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ギー・ロランは、20年ほど前、おそらく第二次大戦中の時期に遭遇したある事故以前の一切の記憶をなくしている。信頼する上司の引退後、パリの私立探偵事務所を引き継いだギーは、自分の過去の捜索に乗り出す。ギーは、たまたま入手した写真に写る人物が自分ではないかと考える。その人物の足取りを追ううち、自分がギリシア系ユダヤ人であり、ペドロ・マケヴォイという偽名を用いて、パリのドミニカ共和国公使館で働いていたことを知る。
このペドロという男には、さまざまな出自をもつ友人がいた。同棲相手であったフランス人モデル、モーリシャス島出身のイギリス人、ロシア出身のアメリカ人女性ダンサー、イギリス人の元騎手。1940年、彼らはみな、ドイツ占領下でますますユダヤ人に対する迫害が激しくなるパリから、ある場所に避難する。
ここまでつきとめたギーは突如、自分の記憶喪失のきっかけになった陰惨な事件のことを思い出し…
ミステリー仕立ての物語と乾いた文体により、フランスの暗い歴史とその犠牲となった人々の現実を浮き彫りにする名作。1978年ゴンクール賞。不眠覚悟で読み始めること。