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トラウマ恋愛映画入門 単行本 – 2013/9/5

3.9 5つ星のうち3.9 17個の評価

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激しい愛、ヒドい愛、みにくい愛、恥ずかしい愛。そして素晴らしい愛。人生で経験するすべての愛がここにある。
心に爪痕を残す、決して忘れることのできない恋愛映画の極意を、貴方だけに伝授します。

【紹介作品】
オクテのオタク男はサセ子の過去を許せるか?★『チェイシング・エイミー』
ウディ・アレンは自分を愛しすぎて愛を失った★『アニー・ホール』Annie Hall★020
忘却装置で辛い恋を忘れたら幸福か?★『エターナル・サンシャイン』
愛を隠して世界を救いそこなった執事★『日の名残り』
女たらしは愛を知らない点で童貞と同じである★『アルフィー』
恋するグレアム・グリーンは神をも畏れぬ★『ことの終わり』
ヒッチコックはなぜ金髪美女を殺すのか?★『めまい』
愛は本当に美醜を超えるか?★『パッション・ダモーレ』
嫉妬は恋から生まれ、愛を殺す★『ジェラシー』
トリュフォーも恋愛のアマチュアだった★『隣の女』
不倫とは過ぎ去る青春にしがみつくことである★『リトル・チルドレン』
セックスとは二人以外の世界を忘れることである★『ラストタンゴ・イン・パリ』
完璧な恋人は、NOと言わない男である★『愛のコリーダ』
愛は勝ってはいけない諜報戦である★『ラスト、コーション』
幸福とは現実から目をそらし続けることである★『幸福』
最大のホラーは男と女の間にある★『赤い影』
キューブリック最期の言葉はFUCKである★『アイズ ワイド シャット』
結婚は愛のゴールでなく始まりである★『ブルーバレンタイン』
恋におちるのはいつも不意打ちである★『逢びき』
フェリーニのジュリエッタ三部作は夫婦漫才である★『道』
認知症の妻に捧げる不実な夫の自己犠牲★『アウェイ・フロム・ハー』
苦痛のない愛はないが愛のない人生は無である★『永遠の愛に生きて』
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 集英社 (2013/9/5)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2013/9/5
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 264ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4087715221
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4087715224
  • カスタマーレビュー:
    3.9 5つ星のうち3.9 17個の評価

著者について

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町山 智浩
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映画評論家、コラムニスト。1962年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。宝島社社員を経て、洋泉社にて『映画秘宝』を創刊。現在カリフォルニア州バークレーに在住。TBSラジオ「たまむすび」レギュラー。週刊文春などにコラム連載中。映画評論の著作に『映画の見方がわかる本』『ブレードランナーの未来世紀』『トラウマ映画館』『トラウマ恋愛映画入門』など。アメリカについてのエッセイ集に『底抜け合衆国』『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』などがある。

