3・11の約1年後に書かれており、福島原発事後発生後に後始末について、一般人の質問に分かりやすく答えている。
著者の事故発生当時の予測は、90%が推定通りだったという。予想外だったのは、「偶然にも原子炉圧力装置や原子炉格納容器が爆発せず、その結果、放射能の99%が原子炉格納容器内に閉じ込められたこと」だという。軽水炉の事故としては、むしろ「小事故」に分類されるでしょうと書かれている。
菅首相も自身の著作で述べているが、われわれは本当に幸運だったのだ。
事故の後始末にかかる莫大な費用には、税金が投入される。損保会社および政府と保険を締結しているがが、とうていまかなえる金額ではない。
本書では、地震によって外部電源を喪失し、非常用のディーゼル発電機が起動して正常な冷却に向かったという。1時間後に起きた15メートルを超える津波により、浸水によって壊滅的な打撃を受けたと書かれている。
プルトニウム239半減期は2万4100年、ウラン238のそれは約45億年である。これに続いて「除染の方法にもよるが、福島第一原発の20キロ圏内が、再び生活ができるレベルに戻るまでには、あと数年かかるでしょう」とある。半減期がほぼ半永久的数字に対してなぜ数年なのかがよく分からなかった。
何冊か原発に関わる本を読んでいたが、アメリカがスリーマイル事故以降、長い間新規原発の発注がなかったのは知らなかった。
2002年に発生したシュラウド問題についても、あまり分かっていなかった。
原子炉圧力容器内にあるステンレス製の円筒状の炉心隔壁に、数多くの亀裂が生じたことを東電は10年近くも隠していた。アメリカのGEのエンジニアが経産省に内部告発したという。

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原発の後始末 (青春新書インテリジェンス) 新書 – 2012/3/2
桜井 淳
(著)
「冷温停止」によって、放射能漏れの危険性は少なくなったのか? 汚染された水、がれき、土などはどう処分されるのか? 農産物、海産物以外で今後、汚染の影響が心配されるのは? 自然エネルギーは、原子力発電の代わりになりうるか?……などなど、原子力の安全解析の第一人者が、一般生活者の疑問を入り口に、原発と日本人のこれからの問題をわかりやすく解説した一冊!
- 本の長さ205ページ
- 言語日本語
- 出版社青春出版社
- 発売日2012/3/2
- ISBN-104413043537
- ISBN-13978-4413043533
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商品の説明
著者について
1946年、群馬県生まれ。理学博士・物理学者・技術評論家。東京理科大学大学院修了。76年より日本原子力研究所で炉心完全解析に、84年から88年まで原子力発電技術機構・原子力安全解析所で原子力発電所の安全解析に従事。現在、システム安全論を中心に、中立公平な立場から問題の核心を突く論説で、テレビや新聞、雑誌で活躍。
登録情報
- 出版社 : 青春出版社 (2012/3/2)
- 発売日 : 2012/3/2
- 言語 : 日本語
- 新書 : 205ページ
- ISBN-10 : 4413043537
- ISBN-13 : 978-4413043533
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,383,531位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 496位青春新書インテリジェンス
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2023年1月30日に日本でレビュー済み
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2015年5月14日に日本でレビュー済み
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著者はすでに数々の解説書を著わしている専門家。
事故1年後の時点で、各分野の重要な点を一通り要領よく解説していて、参考になる。
惜しむらくは、編集上重複記述が整理されていないことと、技術内容の勘所をもう一歩丁寧に掘り下げた説明があったら、と思うところがある。
著者の業績が本文中に少なからず主張されていることも、技術解説を主体としたこの本の客観性を損ねている。あとがきに触れる程度にしたら、と惜しまれる。
