この本はNYタイムズの記者が関係者の証言を元にしたCIAの歴史で、
すべからく実名で報じられている価値ある本だと思います。
CIAは第二次世界大戦後、設立されたものです。
その目的は世の中にある種々の情報の中から、
真実の情報を探り大統領に届ける
ことにありました。
この上巻は、設立からケネディ、ジョンソン大統領までのことを書かれている。
が、CIAがインテリジェンス、つまり諜報機関の中で評価が低い理由が
よーーーくわかりました。
彼らは情報収集能力がないのです。
ソ連国内の情報、朝鮮戦争時の北朝鮮の情報、中国の情報、キューバ、ベトナムの情報
全く情報が取れず、とれても相手のスパイに操作された情報しか取れなかった。
おかげで、例えばソ連に対する過剰な恐怖心、過大評価を国内に垂れ流すことになります。
「彼ら(CIA)は壁に図表を架け、数字を示した。
彼らの結論では、十年後にアメリカは軍事能力と経済成長でソ連に抜かれる、ということだった。
それは恐ろしい説明だった。
実際には、彼らは完全に間違っていたのである。
彼らは、すなわちCIAのいわゆる専門家は、われわれが有する最高の人材だったはずである。」
1962年の非公開の下院小委員会でのジェラルド・R・フォード(後の大統領)の発言です。
現実にはそんなことは全くなかったし、結果としてソ連は崩壊した
ただ、こんだけ間違いだらけだと始末におえないため、彼らは秘密工作、外国の政府転覆作戦などを試み、間違った情報が無理やり正しいかのような方向にねじ曲げていくようになる。
それさえもほとんど間違っているために、政府からは常に「あの組織はいったいなにをやっているんだ?」とかんがえられる次第です。
この本でよく見られる言葉
「CIAは腐りきっている」
それにもかかわらず、私たちはCIAがスゴイ組織だと考えがちです。
それは、最近公開された映画「アルゴ」のようにCIAがいかにスゴイかの宣伝であふれているためと思います。
より詳細が知りたい方はこちらへ
[...]

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その誕生から今日まで CIA秘録 上 (文春文庫 ワ 2-1) 文庫 – 2011/8/4
諜報機関を20年以上に亘り取材した調査報道記者が、その誕生から今日までのCIAの姿を全て情報源を明らかにして書いた衝撃の書
- 本の長さ608ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2011/8/4
- ISBN-104167651769
- ISBN-13978-4167651763
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2011/8/4)
- 発売日 : 2011/8/4
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 608ページ
- ISBN-10 : 4167651769
- ISBN-13 : 978-4167651763
- Amazon 売れ筋ランキング: - 197,289位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,751位文春文庫
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年8月9日に日本でレビュー済み
本書は、ニューヨークタイムズの記者ティム・ワイナーが、米国の公式記録や、秘密解除された情報を丹念に読み解き、パズルを組み立てるように綴った、巨大諜報組織CIAの真の歴史を語るものである。
CIAはとかく、映画などで神格化され、全ての情報を知っているかのように扱われているが、実際には、敵国の情報を収集することもできず、また、仮に情報を集めても、正しい情報と誤った情報とを弁別できない、無能な組織である、ということが暴露された。
しかも、その設立の存在意義である、第二のパールハーバーを防ぐ、ということも失敗をしてしまい、今や、その存在意義が厳しく問われる組織となってしまっている。
その著述で述べられているのは、よく言ってCIAの失敗の歴史、悪く言えば、米国のみならず世界をもだまし続けた欺瞞の歴史、というものだろう。
本書の読後感としては、やはり、官僚組織は肥大化し、自己自滅する、という組織学の鉄則である。