カスタマーレビュー

星5つ中3.9つ
5つのうち3.9つ
17グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2015年2月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の町山さんいわく、恋愛映画の多くは「リア充」の為のものだという。
恋愛にオクテで不器用な「恋愛非リア充」の人々はそもそも恋愛映画の
マーケティング外の人種なので、そういった人々が共感できるような作品はあまり作られてはこなかったのだ。
クラスのマドンナとスポーツ万能で有能なイケメンが恋に落ち、ハッピーエンド。
といった典型的な恋愛映画には憧れこそ抱けども、どうもなんとなく感情移入できなかったのは、
こういった理由からなのかと妙に納得がいく。
あまりに住む世界が違い過ぎるからだ。
しかしこの本に紹介されている作品は典型的恋愛映画とは全く毛色が違う。
恋愛下手な人たち、いわゆる「恋愛非リア充」たちの、徹底的にヘタクソな
恋愛ばかりを描いているのだ。
登場人物の多くは、オクテでそもそも異性とコミュニケーションすらとれなかったり、
晴れて誰か結ばれたとしても愛情ゆえにその想いを拗らせ、相手を追いつめてしまったり、
相手と向き合う事すら拒み続け、関係を疲弊させていったりと、
観ているこちらが滅入ってしまうくらい痛々しくダメな恋愛を繰り広げる。
所有欲や猜疑心、嫉妬といった人間の醜悪な感情そのものと、それでも抗えない
性とがドロドロと絡み付き、関係が破錠して行く様はまるで悪夢そのもの。
監督自らの失恋やトラウマをもとに作られた作品が多いため、
恋の終わりを本能的に感じ取る「ヤな予感」の描写やセリフ、間の取り方が
「もうやめてくれ」と言いたくなるほど極めてリアルなものも多い。
そんな醜悪さに胸焼けをしつつも、不思議と目を背けずに魅入ってしまうのは
誰しも人生で一度や二度、似たような苦い経験をしたことがあり、登場人物たちの
みっともない様に大なり小なり自分を見出してしまうからではないか。
しかし自らの痛々しい失敗を敢えて作品として残し、永遠に世にさらし続けるなんて、
監督というものはつくづくマゾな生き物なのだなぁと思う。
たとえ自らの恋愛オンチっぷりを世に示す事になろうとも、
幸せだった頃の二人の甘い思い出ごと、葬り去る事などできなかったのだろう。
どんなに結果が悲惨であろうと、不器用であっても誰かを愛し、生きた証として
恋の思い出を永遠に残しておきたいのだろうなぁ。
観客のためでもあり、監督自らへの教訓でもあるのだ。
名だたる名監督と言えど、恋愛に関してはことごとく不器用でヘタクソだったというのは、
彼らも私たちと同じ人間なのだなと、妙な親近感を覚えてしまった。
あまり後味のいい作品ばかりではないが、恋につまづいて、傷ついた時にこそ
この本を参考にこれらの作品を見て教訓にしたいと思う。
30人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年11月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
町山さんの本は2冊だけ持ってる。
映画選びの視点がわたしに合っていたからです。
確か文春にコラムも書いています。アメリカ在住ならではの政治的視点も面白い
2021年1月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
面白いです。
町山さん、恋愛映画は興味なさそうだけど…と思ってたら、やっぱり敢えての、チョイスだったようです。
解説されている中で特におすすめは「逢びき」。古い映画ですが、大人になれば分かる名画です。どこが素晴らしいか上手く表現できなくて困ってたら、ここに書かれてました!

YouTubeで有料の解説をたくさんされてますが書籍でもっと読みたいなあ…。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年9月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 著者町山智浩からもっとも遠いジャンル「恋愛映画」の本です。
今までの語り口と違う気がします。連載してた雑誌の影響のせいでしょうか。
 そして扱っている作品は甘っちょろい恋愛作品は一つもないです。ヤリマン、3P、不倫に神・教会の冒涜、ナチ、ち○こ切断…ホラー映画かよ!実際、恋愛を語っているのにまるでホラー作品のように解説してます。
  一部の読者は恋愛するのやめるんじゃねーかのう…。

 しかし、扱っている作品に「ブローク・バック・マウンテン」や「イッツ・オールライト」「イン・アウト」「御法度」がないのはどうゆうことじゃろうて
13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年9月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自分でも過去に観たことのある映画でも、観た当時は全く気が付かなかった着目点を教えられたり
まだ観ていない映画への興味をそそられたり読んでいて面白かったです。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年9月15日に日本でレビュー済み
町山智浩の「トラウマ映画館」は、実に読み応えのある1冊だった。
当然、アマゾン・ユーザーからも熱い支持を受け、続編を望む声も多かったと記憶する。
で、待望の第二弾が、遂に刊行した。

今回のお題は、ズバリ、“恋愛映画”、いやぁ、来ましたねぇ(笑)。
前著は、人間の持つ悪意、醜さ、倒錯、狂気、自意識過剰、絶望、不安ら人間の暗部を剥き出しにしたテーマの作品を、社会的考察を交えながら分析していたが、今回は果たしてどうだったか、、、。

ところで、“恋愛状態”をイメージする言葉って、何が思い浮かぶだろうか?

