後半は、転職したことのないサラリーマンの与太になっているが、それもご愛敬。
数年前勝間和代的なものが跋扈したが、それはマッキンゼーなどのフレームワークを職場で経験することができた者がそのノウハウに則り、いわば他人の知恵を分かりやすく揉み解して切り売りするという類のものだった。何とも言えない疑似腐臭が漂ったものだ。
その点、この書物は、日本のサラリーマンの渾身の書物と言ってよい。ぎりぎり現役か、引退したぐらいであり、勤務先を隠し、本名を隠し、しかし内容は真実に迫っている。売名など更々興味がないのだろう。この後、この本の濃い部分を一部抜粋するが、エリートとは言えないが優秀であるという自負を持ち、まんじりともせず厳しい状況に現場のど真ん中で戦っている日本のサラリーマンであるならば必ず大きく頷ける本質がこれでもかと書き連ねられている。
なかなか類似の物はない。なぜなら、ジャンル的な類書は、アメリカ人のものか、受け売りか、自称コンサルの売名本か、成功してしまった著名な人か、いずれかの著書であり、現場の辛酸を知る者が真っ当に整理したものはない。稲盛和夫も松下幸之助も北尾和孝も立派であることに異論はないが、成功者だと思うから読めるのであり、一介のサラリーマンかつ無名の人が書いたら、偉そうにの一言で終わりだろう。
こういう日本人のおっさんがいることをやや後方を走る者として、誇りに思わずにはいられない。一度酒を酌み交わし、薫陶を受けたいものだ。
参考になった箇所は以下の通り、
→「解」を求めるならば、もっともっと、悩み苦しんでいる組織、従業員の内面的な部分に突っ込んでいかなければならない
→サラリーマン社会では、次から次にあちこちから顔を出す問題を、いかに俊敏に叩いて終わらせ、次に取り掛かれるかが一番重要
→些細な約束事、取り決めの遵守ができない組織の「体質」は、組織を運営する管理職の「体質」と密接に関係している
管理職の「体質」が、組織に浸透していく場合が多い
→手をつけていない問題であっても、決して頭から離れることはない
問題が多い状態は、間違いなく精神を圧迫する
まず、身の回りの簡単な問題を片づけて身軽にしてから重要な問題に取り組みなさい
絶えず身辺の仕事を整理して「身軽」にしておくことが重要だ
いつ、大きな問題「大波」が襲ってくるかわからない
とにかく「手離れ」を早くし、問題数を増やさない
→「やってみないとわからない」のだからこそ、早く着手する必要がある
「早く取り掛かる」ことによって、物事の難易度を知り、本質的な部分に早くぶつかることができる、この意味は大きい
「スピード」がある人間は、上司からも、仲間からも、部下からも評価を受けることは間違いない
上司からも絶対に怒られない
これがサラリーマンのコツだ
→「チャンスのあとにチャンスが来る」組織や人は、「取り掛かり」が早く、「手離れ」も早い「体質」を持つ
→世の本が、何十項目、何百項目にもわたって、「ああしなさい」「こうしなさい」と記述してあっても、無視すればよい
→サラリーマンの悲劇は勘違いから始まる
自分のことを知らない
自己評価と他人評価が著しく異なる
この集団は、残念ながら非常に扱いが難しい
自己評価が間違っているから、仕事の上達や、能力アップというものが生まれにくい
この集団の人は、ひたすら自分の能力と業績を信じて、上司や組織、つまり会社に立ち向かっていく
その悲劇は、人事考課や、異動、昇格の発表の際に表れる
よくよく考えれば、過去の評価や上司との面談で感づきそうなものだが、彼らはあくまでも、自分を信じる
会社の回答に対して、彼らは「なぜなんだ」と不満を顕にし、自分の不遇を嘆く
→このグループは、個人の資質や形成過程と関係がある
早くから、他人との比較に慣れた人はこのグループに少ない
非常に残念な表現ではあるが、有名大学出身者にはあまりいない
有名大学出身者は、受験競争に勝ち残るために、「物心ついた時から、他人と自分とをしっかりと客観的に比較せざるを得ない環境」で育った可能性が高い
厳しい受験競争を勝ち抜く過程で、絶えず自分の能力を客観的に、いやむしろ懐疑的に観察して向き合い続けた
その日々は絶え間ない劣等感との戦いだったかもしれない
だが、大きな見返りとして、「客観的な視点」から、「自己分析」ができるようになった
厳しい受験競争を経験している有名大学出身者はこのグループになる危険性が低い
→懐疑的な自己評価ができている時点で、上司の指導やアドバイスも受け入れられる土壌がある
自ら考えた改善策に上司のアドバイスも加わり、さらなる能力向上、業績改善に取り組む
こうした社員は確実に伸びていく
つまり「懐疑的な自己評価」こそが、進歩の始まりなのである
→王選手の日記
自分の至らないところ、足りないところが書かれ、悩み苦しんでいた
サラリーマン社会でも、できる人ほど自己評価が厳しい
できる人ほど、自分の「できていない」数を数え、そうでない人ほど、自分の「できた」数を数えている
心の内を決して外には出さず、一層結果を追い求めていく