どんなに巨大な資金や人材を持っていたとしても、結局、それらを生かせず死滅していくのである。また、崩壊の過程で、もっとも優秀な人材から抜けていく、ということも同様である(日本の某大組織と同様に、どこも、傾く組織からは最優秀な人材が一番初めに抜ける。)。
ただ、CIAを擁護するならば、
1. 最初から、民主主義国家と諜報という任務(欺瞞)は相性が悪く、失敗がほぼ約束されていたこと、
2. 外国語に堪能で、かつ、外国の歴史に精通し、かつ安楽な事務仕事ではなく、外国で泥水をすすった活動ができる人間は極めて少ないこと(経済学的に考えて、もっと稼げる職場が他にある)、
3. 大統領の庇護がなければ、なんら国家に影響を与えられず、大統領の歓心を買うために、情報の質を捻じ曲げることがよくおこなわれてしまった(情報組織そのものは、世界を動かせるだけの手足はない)、
という事実が指摘できるだろう。
やはり、諜報組織というものは、為政者と一心同体に活動をし、非民主的な振る舞いでのみ活躍が出来る組織なのではないか、という印象をもった(日本の隣国の帝国たちを見れば明らかであろう。)。
読者は、本書から諜報というものの限界と、その解決すべき課題というものが理解できると思われる。
ただ、その解決すべき課題は、そもそも、民主主義国家である我々に、解決できる問題なのか、という絶望にも似た、論理の壁にぶち当たってしまうが。
CIAはとかく、映画などで神格化され、全ての情報を知っているかのように扱われているが、実際には、敵国の情報を収集することもできず、また、仮に情報を集めても、正しい情報と誤った情報とを弁別できない、無能な組織である、ということが暴露された。
しかも、その設立の存在意義である、第二のパールハーバーを防ぐ、ということも失敗をしてしまい、今や、その存在意義が厳しく問われる組織となってしまっている。
その著述で述べられているのは、よく言ってCIAの失敗の歴史、悪く言えば、米国のみならず世界をもだまし続けた欺瞞の歴史、というものだろう。
本書の読後感としては、やはり、官僚組織は肥大化し、自己自滅する、という組織学の鉄則である。
どんなに巨大な資金や人材を持っていたとしても、結局、それらを生かせず死滅していくのである。また、崩壊の過程で、もっとも優秀な人材から抜けていく、ということも同様である(日本の某大組織と同様に、どこも、傾く組織からは最優秀な人材が一番初めに抜ける。)。
ただ、CIAを擁護するならば、
1. 最初から、民主主義国家と諜報という任務(欺瞞)は相性が悪く、失敗がほぼ約束されていたこと、
2. 外国語に堪能で、かつ、外国の歴史に精通し、かつ安楽な事務仕事ではなく、外国で泥水をすすった活動ができる人間は極めて少ないこと(経済学的に考えて、もっと稼げる職場が他にある)、
3. 大統領の庇護がなければ、なんら国家に影響を与えられず、大統領の歓心を買うために、情報の質を捻じ曲げることがよくおこなわれてしまった(情報組織そのものは、世界を動かせるだけの手足はない)、
という事実が指摘できるだろう。
やはり、諜報組織というものは、為政者と一心同体に活動をし、非民主的な振る舞いでのみ活躍が出来る組織なのではないか、という印象をもった(日本の隣国の帝国たちを見れば明らかであろう。)。
読者は、本書から諜報というものの限界と、その解決すべき課題というものが理解できると思われる。
ただ、その解決すべき課題は、そもそも、民主主義国家である我々に、解決できる問題なのか、という絶望にも似た、論理の壁にぶち当たってしまうが。
2013年12月4日に日本でレビュー済み
ジョージタウンのFarnk Wisnerの家にGeorge KennanやAllen Dullesが集まって冷戦の情報戦をどう戦うかに議論を交わしている初期。予算のなかったCIAはマーシャルプランの$17 billionのうちの5%を欧州各国の現地通貨で現地政府から還流させた。今の価値で言えば途方もない金額で、これが対ソ連スパイ網の構築に使われた。イタリアの政界が汚職多いのはその残滓のせいだ。日本では岸信介、児玉誉士夫の常連に賀屋興宣も資金受領者だったとある。児玉の上海帰り所蔵品のタングステンもCIAが朝鮮戦争用に買ってやったので現金化出来た。岸の担当のClyde MacAvoyはその後、インドネシアのstation headとなり、10年後にはスカルノを追い落としてスハルト体制を作る。