事故1年後の時点で、各分野の重要な点を一通り要領よく解説していて、参考になる。
惜しむらくは、編集上重複記述が整理されていないことと、技術内容の勘所をもう一歩丁寧に掘り下げた説明があったら、と思うところがある。
著者の業績が本文中に少なからず主張されていることも、技術解説を主体としたこの本の客観性を損ねている。あとがきに触れる程度にしたら、と惜しまれる。
2015年11月27日に日本でレビュー済み
福島原発事故後、原発を継続すべきか、あるいは、廃止にすべきかさまざまな議論がなされているが、そのいずれの選択肢を選ぼうとも必ず克服しなければならない重要課題が、原発の後始末というものである。
「脱原発」、「原発ゼロ」と口で唱えるだけなら、いとも簡単であるが、原発の後始末という容易ならざる難題が、われわれの前に立ちはだかっている現実に気づいていないひとが多い。
本書は、この技術的ならびに社会的な課題を、一般の読者にも分かりやすく解説した書である。この類の著書は、原発の推進、あるいは、反対のいずれかの立場から書かれたものが多く、読者を巧みに誘導するような仕掛けがなされていることがままあるが、本書では、可能な限り純学問的な立場から誠実に問題を論じていると感じられた。
著者が「はじめに」で、「意識的に現実以上に厳しい断罪や甘い判断は慎み、党派性を排除し、常に現実的で公正な評価を心がけました」と宣言しているが、その目的は達せられていると言えよう。
「脱原発」、「原発ゼロ」と口で唱えるだけなら、いとも簡単であるが、原発の後始末という容易ならざる難題が、われわれの前に立ちはだかっている現実に気づいていないひとが多い。
本書は、この技術的ならびに社会的な課題を、一般の読者にも分かりやすく解説した書である。この類の著書は、原発の推進、あるいは、反対のいずれかの立場から書かれたものが多く、読者を巧みに誘導するような仕掛けがなされていることがままあるが、本書では、可能な限り純学問的な立場から誠実に問題を論じていると感じられた。
著者が「はじめに」で、「意識的に現実以上に厳しい断罪や甘い判断は慎み、党派性を排除し、常に現実的で公正な評価を心がけました」と宣言しているが、その目的は達せられていると言えよう。
2012年4月8日に日本でレビュー済み
福島第一原発は使用済み核燃料や原子炉内の溶融燃料の取出し、原子炉本体の解体と廃炉に目標は2051年だ。原子炉圧力容器は10年後も超高濃度放射能で、最困難な燃料搬出の遠隔作業はどの程度出来るか。独ビュルガッセン原発は1995年運転停止し、ロボットでの撤去作業は7年遅れている由。日本は諦めず除染作業を決めたが、問題の放射性廃棄物の仮置き場設置すら難しい。表土・枝・落ち葉・洗浄水等々は膨大な量であり、圧縮しても仮置き場の後の保管場所、中間貯蔵所や最終処分場が無い。これまでの使用済核燃料は大量に溜まり、或いは廃炉解体撤去の原発瓦礫まで様々な放射性廃棄物がある。核分裂生成物の高レベル放射性廃棄物(HLW)は、廃液を水分蒸発させ濃縮し、ガラス原料と混ぜステンレス製のキャニスター(直径40cm、高さ130cm、重さ500kgの円筒形)に流し込み、冷やしてガラス個体にし、地下で保管の計画が、六ヶ所村ではうまくいかずに中断中。2020年までに英国から850本のガラス固化体が日本に戻される。またこれまでの原発から出たHLWは大量で、六ヶ所村と東海村も限度がある。2000年に原子力発電環境整備機構(NUMO)が最終処分場の公募(文献調査で年10億円、ボーリング調査で20億円の給付、電源三法による潤沢な交付金給付)をするが候補地は決まらない。核燃料サイクルシステムが完璧に稼働する国はない。地球には約25万tの廃棄物があるが、最終処分場は世界のどこにも存在しない。フィンランドが2020年にオルキルオトの計画だけだ。オメガ計画(各種の核変換で半減期を10年以下にする)も2050年頃の実用化に莫大な費用と広大な施設建設が必要だ。福島第一原発の解体撤去・廃炉も大量放射性廃棄物の行き場はない。他の原発を止めても廃炉廃棄物が増えるだけ。また中国やインド等が大量原発建設を推進するが、中国で深刻な事故が起きれば偏西風にて日本は壊滅する。更にテロ攻撃も受ければ、世界中で放射能汚染が拡大する。原子力の優秀な学者もいなくなる。原発を止めても使用済み核燃料の最終処分問題は続く。結局は原発廃止でも、原発存続でも、いずれも将来の地球上は何処も彼処も汚染が進むだろう。何せHLWの捨て場所がないから深刻だ。