2014/4/19追記
「頭が悪い人は自己を客観視できないので、下手に褒めると増長する」ということを日々の部下の指導の中で痛烈に実感している
褒めて育てるとか、コーチングとか、自己を客観視できない人間に対しての指導方法としては百害あって一利なしである
著者の慧眼、喝破に感謝する次第である

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サラリーマンの本質 新書 – 2014/1/1
綾小路 亜也
(著)
従来の本にはない「現場視点」からの全く新しいビジネス書誕生! 著者は大手金融機関で営業畑一筋で35年間歩んだプロ。その豊富な経験から、世に言われていることとは異なるサラリーマンの実像と解決法をアドバイスする。「チャンスのあとにチャンスあり! ピンチのあとにピンチあり! 」「営業では、二兎を追うものは三兎をも得る」など、アッと驚く格言に満ちている。
- 本の長さ207ページ
- 言語日本語
- 出版社文芸社
- 発売日2014/1/1
- ISBN-104286145115
- ISBN-13978-4286145112
登録情報
- 出版社 : 文芸社 (2014/1/1)
- 発売日 : 2014/1/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 207ページ
- ISBN-10 : 4286145115
- ISBN-13 : 978-4286145112
- Amazon 売れ筋ランキング: - 970,846位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 63,425位新書
- カスタマーレビュー:
著者について
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綾小路 亜也(あやのこうじ・あや)
慶應義塾大学卒業後、大手金融機関に入社し支店長、理事を経験。
ビジネス経験に裏打ちされた出世やキャリアアップ、ビジネスマナーの研究家として知られている。2014年、ビジネスパーソンのキャリアアップを支援するために新百合ヶ丘総合研究所を設立。キャリアコンサルタント ビジネスマナーインストラクター
『出世はタイミングで決まる!』『「出世しぐさ」のすすめ』『エリート社員に打ち勝つ! あなただけの出世術』『コロナ後の「たった一つの出世の掟」』など著書多数。ビジネスパーソンの腹に落ちるビジネスマナーの本、企業で働く営業女子への指南書、ハンコの選び方・押し方の本、浅草を舞台にしたエッセイも書いている。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年2月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年7月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は大手金融機関の支社長、支店長、理事を経験され、
金融機関在籍中は、どんな不振な組織も優績に導く事か
らマジックと呼ばれていたそうです。
著者によると、サラリーマン向けの本は、時代とともに著者
は変わっても、その内容、構成がほとんど変わっていない。
企業の為に、あるべき像を示している為現実に悩んでいる
組織や人に対する、解とはどうしても考えにくく、悩み苦し
んでいる組織、従業員の内面的な部分に突っ込んでいかなけ
ればならない等と述べられています。
私はこの本は、サラリーマンが業務を行う上で、教科書にな
ると思います。
この本にある業務への取り組みかたをそのまま行う事により、
成果があがる確率は高くなると思います。
実戦的であり、まさにサラリーマンの本質を的確にとられて
いると思います。
またなぜ、自分が会社の中で理不尽な目にあっているのかが
非常にわかりやすく解説されており、そういったピンチをど
う切り抜け調整してゆけば良いかを思いつくヒントになると
思います。
著者は35年間のサラリーマン人生を経験されていますが、
実家が商家だったそうです。
恐らくそのご実家での経験から(親御さんの背中をみて育
っている経験)著者の本質は実は事業家なのだと思います。
また金融機関での営業は殆どが企業へのコンサル業務だった
のではないでしょうか。
なので、35年間サラリーマンの経験をされながらも、サラ
リーマンを他人の目で見ることができたのではないでしょう
か。
著者の本はサラリーマンはもちろん事業家であっても、
仕事への取り組み方や人生感の本質をとらえていますので、
ビジネスを行っていらっしゃるかたにはきっと為になると
思います。
お薦めの一冊です。
金融機関在籍中は、どんな不振な組織も優績に導く事か
らマジックと呼ばれていたそうです。
著者によると、サラリーマン向けの本は、時代とともに著者
は変わっても、その内容、構成がほとんど変わっていない。
