分子生物学の本が好きでよく読むんですが、外国の方の書いた本というのは、何というか、日本人とは違う、真似のできないものがありますね。この本を読んで、そう思いました。
図書館で借りて読み、読み終えて、すぐに購入しました。一度読んだだけで終わるにはもったいない労作です。
この本を書くにあたって、大いに苦労されたことは、序文にも記されていますが、それが無かったとしても、大変な労力を要したことは容易に推察できます。
目が悪いせいもあり、紙の本が好きなんですけれど、これはキンドル版を買いました。
本が厚いせいもありますが、それ以上に、さまざまな箇所を、その折々、読み返してみたく、検索機能が利用できる電子版にしたのです。
遺伝子の研究をするにあたって、双子を研究するというのは、ある種、鉄板のようです。この本は、色々な時代の種々のケースが、豊富なデータと共に語られています。
ちなみに、この本のキモとなるテーマは、エピジェネティクスです。古くて新しい話題、そして今、ホットなテーマでもある、遺伝子の化学修飾についての本です。
純粋な学術書というわけではないのですが、ただ、内容はしっかりしています。
もちろん、化学修飾の作用機序の細かい点とかは、学術書を読むしかないですが、この本には、エピジェネティクスが、個々人や集団に、どんな影響をもたらしてきたのか、ということが書かれてあるのです。
別の種類の知識本と言えます。
欧米は、日本と違い、医学的学問的なことについて、大規模な追跡調査をするそうで、そうして得たデータを、エッセイ風の文体の中で、しかし信頼性のあるしっかりした筆致で書いてあります。もちろん著者が全部関与してるわけではないでしょうし、さまざまな文献、資料、そして調査に携わった当事者、そしてまた、調査の対象になった個々の人々へのインタビューも含め、膨大な作業を経て、一冊にまとめてらっしゃると思います。
調査統計の対象になったような、歴史的なものも含めた事実、双子の方々を中心に、個々の方々の実例──つまり、エピジェネティクスというものが、実際の人間に、病理的なものだけでなく、その人生に、どのような影響となって現われているのかを、紹介してくれています。
日本の本で、こんな本は読んだことがありません。
データというと、すぐに表とかグラフ、果ては数式を持ち出してくるタイプの本ならよく読むんですけれど。
図解や表は、普通は理解の助けになるんですが、この本は、一切図や表がありません。全部地の文で書かれています。
それでいて、的確に、必要なデータを、端的に本文中に提出してくれてあるので、むしろ読みやすいです。
読みやすい理由はもう一つあり、著者が名文家であるのか、とにかく読んでいて面白いのです。小説のように面白く、それでいて知識が満載、内容は、テーマごとに分かれているので、何度か読み返すのに、抵抗を感じません。
私の印象では、日本人で、専門家の方が一般向けに書いた本というと、もう少し近視眼的なのです。それも悪くないんですけれど。医師や研究者が、少し主観やご自身の経験もまじえて、専門的なことを語る、みたいなのが普通です。
少なくとも、この分野の専門書で、小説のように面白い、と思ったのは初めてです。
日本の研究者の本でも名著はありますし、分かりやすさや内容への興味、という意味でしたら面白いものは沢山あります。でもそれ以上の意味で、小説のようにページを繰るのが楽しく面白い、という本には出会ったことはないです。
読む人のことを考えて書いてくれてるからでしょうか。このところ読んだ中では、最も魅力的な一冊です。
---2020.6追記---
先日TVを見ていて驚いたので追記。NHKスペシャルでエピジェネティクス(DNAメチル化)についてやっており、その中で、化学修飾が継代する(次世代に受け継がれる)ことを取り上げ、山中教授が「化学修飾は継代ですべてリセットするものとされていた。もし本当なら今までの常識を覆す」みたいなことを言っていました。この番組の初回放送は2019年。その時点で、あたかも今回初めてわかったかのように話している。
しかし本書(日本での刊行は2014年)には、追跡データに基づき、化学修飾が継代することが当たり前のように書かれています。
海外では当然の認識を、日本の専門家が最近になって発見されたように驚いていることに驚きました。
そういえば、私の手元にある、分子生物学関係の著書はほとんど日本のものですが、どの本にも継代の際にいったんリセットすると書かれています。山中教授だけでなく日本での共通認識のようです。
そういえばこれまでも、国内の本に限ってみても、研究者それぞれで認識に違いがあると見受けることはよくありますが・・。この研究については創薬や難病治療に深く関わるだけに、世界の研究者がもっと情報交流を盛んにして進歩していってくれればいいのに・・と思いましたし、海外の本を読むのも大事だな、と再認識しました。
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双子の遺伝子――「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける 単行本 – 2014/9/12
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購入オプションとあわせ買い
【書評掲載】
・2014年10月12日付「日本経済新聞」にて、書評が掲載されました!
・2014年10月5日付「読売新聞」にて、書評が掲載されました!
トラウマ、自閉症、才能、肥満、同性愛、浮気性……
どこまでが遺伝し、どこからが遺伝しないのか?
20年、5000組超の双子を研究した権威が、人間という種の本質に迫る。
■遺伝子は同じなのに、なぜ1人がゲイで、もう1人は違うのか?
同じ遺伝子を有し、自然界のクローンとも言われる「双子」。
だが、これまでに出会った双子を思い返してみると、
不思議なことに気づかないだろうか?
「果たして双子は、
『クローン』と呼べるほど『同じ』なんだろうか?」
体重差が27キロある双子、
一方だけが乳癌になった双子、
ゲイとストレートの双子……。
本書に登場する、
「同じ遺伝子を持ちながらまったく違う(Identically Different)双子」を見ていると、
そこには遺伝子だけでは説明できない「何か」の存在を感じざるを得ない。
■メンデルを超えるパラダイムシフト「エピジェネティクス」とは?
このような、遺伝子によらない遺伝の仕組みが、
「エピジェネティクス」だ。
わかりやすく例えるなら、
遺伝子にはストレスや食習慣によって切り替わる
「スイッチ」のようなものがあり、
それがオン・オフにされることで、遺伝子の働き方が(後天的に)変わる、ということ。
そう、冒頭の「同じなのに違う」双子たちは、そうしたスイッチの入り方が変わったのだ。
この発見は、長寿、ガン治療、iPS細胞などの分野で応用されている。
また、NHKスペシャル「人体 ミクロの大冒険」(2014年3~4月)、
TBS系「最新遺伝子ミステリー"人間とは何だ…!?"」(2013年2月)でも取り上げられている。
■遺伝子決定論を打ち破り、より豊かに人生をおくるために
著者のティム・スペクターによると、エピジェネティクスの発見の衝撃は、
遺伝子研究を180度転換させただけにとどまらない。
スペクターは、双子とその遺伝子を20年にわたって研究してきた第一人者で、
研究した双子の数は11,000を超えている。
かつて遺伝子決定論者であったスペクターもまた、
エピジェネティクスを知り、自らの考えと人生観を変えた1人。
その理由を、彼はこう言う。
どこまでが遺伝し、どこからが遺伝しないかを知ることは、
「すべては遺伝で決まる」という決定論を打ち砕き、
私たちの人生を解放する智恵ともなるのだ。
・2014年10月12日付「日本経済新聞」にて、書評が掲載されました!
・2014年10月5日付「読売新聞」にて、書評が掲載されました!
トラウマ、自閉症、才能、肥満、同性愛、浮気性……
どこまでが遺伝し、どこからが遺伝しないのか?
20年、5000組超の双子を研究した権威が、人間という種の本質に迫る。
■遺伝子は同じなのに、なぜ1人がゲイで、もう1人は違うのか?
同じ遺伝子を有し、自然界のクローンとも言われる「双子」。
だが、これまでに出会った双子を思い返してみると、
不思議なことに気づかないだろうか?
