【解説】
弱い者への風当たりが強い現代社会への反発からスタートする本作は、決して他人事ではない「お金」の問題に加えて、「家族のあり方」という更に複雑な問題を抱えて四苦八苦する、若いカップルとひとりの子どもの姿を丁寧に映し出す。監督のセドリック・カーンは、フランス最高の映画賞の一つルイ・デリュック賞に輝く『倦怠』や、カンヌ映画祭出品時に物議を醸した衝撃作『ロベルト・スッコ』等で日本でも知られる若き名匠。登場人物の複雑な関係や人間性、感情を緻密にかつリアルに描写する手腕に定評があり、本国フランスでも指折りの実力派として不動の地位を確立し、本作では現代フランスが抱える社会問題を取り上げる新境地も開拓している。主演のギョーム・カネは、フランス俳優の若き実力派。ひたすら前向きに、夢と幸せを求める主人公ヤンの感情の機微を見事に表現した本作で、2011年ローマ国際映画祭の主演男優賞を受賞、「キャリア最高の演技」と賞賛された。ヤンと恋に落ちるナディアを演じるのはセザール賞受賞の実力派女優レイラ・ベクティ。レバノン移民のシングルマザーという複雑な役どころを繊細に表現し、カーン監督をして“新世代のイザベル・アジャーニ"といわしめた。また映画の隠れた主人公ともいえるナディアの息子スリマンを演じるのは、本作が映画初出演となるスリマン・ケタビ。カーン監督の手腕とカネの柔軟な演技に支えられて、自然な姿が作品の中の小さな希望となって輝きを放つ。『よりよき人生』はどんな困難にも屈せず、国境も血縁も何もかも超えて強く結ばれた新しい「絆」のかたち、新しい「幸せ」のかたちを、フランスの名だたる実力派が結集して描いた爽快な感動作である。
2011年ローマ国際映画祭最優秀男優賞(ギョーム・カネ)
2011年リスボン&エストーレ映画祭審査員賞/シネウローパ賞
2011年東京国際映画祭正式出品
【ストーリー】
シェフを目指す35歳のヤンは、採用面接に行ったレストランでナディアと出会う。すぐさま恋に落ちたふたりは一夜を共にした。翌朝、ナディアは、ヤンにシングル・マザーだと打ち明ける。息子は9歳のスリマン。ヤンはスリマンと直ぐに打ち解け、友達のように仲良くなる。ある日三人で出かけた湖畔で、ヤンは廃屋を見つけ、ここは素敵なレストランになると直感がひらめく。その場で不動産会社に電話し物件を押さえにかかるヤン。だがどんなに行動力があっても先立つのものがなければ融資も受けられない。2人の手持ち資金は僅かだった…。
【キャスト】
ギョーム・カネ『戦場のアリア』『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』
レイラ・べクティ『預言者』『ジョルダーニ家の人々』
スリマン・ケタビ
ブリジット・シィ『自由、夜』『わたしたちの宣戦布告』
【スタッフ】
監督:セドリック・カーン『倦怠』『ロベルト・スッコ』
脚本:カトリーヌ・パイエ/セドリック・カーン
撮影監督:パスカル・マルティ
編集:シモン・ジャケ
音響:オリヴィエ・モヴザン
原題:『Une Vie Meilleure』
2011年 フランス・カナダ合作
【公開日】2013年2月公開作品
【スペック】
映像特典:日本版予告編
DSZS07393/COLOR/本編111分/片面1層/1.オリジナル(フランス語)2.0chステレオ/日本語字幕/16:9LB(スコープサイズ)
【発売元】彩プロ【販売元】東映株式会社 東映ビデオ株式会社