終わってから数日間、やや放心状態。
百合江は極貧も不幸も絶望もはねつけるというより、
今日、明日を生きるという事に必死で、おそらく幸せとか不幸とか
そうした一般的な尺度を持っていません。
そしてそれは仏教哲学に似ており、私にとっても生きる上での
指標のように思いました。大切な人達に贈りたくなる作品です。
宗太郎に会えたことが自分のことのように嬉しくなりました。
一家の歴史も描きつつ、登場人物ひとりひとりも浮き彫りにしいます。
尚且つ、物語のあちこちに挿入される楽曲で昭和という時代にも
ノスタルジーを深く感じさせられました。大人の純愛は言葉は悪いけど演歌
のようにも思いました(良い意味で)。
忘れられない作品になるでしょう。これから桜木紫乃さんの作品を
もっと読みたいです。ホテルローヤルも、もう一度読み直して
みようと思います。本当に迂闊でした。素晴らしい作家さんですね。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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