「果たして双子は、
『クローン』と呼べるほど『同じ』なんだろうか?」
体重差が27キロある双子、
一方だけが乳癌になった双子、
ゲイとストレートの双子……。
本書に登場する、
「同じ遺伝子を持ちながらまったく違う(Identically Different)双子」を見ていると、
そこには遺伝子だけでは説明できない「何か」の存在を感じざるを得ない。
■メンデルを超えるパラダイムシフト「エピジェネティクス」とは?
このような、遺伝子によらない遺伝の仕組みが、
「エピジェネティクス」だ。
わかりやすく例えるなら、
遺伝子にはストレスや食習慣によって切り替わる
「スイッチ」のようなものがあり、
それがオン・オフにされることで、遺伝子の働き方が(後天的に)変わる、ということ。
そう、冒頭の「同じなのに違う」双子たちは、そうしたスイッチの入り方が変わったのだ。
この発見は、長寿、ガン治療、iPS細胞などの分野で応用されている。
また、NHKスペシャル「人体 ミクロの大冒険」(2014年3~4月)、
TBS系「最新遺伝子ミステリー"人間とは何だ…!?"」(2013年2月)でも取り上げられている。
■遺伝子決定論を打ち破り、より豊かに人生をおくるために
著者のティム・スペクターによると、エピジェネティクスの発見の衝撃は、
遺伝子研究を180度転換させただけにとどまらない。
スペクターは、双子とその遺伝子を20年にわたって研究してきた第一人者で、
研究した双子の数は11,000を超えている。
かつて遺伝子決定論者であったスペクターもまた、
エピジェネティクスを知り、自らの考えと人生観を変えた1人。
その理由を、彼はこう言う。
どこまでが遺伝し、どこからが遺伝しないかを知ることは、
「すべては遺伝で決まる」という決定論を打ち砕き、
私たちの人生を解放する智恵ともなるのだ。
- 本の長さ408ページ
- 言語日本語
- 出版社ダイヤモンド社
- 発売日2014/9/12
- 寸法14 x 3.2 x 19.5 cm
- ISBN-104478022933
- ISBN-13978-4478022931
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商品の説明
著者について
ティム・スペクター(Tim Spector)
ロンドン大学キングス・カレッジの遺伝疫学教授で、ガイズ・アンド・セントトーマス病院の名誉顧問医を務める。同病院の双子児研究所の所長も務めており、1992年に英国で世界最大規模の双子研究(UK・ツイン・レジストリ)を立ち上げ、現在にいたるまで指揮している。この研究の対象となった双子は、11,000人を超える。これまでに500本以上の論文を発表し、数々の賞を受賞。また、英国並びに日本も含む世界各国のメディアが著者らの研究を取り上げており、著者自身も出演、及び監修を務めている。
著書に“Your Genes Unzipped: A Guide to How Your Genetic Inheritance Can Shape Your Life"(邦題:『99%は遺伝子でわかる! 』(大和書房))がある。
野中香方子
翻訳家。お茶の水女子大学文教育学部卒業。
主な訳書に『エピジェネティクス 操られる遺伝子』『ザ・フォロワーシップ』(ともにダイヤモンド社)、『137億年の物語』『移行化石の発見』(ともに文藝春秋)、『2052 今後40年のグローバル予測』(日経BP社)、『わたしたちの体は寄生虫を欲している』(飛鳥新社)、『脳を鍛えるには運動しかない!』NHK出版)、『ヒトゲノムを解読した男』『生き物たちは3/4が好き』(ともに化学同人)などがある。
ロンドン大学キングス・カレッジの遺伝疫学教授で、ガイズ・アンド・セントトーマス病院の名誉顧問医を務める。同病院の双子児研究所の所長も務めており、1992年に英国で世界最大規模の双子研究(UK・ツイン・レジストリ)を立ち上げ、現在にいたるまで指揮している。この研究の対象となった双子は、11,000人を超える。これまでに500本以上の論文を発表し、数々の賞を受賞。また、英国並びに日本も含む世界各国のメディアが著者らの研究を取り上げており、著者自身も出演、及び監修を務めている。