まずは、夢心地や陶酔といった甘美で幸福な心弾むポジティヴな言葉たちだろう。

でも、その一方で、狂気、偏執、倒錯、嫉妬、強要、束縛、支配妄想、翻弄、打算、錯乱、惰性、等々、これまた人間の深い闇に根ざしたネガティヴな言葉たちも、たちどころに浮かんでくる。
ま、そんなアブノーマルなものでも、インモラルなものでもなくても、恋愛というものは、理性ではコントロールできない一途さがあるし、恋愛は思い込みであり、排他的であり、だからこそ、破滅的にもなる。

愛と憎悪は表裏一体、どちらも理不尽であり、不可解でもあるのだ。

それを前提に考えれば、今作で町山が論じてみせた事、つまり、“恋愛映画”こそ、真のトラウマ、恐怖となり得るテーマなのである。

今回、俎上に挙げられているのは22作品。
如何にもな、「めまい」、「ジェラシー」、「隣の女」、「赤い影」に、「ラストタンゴ・イン・パリ」、「愛のコリーダ」、「ラスト・コーション」、「アイズワイドシャット」ら巨匠たちの官能作、ウイットに富み、ひねったオモシロさで映画通を唸らせた「アニー・ホール」や「エターナル・サンシャイン」があり、更に、「道」、「逢いびき」、「日の名残り」、「幸福」と言った一見ラインナップされているのが不思議な名作まで。
前著で紹介された作品群が、その異様さと特異性から殆ど陽の目を見る事もなく、今尚半ば封印されているのに比べ、今作品群は殆どがDVDソフト化され、身近で観る事が可能だ。

今著もまた、それぞれの作品のストーリーを追いながら、重要な台詞を効果的に繋げ、オチやラストまで言及する中で分析していく。
言わば禁じ手なのだが、前著が殆ど知られていないマイナー作が主流だった事、今著では、逆に、映画ファンなら既に御覧になっている著名作が多い事から、この手法はありだろう。
「めまい」や「赤い影」のような、今まで多くの人たちが語って来た作品でも、その町山流分析を読んでみると、改めて、新鮮な驚きを覚える。
ヒチコックやフェリーニが自身の作品で見せた女性、そして恋愛感情への深層心理への具現化。
町山的洞察力、眼力は、今回も健在なのだ。

今著で扱われた作品以外にも、トラウマを感じる恋愛映画は沢山ある。
みな、それぞれに脳裏をよぎる作品はあるだろうが、例えば、成瀬巳喜男の「浮雲」での高峰秀子が森雅之に、そして、野村芳太郎の「事件」での大竹しのぶの渡瀬恒彦に見せる微笑みと眼差しだって、十分にトラウマだ。
つまり、女に精神的に支配されたと諦観しながら、一生別れる事も出来ない男が感じる恐怖、これは怖いよ。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年9月28日に日本でレビュー済み
 恋愛オンチのために―――
 そう題された巻頭のことばがすべてを言いつくしています。
 トリュフォーいわく「男はみんな恋愛のアマチュア」(映画『隣の女』)なのだとか。つまり、これは恋愛という魔物をうまく乗りこなすことのできない、永遠の男の子のための書なのです。
 興味深いことに、―と書きつつも、冷静に考えてみれば不思議でもなんでもないことに―映画作家たちは自分たちの恋愛オンチぶりを銀幕に投影する作品を作ってきたということを、著者はひとつひとつ詳らかにしていきます。
 実生活でつきあって別れた女優を主役に抜擢して『チェイシング・エイミー』を撮った監督ケヴィン・スミス。
 ドヌーブら交際相手との間で実際にかわした言葉のやりとりをセリフに織りこんで『隣の女』を作って元カノたちをあきれさせたトリュフォー。
 自らの結婚生活を投影して、妻で女優のジュリエッタ・マシーナと『道』を作り上げたフェリーニ。

 著者はこうした映画作家ばかりでなく、映画の原作小説を書いた作家たちの人生にも切り込んでその恋愛オンチぶりを綴っていきます。戦時中に結んだ不倫関係をモデルに『ことの終わり』を書いたグレアム・グリーンの波乱の人生は読みごたえがありました。

 著者自身、恋愛オンチを自認していて、この本はまさに自分のこれまでのオンチぶりをじっくりと見つめた様子が行間に見て取れます。と同時に、読んでいる私自身も来しかたを振り返って赤面することしきりの読書を強いられた思いが残ります。
 映画の恋愛に学んで自らを矯正する、といけば良いのでしょうが、人生はさほど単純ではありません。これからも男の子たちは数多くの失敗を重ね、女の子たちを傷つけ、そして自らも傷つき続けることでしょう。

 男の私には頷くところばかりの一冊ですが、果たして女性の読者の目にはどんな風に映るのでしょうか。
26人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート