社会保険労務士の受験勉強に入る前にお読みになることをお勧めします。
試験勉強では1,000ページ近くある基本書に記載された手続きの細かな規則を丸暗記しなければなりません。しかも往々にして一つ一つの情報になんの論理的なつながりがないのです。かなりつらいです。
この本は、その作業に入るまえに試験範囲をざっと眺めて準備体操するのに適しています。きびきびした、簡潔な記述は大変読みやすいです。
特に良いのは、時折、制度の沿革に関する解説があり、「それで現在こうなっているのか」と納得できることです。例えば、試験勉強では、遺族厚生年金と異なり遺族基礎年金は子がない配偶者には受給権はない、という情報をそのまま飲み込みます。この本は、遺族基礎年金が母子年金あるいは遺児年金を再編したものであるという沿革があるため、このようになっていると説明されています。試験対策上は余計な情報ですが、それがいわば糖衣錠のような役割を果たし、試験対策に必要な情報が頭にすっと入ってくるのを助けてくれます。
ただし、本書には難点もあります。入門書ゆえに法律の要件が一部省略してあったり(例:寡婦年金)、記述に明らかな誤りがあったりします。(例:遺族基礎年金の額は、78万900円に改定率を加えた額である、と書かれています(82頁)が正しくは「乗じた」額です。また、261頁下から1行目の「応能負担」は「定率負担」の誤りです。)社会保障法分野の著名な教授による著名な出版社から出た書籍の第二版だからといって鵜呑みにしてはなりません。
その点をわきまえた上ならば、全体的にみて、社労士試験の受験勉強の準備として大変有益な本だと思います。

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社会保障法入門 第2版 単行本(ソフトカバー) – 2014/4/4
西村 健一郎
(著)
最新の法動向・判例を織り込み全面改訂
社会保障法全分野にわたる制度・趣旨を分かりやすくコンパクトに解説した入門テキスト。理解が難しい法律や規則などの要点を正確にとらえ,法的・政策的問題点を検討する。補訂版(2010年)刊行以降の法改正,新判例などを織り込んだ最新版。2013年秋に改正された生活保護法にも対応。
社会保障法全分野にわたる制度・趣旨を分かりやすくコンパクトに解説した入門テキスト。理解が難しい法律や規則などの要点を正確にとらえ,法的・政策的問題点を検討する。補訂版(2010年)刊行以降の法改正,新判例などを織り込んだ最新版。2013年秋に改正された生活保護法にも対応。
- 本の長さ358ページ
- 言語日本語
- 出版社有斐閣
- 発売日2014/4/4
- ISBN-104641144613
- ISBN-13978-4641144613
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