私は個人的にドゥルーズも小泉さんも苦手で、価値観や主張以上にどうしてもその文体に馴染む事ができませんでした。ドゥルーズは何度読んでも意味不明ですし、小泉さんのドゥルーズ入門も昔読んだ時「こんなのが入門書なわけがない！何を考えているんだ！」と投げ出してしまいました。友人に小泉さんの本は自分は面白いと思うけど、お前には無理かもしれないから一度あれ一冊を読んで駄目だったらもう他は読まなくて良いよ、とアドバイスされたので以後小泉さんの本に触れた事はほぼありませんでした。触れてもやはり同じ結果でした。
最近個人的な事情で精神医学について哲学的観点から考察する作業に従事していまして、その流れの中で半ば必然的に本書を知り、多分わけの分からない内容なのだろうけど一応目を通さざるを得ないだろうという消極的で失礼な判断をして、一応手に取ってみました。帯には人気の哲学者、千葉雅也が推薦しているともアピールされていますが、同じくドゥルーズ研究で有名な千葉さんの文体も非常に独自で難解で馴染みのない一般人には非常に読み難い。その千葉さんが推薦しているというのでさらに不安になりました。しかし、面白い。途轍もなく面白い。そしてそれ以上に驚くほど読みやすい。わけの分からない用語や表現や論理ならざる論理が踊る困った本なのではないか、という偏見を一文字も読まずに抱いていたのですが、本書は全面がですます調で丁寧に書かれていて、しかもそういう形式を超えて、純粋な具体的内容においても、非常に平易に書かれていて、殆ど全く不要な難解さ、意味不明なレトリックは振り回しません。指摘も的確だし、空理空論ではなく切実な現実的問題とちゃんと繋がっています。ドゥルーズ解釈としても常識的通説を良い意味で超え出るような内容で非常に刺激的です。本当にこれがドゥルーズに関する小泉さんの本なのかと疑うほど明瞭かつ深遠かつ刺激的に書かれていて、何よりも本当の意味で哲学的だと思います。オマケにとても濃厚で分厚いわけですが、そのわりには安いと思います。一つのドゥルーズ研究としても、この着眼点と内容は格別の面白さを持っていて、これは個人的関心や価値観が入りますが、正直今まで読んだドゥルーズ関係の本の中では一番面白かったです。これは名著になるべき力作だと思います。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
