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出家とその弟子 (新潮文庫) 文庫 – 1949/11/14

倉田百三 (著)

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恋愛、性欲、宗教の相剋の問題について、親鸞とその息子善鸞、弟子の唯円の葛藤を軸に「歎異抄」の教えを戯曲化した宗教文学の名作。

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本の長さ

288ページ
言語

日本語
出版社

新潮社
発売日

1949/11/14
寸法

14.8 x 10.5 x 2 cm
ISBN-10

4101059012
ISBN-13

978-4101059013
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登録情報

出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 改版 (1949/11/14)
発売日 ‏ : ‎ 1949/11/14
言語 ‏ : ‎ 日本語
文庫 ‏ : ‎ 288ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4101059012
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4101059013
寸法 ‏ : ‎ 14.8 x 10.5 x 2 cm

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倉田百三

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くま吉

宗教を超えた人間存在の書（限界もあるか）

2024年5月15日に日本でレビュー済み

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大正時代の作ですが、古びてはいません。活き活きした展開でした。
「遠うい遠うい昔から、傷つけつ傷つけられつして積み重ねて来た「業」が錯雑しているのだからな。そのもつれた糸の結び目にぽつり一個の生をうけているのが私たちなのだ」と現実を捉える。
ではどう解決していくのか？　　
「南無阿弥陀仏はいっさいの業のもつれを解くのだ。」
「やはり祈るほかはないのだよ、・・」
日々の生活の一つの突破口ではありますが、世界の不幸、大日本帝国の暴虐、パレスチナ、ウクライナ等々では無力か（飛躍し過ぎではありますが）。

2024年5月7日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

これは戯曲であり、親鸞上人をモチーフにした創作である。全然教えも違っていて「それどこのキリスト教？」と感じるところもあるくらい。
しかしながら、自分はこれを読んで電車で泣いてしまった。
この物語の中で、いろいろヒューマニズム的に心揺さぶられるところが多々あるのだが、それは正直どうでもよい。
自分がどうしようもなく泣いてしまったのは、善鸞の存在である。この戯曲における善鸞は、父（親鸞）を愛していていること、自分に正直であること、それがままならない身であることをないまぜにした存在なのだ。この存在の根源的な苦しさを目の前につきつけられ、それを自分にも即投影してしまい、表現できないものが自分の中に押し寄せてきた。
この本を読むなら、善鸞だ。

2024年4月25日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

作者と作品名は知っていたものの、作品は手に取ったことがなかったが、最近仏教の入門書を読んでいることもあり、この度手に取った。著者26歳のときの作品であることを知って、驚いた。この年齢で親鸞への深い洞察がここまでもできるものかと尊敬しながら読んだ。　　
　この作品は舞台で演じられる戯曲の形をとっており、第六幕まである。登場人物も親鸞とその弟子、親鸞の息子善鸞、遊女等と限られた登場人物であり、対話というか議論の情景が目に見えるようにわかる。
　若い僧の修行と恋心との葛藤の様子は、今の時代でこそ理解できるのだが、書かれた当時の大正期では世にはばかる苦悩は想像に難くない。その主人公の苦悩は同時に作者の苦悩だったのだろう。
　新潮文庫版では、亀井勝一郎の解説が所収されている。この評伝を読めば、この作品の時代背景がよくわかり、大正期の矛盾した心の葛藤や人間の苦悩が偲ばれ、現代の問題を先取りしており、この作品の価値は大きいと思う。

2023年2月26日に日本でレビュー済み

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深い所を感じようとしたが、今の私には作者のレベルに到達していないので、悩みしか持つことができない。思考では判断できない。

