ここ近年のMOGWAIは映画やドキュメンタリー作品のサントラ(ジダン神が愛した男、atomic、kin)等も手がけており、本作もフランスドラマ、『レ・ヌヴラン』なる作品のサントラとなっている。
曲のクレジットを確認したところ、彼らにしては一曲のランニングタイムが短い。
だから私は、彼らの持ち味である壮大なスケール感は抑えられたコンパクトな作品群だろうと、高を括っていたわけだが、、、。
確かに曲の長さは短い。だが、そのクオリティは他のオリジナルアルバムに全く引けを取らない。いや、何なら、、、聴きやすさ故に、密かに1番好きかも知れない。
本作と対をなすドラマ『レ・ヌヴラン』を観たわけではない。だがこの音絵巻を聴くだけで「さぞ、ドラマの方も素晴らしい作品なのだろうな」と、ドラマの出来さえも窺い知ることができる。
オープニング曲Hungry Faceのオルゴール的調べから、バックに流れ出す不穏な調べ。そのコントラストの美しさから、怒涛のように展開するモグワイ節。そして紆余曲折を経て辿り着く終着点、Wizard Motorの枯れたドライブ感と、哀愁に満ちたメロディーの美しさ。
この曲を聴くだけでも、このアルバムを手にする価値はあると思う。