著書に“Your Genes Unzipped: A Guide to How Your Genetic Inheritance Can Shape Your Life"(邦題:『99%は遺伝子でわかる! 』(大和書房))がある。
野中香方子
翻訳家。お茶の水女子大学文教育学部卒業。
主な訳書に『エピジェネティクス 操られる遺伝子』『ザ・フォロワーシップ』(ともにダイヤモンド社)、『137億年の物語』『移行化石の発見』(ともに文藝春秋)、『2052 今後40年のグローバル予測』(日経BP社)、『わたしたちの体は寄生虫を欲している』(飛鳥新社)、『脳を鍛えるには運動しかない!』NHK出版)、『ヒトゲノムを解読した男』『生き物たちは3/4が好き』(ともに化学同人)などがある。
登録情報
- 出版社 : ダイヤモンド社 (2014/9/12)
- 発売日 : 2014/9/12
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 408ページ
- ISBN-10 : 4478022933
- ISBN-13 : 978-4478022931
- 寸法 : 14 x 3.2 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 438,089位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 217位遺伝子・分子生物学
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年4月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一卵性の双子でも、大人になった場合の双子を追跡すると、異なる面が多く見受けられるという具体的な事例の紹介は意義深い。しかし、「エピジェネティクスが2人の運命を分ける」というサブタイトルから、具体的にどんなエピジェネティクスがどのように働き、どう結果に結びついたのか、など本質的な事を知りたい場合は、この本はほとんど触れていないので肩透かしを食らう。サブタイトルは「DNAだけで双子の運命が決まるわけではなさそうだ」という方がぴったりくる。
2014年12月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
双子の孫を持つ母から急遽頼まれて購入しました。
早々に届いて助かりました。
ありがとうございます。
早々に届いて助かりました。
ありがとうございます。
2018年8月27日に日本でレビュー済み
遺伝子に関する様々な実例が盛り込まれていて、実例を知りたかった私にはとても面白い本だった。
知らなかったことはたくさんあるが、「かつては遺伝子のエビジェネティックな変化は一代限りのもので、子孫には伝わらないと考えられていた。しかし、それは間違いだった。遺伝子のメチル化は、精子や卵子の遺伝子でも再現され、生殖により次の世代にも伝えられるのだ」という部分は特に印象的な部分だった。
自閉スペクトラムの部分についても、昔に比べて、それに該当する人が増えている…という印象を覚えていたので、その原因について考察されている部分は興味深かった。診断基準が出来たことで、そう診断される人が増えたという考え方もあるだろうが、それだけでは説明できないほど増えているように感じられていたからだ。現代人はあらゆる化学物質にさらされて、実際口にもしている。それらが原因の1つとして作用していないだろうか。今後の研究を期待したい。
知らなかったことはたくさんあるが、「かつては遺伝子のエビジェネティックな変化は一代限りのもので、子孫には伝わらないと考えられていた。しかし、それは間違いだった。遺伝子のメチル化は、精子や卵子の遺伝子でも再現され、生殖により次の世代にも伝えられるのだ」という部分は特に印象的な部分だった。
自閉スペクトラムの部分についても、昔に比べて、それに該当する人が増えている…という印象を覚えていたので、その原因について考察されている部分は興味深かった。診断基準が出来たことで、そう診断される人が増えたという考え方もあるだろうが、それだけでは説明できないほど増えているように感じられていたからだ。現代人はあらゆる化学物質にさらされて、実際口にもしている。それらが原因の1つとして作用していないだろうか。今後の研究を期待したい。
2015年1月17日に日本でレビュー済み
やはり書き方の問題だと思う。双子の不思議な物語のサンプルをいっぱい読みたい人にも
科学的にさまざまな事例から遺伝子について知りたい人にも、ものたりないと思う。
双子を通して、遺伝子の変化について研究している人の本らしいのに、
まじですか的な迷信っぽいものもあり(人指し指より薬指が長い人は男性ホルモンが過剰とか)
眉唾な部分も。ところで先ごろ、NHKBSで放送された双子のBBC制作のドキュメンタリーは著者の
アドバイスがあったらしいがあれは前編で、実は後編が何倍もおもしろいらしい。後編の放送を求む。
「エピジェネリックなのだ」「メチル化している」って何回も出てきますが、遺伝子でみると
われわれの人生は運命付けられているものかというと、実はさまざまな要素で折々切り開けるものだということと
母体で細胞分裂する時点でかなりの影響を受けてその記憶に左右されることも多いらしい。
また、遺伝子はあなたの経験でその都度刷新され、それは自分のみならず、子孫に累々と繋がっていくのだそう。
頭ではわかっていたことながら実におそろしい話である。
話の節々にでてくるプラスチック系への警鐘は日常にあふれているだけにゾッとする。
人工授精のシャーレをプラスチックにした場合、遺伝子は通常のガラスにしたようにはならず、劣化するらしい。
農作業、食料の梱包材類、衣類などあらゆる場所に使われているだけに、この新素材(1920年あたりからか?)の
悪影響は見えない遺伝子レベルに忍びよっていて、逃れる手立てはないのだから。
科学的にさまざまな事例から遺伝子について知りたい人にも、ものたりないと思う。
双子を通して、遺伝子の変化について研究している人の本らしいのに、
まじですか的な迷信っぽいものもあり(人指し指より薬指が長い人は男性ホルモンが過剰とか)
眉唾な部分も。ところで先ごろ、NHKBSで放送された双子のBBC制作のドキュメンタリーは著者の
アドバイスがあったらしいがあれは前編で、実は後編が何倍もおもしろいらしい。後編の放送を求む。
「エピジェネリックなのだ」「メチル化している」って何回も出てきますが、遺伝子でみると
われわれの人生は運命付けられているものかというと、実はさまざまな要素で折々切り開けるものだということと
母体で細胞分裂する時点でかなりの影響を受けてその記憶に左右されることも多いらしい。
また、遺伝子はあなたの経験でその都度刷新され、それは自分のみならず、子孫に累々と繋がっていくのだそう。
頭ではわかっていたことながら実におそろしい話である。
話の節々にでてくるプラスチック系への警鐘は日常にあふれているだけにゾッとする。
人工授精のシャーレをプラスチックにした場合、遺伝子は通常のガラスにしたようにはならず、劣化するらしい。
農作業、食料の梱包材類、衣類などあらゆる場所に使われているだけに、この新素材(1920年あたりからか?)の
悪影響は見えない遺伝子レベルに忍びよっていて、逃れる手立てはないのだから。
2016年2月14日に日本でレビュー済み
面白かったです。毎日新聞の書評を見て興味を持ちました。DNAのことが研究でわかり始めた今、一つのDNAだけが問題なのではなくDNAの組み合わせで病気や変化は起きているということが分かったそうです。まったくDNAの同じ一卵性双生児でも、同じ病気にはならないし、同じ人を好きにはならないし、同じ宗教を信じるわけではない、という調査結果が紹介されていました。愛するペットのクローンを作っても、色や毛の柄が違ったり違うものが生まれてくるのだそうです。何よりも双子が「自分たちは違う」とお互いを見て感じているということは、DNAの同じクローンができても、新しく生まれたほうは「私はあなたのクローンじゃない」と思うってこと?と興味深いです。後天的な影響、たとえば双子でもお母さんのお腹で受けたホルモンの量とか、生まれてから右に座っていたか左に座っていたか、ちょっと一人でいた時にどんな環境にいたか、脳内で受け取る信号の流れが微妙にちがい、その積み重ねで性格や病気は出来上がるのではという内容でした。これからまだまだ研究が必要な分野でしょうが、今最新の研究を次々紹介して、いろいろ考えました。難しい内容もありましたが、アンジェリーナ・ジョリーは乳がんにならなかったかもしれない?という新聞の書評の意味がよく分かりました。DNAの影響は意外に少ないのです。