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役に立った

野田龍三

良書が手軽に入手

2024年2月6日に日本でレビュー済み

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歴史的な本が手軽に入手出来ることが、良いことだと思う。

2023年12月15日に日本でレビュー済み

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南無阿弥陀仏についての思いがでている

2023年6月17日に日本でレビュー済み

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「出家とその弟子」は倉田百三が26歳の時に執筆p295, 310した親鸞を主人公とした戯曲で１日ほどで通読できる長さ。岩波文庫版は、ロマン・ロランのフランス語版序文があるため購入。ロランの序文は結末まで書かれているので、戯曲を読んだ後に読むのが適当。ここでロランは、倉田自身が戯曲において書ききれていない深い意味を読み取っており、戯曲を補完するものとなっている。戯曲本文より優れているといってもよい。
ロランは、まず親鸞の創設した真宗について解説しているが、ロランは真宗の要素をキリスト教的な愛の哲学へと吸収しており、真宗もキリスト教も超えた（包括した）、以下のように解釈する。「この世は罪の大海である。生きとし生けるもののうち、救いに値するものはひとつもない、自力によって救いが生じることはありえない。現在も未来も救いは仏陀の愛によってもたらされるものである。南無阿弥陀仏を唱えることのなかには、あらゆる存在への愛、あらゆる人への寛容、この地上において仏陀を実現することにほかならない。仏陀は、生そのもののなかにあるｐ272」。本書では「寛容」や死後に地獄行を避けることについては、書かれているが、「愛」や現世における心のなかの神の国の実現は、ロランの書には頻出する深いキリスト教の哲学である。
ロランの本書の読み取りかたは深く、ポイントは３点。一つ目は、冒頭の親鸞が雪中の宿を断られる幕の部分で以下の解説。「重要なのは、すべての登場人物の完全かつ絶対的な誠実さである。すべての登場人物はひとしなみに誠実であり偽善を憎む。登場人物たちは誠実さによって互いに認め合っている。（一方）自ら“善人”と称する人々は、自分自身の精神的安定を乱さぬために、自己満足にひたりきった楽観主義を、偽りと知りながら心にはぐくんでいるｐ274」。この“善人”の例は、本書に登場する「法悦（法の救いを信ずるものの感ずる喜びｐ77」を感じたと称する僧侶のことも指していると読み取ることもできる。ロランは、これを自らを欺く行為とみている。一方、これは「法悦」を感じた＝神（真実）を悟った（すべてを理解した）と自覚してしまう傲慢さ（宗教の深さを知らない浅学であるが故のこと、神＝真理は人知の到達できないほどの深みかあるので悟ったとするのは僭越）のものとする読み方も可能である。この自分で悟りを得たとするような「傲慢さ」の非難は、ヒンズー教に見られるものであり、ロランはこの文を書いた1932年の時点で、既にヒンズー教の二大聖人の伝記『ラーマクリシュナの生涯』『ヴィヴェーカーナンダの生涯と普遍的福音』を1929年に出版しているので、触れられてもよいかなとは思っていたが、そうした記載は序文にはない。
二つ目は、本書に登場する若い僧の唯円と遊女の恋愛に関して「お前の愛する者を絶対にお前の愛で傷つけてはならないｐ276」という親鸞のセリフに注目し、自己中心的な愛は、実は奪い取ることを望んでいる獲物狙いの愛で真実の愛とは異なるとする。ロランはこのくだりは「福音書という宝石箱に位置を占めるに値する」と評価。この部分での戯曲本文では他に以下のような金言あり。「恋人以外の人に呪いをおくらぬとは、恋人を愛するが故に他人を損なうようにならないことｐ232」「恋の中には呪いが含まれている。それは恋人の運命を幸福にすることを目的としない、否むしろ、時として恋人を犠牲にする私の感情が含まれているｐ234」「（恋人を）自分のものと思わずｐ235」。
三つ目のポイントは、仏教を信じ切ることのできない親鸞の息子ｐ269が、そのままでよいのか？という問題。古典的なキリスト教では十字架にキリストと共に処刑された罪人の例にあるように、死の間際であっても、神を信じることができた人のみが天国に行ける（成仏できる）とするものである。本書もほぼ全編にわたってこのスタンスである。しかし、ロランは、最終盤になって、親鸞が新たな境地に達したと読み取り、「阿弥陀は自分を信じないものたちさえ信頼する。彼らは誠実だった。神はそれ以上なにも求めない。」とし、これを「情け深い仏陀の指が不協和音をもって織り上げる調和（ハーモニー）ｐ277」と解説（ベートーヴェンの「美しきものを善き人へ」WoO203の楽譜も引用）している。死の間際の改宗という話題では、ヘルマン・ヘッセの「デミアン」で十字架にかけられた罪人の改宗についての議論や、モーツァルトの「ドンジョバンニ」のラストの頑なに永遠の天国を捨ててまで悔い改めを拒否する（あり意味で、これまでの生き方に誠実な）姿勢に、本書には通じるものがある。
ロランは「序文」の最後で、倉田は当時の日本にあって、「自由かつ純粋な理想主義者のグループの先頭にたって、“革命の旗よりも赤く輝かしい魂の赤旗をはためかせながら“歩いている。私が恐れるのは、その赤旗が彼らの血の花になるかもしれぬということである。ｐ280」と書いている。グループには、上田秋夫、片山敏彦、宮本正清ら高知のロランを信奉する文学者らがリストされている。残念なことに、この中の人物は「血の花を流す」のとは反対になってしまった人物がいる。高村光太郎は戦争協力詩を多く発表したことは知られるが、倉田自身はファシズムを正当化した（年表によると倉田は1933年に「自由主義者に訴ふ―反ファシズム的運動を排す」を朝日新聞に発表p315）。みすず書房のロマンロラン全集36「書簡IV　日本人への手紙」には、ロランが倉田に書いた「出家とその弟子」を称賛する手紙（高村光太郎訳、同p399）や、片山敏彦との手紙の中で「出家とその弟子」を片山と共に称賛する（同p406）記載がある。ファシズムを激しく非難したロランが、倉田のファシスト転向を知る機会があったのかは不明だが、もし知り得た場合の失望は大きかったであろうと想像できる。
戯曲自体を評価すると、やや冗漫な部分があり、会話などは全体を半分くらいにしてもよいのではと思える箇所が多い。複数の幕に分かれており、その間に数年隔たりがある設定で、幕ごとに結論があいまいなまま、次の幕へと移行してしまうことがあるなどの欠点はある。東洋と西洋の宗教の癒合という点では、新約聖書からの直接の引用という他にも思想的に引用がされていると思える場面はある。例としては、「信心には証拠はありません。証拠を求めるなら信じているのではありませんｐ104」などは、極めてキリスト教的思想。また、「不合理の中に仏様の深い愛がこもっているｐ125」「この世での様々の苦しみが一つとして無駄でなかったことが解ろうとしている。それがみな仏様の愛と義の計画であったｐ265」とするのもキリスト教的。本書の解説ｐ306では、倉田が旧約聖書のヨブ記に親しんでおり、それが「序曲」に影を落としているとしているが、ヨブ記の影響が見られるのは世の中に何故「不合理」があるかというテーマにあるとしたほうが適当。世の中の出来事はすべて神がコントロールし、それぞれに意味があるとするのがキリスト教のスタンダードな考え方で、倉田のスタンスもこれと同じ。一方、実存主義の文学者らのヨブ記の受け止め方は異なり、世の中の「不条理」にいかに反抗していくかという姿勢においては、カミュの『シシュポスの神話』などに更に深い人生哲学がある。倉田は、戯曲で対処法として、「不合理な気のすることがあっても、仏と人とに呪いをおくるなｐ267」「裁く心と誓う心は悪魔から出るのじゃｐ267」「人間は誓うことはできない。この満開の桜の花が、夜わの嵐に散らないことを誰が保証することができようｐ228．」と書いており、「人を裁かない（裁くのは神）」、「誓わない（人間にはコントロールできない）」というものである。ロランは、「善意のものとされている他力という神秘的原理の手に運命をゆだねる思考は、精神のあり方として受動的ｐ273」ではある書いていが、「誓わない」という人生哲学はキリスト教にはなく（キリスト教の結婚式や宣言などでは、聖書に手を置いて誓うのが欧米の習慣）、きわめてユニークなものと評価したい。

