一部の人たちが、この曲のどの言葉がなぜ悪いか具体的で反論可能な形での批判等
何ひとつまともに展開できもしないくせに、表現の自由を盾にして、
ただ「椎名林檎も終わった」とか「最初からこの程度に人でしょ」とかのような
抽象的で卑怯でなによりとても左翼的な人格批判をしているのを見るにつけ、
ただただ憤懣やる方なく、ふだん椎名林檎ファンというわけでもない私だが、
本レビューを投稿することに決めた。
そもそも「歌詞が右翼的」等と書かれているけど、どこにあるのだ。
草いきれとか、ハレとケとか、日本晴れとか、鬨とか、郷土を想起させる単語はたくさんあるけれども、
むしろ「国家」を感じさせるような単語は意識的に排除されているようにさえ思える。
百歩譲って「この地球上で いちばん混じり気のない我らの炎」という最後の一行に、
血統主義のようなものを感じる、繊細な立場の人がいるのかもしれない。
けれども、世界の屈強の男達を相手に、日本人という貧弱な身体でも臆することなく、
その精神力と知性と献身をもって、彼ら代表が勝ち進む様をみたいと思っているのが我々の正直な気持ちではないのか。
その何が悪いというのだ。だからといって「右翼」などという「左翼」にそっくりな連中と一緒にされるのは
大変屈辱的だ。
いや、こういうことを書けば書く程、この曲を汚してしまうような気がするので、これ以上はやめる。
実はかくいう私も、最初にこの歌を聞いたときは、「たいしたことないな」と思った。
けれども、「最前線で戦う方だけにわかる、”死んでもいいからここだけは突破したい”という瞬間を、苦しむんじゃなくて楽しもうよ!という気持ちを切り取れたら成功する、と思い作りました」(www.barks.jp/news)とのインタビュー記事を読んでから、改めて歌を聞き直してみたところ、突然その世界観がストンと腑に落ちた。
世界観にシンクロ出来た時、私は、ブラジルの芝生の上に立ってパスを回し、
歓声と怒号の中にいた。代表の人たちの背負っているものを垣間みた。
応援歌というものは、日本にはこれでもかという程にたくさんあるけれども、
そのほとんどは、なまっちょろくって内省的で、戦ってない人間同士の慰め合いの言葉を紡いでいるに過ぎない。
本当の本当に真剣に生きている人間は、外を向いているのに、そういう人を応援する歌はこれまでなかったのだ。
外に出て、激しい世界で、それも普通に勝てないようなやつらを相手に戦うのがロックなのであって、
その戦っている者の矜持と真剣さに、我々は背筋を伸ばす思いをする。
椎名林檎に曲の制作を依頼したNHKの担当者も、ロックだった。
それに応えて本作を作り上げた椎名林檎もロックだった。
内弁慶なだけの左翼や右翼連中がする内向きな批判やへんてこな賞賛は放っておこう。
我々はこの曲とともにロックに生きるのだ!!