企業の為に、あるべき像を示している為現実に悩んでいる
組織や人に対する、解とはどうしても考えにくく、悩み苦し
んでいる組織、従業員の内面的な部分に突っ込んでいかなけ
ればならない等と述べられています。
私はこの本は、サラリーマンが業務を行う上で、教科書にな
ると思います。
この本にある業務への取り組みかたをそのまま行う事により、
成果があがる確率は高くなると思います。
実戦的であり、まさにサラリーマンの本質を的確にとられて
いると思います。
またなぜ、自分が会社の中で理不尽な目にあっているのかが
非常にわかりやすく解説されており、そういったピンチをど
う切り抜け調整してゆけば良いかを思いつくヒントになると
思います。
著者は35年間のサラリーマン人生を経験されていますが、
実家が商家だったそうです。
恐らくそのご実家での経験から(親御さんの背中をみて育
っている経験)著者の本質は実は事業家なのだと思います。
また金融機関での営業は殆どが企業へのコンサル業務だった
のではないでしょうか。
なので、35年間サラリーマンの経験をされながらも、サラ
リーマンを他人の目で見ることができたのではないでしょう
か。
著者の本はサラリーマンはもちろん事業家であっても、
仕事への取り組み方や人生感の本質をとらえていますので、
ビジネスを行っていらっしゃるかたにはきっと為になると
思います。
お薦めの一冊です。
2014年8月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
非常にためになりました。
実際に地べたを這うような現場を長年経験し、
慌ただしい毎日に忙殺されたひとでないと、こんなことは書けないですね。
営業の使命はわかりやすいです。
でも、どうしたら、うまくやれるのか。
答えは簡単には見つかりません。
もちろん職場の誰も教えてはくれないです。
この本は、精神論でも俯瞰論でもありません。
徹底的に営業を味わい、とことん客観的に自分と周囲を観察して、
考え抜いて辿り着いたリアル論です。
自分はこんなものではない、営業でもっとやれるはずだと、思っている人に。
うまくいかない原因となっている自分の癖に気がつきたい人に。
ざーっと、書き込みしながら、
エッセンスを拾い、是非実践してみてください。
営業を天職と思えるようになるかもしれません。
実際に地べたを這うような現場を長年経験し、
慌ただしい毎日に忙殺されたひとでないと、こんなことは書けないですね。
営業の使命はわかりやすいです。
でも、どうしたら、うまくやれるのか。
答えは簡単には見つかりません。
もちろん職場の誰も教えてはくれないです。
この本は、精神論でも俯瞰論でもありません。
徹底的に営業を味わい、とことん客観的に自分と周囲を観察して、
考え抜いて辿り着いたリアル論です。
自分はこんなものではない、営業でもっとやれるはずだと、思っている人に。
うまくいかない原因となっている自分の癖に気がつきたい人に。
ざーっと、書き込みしながら、
エッセンスを拾い、是非実践してみてください。
営業を天職と思えるようになるかもしれません。
2015年12月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まさにサラリーマン人生を俯瞰し、洞察した良い本でした。
特に第4、5章のサラリーマンの区分がとても秀逸でした。現場でじっくりと観察しなければ見出せいない生々しいグループ分けのように思います。
そして、読み終えた時、「サラリーマンって一体なんだろか?」そのような大きな問いが自分の中にわきおこりました。
その答えは自分の中にしかないのでしょう。それを私もブログの中で辿っていきたいと思います。
[・・・]
特に第4、5章のサラリーマンの区分がとても秀逸でした。現場でじっくりと観察しなければ見出せいない生々しいグループ分けのように思います。
そして、読み終えた時、「サラリーマンって一体なんだろか?」そのような大きな問いが自分の中にわきおこりました。
その答えは自分の中にしかないのでしょう。それを私もブログの中で辿っていきたいと思います。
[・・・]
2014年3月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本は営業現場におけるサラリーマンの実態をよくあらわしている。
一般的なhow to本は著名経営者の自伝的なものが多くかつ、経営者になって以降の話が中心。
仕事に対する取組姿勢、方法については共通する部分が多いものの、営業現場における数字の
立て方、達成方法について連想力駆使の重要性を交えながら具体的に論ずるものはあまりない。
サラリーマンにおけるグループ分けはどの会社においても行われていると思われるが、本書のように
ウイットに富んだ筆致で例示されているものは少ない。特に作中に出てくる「Cグループ」については、
読者は身近なものとして、共感できるケースが多いのではないか?
サラリーマンの悲劇は自己を客観的に捉えることができない大きな勘違いからスタートする。
冷静に自己判断、分析を行うこと、果敢に努力をすることに慣れていない「Cグループ」に
有名大学出身者が少ないことも大きく頷ける。
但し、サラリーマンとして出世する条件は単に業績が良いとか、学歴が高く頭が良いだけではない。
「Cグループ」の対極として作中に出てくる「Aグループ」人材となるためには人間性も必要だ。
本書はこの点についても気づかせる内容となっている。
一般的なhow to本は著名経営者の自伝的なものが多くかつ、経営者になって以降の話が中心。
仕事に対する取組姿勢、方法については共通する部分が多いものの、営業現場における数字の
立て方、達成方法について連想力駆使の重要性を交えながら具体的に論ずるものはあまりない。
サラリーマンにおけるグループ分けはどの会社においても行われていると思われるが、本書のように
ウイットに富んだ筆致で例示されているものは少ない。特に作中に出てくる「Cグループ」については、
読者は身近なものとして、共感できるケースが多いのではないか?
サラリーマンの悲劇は自己を客観的に捉えることができない大きな勘違いからスタートする。
冷静に自己判断、分析を行うこと、果敢に努力をすることに慣れていない「Cグループ」に
有名大学出身者が少ないことも大きく頷ける。
但し、サラリーマンとして出世する条件は単に業績が良いとか、学歴が高く頭が良いだけではない。
「Cグループ」の対極として作中に出てくる「Aグループ」人材となるためには人間性も必要だ。
本書はこの点についても気づかせる内容となっている。
2015年3月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
サラリーマンとしての視点で語られているので、かなりすんなりと受け止めることができます。
個人的には「第五議題 サラリーマンの悲劇」がかなり印象深いです。
私もサラリーマンなので「あ~、あるある!」という要素がたくさんあるからです。
特に上司の振る舞いとか飲み会での光景は、私もそういう場面に出くわしたことがあるので、面白かったですね。
そして、そういう振る舞いから私たちが学べることや気づくことがたくさんあります。さらにお客さんに対する対応の仕方にも応用が効くのではないかと感じました。
面白い視点も多いので、繰り返し読んでみたくなりますね。
個人的には「第五議題 サラリーマンの悲劇」がかなり印象深いです。
私もサラリーマンなので「あ~、あるある!」という要素がたくさんあるからです。
特に上司の振る舞いとか飲み会での光景は、私もそういう場面に出くわしたことがあるので、面白かったですね。
そして、そういう振る舞いから私たちが学べることや気づくことがたくさんあります。さらにお客さんに対する対応の仕方にも応用が効くのではないかと感じました。
面白い視点も多いので、繰り返し読んでみたくなりますね。
2014年7月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
問題意識はシンクロ(同調)していると思いますが、職種は違う。
営業とはこういうものだ、という事で勉強になりました。著者に感謝です。
最後の一章で「自分には出来なかったこと」と断りつつも、定年後の自活の道
を自ら探すことについて触れられていますが、私自身含めて、必要にかられて
仕方なくやっている面があるので痛し痒しです。実際、もっと若い世代の切実さ
を見ていますと、迂闊に「起業のススメ」など口にも出せないのが現状です。
この一点だけはご理解戴ければと願います。
営業とはこういうものだ、という事で勉強になりました。著者に感謝です。
最後の一章で「自分には出来なかったこと」と断りつつも、定年後の自活の道
を自ら探すことについて触れられていますが、私自身含めて、必要にかられて
仕方なくやっている面があるので痛し痒しです。実際、もっと若い世代の切実さ
を見ていますと、迂闊に「起業のススメ」など口にも出せないのが現状です。
この一点だけはご理解戴ければと願います。
2015年10月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
チャンスのあとにチャンスあり!チャンスを呼び込む体質改善策、とても参考になりました。文書作成についてのアドバイスも良かったです。また、A.B.Cグループの存在など、面白くあっという間に読んでしまいました。次回作、期待しています。