CIAの飛行機が海軍艦艇を爆撃までしてまるで南米のBanana Republicのよう。岸の木下産商と児玉・大野・河野が株主の東日貿易が賠償金還流商戦をめぐって張り合い、パスキ夫人に代えてデビ夫人を送り込むことに。その周旋人は桐島ロランドの大叔父の桐島正也。日本の首相の祖父はこういう人であり、南平台の家が立派なのはそういうわけだ。ともかく、戦後日本の55年体制(逆コース)の創始者はウィロビーかもしれないが、実行者はCIAのCovert Operatorたちであった。資金は首相四代続いたというから、岸、池田、佐藤、田中までか。その後はどうなったのだろう。こういう話はCIA Filesがdeclassifiedされるからわかるのであって、日本では新聞雑誌も書かない。有馬哲夫の本によれば正力松太郎はポダムというコード名だったそうなので、読売が書かないのはよくわかる。秘密保護法案はこの辺のことを意識しているかと思ったが、別に法律作らないでもメデイアが総親米なのでああいう法案を作るまでもないか。ともかく日本の戦後の疑問が一部はこの見方から解ける。一言で言えば日本はいまだに米国のAnnexed Stateである。
2011年9月4日に日本でレビュー済み
CIAと聞くと、一般的には世界的な諜報、謀略機関で第三国に秘密裏に介入をして政府の転覆を図ったり、傀儡政権を樹立したり、ということをしているのだろう、と漠然と考えられているでしょう。実際私もそのように認識していました。
本書で描かれる出来事はCIAの失敗の歴史といえるでしょう。上巻では第二次大戦後のCIA黎明期から朝鮮戦争、キューバ危機を経てベトナム戦争への介入までが語られていますが、本書で描かれるCIAは一次情報を収集することができず、根拠のない推測から大量の資金、工作員を投入し、多大な損害を被り何の成果もあげられないにもかかわらず、結果を捻じ曲げ、失敗を隠蔽し、まったく責任をとることなく存続し続け、肥大化していきます。
情報ソースは公開されたアメリカ公文書が主なものであることが巻末の170頁に渡る「著者によるソースノート」から分かります。公文書の中でのCIAのどたばた、無能ぶりはもはやB級コメディ映画の域といえます。しかし、アメリカ公文書の情報公開が進んでいるとはいうものの、肝心な部分になると、非公開に壁に突き当たるといわれていることも研究者のあいだではよく知られていることと聞きます。公文書は歴史の一次情報であり、現在これ以上の緻密で詳細な考察は見当たらないため、これを否定する材料を示すことはでません。しかしながら、これのみをもって真実とするのは早計といえるのではないかとも思います。もしこれが真実であればCIA の存在自体が問われるだろうし、結果責任を厳しく捉えているアメリカで相変わらず存在していること自体が、本書がCIAのすべてを語っているわけではないという証拠とも受け取れるのではないでしょうか。
私自身は本書をもってしてもCIAの無能さは俄かに信じ難いとしかいえません。
本書で描かれる出来事はCIAの失敗の歴史といえるでしょう。上巻では第二次大戦後のCIA黎明期から朝鮮戦争、キューバ危機を経てベトナム戦争への介入までが語られていますが、本書で描かれるCIAは一次情報を収集することができず、根拠のない推測から大量の資金、工作員を投入し、多大な損害を被り何の成果もあげられないにもかかわらず、結果を捻じ曲げ、失敗を隠蔽し、まったく責任をとることなく存続し続け、肥大化していきます。
情報ソースは公開されたアメリカ公文書が主なものであることが巻末の170頁に渡る「著者によるソースノート」から分かります。公文書の中でのCIAのどたばた、無能ぶりはもはやB級コメディ映画の域といえます。しかし、アメリカ公文書の情報公開が進んでいるとはいうものの、肝心な部分になると、非公開に壁に突き当たるといわれていることも研究者のあいだではよく知られていることと聞きます。公文書は歴史の一次情報であり、現在これ以上の緻密で詳細な考察は見当たらないため、これを否定する材料を示すことはでません。しかしながら、これのみをもって真実とするのは早計といえるのではないかとも思います。もしこれが真実であればCIA の存在自体が問われるだろうし、結果責任を厳しく捉えているアメリカで相変わらず存在していること自体が、本書がCIAのすべてを語っているわけではないという証拠とも受け取れるのではないでしょうか。
私自身は本書をもってしてもCIAの無能さは俄かに信じ難いとしかいえません。