以下は抜粋
（親鸞）善くなろうとする願いを抱いて、自分の心を正直に見るに耐える人間はあなたのように苦しむのが本当ですｐ60

（自分に近い、平易な真理を）さながら忘れていたものを思い出すｐ64

智慧は運命だけが磨き出すｐ85

小善根を積んで己れの悪を認めぬ偽善者の方が仏の愛にはもれているのだｐ89

自らの功で助けられようとする自力根情ｐ94

自分の魂の本当の願いを殺すのが一番深い罪ｐ125

運命に毀たれぬ確かなものだけ残ってくれｐ150

（遊女になったのは）それはあなたの罪ではありません。あなたの不幸です。他人の罪ですｐ160．

あの時赦しておけばよかったと後悔するようなことのないようにしておくことだよ。裁き出すと限りがなくなる。ｐ225

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ウルトラ警備隊

歎異抄と合わせて読みたい

2019年5月14日に日本でレビュー済み

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歎異抄の講談社から出ている漫画文庫と一緒に読みました。
こちらは戯曲という形で舞台の台本のような作りで
基本的には語りとト書きの様な簡単な状況説明で
展開されて行きます。

冒頭ファンタジー的な世界観と問答。

場面が変わり親鸞と唯円(歎異抄を書いた人)で
基本的に展開されます。

親鸞聖人の臨終までを描いています。

人は罪を持って生きているという話に終始
それで良いのかという事を自分に問い続け救いを求めている
いや、救われている？そんな問答を
仏教の教えを人間らしい悩みを交えながら教えてくれる本です。

善鸞さん(親鸞さんの息子)が救われていない気がしますが
その後調べたら多分救われているのかもしれません。
その先は調べてみようと思いますが、
この本の中身と歎異抄を読む限りは善鸞さんも気が付ければ
きっと南無阿弥陀仏なんだよな。となるのでしょう。

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