女性心理に秀でたデビュー作で新人賞を受賞した若き男性作家とその編集者、そしてその友人に秘められた死と「なにが偽物であるのか?」ということを核たる謎として語られる恋愛と推理……の連作短編小説です。
各話に一貫したテーマは「童話の新たな真実(解釈)」でしょう。主人公らの周辺で起こる事件や事故にメタファー(みたて)として各童話のシュチュエーションをなぞらえて進みます。皮肉屋でリアリスティックな面を持つ主人公がいっそ残酷ともいえる解釈で童話を解体し、同時に現実に起こった事件を解き明かす、といったプロセスで進んでいきます。
この「童話の解体・別解釈」という行為を受容できるか、拒絶してしまうかによって大きく評価は分かれるところでしょう。というのもデビュー作の「黒猫」シリーズを例にとれば分かります通り、評論や研究の世界は観察者の情報の取捨選択で大きく相貌を変える……というか歪めることも出来てしまうわけで。作中事件に沿って行われる解釈に「ぶっちゃけこじつけじゃね?」という疑念が一度でも芽生えてしまうと純粋な目では楽しめないかもしれません。
別の一点の優れた点として、後半のマニアックな視点トリックをあげたいところですが、これは「真っ直ぐに見える構造物が実は内部で複雑に捻じれていました」というような結果なので、人によっては「フーン……。で?」となるかもしれません。自分は童話の解釈云々に疑いの目を向けてしまいましたが、最後に「やるじゃん」と思ったタイプでした。

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偽恋愛小説家 単行本 – 2014/6/20
森 晶麿
(著)
アガサ・クリスティー賞受賞の鬼才が放つ、連作恋愛ミステリー。
「シンデレラ」「眠り姫」「人魚姫」「美女と野獣」という、誰もが知っている恋愛物語になぞらえて、
新進気鋭のイケメン恋愛小説家が殺人事件の謎を解き明かしていく。
俺がニセモノだったら、どうする?
「第1回 晴雲ラブンガク大賞」を受賞して、華々しく文壇にデビューした恋愛小説化・夢宮宇多。
その勢いを買われてか、恋愛小説のようにロマンティックな体験談を持つ女性を実際に訪ねて話を聞く、
というネットテレビ番組のホスト役の仕事が入ってくる。
担当編集・井上月子の説得で仕事を請けることとなったのだが、そこで出会った女性は、
まさに現代のシンデレラのようなエピソードを持つ女性であった。
しかし、夢宮宇多は話を聞くうちにエピソードの隠された真実に気づいていく……。
その一方で、夢宮宇多の受賞作は亡くなった彼の幼馴染みが書いたのではないか、という疑惑が浮上し、
物語は意外な展開を見せはじめるが――。
プロローグ
第一話 シンデレラの残り香
第二話 眠り姫の目覚め
第三話 人魚姫の泡沫
幕間 ~インターローグ~
第四話 美女は野獣の名を呼ばない
エピローグ
「シンデレラ」「眠り姫」「人魚姫」「美女と野獣」という、誰もが知っている恋愛物語になぞらえて、
新進気鋭のイケメン恋愛小説家が殺人事件の謎を解き明かしていく。
俺がニセモノだったら、どうする?
「第1回 晴雲ラブンガク大賞」を受賞して、華々しく文壇にデビューした恋愛小説化・夢宮宇多。
その勢いを買われてか、恋愛小説のようにロマンティックな体験談を持つ女性を実際に訪ねて話を聞く、
というネットテレビ番組のホスト役の仕事が入ってくる。
担当編集・井上月子の説得で仕事を請けることとなったのだが、そこで出会った女性は、
まさに現代のシンデレラのようなエピソードを持つ女性であった。
しかし、夢宮宇多は話を聞くうちにエピソードの隠された真実に気づいていく……。
その一方で、夢宮宇多の受賞作は亡くなった彼の幼馴染みが書いたのではないか、という疑惑が浮上し、
物語は意外な展開を見せはじめるが――。
プロローグ
第一話 シンデレラの残り香
第二話 眠り姫の目覚め
第三話 人魚姫の泡沫
幕間 ~インターローグ~
第四話 美女は野獣の名を呼ばない
エピローグ
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2014/6/20
- ISBN-104022511885
- ISBN-13978-4022511881
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2014/6/20)
- 発売日 : 2014/6/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 296ページ
- ISBN-10 : 4022511885
- ISBN-13 : 978-4022511881
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,061,088位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5,677位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年4月19日に日本でレビュー済み
最近本を読むようになったばかりですが、一気に読めました。
おとぎ話の新しい解釈があり、それに沿ったストーリーでとてもおもしろかったです。
おとぎ話の新しい解釈があり、それに沿ったストーリーでとてもおもしろかったです。
2014年8月31日に日本でレビュー済み
おとぎ話(シンデレラや眠り姫等)の新解釈は面白いと思いました。
本編自体も読みやすく、一回さらっと読んですぐに二回目を読み始めるくらいには面白いと思ったんですが。
ラストの『月と涙』は少々唐突すぎやしないかと。
そこに至るまでの恋愛面での過程をもっと盛り込んでほしかったです。
帯に『恋愛ミステリ』と書いてあったような気がするんですが、
恋愛面がとにかくおざなりに感じました。
本編自体も読みやすく、一回さらっと読んですぐに二回目を読み始めるくらいには面白いと思ったんですが。
ラストの『月と涙』は少々唐突すぎやしないかと。
そこに至るまでの恋愛面での過程をもっと盛り込んでほしかったです。
帯に『恋愛ミステリ』と書いてあったような気がするんですが、
恋愛面がとにかくおざなりに感じました。